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医学生・研修医のための画像診断リファレンス

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講義、国試、臨床研修で出会う疾患の画像を網羅した最強のリファレンスブックが遂に登場! 重要所見は、矢印で示すだけでなく、シェーマでわかりやすく図解。画像診断に苦手意識を持つ初学者にとっても、各疾患の病態や画像の基本的な知識が身につく構成となっている。読影するうえで理解が欠かせない画像解剖も丁寧に解説。医学生や研修医のみならず、画像診断に関心を持つジェネラリストや診療放射線技師にも役立つ1冊。
山下 康行
発行 2018年03月判型:B5頁:304
ISBN 978-4-260-02880-6
定価 4,620円 (本体4,200円+税)

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 現代の医療において,画像診断は多くの疾患の診療に不可欠であることは,疑う余地がありません.ところが,画像診断はほぼ全身をカバーするため,勉強する内容が非常に多く,多くの医学生,研修医の苦手とするところです.それではどのようにすれば画像診断に習熟できるのでしょうか.私が考えるに画像診断においては次の3つの事項が重要です.

1.背景となる病態,病理を理解すること
 画像の理解には病態,病理の理解が最も重要で,その理解があれば自ずと画像の解釈も可能となります.ところが,多くの医学生や研修医にとって,画像診断はパターン認識に過ぎず,病態を理解したうえで行うダイナミックな診断の醍醐味に触れることは難しいようです.本書では,各領域の画像診断に必要な画像解剖,基本的考え方や鑑別へのアプローチを示すと同時に,できるだけシェーマを使って病態や画像の基本を理解できるようにしました.

2.鑑別診断的なアプローチをすること
 例えば副腎に腫瘤を見た場合,さまざまな疾患が鑑別に挙がります.副腎腺腫が,あるいは癌がどのような所見をとるかという各論的な知識に加えて,“副腎に腫瘤があればどのような疾患を考えるか”という見方が大切です.これは画像診断独特の考え方です.そのためには症候,画像所見からどのような疾患の可能性が高いかを考える鑑別診断的なアプローチを行うことが重要です.本書では各章の冒頭に「○○のアプローチ」という項目を設けてまず鑑別すべき疾患を示すと同時に本文中にも随所に鑑別診断のヒントを提示しました.

3.疾患を局所だけでなく,全身として捉えること
 専門医は得てして,自分の関心ある領域にしか目がいきません.ところが,画像にはターゲットとなる臓器以外に偶然所見を認めることが少なからずあります.思わぬ系統疾患が潜んでいることもあります.本書では複数の臓器にまたがった関連ある項目はできるだけそのつながりを明示して,広い範囲で画像診断を捉えることができるように努めました.

 本書は以上の3つのポイントに重点を置いて執筆しました.各領域の疾患はいずれも日常診療で比較的目にする疾患や臨床的に重要な疾患で,当然国家試験でもよく取り上げられるものばかりです.医学科や保健学科の学生や研修医のみならず,色々な領域の画像診断に興味ある医師,診療放射線技師,あるいはもう一度基礎から画像診断を見つめ直したい人など,画像診断に1人でも多くの人が親しんで欲しい,そんな思いで本書を執筆しました.読影の幅が格段に広がることを請け合います.

 最後に本書の出版に当たって,私のわがままな要求を受け入れてくれた医学書院編集部の天野貴洋さん,分かりやすいシェーマを用意してくれた医学書院編集部の杉林秀輝さん,同制作部の成廣美里さんに心より感謝を申しあげます.

 2018年3月
 山下康行

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本書の見方
略語一覧

第1章 脳・脊髄
 脳の画像解剖
 脳血管障害のアプローチ
  1 脳梗塞
  2 脳出血
  3 くも膜下出血
  4 脳動脈瘤
  5 脳動静脈奇形
  6 もやもや病
 脳の腫瘤性病変のアプローチ
  7 神経膠腫
  8 髄膜腫
  9 下垂体腺腫
  10 松果体部腫瘍
  11 髄芽腫
  12 前庭神経鞘腫
  13 転移性脳腫瘍
 広い範囲で脳を侵す疾患のアプローチ
  14 脊髄小脳変性症
  15 Alzheimer病,認知症性疾患
  16 多発性硬化症
  17 頭蓋内感染症(髄膜炎,脳膿瘍ほか)
 頭部外傷・先天性奇形のアプローチ
  18 頭部外傷
  19 脳奇形
  20 神経線維腫症
  21 結節性硬化症
 脊髄画像のアプローチ
  22 脊髄腫瘍
  23 脊髄動静脈奇形,硬膜動静脈瘻
  24 脊髄空洞症
  25 腰仙部にみられる脊髄・脊椎奇形

第2章 頭頸部
 頭頸部画像のアプローチ
  1 副鼻腔・鼻腔腫瘍
  2 咽頭,口腔,喉頭腫瘍
  3 慢性副鼻腔炎
  4 眼窩,眼球腫瘍
  5 眼窩吹き抜け骨折
  6 唾液腺腫瘍
  7 慢性中耳炎,真珠腫
  8 Basedow病
  9 甲状腺癌
  10 副甲状腺機能亢進症
  11 頸部腫瘤,頸部リンパ節腫大

第3章 胸部
 胸部画像のアプローチ
  1 無気肺
  2 胸水
  3 気胸,縦隔気腫
  4 肺水腫
 肺腫瘤性病変のアプローチ
  5 非小細胞肺癌(腺癌,扁平上皮癌)
  6 肺小細胞癌
  7 転移性肺腫瘍
  8 良性肺腫瘤
 肺非腫瘤性病変のアプローチ
  9 肺炎
  10 肺結核
  11 肺アスペルギルス症
  12 好酸球性肺炎
  13 過敏性肺臓炎
  14 サルコイドーシス
  15 特発性間質性肺炎
  16 肺気腫・慢性閉塞性肺疾患
  17 リンパ脈管筋腫症/Langerhans組織球症
  18 気管支拡張症
  19 珪肺
  20 石綿(アスベスト)関連疾患
  21 肺分画症
  22 肺血栓塞栓症,肺梗塞
 縦隔,胸膜,横隔膜病変のアプローチ
  23 縦隔腫瘍
  24 悪性胸膜中皮腫
  25 横隔膜ヘルニア

第4章 心血管
 心血管画像のアプローチ
  1 先天性心疾患
  2 弁膜症
  3 虚血性心疾患(心筋梗塞,狭心症)
  4 心筋疾患
  5 胸腹部大動脈瘤
  6 大動脈解離
  7 大動脈炎症候群(高安動脈炎)
  8 閉塞性動脈硬化症,末梢動脈疾患

第5章 消化管
 消化管画像のアプローチ
  1 食道癌
  2 食道アカラシア
  3 胃癌
  4 大腸癌
  5 消化管ポリープ
  6 消化管粘膜下腫瘍
  7 消化管悪性リンパ腫
  8 炎症性腸疾患
  9 急性虫垂炎
  10 消化管憩室・憩室炎
  11 腸閉塞(イレウス)
  12 腸重積
  13 消化管の軸捻転
  14 消化管穿孔
  15 腹膜炎,腹膜播種
  16 鼠径ヘルニア,内ヘルニア

第6章 肝胆膵
 肝画像のアプローチ
  1 肝癌
  2 転移性肝腫瘍
  3 肝内胆管細胞癌
  4 肝血管腫
  5 限局性結節性過形成
  6 肝嚢胞
  7 肝膿瘍
  8 脂肪肝
  9 急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変
 胆道系画像のアプローチ
  10 胆道結石
  11 急性胆嚢炎・慢性胆嚢炎
  12 胆嚢腺筋腫症
  13 胆嚢癌
  14 急性胆管炎・慢性胆管炎
  15 肝門部および肝外胆管癌
  16 総胆管嚢腫(先天性胆道拡張症),Caroli病
 膵画像のアプローチ
  17 膵癌
  18 膵神経内分泌腫瘍
  19 漿液性嚢胞腺腫,粘液性嚢胞腺腫
  20 粘液産生膵腫瘍(膵管内乳頭腫)
  21 急性膵炎・慢性膵炎

第7章 泌尿器
 腎,副腎,後腹膜画像のアプローチ
  1 腎嚢胞
  2 多発性嚢胞腎
  3 腎癌
  4 腎動静脈奇形・瘻
  5 腎血管性高血圧
  6 副腎腺腫,副腎癌
  7 褐色細胞腫・傍神経節細胞腫
  8 神経芽腫
  9 後腹膜腫瘍
 尿路,前立腺,精巣画像のアプローチ
  10 尿路結石症
  11 腎盂尿管腫瘍
  12 馬蹄腎,その他の尿路奇形
  13 膀胱癌
  14 前立腺癌
  15 精巣腫瘍

第8章 女性
 子宮,卵巣画像のアプローチ
  1 子宮筋腫
  2 子宮腺筋症,内膜症性嚢胞
  3 子宮頸癌
  4 子宮体癌
  5 成熟嚢胞性奇形腫
  6 嚢胞腺腫,嚢胞腺癌
  7 悪性卵巣腫瘍
  8 双角子宮,腟閉鎖
 乳腺画像のアプローチ
  9 乳癌
  10 乳腺の良性腫瘤

第9章 骨軟部
 代謝性および系統的骨疾患のアプローチ
  1 骨粗鬆症,脊椎圧迫骨折
  2 くる病,骨軟化症
  3 副甲状腺機能亢進症
  4 変形性関節症
  5 関節リウマチ
  6 痛風,偽痛風
  7 骨端症,離断性骨軟骨炎
  8 大腿骨内顆・大腿骨頭の特発性骨壊死
 脊椎画像のアプローチ
  9 椎間板ヘルニア
  10 変形性脊椎症,脊柱管狭窄症
  11 後縦靱帯骨化症,黄色靱帯骨化症
  12 脊椎すべり症,分離症
  13 化膿性脊椎炎,化膿性椎間板炎
  14 強直性脊椎炎
 外傷性疾患のアプローチ
  15 前・後十字靱帯断裂,内側側副靱帯断裂
  16 膝関節半月板断裂
  17 肩腱板断裂
 骨,軟部の腫瘤性病変のアプローチ
  18 良性骨腫瘍
  19 巨細胞腫
  20 骨肉腫
  21 Ewing肉腫
  22 転移性骨腫瘍
  23 化膿性骨髄炎
  24 良性軟部腫瘍
  25 悪性軟部腫瘍

一般索引
画像解剖索引
サイン・所見索引

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シェーマを見れば一目瞭然 お勧めのリファレンス
書評者: 徳田 安春 (群星沖縄臨床研修センター長)
 診断学において,主要な診断医には,臨床診断医だけでなく,画像診断医や病理診断医も含まれる。いずれのタイプの診断医も,豊富な知識と経験をベースにした,サイエンスとアートの効果的な使い手である。特に,診断困難ケースでは,これら3者の診断エキスパート間の良好なコミュニケーションが正確な診断をタイムリーに行うための必要条件となる。

 いずれのタイプの診断医になるにせよ,診断エキスパート間で円滑にコミュニケーションをとるためには,相手方の診断の基本を学習し,そのロジックを理解しておくことが望ましい。例えば,臨床診断医をめざす医師も,画像診断と病理診断の基本を学習しておくことが望ましい。

 医学生や研修医の皆さんが,そのような基本部分の学習を行う際には,まず典型例に習熟しておくことを私は勧めている。そんな中,『医学生・研修医のための画像診断リファレンス』が出版された。この本には,押さえておくべき全ての疾患に,最重要ポイント,典型的画像と重要所見のカラフルなシェーマによる図解,そして箇条書きのわかりやすい画像所見解説が記載されている。各疾患で必須の,単純X線,CT,MRI,MRA,エコーなどの画像が網羅されている。臨床と病理サイドとのコミュニケーションを意識した「臨床と病理」もやはり箇条書きでわかりやすくまとめられている。

 従来の書籍では,画像の重要所見をテキストで説明されても,どこの何を指しているのかよくわからないことがあったが,本書のシェーマによる図解を見ることによって,あるサインがどこのどの部分を意味していたのかがよくわかるようになった。

 例えば,肺胞蛋白症で特徴的とされているcrazy pavement appearanceは,従来型の書籍ではCT画像所見に,「小葉間隔壁の肥厚とびまん性のすりガラス影が重なった所見である」とテキストが添えられているのみのことが多かった。半分わかったような,でも半分わかってないような,達成感の乏しい学習で消化不良であった。しかし,本書のわかりやすいシェーマをみれば,どのような所見を指すかが一目瞭然である。

 各疾患のコンテンツには,画像上重要な鑑別診断の疾患画像と実際にあったケースの病歴なども記載されている。正確な診断には鑑別診断が重要であり,画像診断において重要な鑑別疾患について効果的に学ぶことができる。医学生や研修医だけでなく,診断に関心のある医師や放射線技師の皆さんにもぜひお薦めしたいリファレンスである。
いろいろな臓器の画像読影に自信がつく参考書
書評者: 笹本 浩平 (名張市立病院総合診療科・総合診療専攻医)
 画像読影は医学生・研修医の皆さんにとって必須のスキルです。最近の医師国家試験では画像問題が頻出で,合格後すぐに必要となる画像検査とその解釈について問うています。実際,研修医になると画像検査が患者さんの病態理解のキーになることを経験するでしょう。しかし,画像診断はとても難しいと感じます。どこをどのように読んでいったらよいかわからなくなることもありますし,そもそも画像解剖がわからないということもあります。同じ画像を見ているのに上級医と見えているものが違うこともたくさん経験するでしょう。自分で読影できないときはdoctor’s doctorと呼ばれる放射線科医の読影レポートが頼りになりますが,24時間365日すぐにレポートが飛んでくる環境ではない場合はどうしましょうか。自分で読影するしかないのです。

 そんなときに『医学生・研修医のための画像診断リファレンス』が役立ちます。本書は各章の最初に総論として画像診断アプローチ法と鑑別診断の方法がまとめられていて,画像解剖と読影に必要な知識をコンパクトに理解できます。また,鑑別のポイントも記載されていて,各領域の鑑別診断の復習にもなります。画像解剖や専門用語を理解し使えるようになれば,他科へのコンサルトや診療情報提供書の記述の際により正確に相手に伝えることができるようになるでしょう。

 総論に続く各論は疾患ごとに読影ポイントが数行にまとめられており,その後に豊富な画像とその画像に存在する読むべき重要所見の解説がシェーマ付きで記載されています。これがとても特徴的で,文章では伝わりにくい画像所見でもシェーマなら視覚的に理解でき,印象に残ります。その次には臨床と病態生理,画像所見がコンパクトにまとめられており,各疾患の復習にもなります。それも臨床でよく出合う疾患が多く掲載されているので,覚えた知識をすぐに臨床へ応用することができます。総合診療医をめざす私のような医師にとってもさまざまな臓器において知っておくべき画像所見を一冊で学べるので重宝しています。

 総論で読影法と鑑別診断を頭に入れておき,各論で疾患を理解しながら,その結果としての画像を理解することができれば,実際の画像の読影もできるのではないでしょうか。自分でも正しく読めると診断に早くたどり着き,目の前の患者さんのためになると思います。

 『医学生・研修医のための画像診断リファレンス』で学習して,カルテに自分なりの読影レポートを書いてみて,放射線科医の読影レポートを模範解答として答え合わせしてみてはいかがでしょうか。診断力が向上し,読影にも自信が出てくると思いますよ。
医学生・研修医のための必読の参考書
書評者: 平井 俊範 (宮崎大教授・放射線医学)
 山下康行先生のご執筆による待望の『医学生・研修医のための画像診断リファレンス』が刊行された。医学生・研修医向けの画像診断に関する参考書は数多く存在するが,本書はこれまでの書とは異なる視点で記載されている。まず,CT,MRIの他,単純X線写真,エコー,PETなどの画像が満載である。また,画像診断は画像のパターン認識が重要であるが,“ポイントとなる画像の重要所見”についてシェーマを用いてわかりやすく図解されている。それから,正常解剖とともに“画像診断を進めるプロセス”がフローチャートを用いて随所に提示されている。その他,全身臓器を9つのパートに分けて,関連疾患やよく似た所見を呈する疾患も多く解説されている。このように盛りだくさんの内容を初学者でも容易に理解できるように工夫されている本は他に見当たらない。

 山下先生は熊本大での私の恩師であり,先生の教育に対する熱意を長年感じていた。お昼や夕方の空いた時間をみつけては,直近の実臨床画像を用いて学生や研修医に画像診断の面白さを直接伝授されていた。本書をめくると,学生や研修医に愛情を持って接しておられたその臨場感が伝わってくる。私も学生や研修医を教える立場にあるが,日常の忙しさのあまり,なかなか教育に時間を割けないのが実情である。この本を参考に,恩師にならって学生や研修医に寄り添い,一人でも画像診断の面白さをわかってもらえるように努めたい。

 本邦の放射線科医の中で,画像診断に関する本を最も多く執筆されてきたのは,おそらく山下先生であろう。本書は今まで先生の中で蓄えられた画像診断の豊富な知識と経験が盛り込まれ,完成度の高いリファレンスブックとなっている。医師国家試験,臨床研修で出合う疾患の画像が網羅されており,学生や研修医はもちろん,画像診断に関心を持つジェネラリストや診療放射線技師にも役立つことは間違いない。ぜひ,本書を熟読いただき,多くの皆さんに画像診断の面白さに触れてもらいたい。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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