SHDインターベンションコンプリートガイド
SHD診療に必要なあらゆる要素を備えたコンプリートガイド
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大動脈弁狭窄の治療法として確立されたTAVI、新たにスタートを切った僧帽弁閉鎖不全のMitraclip、心室/心房中隔欠損、卵円孔開存に対するAmplatzer閉鎖術、心房細動による脳塞栓症の予防ための左心耳カテーテル閉鎖デバイスWatchmanなど、病態、心エコー、ガイドライン、臨床試験、外科治療、具体的なデバイス留置術について、ハートチームの個々人が必要となる要素を完全に揃えたガイドブック。
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- 序文
- 目次
- 書評
序文
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序(有田武史)/Forward(Horst Sievert)/監修者代表の序(原 英彦)
序
近年,わが国においては構造的心疾患(Structural Heart Disease:SHD)に対するインターベンションが目覚ましい興隆をみせています.その代表格といえる経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は2013年10月にわが国で保険償還されて以降,爆発的に症例数が増加し,欧米ではすでに外科的AVR実施数を凌駕するまでになっています.また2018年4月からは僧帽弁閉鎖不全に対するカテーテル治療(MitraClip®)が保険償還となっており,日本中で日に日に症例数が増えています.
本書は2013年3月に発刊された『SHDインターベンションハンドブック』(医学書院)の改訂版としてスタートを切りましたが,この6年の本領域の進化を反映させほとんどすべての項において新しい記述となったため,結果として書籍タイトルも一新しました.SHDインターベンション領域は,本年も左心耳閉鎖デバイスや卵円孔閉鎖デバイスの承認および保険償還が予定されており,いくつもの新しい治験が予定されるなど,ますます目を離すことができない領域となりつつあります.本書では,それらの新しい領域についても最新の知見をまとめてあります.また,わが国においてはまだ治験すら企画されていないようなものでも,エキスパートの先生方に現時点での動向をまとめていただきました.多くのSHDインターベンションは,既存の外科治療の発展の歴史の延長線上にあります.そのため,すべての項目においてそれぞれの病態の外科治療に関する最新の知見も掲載しました.
本書は,いわば“SHDインターベンション2.0”の段階に入ったわが国において,今後マイルストーンとなる書籍になると思われます.SHDインターベンションに興味のある心臓外科医・インターベンション医・イメージング医,コメディカルのみなさま,いずれの方も本テキストブックに目を通すことで包括的な理解が得られるものと思われます.
最後に,本書の発行に際し,医学書院大野智志氏には多大なご協力をいただきました.また多くの執筆者のみなさまには無理なスケジュールにもかかわらず大変ご尽力頂いたことを心より感謝いたします.
本書がわが国における正しいSHDインターベンション発展の一助となることを祈念いたします.
2019年4月
編者を代表して
有田武史
Forward
This is the 2nd edition of SHD intervention textbook - the only and most comprehensive structural heart disease (SHD) intervention textbook in Japan!
Hope you will learn a lot from this and come over to Frankfurt CSI if you want to see actual variety of live cases. It encompasses percutaneous techniques and technologies most frequently used in SHD interventional cardiology, with a particular focus on achieving best outcomes and minimizing complications. Interventional procedures for aortic stenosis, mitral regurgitation, left atrial appendage closure, patent foramen ovale closure and others are illustrated and presented in a step by step fashion.
I have to admit that I do not speak Japanese! However, I do know that the authors are acknowledged experts with extensive experience in laboratories. Many have studied or worked abroad or joined us at the CSI Frankfurt congress to acquire sufficient knowledge to carry out complex procedures using the latest technologies. Readers of this textbook will get a thorough overview of SHD interventions which in turn will help them improve the lives of their patients. Hope all the readers learned the SHD intervention from this textbook and contribute to their patients. I expect that this textbook will provide a thorough overview of the latest technologies and procedures and that subsequent editions will continue to represent the progress and innovation evident in the field of SHD interventions. I would welcome all readers to join us at the CSI congress to watch these procedures live!
See you in Frankfurt,
Horst Sievert
Director and Founder CVC Frankfurt
March 2019
監修者代表の序
いよいよ待望のストラクチャークラブ・ジャパン(通称ストクラ)プロデュースによるSHDテキストブック第2弾,『SHDインターベンションコンプリートガイド』が出版される.この書籍の出版にこぎつけることができたのも,ご寄稿いただいた“ストクラ”の理事の先生方をはじめとした各分野のエキスパートのおかげである.この場を借りて深謝する.
この“ストクラ”という組織は,現・岩手医科大学教授である森野禎浩先生のお声がけで2011年9月に有志が集い,第1回目の集まりを神戸で行い活動方針を立てたわけであるが,その目標の1つがSHDインターベンションにおける教科書をつくることであった.
2013年には,“ストクラ”オリジナルの教科書第1弾が完成し,当時まだ広まっていなかったSHDインターベンションのバイブルとしてわが国に登場したわけである.さらに,その当時稀有であった海外のSHDインターベンションの教科書であるJ Webb,J Carroll両先生らが編集された原書を『SHDインターベンションコンプリートテキスト』として翻訳し,同年に発行している.
2004年から渡米し,欧米のSHDワールドに魅了され,それに没頭しつづけてきた小生も,“ストクラ”の活動を通して心血管インターベンションにおける第3の柱としてのSHDインターベンションのわが国における地位を確立することに少しでも貢献できたということは大変嬉しい限りである.また,やはりわが国においても日々の日常臨床の中に患者のunmet needsがあり,それに見合う治療が提供できるようになってきた実感も湧いてくる.ASD,TAVIに引き続き,昨年からはMitraClip®もわが国に導入された.今年は左心耳閉鎖,卵円孔閉鎖デバイスも導入される見込みであり,さらにその他のSHD治療の治験も続々と開始予定である.
今後は,この教科書を通じて多くの先生方そしてコメディカルの方々がSHDインターベンションへの知識を共有し,安全に同治療を普及させ,各々の地域の患者,そしてわが国におけるSHDインターベンションの普及に貢献できることを願ってやまない.
2019年4月
特定非営利活動法人ストラクチャークラブ・ジャパン理事長
原 英彦
序
近年,わが国においては構造的心疾患(Structural Heart Disease:SHD)に対するインターベンションが目覚ましい興隆をみせています.その代表格といえる経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は2013年10月にわが国で保険償還されて以降,爆発的に症例数が増加し,欧米ではすでに外科的AVR実施数を凌駕するまでになっています.また2018年4月からは僧帽弁閉鎖不全に対するカテーテル治療(MitraClip®)が保険償還となっており,日本中で日に日に症例数が増えています.
本書は2013年3月に発刊された『SHDインターベンションハンドブック』(医学書院)の改訂版としてスタートを切りましたが,この6年の本領域の進化を反映させほとんどすべての項において新しい記述となったため,結果として書籍タイトルも一新しました.SHDインターベンション領域は,本年も左心耳閉鎖デバイスや卵円孔閉鎖デバイスの承認および保険償還が予定されており,いくつもの新しい治験が予定されるなど,ますます目を離すことができない領域となりつつあります.本書では,それらの新しい領域についても最新の知見をまとめてあります.また,わが国においてはまだ治験すら企画されていないようなものでも,エキスパートの先生方に現時点での動向をまとめていただきました.多くのSHDインターベンションは,既存の外科治療の発展の歴史の延長線上にあります.そのため,すべての項目においてそれぞれの病態の外科治療に関する最新の知見も掲載しました.
本書は,いわば“SHDインターベンション2.0”の段階に入ったわが国において,今後マイルストーンとなる書籍になると思われます.SHDインターベンションに興味のある心臓外科医・インターベンション医・イメージング医,コメディカルのみなさま,いずれの方も本テキストブックに目を通すことで包括的な理解が得られるものと思われます.
最後に,本書の発行に際し,医学書院大野智志氏には多大なご協力をいただきました.また多くの執筆者のみなさまには無理なスケジュールにもかかわらず大変ご尽力頂いたことを心より感謝いたします.
本書がわが国における正しいSHDインターベンション発展の一助となることを祈念いたします.
2019年4月
編者を代表して
有田武史
Forward
This is the 2nd edition of SHD intervention textbook - the only and most comprehensive structural heart disease (SHD) intervention textbook in Japan!
Hope you will learn a lot from this and come over to Frankfurt CSI if you want to see actual variety of live cases. It encompasses percutaneous techniques and technologies most frequently used in SHD interventional cardiology, with a particular focus on achieving best outcomes and minimizing complications. Interventional procedures for aortic stenosis, mitral regurgitation, left atrial appendage closure, patent foramen ovale closure and others are illustrated and presented in a step by step fashion.
I have to admit that I do not speak Japanese! However, I do know that the authors are acknowledged experts with extensive experience in laboratories. Many have studied or worked abroad or joined us at the CSI Frankfurt congress to acquire sufficient knowledge to carry out complex procedures using the latest technologies. Readers of this textbook will get a thorough overview of SHD interventions which in turn will help them improve the lives of their patients. Hope all the readers learned the SHD intervention from this textbook and contribute to their patients. I expect that this textbook will provide a thorough overview of the latest technologies and procedures and that subsequent editions will continue to represent the progress and innovation evident in the field of SHD interventions. I would welcome all readers to join us at the CSI congress to watch these procedures live!
See you in Frankfurt,
Horst Sievert
Director and Founder CVC Frankfurt
March 2019
監修者代表の序
いよいよ待望のストラクチャークラブ・ジャパン(通称ストクラ)プロデュースによるSHDテキストブック第2弾,『SHDインターベンションコンプリートガイド』が出版される.この書籍の出版にこぎつけることができたのも,ご寄稿いただいた“ストクラ”の理事の先生方をはじめとした各分野のエキスパートのおかげである.この場を借りて深謝する.
この“ストクラ”という組織は,現・岩手医科大学教授である森野禎浩先生のお声がけで2011年9月に有志が集い,第1回目の集まりを神戸で行い活動方針を立てたわけであるが,その目標の1つがSHDインターベンションにおける教科書をつくることであった.
2013年には,“ストクラ”オリジナルの教科書第1弾が完成し,当時まだ広まっていなかったSHDインターベンションのバイブルとしてわが国に登場したわけである.さらに,その当時稀有であった海外のSHDインターベンションの教科書であるJ Webb,J Carroll両先生らが編集された原書を『SHDインターベンションコンプリートテキスト』として翻訳し,同年に発行している.
2004年から渡米し,欧米のSHDワールドに魅了され,それに没頭しつづけてきた小生も,“ストクラ”の活動を通して心血管インターベンションにおける第3の柱としてのSHDインターベンションのわが国における地位を確立することに少しでも貢献できたということは大変嬉しい限りである.また,やはりわが国においても日々の日常臨床の中に患者のunmet needsがあり,それに見合う治療が提供できるようになってきた実感も湧いてくる.ASD,TAVIに引き続き,昨年からはMitraClip®もわが国に導入された.今年は左心耳閉鎖,卵円孔閉鎖デバイスも導入される見込みであり,さらにその他のSHD治療の治験も続々と開始予定である.
今後は,この教科書を通じて多くの先生方そしてコメディカルの方々がSHDインターベンションへの知識を共有し,安全に同治療を普及させ,各々の地域の患者,そしてわが国におけるSHDインターベンションの普及に貢献できることを願ってやまない.
2019年4月
特定非営利活動法人ストラクチャークラブ・ジャパン理事長
原 英彦
目次
開く
I 弁膜症
1 大動脈弁狭窄(AS)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 臨床所見
C 重症度評価
D 高度ASの診断
E 高度ASのマネジメント
まとめ
外科治療
A 概説
B 標準的大動脈弁置換術
C 低侵襲大動脈弁置換術
D その他の大動脈弁狭窄に対する外科手術
E これからの外科的大動脈弁狭窄手術
カテーテル治療
A これまでの臨床試験と適応
B わが国におけるエビデンス
C わが国におけるTAVIの適応
D Beyond surgical risk score
E 今後の課題
まとめ
大動脈弁バルーン形成術(特に順行性BAV)
A BAVが奏効する機序
B 順行性BAVの実際
C 順行性BAV─困難症例,合併症に対する対策
TF/Sapien 3手技および合併症とその対策
[手技]
A セットアップ
B Sapien 3弁
C Sapien 3のサイジング
D シース挿入
E 弁のアライメント調整から大動脈弓内のトラッキング
F 弁の通過から留置まで
[合併症とその対策]
A 心臓合併症
B 心臓外合併症
まとめ
TF/Evolut™ R手技および合併症とその対策
[手技]
A 経大腿動脈アプローチの選択
B 経大腿動脈アプローチの標準的手技
C Evolut™ Rのサイズ選択,borderline症例の考え方
[合併症とその対策]
A デリバリー困難時の対処法
B 位置異常の際の対処法
non-TFアプローチ(TA, DA, TS)
[手技]
A 経心尖部アプローチ(TA)
B 直接大動脈アプローチ(DA)
C 経鎖骨下動脈アプローチ(TS)
[合併症とその対策]
A 経心尖部アプローチ(TA)
B 直接大動脈アプローチ(DA)
C 経鎖骨下動脈アプローチ(TS)
New Device ACURATE™ neo,PORTICO™
[ACURATE™ neo SYSTEM]
A 臨床試験
B 手技
[PORTICO™]
A 臨床試験
B 手技
まとめ
New Device Direct Flow Medical, Lotus™ Valve System
A Direct Flow Medical
B Lotus™ Valve System
まとめ
2 僧帽弁狭窄(MS)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 外科的治療の歴史と変遷
B 手術適応と手術時期
C 外科的治療法の種類と選択
D 術式の選択と適応基準
E 機械弁と生体弁の適応
まとめ
カテーテル治療(PTMC)
A MSに対するカテーテル治療と適応
B 治療成績
C Inoue-Balloon™のシステム
D PTMCの実際
E PTMCの合併症とその対策
3 僧帽弁閉鎖不全(MR)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
まとめ
外科治療
A 標準的な手術手技
B 治療成績
C 合併症
MitraClip®
A 主要臨床試験
B 適応
C 手技と合併症
まとめ
New Device Cardioband
A エビデンス
B 手技
C 合併症
まとめ
New Device Mitralign
A エビデンス
B 適応・除外項目
C 手技
D 合併症
まとめ
New Device Tendyne
A エビデンス
B 適応・除外項目
C 手技
D 合併症
まとめ
4 人工弁周囲逆流(PVL)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン─マネジメント
外科治療
A 概説
B 僧帽弁位PVLに対する外科手術
C 大動脈弁位PVLに対する外科手術
D PVLに対する外科手術の成績
E 外科からみたPVLに対する経カテーテル的治療の展望
まとめ
カテーテル治療─Occlutech/AVP
A 臨床試験
B 適応
C 手技
D 合併症とその対策
5 三尖弁閉鎖不全(TR)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な外科手技
まとめ
三尖弁カテーテル治療
A 概説
B MitraClip®
C Trialign™
D Cardioband
E FORMA
F その他のデバイス
まとめ
6 肺動脈弁狭窄・閉鎖不全(PS/PR)
病態生理とマネジメント
[肺動脈弁狭窄(PS)]
A 概要と病態
B 評価方法
C ガイドライン
[肺動脈弁閉鎖不全(PR)]
A 概要と病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な外科手技
B 成績
C 合併症
カテーテル治療
[肺動脈弁狭窄(PS)に対するカテーテル治療]
A 治療適応
B 手技の実際
C 合併症
D 中長期成績
[経カテーテル肺動脈弁置換術(TPV)]
A TPVに使用されるデバイス
B TPVの適応
C 手技の実際(Melody valveの場合)
D TPVの合併症と対策
E 治療成績
F 今後の展望
II 先天性心疾患
1 心室中隔欠損(VSD)
病態生理とマネジメント
A 概要と病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な外科手技
B 合併症
C 手術成績
カテーテル治療
A カテーテル治療に際して留意すべき解剖学的な特徴
B 歴史と臨床成績
C 適応
D 手技
E 合併症とその対策
2 心房中隔欠損(ASD)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な外科手技
B 卵円孔開存に対する外科治療
C 合併症
カテーテル治療(ASO/FFO)
A 臨床試験
B 適応
C 手技
D 合併症とその対策
まとめ
3 動脈管開存(PDA)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な外科手技
B 成績
C 合併症
カテーテル治療(coil/ADOなど)
[臨床試験]
[適応]
[手技]
A コイル塞栓術
B 成人PDA閉鎖術のコツ
C Amplatzer™ Duct Occluder
D Amplatzer™ Duct Occluder II
[合併症とその対策]
A 急性大動脈解離,穿孔出血
B その他の合併症
III その他のカテーテル治療
1 卵円孔開存(PFO)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
カテーテル治療
A 臨床試験
B 適応
C 手技
D 合併症とその対策
2 心室中隔穿孔(VSP)
病態生理とマネジメント
A 病態生理
B 評価方法
C 経カテーテル治療を考慮したVSPの経胸壁心エコー
外科治療
A 標準的な外科手技
B 成績
C 合併症
カテーテル治療
A 臨床試験
B 適応
C 介入時期
D 閉鎖栓デバイス
E 術前評価
F 手技
G 症例集
H 合併症とその対策
3 左心耳(LAA)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な手術手技
B 治療成績
C 合併症
カテーテル治療(WATCHMANTM)
A デバイスの概要
B 臨床試験
C 適応
D 手技
E 術後管理
F 合併症とその対策─手技関連合併症,周術期合併症
まとめ
New Device Amulet™, WaveCrest®, LAmbre™, Lariat®
[Amplatzer™ Amulet™]
A エビデンス
B 手技
C 合併症
[WaveCrest®]
A エビデンス
B 手技
C 合併症
[LAmbre™]
A エビデンス
B 手技
C 合併症
[Lariat®]
A エビデンス
B 手技
C 合併症
4 心不全
心房中隔ステント
A エビデンス
B 現在臨床応用が開始されているデバイス
まとめ
体内電気生理デバイス(CCM,神経節刺激)
[CCM]
A エビデンス
B 手技
C 合併症
D 今後の展開
[神経節刺激]
A エビデンス
B デバイスの概説
索引
1 大動脈弁狭窄(AS)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 臨床所見
C 重症度評価
D 高度ASの診断
E 高度ASのマネジメント
まとめ
外科治療
A 概説
B 標準的大動脈弁置換術
C 低侵襲大動脈弁置換術
D その他の大動脈弁狭窄に対する外科手術
E これからの外科的大動脈弁狭窄手術
カテーテル治療
A これまでの臨床試験と適応
B わが国におけるエビデンス
C わが国におけるTAVIの適応
D Beyond surgical risk score
E 今後の課題
まとめ
大動脈弁バルーン形成術(特に順行性BAV)
A BAVが奏効する機序
B 順行性BAVの実際
C 順行性BAV─困難症例,合併症に対する対策
TF/Sapien 3手技および合併症とその対策
[手技]
A セットアップ
B Sapien 3弁
C Sapien 3のサイジング
D シース挿入
E 弁のアライメント調整から大動脈弓内のトラッキング
F 弁の通過から留置まで
[合併症とその対策]
A 心臓合併症
B 心臓外合併症
まとめ
TF/Evolut™ R手技および合併症とその対策
[手技]
A 経大腿動脈アプローチの選択
B 経大腿動脈アプローチの標準的手技
C Evolut™ Rのサイズ選択,borderline症例の考え方
[合併症とその対策]
A デリバリー困難時の対処法
B 位置異常の際の対処法
non-TFアプローチ(TA, DA, TS)
[手技]
A 経心尖部アプローチ(TA)
B 直接大動脈アプローチ(DA)
C 経鎖骨下動脈アプローチ(TS)
[合併症とその対策]
A 経心尖部アプローチ(TA)
B 直接大動脈アプローチ(DA)
C 経鎖骨下動脈アプローチ(TS)
New Device ACURATE™ neo,PORTICO™
[ACURATE™ neo SYSTEM]
A 臨床試験
B 手技
[PORTICO™]
A 臨床試験
B 手技
まとめ
New Device Direct Flow Medical, Lotus™ Valve System
A Direct Flow Medical
B Lotus™ Valve System
まとめ
2 僧帽弁狭窄(MS)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 外科的治療の歴史と変遷
B 手術適応と手術時期
C 外科的治療法の種類と選択
D 術式の選択と適応基準
E 機械弁と生体弁の適応
まとめ
カテーテル治療(PTMC)
A MSに対するカテーテル治療と適応
B 治療成績
C Inoue-Balloon™のシステム
D PTMCの実際
E PTMCの合併症とその対策
3 僧帽弁閉鎖不全(MR)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
まとめ
外科治療
A 標準的な手術手技
B 治療成績
C 合併症
MitraClip®
A 主要臨床試験
B 適応
C 手技と合併症
まとめ
New Device Cardioband
A エビデンス
B 手技
C 合併症
まとめ
New Device Mitralign
A エビデンス
B 適応・除外項目
C 手技
D 合併症
まとめ
New Device Tendyne
A エビデンス
B 適応・除外項目
C 手技
D 合併症
まとめ
4 人工弁周囲逆流(PVL)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン─マネジメント
外科治療
A 概説
B 僧帽弁位PVLに対する外科手術
C 大動脈弁位PVLに対する外科手術
D PVLに対する外科手術の成績
E 外科からみたPVLに対する経カテーテル的治療の展望
まとめ
カテーテル治療─Occlutech/AVP
A 臨床試験
B 適応
C 手技
D 合併症とその対策
5 三尖弁閉鎖不全(TR)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な外科手技
まとめ
三尖弁カテーテル治療
A 概説
B MitraClip®
C Trialign™
D Cardioband
E FORMA
F その他のデバイス
まとめ
6 肺動脈弁狭窄・閉鎖不全(PS/PR)
病態生理とマネジメント
[肺動脈弁狭窄(PS)]
A 概要と病態
B 評価方法
C ガイドライン
[肺動脈弁閉鎖不全(PR)]
A 概要と病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な外科手技
B 成績
C 合併症
カテーテル治療
[肺動脈弁狭窄(PS)に対するカテーテル治療]
A 治療適応
B 手技の実際
C 合併症
D 中長期成績
[経カテーテル肺動脈弁置換術(TPV)]
A TPVに使用されるデバイス
B TPVの適応
C 手技の実際(Melody valveの場合)
D TPVの合併症と対策
E 治療成績
F 今後の展望
II 先天性心疾患
1 心室中隔欠損(VSD)
病態生理とマネジメント
A 概要と病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な外科手技
B 合併症
C 手術成績
カテーテル治療
A カテーテル治療に際して留意すべき解剖学的な特徴
B 歴史と臨床成績
C 適応
D 手技
E 合併症とその対策
2 心房中隔欠損(ASD)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な外科手技
B 卵円孔開存に対する外科治療
C 合併症
カテーテル治療(ASO/FFO)
A 臨床試験
B 適応
C 手技
D 合併症とその対策
まとめ
3 動脈管開存(PDA)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な外科手技
B 成績
C 合併症
カテーテル治療(coil/ADOなど)
[臨床試験]
[適応]
[手技]
A コイル塞栓術
B 成人PDA閉鎖術のコツ
C Amplatzer™ Duct Occluder
D Amplatzer™ Duct Occluder II
[合併症とその対策]
A 急性大動脈解離,穿孔出血
B その他の合併症
III その他のカテーテル治療
1 卵円孔開存(PFO)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
カテーテル治療
A 臨床試験
B 適応
C 手技
D 合併症とその対策
2 心室中隔穿孔(VSP)
病態生理とマネジメント
A 病態生理
B 評価方法
C 経カテーテル治療を考慮したVSPの経胸壁心エコー
外科治療
A 標準的な外科手技
B 成績
C 合併症
カテーテル治療
A 臨床試験
B 適応
C 介入時期
D 閉鎖栓デバイス
E 術前評価
F 手技
G 症例集
H 合併症とその対策
3 左心耳(LAA)
病態生理とマネジメント
A 病因・病態
B 評価方法
C ガイドライン
外科治療
A 標準的な手術手技
B 治療成績
C 合併症
カテーテル治療(WATCHMANTM)
A デバイスの概要
B 臨床試験
C 適応
D 手技
E 術後管理
F 合併症とその対策─手技関連合併症,周術期合併症
まとめ
New Device Amulet™, WaveCrest®, LAmbre™, Lariat®
[Amplatzer™ Amulet™]
A エビデンス
B 手技
C 合併症
[WaveCrest®]
A エビデンス
B 手技
C 合併症
[LAmbre™]
A エビデンス
B 手技
C 合併症
[Lariat®]
A エビデンス
B 手技
C 合併症
4 心不全
心房中隔ステント
A エビデンス
B 現在臨床応用が開始されているデバイス
まとめ
体内電気生理デバイス(CCM,神経節刺激)
[CCM]
A エビデンス
B 手技
C 合併症
D 今後の展開
[神経節刺激]
A エビデンス
B デバイスの概説
索引
書評
開く
一読すれば治療の概要が理解できるコンプリートガイド
書評者: 新浪 博士 (東女医大教授・心臓血管外科)
2013年に経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI),そして2018年に経皮的僧帽弁形成術(MitraClip®)が保険償還されるようになり,今や構造的心疾患に対するカテーテル治療“structural heart disease(SHD)インターベンション”は多くの患者さんに対する有効で画期的な治療法であることが認知された。特にTAVIに関しては,その良好な成績から外科的手術中等度リスク症例や二尖弁症例にも徐々に適応が拡大され,もはや日常診療の一部として取り込まれつつある。また,経カテーテル僧帽弁置換術・肺動脈弁置換術や三尖弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療なども海外ではすでに進んでおり,今後さらに発展していく分野と考えられる。
この分野の治療法の最も大きな特徴は,治療がインターベンション医のみでは完結せず,心臓血管外科医,循環器内科医,麻酔科医,放射線科医,臨床工学士,看護師,放射線技師などのスペシャリストから成る,いわゆる「ハートチーム」の形成が大変重要であるということである。本書はSHDインターベンションの全てを網羅しているだけでなく,ハートチームのどの職種にも読みやすく,一読すれば治療の概要が理解できる構成になっている。
その特徴として,構造的心疾患のそれぞれの病態生理・解剖がまず説明されており,それに引き続いて診断,最新のガイドラインによる重症度評価・治療適応が述べられ,最後に一般的な外科的治療,最新のカテーテルインターベンション治療がその成績と共に詳しく解説されている。カテーテルインターベンションの手技の解説だけではないので,循環器内科医や心臓血管外科医が日常の診療のハンドブックとして,あるいは普段循環器疾患に携わっていない他職種が疾患の病態生理から治療の完結まで理解するための,その名のとおりコンプリードガイドとして有用であることは疑いの余地はない。
さらに近い将来本邦に導入されるであろう新しいデバイス,新しいカテーテルインターベンション治療が,最新のトライアルの状況とその成績と共に数多く紹介されている。今後SHDインターベンション治療を志す若手心臓血管外科医,循環器内科医をはじめとするハートチームには非常に魅力的で,無限の可能性を秘めた分野に携わっているという自覚を高められる唯一無二の書籍と考えられる。
SHDインターベンション治療は急速に発展している分野である。今後患者さんに最善の医療を提供していくためには,欠かせない治療,あるいは治療の中心になりつつある。本書を手にしたSHDインターベンション治療に携わる全ての職種が,必ずやハートチームとして患者さんの安全・利益のために最善の治療を提供していると自覚し,さらなる知識・経験の取得の一助になると確信している。
新しい技術を安全に広く日本全国の臨床に届けるために
書評者: 伊苅 裕二 (東海大教授・循環器内科学/日本心血管インターベンション治療学会理事長)
構造的心疾患(Structural Heart Disease:SHD)に対するカテーテル治療の必要性は,飛躍的に広まっています。
カテーテル治療は1970年代に冠動脈形成術が開始され,現在の第2世代薬剤溶出性ステントを用いた冠動脈インターベンション(PCI)において,冠動脈バイパス術と並ぶ標準的治療法となりました。冠動脈領域のみならず,末梢血管領域,SHD領域にも,手術と並ぶカテーテル治療が出現し,一部とってかわる時代になりつつあるのは,低侵襲を望む患者さんの希望の現れでもあります。現在では,冠動脈領域,末梢血管領域,SHD領域はカテーテル治療の3本柱となり,広く行われる体制と変わってきています。
その中においても,SHD領域は,井上寛治先生によるInoueバルーンが僧帽弁狭窄症に有効であることが示され,世界中に広く施行されることになったことから始まり,大動脈弁狭窄に対するTAVIにより日本では決定的に広まることとなりました。TAVIを契機とし,ハートチームの各施設での見直し,ハイブリッド手術室の整備など劇的に変貌を遂げた領域であると思われます。そして,僧帽弁のクリップ,また先天性心疾患の短絡閉鎖,左心耳閉鎖など,今も適応領域が広がっています。この進展スピードは目を見張るものがあります。
新しい技術の発展を安全に広く臨床サービスとして日本全国に届けるには,日本語のテキストが重要です。今回,ここに『SHDインターベンションコンプリートガイド』が発行されることになりました。最初の試みは2013年であり6年が経過しましたが,この間に新たに適応となった手技,新たなエビデンス,数え切れないほどの新しい情報がある時代です。これを的確にコンパクトにまとめあげ,SHDインターベンションの術者には有益な情報がある優れた日本語のテキストであると思われます。これを基に,新しい技術であるSHDインターベンションが安全に日本で広まっていくことは日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)としても望ましい方向性であります。
インターベンション治療は外科手術と比べて低侵襲であることが優れています。長期成績を含めてまだまだ明らかにしていかなければいけない点も多数ありますが,本テキストによる手技の標準化が安定した成績につながることを期待します。
質の高いSHDインターベンション治療を志す医師に読んでほしい
書評者: 中谷 敏 (大阪大学大学院保健学専攻機能診断科学講座教授)
ストラクチャークラブ・ジャパン(以下,ストクラ)は構造的心疾患(structural heart disease:SHD)のインターベンション治療をもっと知りたい,究めたいという医師,有志が集まって自然発生的にできた研究会である。学会ではない。にもかかわらず総会,支部会,ライブデモと大変活発に活動しておられる。ここに,お仕着せでない,いわば草の根的活動の熱情を感じる。ストクラが日本のSHD診療レベルの向上に多大な寄与をしていることは間違いない。そんなストクラが教育活動の一環として『SHDインターベンションコンプリートガイド』を上梓された。これは6年前に出版され,評者も大いに勉強させていただいた『 SHDインターベンションハンドブック』の後継書である。前著と比べてページ数は約2倍に,執筆者数は19名から42名に増加し,記載領域も弁膜症や先天性心疾患だけでなく人工弁周囲逆流や心不全加療のためのデバイスまでカバーされている。すなわち日本で現在,保険診療下で行われているものだけでなく,今後日本に入ってくるであろうと思われる治療法まで網羅されているのである。まさにコンプリートガイドの名にふさわしい。
各論を見てみよう。各疾患ごとに“病態生理とマネジメント”,“外科治療”,“カテーテル治療”が記載されている。前著がカテーテル治療の記載に終始していたことから考えると,よりバランスの取れた治療戦略がイメージでき,実臨床に即した内容になっているといえよう。ガイドラインやエビデンスもしっかり書き込まれており勉強になる。テクニカルな面は大変詳細に記述されており,特にTAVIやMitraClip®,ASD閉鎖術など現在各施設で行われている治療については,微に入り細をうがった記載で,かつ執筆者自身が自ら学んでこられたtips and tricksを惜しげもなく披露していただいている。それに対して,cardiobandや三尖弁閉鎖不全に対するカテーテル治療など,本邦に導入されていないデバイスの記載は見劣りするが,これは致し方ないことであろう。最終章は心不全であり,ここでは高い左房圧を右房に逃がす心房中隔ステント,収縮性を改善させることで注目されているCCM(cardiac contractility modulation),神経節刺激デバイスが取り上げられている。まだまだこれからの治療法と思われるが,こういうことにも踏み込んだ執筆者たちの攻めの姿勢を評価したい。
近々のうちにWATCHMANTMが入ってくる。人工弁周囲逆流や三尖弁閉鎖不全に対するカテーテル治療の導入も目前である。今こそ,質の高いSHDインターベンション治療を志すカテーテルインターベンション医,心臓外科医,心エコー医にぜひ本書を読んでいただきたい。またハートチームのスタッフ間でも共有いただければ,診断と治療に対する理解が深まり,よりよい成績へとつながるであろう。
書評者: 新浪 博士 (東女医大教授・心臓血管外科)
2013年に経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI),そして2018年に経皮的僧帽弁形成術(MitraClip®)が保険償還されるようになり,今や構造的心疾患に対するカテーテル治療“structural heart disease(SHD)インターベンション”は多くの患者さんに対する有効で画期的な治療法であることが認知された。特にTAVIに関しては,その良好な成績から外科的手術中等度リスク症例や二尖弁症例にも徐々に適応が拡大され,もはや日常診療の一部として取り込まれつつある。また,経カテーテル僧帽弁置換術・肺動脈弁置換術や三尖弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療なども海外ではすでに進んでおり,今後さらに発展していく分野と考えられる。
この分野の治療法の最も大きな特徴は,治療がインターベンション医のみでは完結せず,心臓血管外科医,循環器内科医,麻酔科医,放射線科医,臨床工学士,看護師,放射線技師などのスペシャリストから成る,いわゆる「ハートチーム」の形成が大変重要であるということである。本書はSHDインターベンションの全てを網羅しているだけでなく,ハートチームのどの職種にも読みやすく,一読すれば治療の概要が理解できる構成になっている。
その特徴として,構造的心疾患のそれぞれの病態生理・解剖がまず説明されており,それに引き続いて診断,最新のガイドラインによる重症度評価・治療適応が述べられ,最後に一般的な外科的治療,最新のカテーテルインターベンション治療がその成績と共に詳しく解説されている。カテーテルインターベンションの手技の解説だけではないので,循環器内科医や心臓血管外科医が日常の診療のハンドブックとして,あるいは普段循環器疾患に携わっていない他職種が疾患の病態生理から治療の完結まで理解するための,その名のとおりコンプリードガイドとして有用であることは疑いの余地はない。
さらに近い将来本邦に導入されるであろう新しいデバイス,新しいカテーテルインターベンション治療が,最新のトライアルの状況とその成績と共に数多く紹介されている。今後SHDインターベンション治療を志す若手心臓血管外科医,循環器内科医をはじめとするハートチームには非常に魅力的で,無限の可能性を秘めた分野に携わっているという自覚を高められる唯一無二の書籍と考えられる。
SHDインターベンション治療は急速に発展している分野である。今後患者さんに最善の医療を提供していくためには,欠かせない治療,あるいは治療の中心になりつつある。本書を手にしたSHDインターベンション治療に携わる全ての職種が,必ずやハートチームとして患者さんの安全・利益のために最善の治療を提供していると自覚し,さらなる知識・経験の取得の一助になると確信している。
新しい技術を安全に広く日本全国の臨床に届けるために
書評者: 伊苅 裕二 (東海大教授・循環器内科学/日本心血管インターベンション治療学会理事長)
構造的心疾患(Structural Heart Disease:SHD)に対するカテーテル治療の必要性は,飛躍的に広まっています。
カテーテル治療は1970年代に冠動脈形成術が開始され,現在の第2世代薬剤溶出性ステントを用いた冠動脈インターベンション(PCI)において,冠動脈バイパス術と並ぶ標準的治療法となりました。冠動脈領域のみならず,末梢血管領域,SHD領域にも,手術と並ぶカテーテル治療が出現し,一部とってかわる時代になりつつあるのは,低侵襲を望む患者さんの希望の現れでもあります。現在では,冠動脈領域,末梢血管領域,SHD領域はカテーテル治療の3本柱となり,広く行われる体制と変わってきています。
その中においても,SHD領域は,井上寛治先生によるInoueバルーンが僧帽弁狭窄症に有効であることが示され,世界中に広く施行されることになったことから始まり,大動脈弁狭窄に対するTAVIにより日本では決定的に広まることとなりました。TAVIを契機とし,ハートチームの各施設での見直し,ハイブリッド手術室の整備など劇的に変貌を遂げた領域であると思われます。そして,僧帽弁のクリップ,また先天性心疾患の短絡閉鎖,左心耳閉鎖など,今も適応領域が広がっています。この進展スピードは目を見張るものがあります。
新しい技術の発展を安全に広く臨床サービスとして日本全国に届けるには,日本語のテキストが重要です。今回,ここに『SHDインターベンションコンプリートガイド』が発行されることになりました。最初の試みは2013年であり6年が経過しましたが,この間に新たに適応となった手技,新たなエビデンス,数え切れないほどの新しい情報がある時代です。これを的確にコンパクトにまとめあげ,SHDインターベンションの術者には有益な情報がある優れた日本語のテキストであると思われます。これを基に,新しい技術であるSHDインターベンションが安全に日本で広まっていくことは日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)としても望ましい方向性であります。
インターベンション治療は外科手術と比べて低侵襲であることが優れています。長期成績を含めてまだまだ明らかにしていかなければいけない点も多数ありますが,本テキストによる手技の標準化が安定した成績につながることを期待します。
質の高いSHDインターベンション治療を志す医師に読んでほしい
書評者: 中谷 敏 (大阪大学大学院保健学専攻機能診断科学講座教授)
ストラクチャークラブ・ジャパン(以下,ストクラ)は構造的心疾患(structural heart disease:SHD)のインターベンション治療をもっと知りたい,究めたいという医師,有志が集まって自然発生的にできた研究会である。学会ではない。にもかかわらず総会,支部会,ライブデモと大変活発に活動しておられる。ここに,お仕着せでない,いわば草の根的活動の熱情を感じる。ストクラが日本のSHD診療レベルの向上に多大な寄与をしていることは間違いない。そんなストクラが教育活動の一環として『SHDインターベンションコンプリートガイド』を上梓された。これは6年前に出版され,評者も大いに勉強させていただいた『 SHDインターベンションハンドブック』の後継書である。前著と比べてページ数は約2倍に,執筆者数は19名から42名に増加し,記載領域も弁膜症や先天性心疾患だけでなく人工弁周囲逆流や心不全加療のためのデバイスまでカバーされている。すなわち日本で現在,保険診療下で行われているものだけでなく,今後日本に入ってくるであろうと思われる治療法まで網羅されているのである。まさにコンプリートガイドの名にふさわしい。
各論を見てみよう。各疾患ごとに“病態生理とマネジメント”,“外科治療”,“カテーテル治療”が記載されている。前著がカテーテル治療の記載に終始していたことから考えると,よりバランスの取れた治療戦略がイメージでき,実臨床に即した内容になっているといえよう。ガイドラインやエビデンスもしっかり書き込まれており勉強になる。テクニカルな面は大変詳細に記述されており,特にTAVIやMitraClip®,ASD閉鎖術など現在各施設で行われている治療については,微に入り細をうがった記載で,かつ執筆者自身が自ら学んでこられたtips and tricksを惜しげもなく披露していただいている。それに対して,cardiobandや三尖弁閉鎖不全に対するカテーテル治療など,本邦に導入されていないデバイスの記載は見劣りするが,これは致し方ないことであろう。最終章は心不全であり,ここでは高い左房圧を右房に逃がす心房中隔ステント,収縮性を改善させることで注目されているCCM(cardiac contractility modulation),神経節刺激デバイスが取り上げられている。まだまだこれからの治療法と思われるが,こういうことにも踏み込んだ執筆者たちの攻めの姿勢を評価したい。
近々のうちにWATCHMANTMが入ってくる。人工弁周囲逆流や三尖弁閉鎖不全に対するカテーテル治療の導入も目前である。今こそ,質の高いSHDインターベンション治療を志すカテーテルインターベンション医,心臓外科医,心エコー医にぜひ本書を読んでいただきたい。またハートチームのスタッフ間でも共有いただければ,診断と治療に対する理解が深まり,よりよい成績へとつながるであろう。
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