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病態・類似疾患別心エコー図検査のルーティン[Web動画付]

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好評を博した『臨床検査』Vol.66 No.4(2022年4月・増大号)「計測する項目と記録断面がわかる! 病態別・類似疾患別心エコー検査のルーティン」の待望の書籍化! 異常のグレードがわかるweb動画158本を収載、構造的心疾患(SHD)の経カテーテル治療後評価にも対応、心エコー図検査のレポート作成時に使える“鉄板フレーズ”を掲載し、より一層充実しました。心エコー図検査に必携の1冊です。

編集 小谷 敦志
執筆 OSAKA 心エコー研究会
発行 2025年06月判型:AB頁:288
ISBN 978-4-260-05979-4
定価 6,820円 (本体6,200円+税)

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 心エコー図検査で遭遇する類似疾患の鑑別を正しく行うため,ソノグラファー目線で企画した「臨床検査」誌66巻4号(2022年4月・増大号)が,パワーアップして単行本に生まれ変わりました.最新のガイドラインに準じ,また多くの追記を収載し再登場です.
 心エコー図検査において,初級者が類似する疾患群を鑑別し診断することは困難ですが,疾患の病態を知っていれば,疑わしい部分を追加で観察し病変を特定できる場合があります.本書では各項の冒頭で各疾患の特徴的な病態を解説し,疾患の分類,診断や治療のための分類,重症度分類など多くの臨床的な国際分類を追加しました.これらは,心エコー図検査において臨床に即した評価と結果を報告する後押しになるものです.また,本書は代表疾患ごとに解説しながらも,類似した心エコー図所見を有する疾患群について1つにまとめ解説しています.これは,実際のルーティンにおいて類似する疾患群の評価ポイントの共通性を認識し,微妙に異なる鑑別ポイントを比較しやすくするためです.おそらくこのような書籍は初めてだと思います.
 次に「心エコー図検査の進め方」では,どのようなアプローチ断面で評価するか,技術的なピットフォールや留意点など実践的な内容について注力しています.特に,心エコー図検査のルーティンで必要な基準値は都度明記し,評価断面については評価時相を詳細に記述することで超音波装置の傍らに置いてご活用いただける仕様としました.また,最近急増している Structural Heart Disease(SHD)に対する心エコー図評価についても追加しています.さらに,各項の最後には,「どのようにレポートに記載したらよいかわからない」という声にお応えするため「心エコー図所見の鉄板フレーズ」と題し,日頃のルーティンにおける各種心エコー図所見の鉄板例を紹介しています.
 「心エコー図検査は見た目が命」といわれます.実際にご覧いただけるようにQRコードで簡単に視聴できる動画を数多くご用意しました.POCUSの現場でも活用できる「見た目の左室駆出率」すなわち visual LVEFでは,0〜90%まで10%刻みで一例を掲載し,さらに客観的な判断に迷う左室asynergyや各種弁狭窄や弁逆流の重症度についても収載しました.どれも多断面アプローチの動画を多数揃えており,読影力を鍛えるためのvisual評価に役立つと思います.
 本書はOSAKA心エコー研究会の幹事で協力し執筆しました.当会は心エコー図の撮像・読影技術を正しく普及・発展させるため1994年に発足したソノグラファー有志による歴史ある研究会です.他のセミナーや講習会にはない実践的な企画が好評です.本書はOSAKA心エコー研究会の開催スタイルをそのまま書籍化したものになります.熱いディスカッションを味わえる当会には,どなたでも自由にご参加いただけます.ご興味のある方は是非ご連絡ください.
 本書を手に取ることで,ソノグラファーの知識や技術が豊かになり,ひとりでも多くの患者さまの早期診断に繋がることを心から願っております.

 2025年4月
 OSAKA心エコー研究会代表幹事 小谷敦志

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本書の付録Web 動画について

総論
  基本断面
  基本計測と時相
  遭遇する可能性が高い構造物やアーチファクト

各論(心エコー図での病態別または類似疾患別)
 1章 弁膜疾患
  大動脈弁狭窄症(AS)
  大動脈弁閉鎖不全症/大動脈弁逆流(AR)
  僧帽弁狭窄症(MS)
  僧帽弁閉鎖不全症/僧帽弁逆流(MR)
  三尖弁の異常
  弁膜症治療後の異常

 2章 左室拡張機能不全
  HFpEFとHFmrEFとHFrEF

 3章 心筋症/心筋炎
  肥大型心筋症(HCM)
  肥大を伴う類似病変
  拡張型心筋症(DCM)
  心室の収縮性が低下する病変

 4章 虚血性心疾患
  急性冠症候群(ACS)

 5章 高心拍出性心不全
  高心拍出性心不全

 6章 心膜・心囊腔異常
  心膜の異常

 7章 肺高血圧疾患
  右心負荷病変

 8章 心内構造物
  心臓内腫瘤
  感染性心内膜炎(IE)
  非感染性疣腫

 9章 先天性疾患
  心房中隔欠損症(ASD)
  心室中隔欠損症(VSD)
  大動脈の先天性異常
  ファロー四徴症術後
  房室中隔欠損症(AVSD)

巻末付録
  心エコー図検査の評価 基準値

索引

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臨床現場に寄り添う,心エコー検査の“教科書以上”の一冊
書評者:種村 正(仙波内科医院)

 私と小谷敦志氏が親しくなったのは,それほど昔のことではありません。学会などで同氏のご活躍は存じていましたが,直接の面識はありませんでした。2009年ごろ,東大病院の竹中克先生から「近畿大病院の小谷さんが検体検査に異動させられて“ダークサイド”に堕ちているぞ」と聞かされ,なんて気の毒なことだろうと心配したのを覚えています。

 その後,2011年5月に開催された日本超音波医学会第84回学術集会(大会長 竹中克先生)の際に一緒に杯を交わしたことが,交流のきっかけでした。同年の2月,ようやく生理検査に復帰されたそうですが,自分の進むべき方向性について葛藤を抱えておられました。研究に取り組む中で「医師と同じように進めてよいのか?」という迷いがあり,私自身もかつて悩んだ経験があったため,「技師は技師としてのプライドを持ち,得意分野で勝負すれば良いのでは?」と話した記憶があります。それが妙にふに落ちたようで,小谷氏の生き方に何らかの影響を与えたのかもしれません。

 それ以来,小谷氏は2014年には初の共著となる血管エコーの単行本を,2016年には心エコーの単行本を出版することができました。また,日本超音波検査学会では編集委員長を担当され,学会誌の編集にも尽力されました。

 そんな小谷氏が満を持して初の単独編集に挑んだのが本書です。執筆はOSAKA心エコー研究会の若手メンバーと小谷氏が担当しています。本書は『臨床検査』Vol.66 No.4(2022年4月・増大号)を書籍化したものであり,内容を大幅に改訂するとともに,計158本ものWeb動画を収録しているのが特長です。私が本書を手にした際の第一印象は,「エコー画像が美しい」の一言に尽きます。私は画像に厳しい評価をするほうですが,本書の画像はまさに“見る人に訴える力”があります。古くから「百聞は一見にしかず」と言いますが,それは心エコーにも通じるもの。どんなに豊富な知識があっても,実際に見て経験しなければ臨床に生かせません。「まず私たちの撮った画像を見てほしい」という執筆陣の熱意が感じられます。

 心エコーを始めるに当たっては,画像描出・計測・記録・レポート作成といった一連のルーティンを身につける必要があります。そして日々の臨床の中で経験を積み,知識を増やし,適切な“引き出し”を開けて判断していく。その“引き出しの整理”に初心者は苦労しますが,本書は病態・類似疾患別に整理するという画期的な視点を提供しており,臨床の思考プロセスに即した内容です。

 どのような所見に対して,何を考え,何を計測し,どうグレード評価し,どうレポートをまとめるか―それらが簡潔に示されています。計測項目・評価断面・時相・基準値が一目でわかる構成も秀逸です。また,レポート作成を効率化し,表現力を高める“鉄板フレーズ”も充実しています。SHD(structural heart disease)への対応も手厚く,TAVI(transcatheter aortic valve implantation)後などの治療評価にも応用可能で,ベテランにとっても有用です。

 まさに臨床現場に寄り添った,心エコー検査の“教科書以上”の一冊であると言えるでしょう。

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