総合リハビリテーション Vol.49 No.12
2021年 12月号

ISSN 0386-9822
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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介護予防に今こそ必要なリハビリテーション

 地域において高齢者に対してさまざまな介護予防のための取り組みが全国各地で行われています.しかしながら,新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)の感染拡大により,数多くの通いの場の活動が制限され,高齢者が参加を含めた外出を自粛している状況が続いており,十分な身体活動量を維持できずに要介護状態に陥る高齢者が多くなることが懸念されています.そこで,本特集では,地域在住高齢者に対する介護予防を目的としたリハビリテーション介入を取り上げ,現状と課題に続いて,さまざまな取り組みについて解説していただきました.

介護予防領域でのリハビリテーションの現状と課題 大渕修一氏
 介護予防は,疫学転換による健康課題の変化を背景に,高齢期の心身機能維持だけではなく,生活の質を高く保つための具体的な手段として施策化された.運動プログラムは高齢者の生活機能の改善に有効であることを示すエビデンスが数多く報告されている.厚生労働省による介護予防・日常生活支援総合事業の中に地域リハビリテーション活動支援事業が設けられ,さらに高齢者の保健事業と介護予防の一体実施事業が進められている.今後は,介護予防を支えるコミュニティづくりのうち,就労への意欲をもっている高齢者に対しては就労的アクティビティを介護予防プログラムとする発想の転換が求められる.

ロコモ・サルコペニア予防運動プログラムの開発と社会実装への取り組み 沢田秀司氏ら
 ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ),サルコペニア,フレイルへの対策としては筋力トレーニングを含む身体活動の実施が推奨されている.著者らは地域住民に対して運動教室や体力測定会を開催し,データ収集・分析を通して,ロコモの予防・改善に効果的な運動プログラムとして,「ロコモ予防運動プログラム」を開発した.これは自体重を利用した軽負荷での筋力トレーニングであり,回数,動作スピード,セット数,およびセット間休憩時間を変えて運動強度を調整し,2週間ごとにトレーニングの種目数や運動強度を漸増する全12週間のプログラムである.コロナ禍におけるオンライン運動教室の取り組みについても紹介されている.

口腔機能向上サービスの新たな視点――オーラルフレイル 平野浩彦氏
 オーラルフレイルとは,高齢期に口腔保健への意識が低下し,口のささいなトラブルが生じ,それらを放置してしまうことにより,口腔機能が低下し,食べる機能が障害される一連の現象および過程をモデル化した概念である.要介護認定のリスクであるため,早期から対応する必要がある.オーラルフレイルの管理プログラムには講座による啓発,口腔衛生指導,口腔機能の運動,自宅での自主トレーニングが含まれる.口腔機能の運動プログラムは,準備体操(深呼吸と口腔関連複合体操),開口訓練,舌圧訓練,発音訓練,咀嚼訓練で構成され,滑舌,舌機能,嚥下機能,咀嚼機能の評価に基づいて選択される.

通いの場づくり――日本老年学的評価研究機構(JAGES)の知見から 井出一茂氏ら
 地域在住高齢者が通いの場に参加することにより,個人の行動が変わり,主観的健康感などが改善し,要介護認定リスクや認知症発症リスクが低下するという日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study;JAGES)が蓄積してきた通いの場と健康に関するエビデンスが政策評価指標群のフレームワークに沿って示されている.COVID‒19感染拡大後に実施された実態調査では通いの場への参加頻度が減少した高齢者ではフレイルリスクが高まることが明らかとなった.JAGES のこれまでの取り組みのうち,本稿では,愛知県武豊町や千葉県松戸市での取組みが紹介されている.

コロナ禍における介護予防「オンライン通いの場アプリ」 島田裕之氏ら
 COVID‒19感染拡大防止のため,通いの場の多くが活動を自粛するなど,高齢者が外出し,人と接する機会が減少している.著者らは,このような状況下においても高齢者が介護予防に取り組むことができるように「オンライン通いの場アプリ」を開発した.本アプリは,健康づくりや介護予防に役立つ情報を配信するだけでなく,利用者が散歩コースや体操動画を検索できたり,認知機能トレーニングを目的としたゲームができたりするなど身体的・認知的活動や外出を支援する機能,チャートボードを通して会話ができるコミュニケーション機能,さらに食事などを自己管理できる機能も備えている.

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

介護予防領域でのリハビリテーションの現状と課題
大渕修一

ロコモ・サルコペニア予防運動プログラムの開発と社会実装への取り組み
沢田秀司,他

口腔機能向上サービスの新たな視点――オーラルフレイル
平野浩彦

通いの場づくり――日本老年学的評価研究機構(JAGES)の知見から
井手一茂,他

コロナ禍における介護予防「オンライン通いの場アプリ」
島田裕之,他


●巻頭言
認知症のある人の靴を履くこと
内田達二

●入門講座 どう選ぶ? 介護保険のリハビリテーション・機能訓練⑤
小規模多機能型居宅介護
高橋誠一

●実践講座 医療機関における治療と仕事の両立支援⑤
両立支援の実際――脳卒中
尾﨑 文,他

●研究と報告
人工知能は嚥下音の波形画像から嚥下障害の重症度を判別できるかの検討――嚥下音波形図からのAIによる嚥下障害重症度判別
村田和弘,他

●症例報告
精神発達が比較的良好で運動障害が重度な子供の発達支援――チームアプローチによるコミュニケーション支援
小嶋優加子,他

●集中講座 評価法の使い方 シリーズ2 各論(疾患別篇)⑫
第24回(最終回) がん
伏屋洋志,他

●新専門医制度における研修プログラム 第5回
一般病院を基幹研修施設とする研修プログラム――リハビリテーション科専門医研修プログラムORCA
宮越浩一,他

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
菊池寛の『マスク』――スペイン風邪への対応
高橋正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「サマーフィルムにのって」――映画ってさ,スクリーンを通して今と過去を繋いでくれるんだ
二通 諭

●学会印象記
第58回日本リハビリテーション医学会学術集会
篠田裕介,他

●学会報告
第50回中国四国リハビリテーション医学研究会
千田益生

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