総合リハビリテーション Vol.51 No.9
2023年 09月号

ISSN 0386-9822
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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特集 これからの訪問リハビリテーションはどうあるべきか

 訪問リハビリテーションは,病院,診療所,介護老人保健施設の理学療法士,作業療法士,言語聴覚士が利用者の自宅を訪問し,心身の機能の維持・回復,日常生活の自立を支援するために,理学療法,作業療法などのリハビリテーションを行うサービスのことです.ハイリスク児や発達障害,心疾患やがん患者,そして認知症への対応など,子供から高齢者までさまざまなニーズに対応すべく,これからの時代の訪問リハビリテーションはどのように発展させていくべきか,各分野の専門家に解説していただきました.

これからの時代の訪問リハビリテーション──「身体機能回復モデル」から「幸せ-Well-being-支援モデル」の時代へ 竹中佐江子 氏
 訪問リハビリテーションの広がりとともに深化してきた地域包括ケアの考え方によって,高齢者だけでなく0歳の乳児から生涯にわたって地域でいかに支援していくかが問われるようになった.これからの時代の訪問リハビリテーションはどうあるべきか,これまでの「身体機能回復モデル」から脱却し,その人の生活や活動・参加を支えるため,そしてその先にある「幸せ-Well-being」を支える訪問リハビリテーションを実践していく時代になっていくのではないだろうか.

高齢者への訪問リハビリテーション 古賀阿沙子 氏
 高齢化率の増加により,訪問リハビリテーションの対象者は今後ますます増えてくることが大いに予測される.訪問リハビリテーションは地域リハビリテーションの実践そのものであると考えている.生活期の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が地域リハビリテーション活動支援事業に携わり,地域住民や多職種とのかかわることは,利用者の社会参加を支援するうえで大きなヒントを得ることができる.

在宅での言語聴覚士の実際 村瀬文康 氏
 われわれの専門的な知識や技術が必要のない世界がきてしまうのではないか? AIに仕事を奪われてしまうのではないかという恐れ──この「恐れ」の中身について考えていきたいと思う.なぜなら,それがわれわれ言語聴覚士の実際と専門性を考えることであり,これからの在宅言語聴覚療法(Speech-Language-HearingTherapy:ST)の展開について考えることにつながると思うからである.

小児の訪問リハビリテーション 川野晃裕 氏
 小児リハビリテーションの対象となる児は,生まれて間もない早産児や低出生体重児,重症心身障害児,神経発達症児など年齢・疾患ともに多岐にわたる.その中でも近年,人工呼吸器や胃瘻などを使用し,痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な“医療的ケア児”と呼ばれる児童は増加傾向にある.小児専門の訪問看護ステーションであるリニエ訪問看護ステーションキッズ世田谷が実践している,最新の知見に基づく多職種での取り組みについて紹介する.

不登校児の訪問リハビリテーション 大戸普賢 氏ら
 著者らは,2011年4月からリハビリテーション専門職を中心とした療育に特化した児童発達支援・放課後等デイサービスの通所支援事業所を広島市に開所した.しかし,通所事業所を開始して明らかになったことは,高校卒業後の支援の継続ができないことに加えて,通所事業所へ来ることができない子供が多数おり,その多くが不登校児であるということであった.これまでの知見をもとに3事例を紹介し,不登校児に対する訪問リハビリテーションの有効性を報告する.

地域へつなぐ 上原亮介 氏
 「地域へつなぐ」というテーマで述べるにあたり,前提としてわれわれは訪問リハビリテーションというサービスを通してなぜ対象者を地域へつなぐことが求められているのかを考えていきたい.対象者を地域へつなぐ意義は何であろうか? そのキーワードとして「社会参加」が挙げられる.訪問リハビリテーションに従事する療法士が利用者を地域へつなぐためのポイントを医療法人社団涓泉会山王リハビリ・クリニック訪問リハビリテーションの取り組みや事例から考察する.

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価格については医書.jpをご覧ください。

特集 これからの訪問リハビリテーションはどうあるべきか

これからの時代の訪問リハビリテーション──「身体機能回復モデル」から「幸せ-Well-being-支援モデル」の時代へ
竹中 佐江子

高齢者への訪問リハビリテーション
古賀 阿沙子

在宅での言語聴覚士の実際
村瀬 文康

小児の訪問リハビリテーション
川野 晃裕

不登校児の訪問リハビリテーション
大戸 普賢,他

地域へつなぐ
上原 亮介


●巻頭言
リハビリテーション医療に係る厚生労働省の施策
木下 翔司

●入門講座
小児リハビリテーションに必要な評価法⑨
Pediatric Evaluation of Disability Inventory(PEDI)
里宇 明元

透析患者の運動リスクと効果①
血液透析と運動リスクの考え方
伊藤 修

●実践講座
精神科作業療法のエッセンス⑤
医療観察法と作業療法──リハビリテーションの視点から
村田 雄一

●短報
身体的フレイルを評価する新しいシステムの開発
陳 隆明,他

●調査
就労移行支援事業を利用した失語症者の就労──川崎市の地域リハビリテーションセンターにおける調査
齋藤 薫

日本のサリドマイド胎芽症者の現状──主観的な「痛み」とその対処方法の実態調査
小林 毅,他


●認知症者・家族をさまざまな観点や立場から支えるコミュニケーションスキル①
エッセンスとピットフォール
繁田 雅弘

●スポーツ用義足の最新事情④
パラバドミントンに特化した義足の製作
藤田 悠介

●研究費獲得への道④
多分野の連携・融合が新しい研究課題につながる──医工連携研究の経験
柴本 勇

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ドラクロアの『芸術論』──ロマン派と障害
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ぼくたちの哲学教室」──暴力の連鎖や戦争を哲学で止めるという小学校の試み
二通 諭

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