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PT・OT・STのための 後輩ができたら読む本
優しくしても厳しくしてもうまくいかないときに

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24の“あるある”ケースを通して、後輩とのちょうどよい距離感や関わり方が学べる一冊です。大切なのは、後輩を育てることだけでなく、先輩自身もともに育っていくこと。教育学の知見にもとづき、「やる気」「性格」「相性」といった壁にとらわれない指導のヒントを、現場の実践につながる形でやさしく紹介します。

著 丸山 祥 / 廣瀬 卓哉
発行 2026年08月判型:B5頁:184
ISBN 978-4-260-06656-3
定価 3,850円 (本体3,500円+税)

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序章 本書のコンセプトと使い方
 1 いきなり後輩指導と言われても……
 2 後輩に接するときの基本姿勢
 3 本書の構成とガイド──ケースと解説により「学びの循環」を促す

登場人物

第1章 学ぶ土台を整える──基本的なスキル編
 Case 1 勤務表の相談ができない──あとから休みの希望を出してくるのはなぜ?
 Case 2 検査の用意ができない──あれだけ準備しておいてと言ったのに……
 Case 3 提出の締め切りを守れない──どうやったら守ってくれるだろう?

第2章 学ぶ土台を整える──コミュニケーションや態度編
 Case 4 淡々とこなす訓練──後輩のやる気が出ない……。どう火をつける?
 Case 5 ぎこちない情報収集──予定調和の壁? 患者さんとの会話が深まらない
 Case 6 患者さんの依頼を断れない──真面目すぎて抱え込みすぎてしまう

第3章 教えるための準備を整える──環境・制度編
 Case 7 プライベートと仕事の両立が難しい──とにかく時間がない……。どう教える?
 Case 8 後輩を代わりに受け持つ──1人で2人も担当するの……?
 Case 9 はじめて実習を受け入れる──教える制度がない……。どう教える?

第4章 教えるための準備を整える──役割・関係編
 Case 10 指導の責任が重いと感じる──「うまく育てなきゃ」と自分を追い込む
 Case 11 後輩と相性が合わない──いい関係が築けない……。なぜ?
 Case 12 「教える喜び」を感じる──自分が達成するよりも数倍嬉しいのはなぜ?

第5章 効果的な指導を行う──後輩を理解する編
 Case 13 ベッドサイドでのリスク管理が不十分──危ないって気づいていない?
 Case 14 検査結果について答えられない──何がわからないのかが,わからない?
 Case 15 間接業務をたくさん抱えてしまう──頑張りすぎて動けなくなっている?

第6章 効果的な指導を行う──教え方の工夫編
 Case 16 自主トレの内容が不足している──ちゃんと説明したのに伝わっていない?
 Case 17 手技のやり方が心配──何度教えてもすぐに忘れてしまう
 Case 18 「運転できますか?」に戸惑う──聞かれても答えられない……。どうしよう?

第7章 学びの課題と成果を共有する
 Case 19 評価技術を確認する──ちゃんと成長できているのかな?
 Case 20 検査の解釈を確認する──知識は増えた? 実際に使えている?
 Case 21 転職の相談を受ける──最近仕事のこと,どう思っているのかな?

第8章 学びの目標を明確にする
 Case 22 目標設定にはじめて取り組む──一緒に立てたはずなのに共有できていない?
 Case 23 目標が控えめすぎると感じる──どうすれば安心して挑戦できそう?
 Case 24 目標が高すぎると感じる──本当に達成できそう?

もっと深く知りたい人に向けて
 1 後輩を育てる意味とは
 2 後輩指導が不安・苦手だと思うのはなぜか
 3 臨床現場での学び方,教え方とは
 4 ケースから学びを深めるために
 5 認知領域の理解
 6 精神運動領域の理解
 7 情意領域の理解

あとがき
索引

マルヤマ・ヒロセのこぼれ話
 休みはどのように取り合うとよいでしょうか?
 生成AIの使用について
 仕事への動機が弱い場合はどうしたらいいですか?
 研修は業務時間内? それとも時間外?
 出張に行く人をどうやって決めればよいでしょうか?
 指導者も「わからない」と言っていい?
 そうは言っても「ムッとする」こともありますよね……
 後輩が他職種の先輩から厳しく叱責されたときはどうしますか?
 ものすごくやる気のある後輩への対応はどうしていますか?
 後輩はこんなに素直に先輩の言うことを聞いてくれるものでしょうか?
 勉強会を行うときのコツってありますか?
 留学生の実習や高校生の見学の受け入れをしているのはなぜですか?
 キャリアの相談に答えるのはなかなか難しいです
 職種によって教育方法の違いってあるのでしょうか?
 後輩指導の経験を他者と共有するにはどうしたらいいですか?

開く

「教える立場」になったとき,立ち戻れる一冊
書評者:鵜澤 吉宏(医療法人鉄蕉会亀田総合病院リハビリテーション事業管理部)

 リハビリテーション専門職にとって,後輩への助言や指導は「いつの間にか始まっている」というのが実際ではないだろうか。新入職として職場に入り,早ければ1年後,あるいは数年もすれば後輩が入職し,先輩としての役割を担う方もいるだろう。さらに経験を重ねれば臨床実習を担当するなど,自分自身がセラピストとして十分に成長したと感じるよりも先に,「指導する」という役割がやってくる。

 本書の前半では,後輩指導における具体的なケースが数多く提示されている。どの施設でも起こり得る状況であり,類似した経験を持つ読者も多いだろう。丸山祥先生,廣瀬卓哉先生がこれまで経験されてきた数多くのケースを基に,さまざまな場面が分類・整理されており,「こういうことで悩むのは自分だけではない」と感じられる内容である。後輩指導には必ずしも一つの正解があるわけではない。その中で,本書にはさまざまな経験に基づいた対応の考え方や具体例が示されている。実際に後輩を指導している人にとってはもちろん,指導者から相談を受ける管理者や先輩にとっても,「なるほど,そのように考えればよいのか」と多くのヒントを得られるのではないだろうか。

 後半の「もっと深く知りたい人に向けて」では,こうした対応の背景となる指導の理論や考え方が解説されている。日ごろ,「このように対応したほうがよい」と経験的に感じていても,「なぜそうするのか」を言語化し,他者に説明することは意外に難しい。後半を読むことで,前半の具体的な対応と理論が結び付き,自分の指導を振り返ることにもつながる。この点では,若手だけでなく,教育担当者や管理者など経験を重ねたセラピストにも参考になる部分が多い。

 また,本書では具体的な指導方法だけでなく,「後輩に対する基本姿勢」や「後輩を育てる意味」にも触れられている。患者・利用者へのかかわりについて多くを学んできたセラピストが,あらためて「人を育てること」の原点や意義を考える機会になる。忙しい臨床の中で後輩を指導する際にも,その意味を理解していることが,指導の軸を持つことにつながるのではないだろうか。

 私自身もこれまで後輩指導を経験してきたが,振り返れば,知識や技術を伝えることに意識が向きがちであった。本書を読んだことで,「指導は誰のために行うのか」「その目的を,指導を受ける側とする側の双方が理解しているのか」など,自分自身の指導についてあらためて考えを整理するきっかけを得た。

 これから後輩指導を始める卒後3~4年目の方から,すでに指導を担っている中堅,教育担当者や管理者まで,幅広い世代に一読していただきたい一冊である。後輩とのかかわりに迷ったとき,「どうすればよいか」だけでなく,「なぜそうするのか」を考えるための手がかりを与えてくれる本だと感じた。