胸部外科レジデントマニュアル
心臓外科と呼吸器外科の実践を学べる! 東大胸部外科によるレジデントマニュアル
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東大胸部外科の強みは心臓外科と呼吸器外科が密に協力して診療にあたっていることである。心臓と肺、呼吸と循環は車の両輪であり、片方に問題があれば、もう片方にも問題が生じても何ら不思議はない。高齢化社会の今、名外科医たるもの、診療科の垣根を越えて視野を広くもち、関連するサブスぺ技術を学ぶことはもはや必須である。本書はイラストを多用し、初学者から専門医を志向する医師まで広く役立てて頂けるよう編集した。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | レジデントマニュアル |
---|---|
監修 | 小野 稔 / 中島 淳 |
編集 | 東京大学医学部附属病院 胸部外科(心臓外科・呼吸器外科) |
責任編集 | 佐藤 雅昭 / 縄田 寛 |
発行 | 2019年10月判型:B6変頁:576 |
ISBN | 978-4-260-03676-4 |
定価 | 5,940円 (本体5,400円+税) |
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序
書店に行くと,代わり映えしない多くのレジデント向けのマニュアルが山積みになっている.診断技術が向上し,新しい治療デバイスが導入され,次々と生まれるエビデンスに基づいたガイドラインが発表されている今の時代,レジデントマニュアルにもbreak throughが求められている.時代を先取りしたレジデントマニュアルがないのであれば,自分たちで作ればいいではないか! 東京大学医学部附属病院心臓外科と呼吸器外科の現場で活躍する1人ひとりのやむにやまれぬ強い思いが,このたび上梓することになった『胸部外科レジデントマニュアル』に凝縮されている.
最近になり専門医教育の重要性が強調され,サブスペシャリティトレーニングにとにかく早く入って専門医の資格をできるだけ早く取得するという風潮がある.専門医資格取得はモティベーションが高まり,大いに推進すべきことではあるが,ここに大きな落とし穴があることにお気付きだろうか? ひょっとして,「早くサブスペ技術を身に着ける=別のサブスペの技術と知識は必要ない」と短絡的に考えてはいないだろうか.これは,大きな過ちに繋がりかねない危ない誘惑であることをぜひとも知ってほしい.名外科医たる所以はどこにあるのか? これは,外科医としての豊富な知識と経験に裏打ちされた洗練された技術であることに異論はないであろう.これを別のいい方で表現すると,名外科医は,俗にいう「引き出しが多い外科医」であるということである.多くの引き出しを持ち,しかも進退窮まった時であっても自由自在に引き出せるようにするためにはどうすればよいのか.答えは簡単である.常に視野を広く持ち,関連する別のサブスペ技術を学び,オープンマインドで裾野を広く持ち続けることである.
東京大学医学部附属病院心臓外科と呼吸器外科は,20年以上前に胸部外科分野からそれぞれ分離独立した.しかし,同じ胸部にある臓器を扱う診療科として互いの知識と経験を有機的に共有するという理念に基づいて,毎朝の臨床カンファレンスは今に至るまで合同で開催している.その中で議論され,洗練され,実際に臨床現場で経験された診断・検査・手技・治療のすべてが本書に散りばめられている.読者の方々にとって,必ずや,名外科医への一歩を踏み出すバイブルになるものと信じてやまない.
2019年盛夏
東京大学医学部附属病院 心臓外科・教授
小野 稔
書店に行くと,代わり映えしない多くのレジデント向けのマニュアルが山積みになっている.診断技術が向上し,新しい治療デバイスが導入され,次々と生まれるエビデンスに基づいたガイドラインが発表されている今の時代,レジデントマニュアルにもbreak throughが求められている.時代を先取りしたレジデントマニュアルがないのであれば,自分たちで作ればいいではないか! 東京大学医学部附属病院心臓外科と呼吸器外科の現場で活躍する1人ひとりのやむにやまれぬ強い思いが,このたび上梓することになった『胸部外科レジデントマニュアル』に凝縮されている.
最近になり専門医教育の重要性が強調され,サブスペシャリティトレーニングにとにかく早く入って専門医の資格をできるだけ早く取得するという風潮がある.専門医資格取得はモティベーションが高まり,大いに推進すべきことではあるが,ここに大きな落とし穴があることにお気付きだろうか? ひょっとして,「早くサブスペ技術を身に着ける=別のサブスペの技術と知識は必要ない」と短絡的に考えてはいないだろうか.これは,大きな過ちに繋がりかねない危ない誘惑であることをぜひとも知ってほしい.名外科医たる所以はどこにあるのか? これは,外科医としての豊富な知識と経験に裏打ちされた洗練された技術であることに異論はないであろう.これを別のいい方で表現すると,名外科医は,俗にいう「引き出しが多い外科医」であるということである.多くの引き出しを持ち,しかも進退窮まった時であっても自由自在に引き出せるようにするためにはどうすればよいのか.答えは簡単である.常に視野を広く持ち,関連する別のサブスペ技術を学び,オープンマインドで裾野を広く持ち続けることである.
東京大学医学部附属病院心臓外科と呼吸器外科は,20年以上前に胸部外科分野からそれぞれ分離独立した.しかし,同じ胸部にある臓器を扱う診療科として互いの知識と経験を有機的に共有するという理念に基づいて,毎朝の臨床カンファレンスは今に至るまで合同で開催している.その中で議論され,洗練され,実際に臨床現場で経験された診断・検査・手技・治療のすべてが本書に散りばめられている.読者の方々にとって,必ずや,名外科医への一歩を踏み出すバイブルになるものと信じてやまない.
2019年盛夏
東京大学医学部附属病院 心臓外科・教授
小野 稔
目次
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I 総論
1 医師としての心構え/チーム医療,リーダーシップ/医療事故への対応
2 胸部外科疾患にかかわる検査
1)胸部単純X線
① 胸部単純X線の読み方の基本
② 胸部単純X線の応用―肺切除後のX線
2)胸部CT,MRI
3)心電図
4)心エコー
5)心臓カテーテル検査
① 左心カテーテル検査
② スワンガンツカテーテルの読み方
6)呼吸機能検査
7)CTガイド下肺生検
8)核医学検査
① 呼吸器外科
② 心臓外科
9)動脈血液検査
3 胸部外科疾患にかかわる手技
1)胸腔穿刺
2)胸腔ドレナージとドレーン管理の基本
3)心嚢穿刺
4)CVカテーテル挿入
5)バスキュラーカテーテル挿入
6)IABP挿入
7)ECMO挿入(VA,VV)
8)気管切開
9)気管支鏡
10)縦隔鏡
11)胸腔鏡検査
4 胸部外科疾患と救急外来
1)肺塞栓症
2)急性大動脈解離
3)急性冠症候群
4)自然気胸
5)胸部外傷
① 総論
② 気道損傷(気管・気管支損傷)
③ 気胸,血胸,肺挫傷
④ 胸壁損傷,肋骨骨折,胸骨骨折
⑤ 横隔膜損傷,ヘルニア
⑥ 食道損傷
⑦ 心大血管損傷
5 術前評価,他科コンサルト,周術期に中止すべき薬剤
1)呼吸器疾患
2)心疾患
3)腎疾患
4)糖尿病(術前血糖管理)
5)甲状腺機能亢進症,甲状腺機能低下症
6)その他の内分泌疾患
7)抗血小板薬・抗凝固薬の周術期管理
8)免疫抑制中の患者
9)口腔衛生,歯科スクリーニング
10)麻酔科コンサルテーション
6 輸血療法(自己血貯血を含む)
7 インフォームドコンセント
1)インフォームドコンセントの基本
2)心臓外科手術のインフォームドコンセント
① 術前リスク評価と説明
② 合併症の種類と説明
③ 人工弁の種類と説明
3)呼吸器外科手術のインフォームドコンセント
① 術前リスク評価と説明
② 合併症の種類と説明
8 手術室における基本事項
9 胸部外科の手術器具
10 胸部外科の基本手術手技
1)糸結び
2)剥離操作
3)血管吻合
4)気管支縫合・吻合
11 胸部外科の外科的アプローチ
1)開胸術
2)胸腔鏡手術
3)低侵襲手術
① 呼吸器外科
② 心臓外科
4)術中補助循環(人工心肺とECMO)
5)術中分離肺換気
6)vascular access
12 術後管理の基本
1)呼吸管理
① 呼吸器外科
② 心臓外科
2)循環管理
3)術後ECMO管理
4)AKI(急性腎障害)とCHDF
5)術後栄養管理,血糖管理
6)感染予防と治療
7)下肢深部静脈血栓症,肺塞栓症の予防と治療
8)術後の抗凝固・抗血小板療法
9)術後創傷管理
10)術後疼痛管理
11)リハビリテーション
13 他科からのコンサルテーションへの対応
1)心臓術後患者の心臓以外の手術について
2)胸骨ワイヤーや人工弁とMRI
3)呼吸器外科へのコンサルト
II 心臓外科各論
1 先天性心疾患
2 大動脈疾患
1)大動脈解離
2)大動脈瘤
3 肺動脈疾患
1)急性肺血栓塞栓症
2)慢性肺血栓塞栓症
4 心臓弁膜症
1)僧帽弁
2)大動脈弁
3)三尖弁
4)肺動脈弁
5 虚血性心疾患
1)冠動脈狭窄
2)急性期の機械的合併症
① 僧帽弁乳頭筋断裂
② 左室自由壁破裂
③ 心室中隔穿孔(VSP,VSD)
3)慢性期の機械的合併症
① 機能性僧帽弁閉鎖不全
② 心室瘤
6 心臓腫瘍,心臓外傷,収縮性心外膜炎,ほか
7 不整脈手術
8 重症心不全
1)補助人工心臓
2)心臓移植
III 呼吸器外科各論
1 肺癌
1)疫学
2)分子生物学
3)組織分類と特徴
4)TNM分類とステージング(病期)
5)術前準備:3DCT,マーキング/マッピング,術中区域間同定法
6)外科治療
① I~II期肺癌
② GGO肺癌
③ N2-IIIA期非小細胞肺癌とその周辺
④ 肺尖部肺癌
⑤ 非小細胞肺癌と拡大手術
⑥ 小細胞肺癌
7)外科治療以外の治療
① 放射線治療
② 化学療法
③ 免疫治療
8)外科からみた集学的治療
2 肺癌以外の肺腫瘍(悪性・良性)
3 転移性肺腫瘍
4 非腫瘍性肺疾患
1)炎症性肺疾患
2)肺動静脈瘻
3)肺分画症
5 肺移植
1)脳死肺移植・生体肺移植
2)移植前レシピエント評価
3)ドナー評価
4)肺移植後周術期の管理
5)肺移植後慢性期の管理
6 重症呼吸不全
1)肺容量減量術(LVRS:lung volume reduction surgery)
2)びまん性肺疾患の肺生検
7 気管・気管支
1)気道内腫瘍
2)気道内異物
3)気道狭窄(良性)
4)気管(支)食道瘻
5)気道内インターベンション・ステント
6)気管・気管支軟化症
8 縦隔腫瘍
1)胸腺腫瘍と重症筋無力症
① 胸腺腫
② 重症筋無力症
2)胸腺切除のアプローチ
3)その他の縦隔腫瘍
9 縦隔炎
10 胸膜の良性疾患
1)原発性自然気胸
2)続発性自然気胸
3)血胸
4)乳び胸
5)胸水
6)悪性胸水・心嚢水
7)膿胸
11 胸膜腫瘍
12 胸壁腫瘍
13 漏斗胸
14 横隔膜
15 先天性呼吸器疾患(先天性嚢胞性肺疾患)
あとがき
索引
1 医師としての心構え/チーム医療,リーダーシップ/医療事故への対応
2 胸部外科疾患にかかわる検査
1)胸部単純X線
① 胸部単純X線の読み方の基本
② 胸部単純X線の応用―肺切除後のX線
2)胸部CT,MRI
3)心電図
4)心エコー
5)心臓カテーテル検査
① 左心カテーテル検査
② スワンガンツカテーテルの読み方
6)呼吸機能検査
7)CTガイド下肺生検
8)核医学検査
① 呼吸器外科
② 心臓外科
9)動脈血液検査
3 胸部外科疾患にかかわる手技
1)胸腔穿刺
2)胸腔ドレナージとドレーン管理の基本
3)心嚢穿刺
4)CVカテーテル挿入
5)バスキュラーカテーテル挿入
6)IABP挿入
7)ECMO挿入(VA,VV)
8)気管切開
9)気管支鏡
10)縦隔鏡
11)胸腔鏡検査
4 胸部外科疾患と救急外来
1)肺塞栓症
2)急性大動脈解離
3)急性冠症候群
4)自然気胸
5)胸部外傷
① 総論
② 気道損傷(気管・気管支損傷)
③ 気胸,血胸,肺挫傷
④ 胸壁損傷,肋骨骨折,胸骨骨折
⑤ 横隔膜損傷,ヘルニア
⑥ 食道損傷
⑦ 心大血管損傷
5 術前評価,他科コンサルト,周術期に中止すべき薬剤
1)呼吸器疾患
2)心疾患
3)腎疾患
4)糖尿病(術前血糖管理)
5)甲状腺機能亢進症,甲状腺機能低下症
6)その他の内分泌疾患
7)抗血小板薬・抗凝固薬の周術期管理
8)免疫抑制中の患者
9)口腔衛生,歯科スクリーニング
10)麻酔科コンサルテーション
6 輸血療法(自己血貯血を含む)
7 インフォームドコンセント
1)インフォームドコンセントの基本
2)心臓外科手術のインフォームドコンセント
① 術前リスク評価と説明
② 合併症の種類と説明
③ 人工弁の種類と説明
3)呼吸器外科手術のインフォームドコンセント
① 術前リスク評価と説明
② 合併症の種類と説明
8 手術室における基本事項
9 胸部外科の手術器具
10 胸部外科の基本手術手技
1)糸結び
2)剥離操作
3)血管吻合
4)気管支縫合・吻合
11 胸部外科の外科的アプローチ
1)開胸術
2)胸腔鏡手術
3)低侵襲手術
① 呼吸器外科
② 心臓外科
4)術中補助循環(人工心肺とECMO)
5)術中分離肺換気
6)vascular access
12 術後管理の基本
1)呼吸管理
① 呼吸器外科
② 心臓外科
2)循環管理
3)術後ECMO管理
4)AKI(急性腎障害)とCHDF
5)術後栄養管理,血糖管理
6)感染予防と治療
7)下肢深部静脈血栓症,肺塞栓症の予防と治療
8)術後の抗凝固・抗血小板療法
9)術後創傷管理
10)術後疼痛管理
11)リハビリテーション
13 他科からのコンサルテーションへの対応
1)心臓術後患者の心臓以外の手術について
2)胸骨ワイヤーや人工弁とMRI
3)呼吸器外科へのコンサルト
II 心臓外科各論
1 先天性心疾患
2 大動脈疾患
1)大動脈解離
2)大動脈瘤
3 肺動脈疾患
1)急性肺血栓塞栓症
2)慢性肺血栓塞栓症
4 心臓弁膜症
1)僧帽弁
2)大動脈弁
3)三尖弁
4)肺動脈弁
5 虚血性心疾患
1)冠動脈狭窄
2)急性期の機械的合併症
① 僧帽弁乳頭筋断裂
② 左室自由壁破裂
③ 心室中隔穿孔(VSP,VSD)
3)慢性期の機械的合併症
① 機能性僧帽弁閉鎖不全
② 心室瘤
6 心臓腫瘍,心臓外傷,収縮性心外膜炎,ほか
7 不整脈手術
8 重症心不全
1)補助人工心臓
2)心臓移植
III 呼吸器外科各論
1 肺癌
1)疫学
2)分子生物学
3)組織分類と特徴
4)TNM分類とステージング(病期)
5)術前準備:3DCT,マーキング/マッピング,術中区域間同定法
6)外科治療
① I~II期肺癌
② GGO肺癌
③ N2-IIIA期非小細胞肺癌とその周辺
④ 肺尖部肺癌
⑤ 非小細胞肺癌と拡大手術
⑥ 小細胞肺癌
7)外科治療以外の治療
① 放射線治療
② 化学療法
③ 免疫治療
8)外科からみた集学的治療
2 肺癌以外の肺腫瘍(悪性・良性)
3 転移性肺腫瘍
4 非腫瘍性肺疾患
1)炎症性肺疾患
2)肺動静脈瘻
3)肺分画症
5 肺移植
1)脳死肺移植・生体肺移植
2)移植前レシピエント評価
3)ドナー評価
4)肺移植後周術期の管理
5)肺移植後慢性期の管理
6 重症呼吸不全
1)肺容量減量術(LVRS:lung volume reduction surgery)
2)びまん性肺疾患の肺生検
7 気管・気管支
1)気道内腫瘍
2)気道内異物
3)気道狭窄(良性)
4)気管(支)食道瘻
5)気道内インターベンション・ステント
6)気管・気管支軟化症
8 縦隔腫瘍
1)胸腺腫瘍と重症筋無力症
① 胸腺腫
② 重症筋無力症
2)胸腺切除のアプローチ
3)その他の縦隔腫瘍
9 縦隔炎
10 胸膜の良性疾患
1)原発性自然気胸
2)続発性自然気胸
3)血胸
4)乳び胸
5)胸水
6)悪性胸水・心嚢水
7)膿胸
11 胸膜腫瘍
12 胸壁腫瘍
13 漏斗胸
14 横隔膜
15 先天性呼吸器疾患(先天性嚢胞性肺疾患)
あとがき
索引