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国循・天理よろづ印 症例とエコー×イラストで学ぶ成人先天性心疾患[Web動画付]

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「国循・天理よろづ印 心エコー読影ドリル」姉妹版! 心房中隔欠損症、肺動脈弁狭窄症、房室中隔欠損症、動脈管開存症、右室二腔症、ファロー四徴症、Ebstein病、アイゼンメンジャー症候群、Ross手術後、修正大血管転位、両大血管右室起始、右室肺動脈間導管作成術後、単心室症・フォンタン術後……今回は50万人とも推計されるACHDを解説。症例ベースだから、個別性が高いACHDの実臨床が「みえる」!

編集 泉 知里
発行 2025年10月判型:B5頁:152
ISBN 978-4-260-06220-6
定価 7,920円 (本体7,200円+税)

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はじめに

 循環器の領域で,今,最も注目を集めている領域が「成人先天性心疾患」ではないでしょうか.
 診断や治療が向上するに伴い,先天性心疾患の患者さんが成人となることが可能になり,「先天性心疾患は小児科医が診る病気」という考えはもう成り立たなくなっています.
 小児科医から内科医への診療の移行が必要であることは皆が認めるところですが,やはり多くの循環器医やソノグラファーは,成人先天性心疾患に対して苦手意識を持っているのではないでしょうか?
 その理由はいくつか考えられます.血行動態が通常と異なること,通常と異なる解剖を理解しないといけないこと,欠損孔の位置や合併奇形の成り立ちなどを考えるときに発生を理解していないとわからない部分があること,人名の付いた手術が多くあること,術後の症例では心エコーで描出しにくい場合が多いこと,弁膜症や虚血性心疾患に比べるとやはり頻度は低いこと……などなど.
 先天性心疾患を学びたいと思っても,専門的な教科書を開けると,まず発生の説明から始まり……そこでギブアップしてしまう内科医も多いのではないかと思います.
 教科書で知識を深めることは重要なことですが,それよりまず,先天性心疾患の世界に1歩足を踏み入れることが重要です.本書はその目的のために考案しました.
 1例1例心エコーを見て上級医あるいはエキスパートソノグラファーと議論しながら,どこがポイントかを知り,考えながら答えを導き出す,そういった1歩の踏み出し方もあるのではないかと思います.まずは,よく見る,皆が知っておくべき先天性心疾患から始め,少し慣れてきたらちょっと複雑な症例にもトライする,そういった構成にしてみました.また,先天性心疾患に熱い思いをお持ちの先生方にコラムをお願いしました.合わせて楽しんでいただければと思います.
 先天性心疾患はちょっと……という方もぜひ手に取って,気軽に読んでいただければ嬉しいです.

 2025年8月
 藤川球児監督の胴上げを心待ちにしながら
 泉 知里

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1章 これだけは知っておきたい成人先天性心疾患の知識

2章 症例とエコー×イラストで学ぶ成人先天性心疾患
 基礎編1
  Case1 心房中隔欠損症(二次孔欠損型)
  Case2 心房中隔欠損症+肺動脈弁狭窄症
  Case3 心室中隔欠損症(膜様部欠損)
  Case4 心室中隔欠損症(漏斗部欠損)
  Case5 房室中隔欠損症
  Case6 動脈管開存症
  Case7 右室二腔症
  Case8 ファロー四徴症
  Case9 Ebstein病
  Case10 アイゼンメンジャー症候群
 基礎編2(術後症例)
  Case11 心房中隔欠損症術後僧帽弁逆流
  Case12 心室中隔欠損症術後大動脈弁逆流
  Case13 ファロー四徴症術後肺動脈弁閉鎖不全症
  Case14 Ross手術後
 応用編
  Case15 修正大血管転位
  Case16 両大血管右室起始(肺動脈弁下型),大動脈縮窄術後
  Case17 右室肺動脈間導管作成術(Rastelli手術)後
  Case18 単心室症・フォンタン術後

 column ACHD診療に思うこと
 column 自筆心臓模式図のすすめ
 column ACHD診療と私

 索引

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国循×天理×ACHD,納得の一冊として推薦します!
書評者:中川 義久(滋賀医大教授・循環器内科)

 『国循・天理よろづ印』の名を冠したシリーズ第2弾,『症例とエコー×イラストで学ぶ 成人先天性心疾患』は,初作『心エコー読影ドリル』をさらに発展・深化させた一冊です。「国立循環器病研究センター」と「天理よろづ相談所病院」という,わが国を代表する二つの施設の叡智が融合し,相乗効果によって誕生した書籍といえます。

 国立循環器病研究センター(国循)は,日本で2番目のナショナルセンターとして1977年に設立され,先天性心疾患を含む循環器疾患の克服に取り組んできました。一方の天理よろづ相談所病院(天理)は,1966年に奈良県で開院し,翌年には年間100例を超える体外循環手術を達成。黎明期には心房中隔欠損症や心室中隔欠損症が多く,後にファロー四徴症,大血管転位,総動脈幹,単心室などの複雑症例も増加しました。小児循環器領域の田村時緒先生らの尽力により,天理は全国から先天性心疾患患者が集う拠点として発展しました(p.49コラム参照)。そして小児期に手術を受けた患者たちが成人へと成長し,現在も同院でフォローを受けている――この歴史の積み重ねこそが,「成人先天性心疾患」という分野の成熟を象徴しています。

 本書の中心的執筆者である泉知里先生は,まさにこの二つの施設で医師人生の大半を過ごし,臨床と教育の最前線で研鑽を積んでこられました。成人先天性心疾患の診療・教育の双方を牽引してきた泉先生が,症例の息づかいをそのままにまとめ上げたのが本書です。特にQRコードを通じて動画を何度でも視聴できる構成は,実際の症例カンファレンスを超える教育効果をもたらします。読者はまるでその場に参加しているかのように,討論の臨場感と知的興奮を味わうことができます。

 第2章の症例カンファレンスは,臨床現場の息づかいを感じるような臨場感に満ち,読み進めるうちに自然と引き込まれます。冒頭の第1章(大内秀雄先生)はわずか8ページながら,成人先天性心疾患の基礎知識が凝縮された充実の内容で,第2章の軽妙で熱気あふれる展開を絶妙に引き締めています。さらに随所に配置されたコラムは,著者陣の情熱がほとばしるようで,読む者にエネルギーを与えてくれる“栄養ドリンク”のような存在です。

 本書は心エコーを学ぶ医師・技師にとって有益であるのはもちろん,「先天性心疾患は難しいな」と思っている読者にこそ,新たな視点をもたらしてくれるはずです。成人先天性心疾患の奥深さと魅力を再発見させてくれる,まさに読む価値のある一冊です。自信を持って推薦いたします。

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