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AO法骨折治療 Hand


監訳:田中 正
訳者代表:金谷 文則/澤口 毅

  • 判型 A4
  • 頁 576
  • 発行 2018年04月
  • 定価 28,080円 (本体26,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03241-4
手の外科に特化して、AOマニュアルがさらに進化!
初版にあたる『AO法骨折治療―Hand and wrist』を分冊化し、手の外科に特化してリニューアル。部位別に豊富な症例写真と明解なイラストを用い、手術の適応、術前計画、推奨される進入法、整復法、固定法、リハビリテーションに至るまで、骨折治療の実際を詳細に解説。さらに、26例の動画がWeb上で閲覧できるなど、AOが有する教育資源を余すところなく詰め込んだ手の外科医のためのAOマニュアルが完成!
序 文
日本語版の序推薦の序謝辞

日本語版の序

 このたび“Manual of Fracture Management─Hand”の日本語版『AO法骨折治療 Hand』が出版される運びとなりました.初版のマニュアルは2...
日本語版の序推薦の序謝辞

日本語版の序

 このたび“Manual of Fracture Management─Hand”の日本語版『AO法骨折治療 Hand』が出版される運びとなりました.初版のマニュアルは2005年に出版され,以後10年以上が経過しましたが,手の外科領域ではこの間さまざまな進歩があり,それらを踏まえた待望の改訂版となりました.また,初版では“Hand and Wrist”であったものが,今回“Hand”と“Wrist”の2つに分冊化され,この「Hand版」では新たな手術アプローチやロッキングプレートなどの新しいテクノロジーを含めた最新の知見がふんだんに盛り込まれております.

 本書は「第1部 手術進入法」と「第2部 症例」の2つの部に大きく分かれ,前版と同様に症例をとおして学ぶという形式をとっています.すなわち,さまざまな部位のさまざまなタイプの骨折について,症例提示から始まり,術前計画,手術進入法,整復・固定手技,代替法,後療法などを述べ,要所要所で治療上のコツ(Pearl)とピットフォール(Pitfall)に言及して合併症やその回避法について説明するなど,1つの骨折について総括的な知識を得ることができます.

 さらに,本書はX線や臨床写真などの画像とAO Surgery Referenceなどで使われているシェーマ(図)を組み合わせて解説することにより非常に読みやすくなっています.また,手術進入法や実際の固定手技などを動画で見ることができるなど,マニュアル全体をとおして読者が非常に理解しやすい視覚に訴える手法をとっていることが,本書の最大の特徴となっています.

 手の骨折は日常よく遭遇する外傷であり,手外科専門医が治療する施設が多くなってきてはいるものの,現実にはまだまだ研修医や一般整形外科医,救急医が初療することも多いと思われます.本書はそのような先生方にとっても非常にわかりやすく,AOの治療原則に則った骨折治療のGold standardを学ぶのに最適な教科書であると確信しております.ぜひ,本書を座右の書として日常診療にお役立ていただきたいと願っております.

 2018年3月
 監訳者
 田中 正


推薦の序

 Jesse Jupiter,Fiesky Nuñez,Renato Frickerらはそれぞれが手の骨折治療について数十年に及ぶ経験を有している.このようなユニークでインタラクティブ,そしてすばらしい図解付きの専門書『AO法骨折治療 Hand』を完成させるのに適した整形外科医は,実にこの3人をおいてほかにいないであろう.

 本書は単純な骨折から複雑なものまでのすべての手の骨折を取り上げている.ここには外傷後の合併症や必要とされる再建手術などの項が含まれる.本書は前版を改訂し,ユニークな手術アプローチを加え,角度安定性のあるデバイスを含む新しいインプラントや科学技術を提供している.本書は論理的で創造力に富み,わかりやすい編成となっている.まず手術進入法の詳細から始まり,手術戦略を説明した動画にリンクしている.次いで症例の部へとつながり,手のさまざまな外傷を提示している.加えて,症例は詳細なX線や臨床写真,フォローアップでの結果を含めわかりやすく解説されている.著者らは読者の最大の利益となるように,視覚に訴えるようなすばらしい画像と電子的なテクノロジーを活用したマニュアル作成に時間を費やしたのである.

 編集者であるJesse,Fiesky,そしてRenatoは,3つの異なる大陸で患者ケアを提供しているが,彼らの手の外傷に関連した経験は非常に似ている.何年もの間,彼らとともに働き,教えられた恩恵から,私は,彼らの患者ケアに対する献身と骨折治療の科学の熟達,そして,彼らがとても教育熱心であることを保証できる.本書には彼らの多大な献身が反映されている.

 私はこのマニュアルの改訂版が前版よりさらに多くの人に愛読され,世界中の手の外科医,外傷整形外科医の重要な参考書籍となることを確信している.

 Terry Axelrod 

Terry S Axelrod, MD, MSc, FRCSC
Professor, Department of Surgery
Division of Orthopaedics
University of Toronto
Toronto, Canada




 初版発行から10年を経る間に,われわれは手と手関節の両方において,骨・関節内骨折の手術治療の進歩の数々を目にしてきた.そして,共編者であるFiesky NuñezとRenato Frickerとともに,これらの大きな進歩に重点を置いて改訂版を世に出す時期であることに気づいた.しかし,それに値する新しい出版物を作成するにあたり,これまでのマニュアルを手の外科の革新と技術に特化した1冊と手関節のみに特化したもう1冊に分冊化することにした.

 これにより,このAO publicationの改訂版『AO法骨折治療 Hand』では,読者は手の外傷患者に影響を及ぼす一般的な手技と複雑な手技の両方について,広くより詳細なレビューを読むことになるだろう.本書には,特に近位指節間関節に特化したユニークな手術進入法,角度安定性のあるロープロファイルの新しいインプラントデザインや技術,そして膨大な数の,新しく,以前より良好な症例写真が掲載されている.

 本書は2つの大きなパートからなる.「第1部 手術進入法」では,手のあらゆる箇所におけるさまざまなタイプの外傷を有効に治療するために,推奨される進入法と展開について説明している.「第2部 症例」では,変形癒合や偽関節,切断例まで含んだ多くの難治性骨折とともに実際の症例の治療を数多くのテクニックと骨折型を紹介しながら明示している.さらに,症例説明と推奨される手段については,AO Foundation独自のオンライン教育サイトAO Surgery Referenceから多くの図が使用されている.これによって大変喜ばしいことに,これらの画像や図,さらには進入法,手技実演の動画によるサポートが可能となっている.読者は,それぞれの症例の実際の臨床画像と,図示された推奨手技を直接比較することができる,という非常に印象深い経験をしっかりと体験できる.

 最後に,このマニュアルは手のすべてのおこりうる骨折のための包括的なテキストとして扱うものではないということ,また編集者は骨格や関節の外傷において外科手術を必要としない多くの症例があることを理解していると明言しておきたい.マニュアルには1つだけ,あるいは別のやり方,骨折と再建例の2つのオプションが紹介されている.読者のなかには,提示された手技とは別の,独自のテクニック,変法や代替法を行っている人もいるであろうことは理解している.経験豊かな先生方からのフィードバックはいつでも歓迎する.われわれはこの出版の作成過程においてお力添えをいただいた多くの整形外科医,教育者,イラストレーター,そして編集スタッフに心から感謝し,自信をもって本書をあなた方と分かち合いたいと思う.

 Jesse B Jupiter, MD
 Fiesky Nuñez, MD
 Renato Fricker, MD


謝辞

 貢献してくださった数多くの皆さまの献身と助力なしに『AO法骨折治療 Hand』は執筆,出版に至ることができなかった.多くの教育委員会とワーキンググループの合間を縫って時間をつくってくれた勤勉なAO surgeonたち,症例の説明文や図を無報酬で提供してくださった外科医の先生方,われわれ自身の医療施設のスタッフの方々,そしてAOTraumaとAO Education Instituteのチームの方々,われわれの価値ある出版物を作成することに協力していただいたそれぞれの,そしてすべての方々に感謝申し上げる.

 多くの方々への御礼を申し上げると同時に,特に以下の皆さまの名前をあげさせてもらいたい.
AO Education Commissionのメンバーの皆さまには,本書の作成に賛同していただき,教育の機会を認め,資料をご提供いただいた.
AO Education InstituteのUrs RüetschiとRobin Greeneからは,ご助言と専門的技術を提供していただいた.またこの出版を準備するために非常に多くの財源とスタッフを最大限に提供していただいた.
画像や症例のサポートを惜しみなく提供してくださった世界中の多くの外傷外科医の先生方,特にDoug Campbell,Lam Chuan Teoh,Ladislav Nagy,そしてこの改訂に特にかかわってはいないが,未来の世代の外科医を教育しトレーニングすることに関して同じ志を共有する人たち全体に御礼を述べたい.
トロント大学外科教授であるTerry Axelrodには思いやりのある推薦の序を書いていただいた.
出版マネージャーであるCarl Lau,このプロジェクトのプロジェクトマネージャーであるMichael Gleeson,本書の2,000を超えるイラストを考案し,調整,作画を手助けしてくれた信じられないくらい勤勉なチームのJecca Reichmuth,Tamara Aepli,そしてRoger Kistler.
ハンドモジュールの編集作業に携わってくれたLars Veum,そして元AO Surgery ReferenceマネージャーのTobias Hoevekamp,Mike Redies,Chris Colton,Matej Kastelec,そしてこの規格外のオンラインソースを開発し拡大した,多くの疲れ知らずな執筆者と編集者を含むAO Surgery Referenceのチームの皆さま.
Nougat designからTom Wirth,Rolf Joray.われわれの出版パートナーであるThiemeからFiona Henderson.
そして最後に,この(そして他の多くの)プロジェクトにかかわっている間,尽きることのないサポートと励ましで支え続けてくれた,われわれ自身のパートナーと家族に感謝を述べたい.

 Jesse B Jupiter, MD
 Fiesky Nuñez, MD
 Renato Fricker, MD
目 次
日本語版の序
推薦の序

謝辞
編集・執筆者一覧
略語一覧

第1部 手術進入法
 1 進入法
  1.1 MP関節に対する背側進入法
  1.2 基節に対する軸正中進入法
  1.3 基節に対する背側進入法
  1.4 PIP関節に対する掌側進入法
  1.5 PIP関節への軸正中進入法
  1.6 PIP関節に対する背側進入法
  1.7 中節への軸正中進入法
  1.8 中節に対する背側進入法
  1.9 DIP関節に対する掌側進入法
  1.10 DIP関節に対する背側進入法
  1.11 母指MP関節に対する背側進入法
  1.12 母指MP関節に対する背尺側進入法
  1.13 母指IP関節に対する背側進入法
  1.14 母指基部に対する橈掌側進入法
  1.15 中手骨に対する背側進入法
  1.16 母指中手骨に対する背側進入法
  1.17 第2中手骨に対する背橈側進入法
  1.18 第5中手骨に対する背側進入法
  1.19 第5中手骨基部に対する背尺側進入法

第2部 症例
 2 基節
  2.1 基節,基部関節内骨折─LCP T-プレートと骨移植による治療
  2.2 基節,基部関節内骨折─ミニコンディラープレートと骨移植による治療
  2.3 基節,基部剪断骨折─ラグスクリューによる治療
  2.4 基節,基部関節内開放骨折─ラグスクリューによる治療
  2.5 基節,基部裂離骨折─引き寄せ締結法による治療
  2.6 基節,基部裂離骨折─ラグスクリューによる治療
  2.7 基節,骨端部斜骨折─ミニコンディラープレートによる治療
  2.8 基節,骨端部横骨折─ロッキングT-プレートによる治療
  2.9 基節,骨端部不安定型骨折─K-ワイヤによる経皮的治療
  2.10 基節,骨端部多発骨折─ミニコンディラープレートによる治療
  2.11 基節,骨幹横骨折─ミニコンディラープレートによる治療
  2.12 基節,骨幹螺旋骨折─ラグスクリューによる治療
  2.13 基節,骨幹開放性多骨片骨折─架橋プレートによる治療
  2.14 基節,遠位骨端部頚部横骨折─ミニコンディラープレートによる治療
  2.15 基節単顆骨折─ラグスクリューによる治療
  2.16 基節両顆骨折─ラグスクリューによる治療
  2.17 基節両顆骨折の変形癒合─骨切り術とラグスクリューによる治療
 3 近位指節間(PIP)関節
  3.1 PIP関節脱臼骨折─ラグスクリューもしくは創外固定による治療
  3.2 PIP関節脱臼骨折─掌側ラグスクリューを用いた治療
  3.3 PIP関節脱臼骨折─スクリューで治療した中央嵌入骨折
  3.4 PIP関節脱臼骨折─半有鉤骨関節形成術による再建
  3.5 PIP関節脱臼骨折─変形癒合に対する骨切り術とラグスクリュー
 4 中節と末節
  4.1 中節骨欠損を伴った開放骨折─架橋プレートならびに骨移植による治療
  4.2 中節単顆骨折─ラグスクリューによる治療
  4.3 末節マレット骨折─石黒法による治療
  4.4 末節マレット指─ラグスクリューによる治療
 5 母指
  5.1 母指基節長斜骨折─ラグスクリューによる治療
  5.2 母指基節ピロン骨折─LCP T-プレートによる治療
  5.3 母指中手骨基部関節外骨折─LCPコンディラープレートによる治療
  5.4 母指中手骨基部Bennett骨折─非観血的整復ならびに経皮K-ワイヤ固定による治療
  5.5 母指中手骨基部Bennett骨折─ラグスクリューによる治療
  5.6 母指中手骨基部3パート関節内Rolando骨折─LCP T-プレートを用いた治療
  5.7 母指中手骨基部多骨片関節内骨折─創外固定器による治療
  5.8 母指中手骨変形癒合─骨切り術ならびにLCPによる治療
  5.9 骨欠損を伴った母指基節複雑骨折─複数の固定法による治療
  5.10 母指基節萎縮性偽関節─ミニコンディラープレートを用いた治療
 6 中手骨
  6.1 中手骨横骨折─LCPによる治療
  6.2 中手骨長斜骨折─骨片間ラグスクリューによる治療
  6.3 中手骨短斜骨折─ラグスクリューと中和プレートによる治療
  6.4 中手骨,骨幹部多骨片骨折─架橋プレートによる治療
  6.5 中手骨骨頭下骨折─K-ワイヤによる治療
  6.6 中手骨,骨頭関節内骨折─スクリューによる治療
  6.7 中手骨,基部関節内骨折─T-プレートによる治療
  6.8 中手骨,頚部変形癒合─骨切り術,テンションバンド縫合およびK-ワイヤ髄内釘による治療
  6.9 中手骨,骨幹部偽関節─LCPおよび骨移植による治療
  6.10 中手骨,基部遷延骨癒合─ラグスクリュー,中和プレートおよび骨移植による治療
 7 複雑な損傷
  7.1 基節骨折の回旋変形─骨切り術およびT-プレートによる治療
  7.2 中手骨レベルでの切断再接着─T-プレート,K-ワイヤによる固定

付録
 参考文献
 索引