BRAIN and NERVE Vol.78 No.9
2026年 09月号

ISSN 1881-6096
定価 3,080円 (本体2,800円+税)

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頭痛,めまい,しびれ,ふるえ,脱力,物忘れ,歩行障害—これらは脳神経内科で日常的に遭遇する症候である。しかし,同じ訴えであってもその背後には多彩な病態が潜み,適切な診療を行うためには症候から病変局在を推定し,必要な検査と治療へ結びつける力が求められる。本特集では,こうした頻度の高い症候を題材に,診察の進め方,鑑別の考え方,検査の活用法,治療選択の実際を第一線の専門家が解説する。教科書やガイドラインの知識にとどまらない,実践的な脳神経内科診療を通して,「広く,そして深く」診る力を身につけていただきたい。

頭が痛いのですが 竹島 多賀夫
頭痛を主訴に脳神経内科を受診する患者は多い。二次性頭痛の除外と一次性頭痛,特に片頭痛を正しく診断することが重要である。片頭痛の診断には生活の支障,動作による悪化,悪心,光過敏などがポイントとなる。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連抗体薬,CGRP受容体拮抗薬が上市され,片頭痛治療の成績が格段に向上している。最適な治療を導入するためには,片頭痛の適切な診断が必須である。群発頭痛とその類縁疾患が三叉神経・自律神経性頭痛として整理されている。

めまいがします—ATTEST/TiTrATEに基づく評価と鑑別の考え方 出口 一郎
めまいは外来診療で最も頻度の高い訴えの1つであり,その背景には末梢前庭障害から脳血管障害,心血管疾患,心理的要因まで多様な病態が潜んでいる。従来のめまい症状の性質に基づく分類には診断精度の限界があり,時間経過と誘因に基づいて整理するATTESTアプローチが有用である。本論では,めまい患者に対する実践的な診療手法を概説し,基本評価を丁寧に行い,先入観にとらわれず適切な鑑別へ導く診療姿勢の重要性を述べる。

手足がしびれたり痛んだりします—しびれ・疼痛診療の実践的アプローチ 山脇 健盛
手足のしびれ・疼痛診療について,問診,神経学的診察,疫学,検査,紹介のタイミング,治療までを実践的に解説した。病変局在を推定する診療姿勢の重要性を強調するとともに,侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛に続く第3の疼痛メカニズムである痛覚変調性疼痛にも言及した。また,高齢者に多い原因不明のしびれについても最近の考え方を整理し,患者の訴えを重視した神経内科診療のあり方を論じた。

からだが震えるのですが 野川 茂
「震え」はさまざまな状況や疾患で引き起こされる。本態性振戦は両側性の姿勢時振戦(>8Hz)を呈する。生理的振戦は甲状腺機能亢進症,発熱,筋疲労などで誘発される。パーキンソン病では,片側性の安静時・姿勢時振戦(4〜6Hz)をきたす。赤核振戦・口蓋ミオクローヌス(3Hz)の責任病巣は,「Guillain-Mollaret三角」にある。企図振戦は,目標に近づくにつれ振幅が大きくなる動作時振戦と定義される。

力が入りません 齊藤 正樹
「力が入らない」患者の診察では,筋の張力発生の最小単位である運動単位(α運動ニューロン,有髄線維,神経筋接合部,筋線維),脊髄介在ニューロン,脊髄を下行して運動単位を制御する投射(皮質脊髄路,皮質網様体路,網様体脊髄路),自律神経の異常を考え,原因となる生理的変化,疾病,外的要因を検索する。適切な筋力評価,錐体路徴候の検索,病態の適切な表現,採血,針筋電図,頭部MRI/MRAの活用が望まれる。

もの忘れがあります 池田 将樹
認知症疾患の診断では,問診による情報収集,身体的診察と神経学的診察による所見が基本であり,認知機能の状態,症候,重症度を評価し,各種の検査を行い,鑑別診断を進める。抗アミロイド抗体療法が普及した現在,アルツハイマー型認知症早期やアミロイドβバイオマーカー検査陽性軽度認知障害(MCI due to AD)を見逃してはならない。さまざまな症状を呈する認知症患者の診察においては,神経症候,各種検査の所見,臨床経過を考慮し,適切な診断を行ったうえで,治療につなげることが重要である。

歩きにくいのですが 大平 雅之
歩行障害は脳神経内科診療で頻繁に遭遇する症状であり,その原因は中枢神経,末梢神経,筋骨格系など多岐にわたる。本論では「歩きにくい」という主訴に対する診療の進め方として,病歴聴取と神経学的診察による歩行観察の重要性を概説する。さらに,下肢筋力低下,錐体路障害,パーキンソン症候群などの器質的疾患に加え,機能性歩行障害の特徴と鑑別についても解説する。

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特集 脳神経内科ジェネラリストを目指すあなたへ

頭が痛いのですが
竹島多賀夫

めまいがします──ATTEST/TiTrATEに基づく評価と鑑別の考え方
出口一郎

手足がしびれたり痛んだりします──しびれ・疼痛診療の実践的アプローチ
山脇健盛

からだが震えるのですが
野川 茂

力が入りません
齊藤正樹

もの忘れがあります
池田将樹

歩きにくいのですが
大平雅之


■総説
筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合(ALS/PDC)の新たな理解2026
小久保康昌


●脳の「部分と全体」
第4回 大脳基底核
南部 篤,知見聡美

●現代に生きるノーベル賞を受賞した神経科学的発見
第1回 坂口志文──制御性T細胞発見者のあゆみ
山村 隆

●Atlas of Neuroimaging
Bilateral Medial Medullary Infarction with Meningovascular Neurosyphilis 
Masahiko Kato, et al.

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