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看護研究ミニマム・エッセンシャルズ

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看護研究を進めるために知っておきたい基本的な要素(ミニマム・エッセンス)を抜き出してまとめ、著者が実際に授業で活用してきたように、読者が自己学習できるように再構成。初学者には研究を始めるにあたって学ぶべき事項の総論として、すでに研究に取り組んでいる人にはより深めるための道標として、活用してもらえる。また、Webサイトより音声解説スライドを見ることができ、活用の幅を広げることができる仕様となっている。
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川口 孝泰
発行 2020年05月判型:B5頁:168
ISBN 978-4-260-04179-9
定価 3,080円 (本体2,800円+税)

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はじめに

 本書は,看護研究を進めていくために必要な基本的な要素(ミニマム・エッセンス)をまとめたものです.
 初学者には,看護研究を始めるにあたって学ぶべき総論的な学習事項に関する知識の提供を,すでに実際に看護研究に取り組み始めている方々には,ご自身の研究をより深めるための道標(みちしるべ)として,ご活用いただければと思います.
 本書は,私が2002年に執筆した『看護研究ガイドマップ』(医学書院)の内容を一新し,自己学習や授業用に使用できるように,また看護研究を行う者が確認しておくべき基本事項のみ残し,コンパクトに再整理してみました.各セクションにコラムを配置し,執筆時点で看護研究において話題になっている事項も書き足しました.
 臨床家の方々にも使用していただけるように,具体的な研究事例や最新事項も展開し,看護研究を学ぶうえでの基本的な骨組みをわかりやすくまとめました.
 皆様が看護研究を進めるうえで,本書が学ぶべき方向を指し示すものとなることを期待しています.

 2020年3月 吉日
 東京情報大学看護学部教授/遠隔看護実践研究センター長
 筑波大学名誉教授
 川口孝泰

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はじめに

Section 1 研究とは
 看護研究を進めるための基本的学習要素
 研究の意味と意義
 科学的な方法とは
 column 1 臨床看護研究に立ちはだかるバリア

Section 2 研究の種類と研究過程
 研究過程の概観
 研究デザイン
 研究計画の立案
 column 2 「コレは!」と思ったケアを整理・分析する(研究計画の選定)

Section 3 文献検討
 文献検討
 文献検索の手順
 クリティーク
 column 3 経験的な仮説の検証方法(システマティック・レビュー)

Section 4 データ収集
 データ収集とは
 標本抽出(サンプリング)
 データの種類
 データ収集の手法
 信頼性と妥当性
 column 4 何が起こっているか,事実を把握する(調査研究と質問紙調査)

Section 5 データ分析
 データ分析
 量的データ分析の方法
 推測統計(特に比較統計)
 多変量解析
 質的データ分析
 質的データ分析の種類
 column 5 過去の記録を遡ってケアを予測する(数量化理論による予測研究)

Section 6 プレゼンテーションの技法
 プレゼンテーションの目的
 プレゼンテーションの要素
 研究成果の発表
 発表の種類
 図表の効果的活用
 発表の場
 発表の道具
 論文の構成
 column 6 固定観念に捉われず研究対象を紐解く(フィールド・スタディと現象学)

Section 7 研究倫理
 研究倫理の流れ
 研究倫理のための規定
 倫理評価チェック項目
 倫理審査の必要書類
 研究者の倫理
 利益相反と研究倫理
 column 7 看護系学会における研究倫理の取り組み

より理解するための参考文献
索引

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看護研究の「これだけは知っておくべき」がつまった書
書評者: 若村 智子 (京大教授・生活環境看護学)
 本書は,長年の看護研究や研究指導で得た著者のコツやエッセンスがつまった本である。分厚い看護研究の本は,気になるところ,調べたいところを読む,辞典的な使い方をする場合が多い。それに対して,この本は,看護研究に関して広く,最低これだけは知っておくとよいことが,平易な言葉で書かれている。研究法などの授業でのテキストや自己学習にとってもこの本は使いやすい。

 看護学にかかわらず,どの分野においても,研究は,明らかでないことを,ある手法を用いて,答えを求めることに意味がある。一方で,看護学とは何か,看護の技術とは何かなどの,看護の本質をどれだけ深く考えているかということも,研究には重要である。この著者の研究に対する構えや,看護の本質の捉え方が,この本の文章にちりばめられていることに読者は気付くであろう。臨床経験がある読者にとっては,その要素が文字によって目から飛び込んでくれば,過去に忘れ去った看護のかつて学んだことを思い出し,グレードアップした学び直しになることであろう。

 本書は,「研究とは」「研究の種類と研究過程」「文献検討」「データ収集」「データ分析」「プレゼンテーションの技法」「研究倫理」の項から構成されている。看護研究で用いられることが多い質的研究と量的研究の解説が,バランスよく進む。「質的研究者なので,量的研究はわからない。量的研究者は,質的研究はよくわからない」という人は少なからず存在するが,いずれの場合も,自分が普段なじんでいない研究方法を自ら学び直す機会は,少ないのではないだろうか。しかしながら,この分量は,どの項目も読みこなすのにはちょうどよく,知らないことも負担なく読み進むことができる。

 項の中で特筆に値するのは,「データ分析」である。質的研究のデータの扱い方,量的研究では,データの統計解析が,コンパクトにわかりやすく述べられているからである。特に,統計方法は,専門書で調べるとシグマなどの数式が,学習者のやる気を削ぎ,理解しようとしても途中でやめてしまうことも多い。使う統計ソフトが決まっていれば,その使い方の本をまねて,数値を出す程度での理解にとどまっていることもある。この本では,実際の入力を想像できるデータセットと,その代表的なグラフ例と,統計結果のはらわたに相当する部分を明示していることに意味がある。

 付録として本文内のスライドの音声付きのデータがダウンロードできるが,一つひとつが短いので,空いた時間に,スマートフォンなどでも気軽に視聴できる。目から耳から学ぶことができる本書で,看護研究が,患者のため,働く看護者のための自由と創造性に満ちたものになることを期待する。

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