BRAIN and NERVE Vol.74 No.10
2022年 10月号

ISSN 1881-6096
定価 2,970円 (本体2,700円+税)

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 特集 ウイルス性脳炎・脳症2022

中枢神経系のウイルス感染症は脳神経内科医にとって永遠のchallengeである。COVID-19の話題は本誌7月号に譲るとして,本号では本年手引きが改訂された急性弛緩性麻痺,単純ヘルペス脳炎後に続発する自己免疫性脳炎,難治例や重症例が多い水痘帯状疱疹ウイルスによる中枢神経障害,多発性硬化症治療薬により惹起されることでも注目を集めている進行性多巣性白質脳症,西日本を中心に発生が報告されている重症熱性血小板減少症候群を取り上げた。特徴的な臨床症候や画像所見を含め,現時点での知識を整理する。

急性弛緩性麻痺 細矢光亮
急性弛緩性麻痺(acute flaccid paralysis:AFP)は「急性に四肢の弛緩性運動麻痺を呈する疾患」の総称で,その糞便検体よりポリオウイルスが検出されないことによって,その地域においてポリオが根絶されたことを証明するために提唱された概念である。1997年からのエンテロウイルスA71によるポリオ様麻痺や,2013年からのエンテロウイルスD68によるポリオ様麻痺の多発を受け,AFPとの混乱を避けるために提唱されたのが急性弛緩性脊髄炎(acute flaccid myelitis:AFM)である。AFPとAFMについて概説する。

単純ヘルペス脳炎後の自己免疫性脳炎—臨床像,病態,診断と治療       原 誠, 中嶋秀人
単純ヘルペス脳炎(herpes simplex encephalitis:HSE)患者において,抗ウイルス治療完了後(post-HSE)に舞踏アテトーシスや異常行動を含む多様な精神神経症候で再発する脳炎の存在が以前より議論されてきた。これらは発症時の髄液ウイルスDNAが陰性であり,免疫療法に反応を示すことが特徴に挙げられる。最近のHSEコホート研究の結果から,post-HSE脳炎では高頻度に抗N-methyl-D-aspartate受容体抗体を含む神経細胞表面抗体(neuronal surface antibody)群が陽性になることが明らかになり,自己免疫機序による病態形成の中核を担うことが示された。本論ではpost-HSE自己免疫性脳炎の臨床像,病態,診断と治療について最近の知見を含めて述べる。

水痘帯状疱疹ウイルスによる中枢神経障害                  根本 壌, 神田 隆
水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)は脳炎や髄膜炎,脊髄炎など中枢神経障害を起こす。代表的なDNAウイルスであるVZVによる中枢神経障害は帯状疱疹と同じくVZVの再活性化に伴い発症する。その病態として神経節炎や血管炎の関与が明らかにされている。難治例や重症例が多いVZVによる中枢神経障害について,その特徴的な機序をもとに,臨床像,検査,治療,予後について概説する

進行性多巣性白質脳症の現況           雪竹基弘
進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy:PML)の概説と薬剤関連PML,特に多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の疾患修飾薬(disease-modifying drug:DMD)関連PMLの現状を概説した。ナタリズマブ,フィンゴリモド,フマル酸ジメチル関連PMLの現状と,シポニモドとオファツムマブでの発症可能性を論じた。PML診療はDMD関連PMLに対応する時代であり,MSでは特に重要である。PMLに特異的な治療薬はないが,治療の可能性が報告されている最近の薬剤も紹介した。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とSFTS脳症     高橋 徹
重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)は,SFTSウイルスによるマダニ媒介ウイルス出血熱である。主に西日本で年間約80人が発症し致死率は20%を超える。発熱,血小板減少,白血球減少,消化器症状が主徴であるが,SFTS脳症と呼ばれる意識障害をしばしば伴う。マダニ以外にSFTS発症ネコからの感染が新たな問題となっており,われわれは身近にあるこの新興ウイルス感染症に対していっそう注意する必要がある。

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特集 ウイルス性脳炎・脳症 2022

急性弛緩性麻痺
細矢光亮

単純ヘルペス脳炎後の自己免疫性脳炎──臨床像,病態,診断と治療
原 誠,中嶋秀人

水痘帯状疱疹ウイルスによる中枢神経障害
根本 壌,神田 隆

進行性多巣性白質脳症の現況
雪竹基弘

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とSFTS脳症
高橋 徹


■総説
片頭痛の新規治療薬──from bench to bedside
加藤裕司

欠乏・過剰の神経疾患──古くて新しいビタミン関連疾患
大平雅之

■症例報告
角状手を呈した平山病の1例──脊髄性角状手(main en corne spinale)
北 耕平

■Case Report
Acemetacin, a Prodrug of Indomethacin, Is Effective for Treatment of Hemicrania Continua: A Japanese Case Report
Shoji Kikui, et al.


●脳神経内科領域における医学教育の展望──Post/withコロナ時代を見据えて
第14回 脳神経内科における研究者育成教育
桑原 聡

●臨床神経学プロムナード──60余年を顧みて
第20回 「日本神経治療学会」のユニークな発足
──「神経内科治療研究会」から移行の背景──
平山惠造

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