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基礎看護技術


(第8版)

著:阿曽 洋子/井上 智子/伊部 亜希

  • 判型 A4
  • 頁 428
  • 発行 2019年02月
  • 定価 5,184円 (本体4,800円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03563-7
教員から学生まで基礎看護技術学習者必読の1冊
新たな執筆体制により8年ぶりの改訂。地域包括ケアシステムの推進により、地域で生活する療養者への看護援助がクローズアップされていることや、対人関係が苦手な学生が増えている現状に対応すべく、構成を変更。学生が看護基礎教育のなかで、療養中の生活者の暮らし向きを理解し、援助とは何かを考えることができる内容となっている。
序 文
第8版 まえがき

 第8版の発行にあたっては,大きな変化があった。初版から第7版までを執筆された恩師氏家幸子先生(大阪大学名誉教授)の大英断により,執筆者として氏家先生の名前が外れ,阿曽洋子と井上智子,新たに加わった伊部亜希の執筆体制となったことである。
 氏家先生は本書の初版...
第8版 まえがき

 第8版の発行にあたっては,大きな変化があった。初版から第7版までを執筆された恩師氏家幸子先生(大阪大学名誉教授)の大英断により,執筆者として氏家先生の名前が外れ,阿曽洋子と井上智子,新たに加わった伊部亜希の執筆体制となったことである。
 氏家先生は本書の初版から第3版までを単著としてご執筆され,阿曽が第4版から,井上が第6版から執筆に加わった。しかし,本書は氏家先生のご執筆部分が多くを占めている。今回は,そのような貴重な記述内容を引き継ぎ,後世に残す著書として再出発させていただくことになった。氏家先生の寛大なお心とご厚意に身を引き締めるとともに,深謝申し上げる。
 阿曽・井上は,大阪大学で教鞭をとられていた氏家先生の教え子でもあり,また基礎看護学の助手として勤務した。私たちは,氏家先生の「基礎看護技術」に対する教育理念を受け継ぎ,各々がその後の授業を行ってきた。伊部は,看護学生として阿曽の「基礎看護技術」の授業を受け,その後に助手になり阿曽・井上の同僚および共同研究者として勤務していた。第8版に伊部が執筆者に加わることは,氏家先生の「基礎看護技術」の教育理念をさらに次世代に伝え続けていく意思の表明でもある。
 氏家先生は,「基礎」とは何か,「看護技術」とは何か,を常に思考し,理論づけるためのエビデンスを追究し,「基礎看護技術」を体系化することを教育理念としてきた。第8版の改訂にあたっては,初版から第7版までの「まえがき」を改めて読み返し,生活者として人を捉え,その人のQOL(quality of life)を担保するための援助として「基礎看護技術」を位置づけ,改訂を行った。

 第8版では,医療の現状と学生気質を考慮し,第7版までの記述も引き継ぎつつ,現在の医療状況や学生気質を勘案して構成を検討した。医療の大きな流れとして,2016(平成28)年に厚生労働省が地域包括ケアシステムとして,「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に,重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築の実現」を提唱したことが真っ先にあげられる。
 また,厚生労働省は病院の在院日数を保険点数に反映させ,療養を医療機関から在宅へと推進し,在宅での訪問看護の需要が高まってきた。これらのことより,地域で生活する療養者に対する看護援助がクローズアップされた。
 そして,現在の学生気質として,対人関係が苦手でコミュニケーション能力が養われていないこと,生活観が乏しく生活者としての暮らし向きの理解ができないことなどがあげられている。人が対象となる看護分野では,これらの気質は看護基礎教育のなかで変容させる必要がでてきた。
 以上のような背景から,第8版では対象者(人)への理解や,通常の生活者としての生活リズムや行動を学生みずからの体験から理解し,それを基盤として,療養中の生活者(患者)に対しての援助とは何かを考えることが必要であると考えた。
 これらをふまえ第8版の構成は,以下の5章に再構成した。
(1)序章:「看護技術の基本となるもの」として,日常生活に欠かせない対人コミュニケーションと,健康レベル・生活リズムをおいた。また,日常生活では思考過程を通して行動しており,看護過程は,看護を行う場合の思考過程としてとらえた。
(2)第1章:「健康支援に共通する看護技術」は,情報収集・バイタルサインを教授して対象者に対する観察力を養い,日常生活活動・動作から対象者の生活上での支援内容を理解できるものとした。また,生活環境と健康状態から対象者の環境上の支援内容を述べ,看護として援助するための基本的な理念としての安全・安楽についての援助を示した。
(3)第2章:「生活を整える看護技術」は,体位・姿勢や移動,着衣・更衣や寝具・寝室の管理,食事と栄養管理,排泄と排泄管理,皮膚の清潔の管理をまとめ,人の日常生活における行動をどのように援助するかを考えることができる内容とした。
(4)第3章:「診療を支える看護技術」は,感染予防,診療場面での安全と医療機器の管理,検体・静脈血の採取と管理,患部の保護と罨法,薬の管理と適用,注射薬の管理と適用を述べ,医療場面での患者の援助について,看護としてどのように取り組むかを理解できるようにした。
(5)結章:「すべての看護技術を用いるもの」は,序章から第3章までの知識と援助を統合した看護技術と位置づけ,褥瘡の予防と管理,ならびに命の終わりを看取るための援助をまとめた。「結章」という用語は本書の造語である。終章とするのが通常ではあるが,「ターミナル」を人生の終わりではなく人生の集大成としてとらえたいと考え,あえて「結章」という造語を用いた。
 以上のように構成を変更したが,読者の方々にとって,興味がもてる内容になっているかどうかについて,忌憚のないご意見やご助言をいただければありがたい。いただいたご意見を真摯に受けとめ,さらに情報を収集し,修正を加えて充実した内容にしていきたいと思っている。
 終わりに改めて,本書を引き継ぐことに重責を感じつつ,大英断をされた恩師氏家幸子先生に畏敬の念をはらうとともに,ご指導・ご助言をいただきましたことに心より感謝申し上げる。そして,本書が看護学生のバイブルとして永く出版されることを僭越ながら祈念する。さらに,このような機会を与えてくださいました医学書院の方々に心よりお礼を申し上げる。

執筆者を代表して  阿曽 洋子
目 次
序章 看護技術の基本となるもの
 A コミュニケーション・態度と会話
  1 コミュニケーション・態度と会話に関する看護の意義
  2 コミュニケーション・態度と会話に関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例
 B 健康レベル・生活リズム
  1 健康レベル・生活リズムに関する看護の意義
  2 健康レベル・生活リズムに関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例
 C 看護過程
  1 看護過程に関する看護の意義
  2 看護過程に関する基礎知識

第1章 健康支援に共通する看護技術
 D 情報収集・バイタルサイン
  1 情報収集・バイタルサインに関する看護の意義
  2 情報収集・バイタルサインに関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例
 E 日常生活活動
  1 日常生活活動に関する看護の意義
  2 日常生活活動に関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例
 F 生活環境と健康
  1 生活環境と健康に関する看護の意義
  2 生活環境と健康に関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例
 G 安全・安楽
  1 安全・安楽に関する看護の意義
  2 安全・安楽に関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例

第2章 生活を整える看護技術
 H 体位・姿勢と移動の工夫
  1 体位・姿勢と移動の工夫に関する看護の意義
  2 体位・姿勢と移動の工夫に関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例
 I 着衣・更衣と寝具・寝室,住環境の管理
  1 着衣・更衣と寝具・寝室,住環境の管理に関する看護の意義
  2 着衣・更衣と寝具・寝室,住環境の管理に関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例
 J 食事と栄養管理
  1 食事と栄養管理に関する看護の意義
  2 食事と栄養管理に関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例
 K 排泄と排泄管理
  1 排泄と排泄管理に関する看護の意義
  2 排泄と排泄管理に関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例
 L 身体の清潔と皮膚・粘膜の管理
  1 身体の清潔と皮膚・粘膜の管理に関する看護の意義
  2 身体の清潔と皮膚・粘膜の管理に関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例

第3章 診療を支える看護技術
 M 感染予防
  1 感染予防に関する看護の意義
  2 感染予防に関する基礎知識
  3 感染予防に関する具体例
 N 診療場面での安全と医療機器の管理
  1 診療場面での安全と医療機器の管理に関する看護の意義
  2 診療場面での安全と医療機器の管理に関する基礎知識
  3 診療場面での安全と医療機器の管理に関する具体例
 O 検体・静脈血の採取と管理
  1 検体・静脈血の採取と管理に関する看護の意義
  2 検体・静脈血の採取と管理に関する基礎知識
  3 検体・静脈血の採取と管理に関する具体例
 P 患部の保護と罨法
  1 患部の保護と罨法に関する看護の意義
  2 患部の保護と罨法に関する基礎知識
  3 患部の保護と罨法に関する具体例
 Q 薬の管理と適用
  1 薬の管理と適用に関する看護の意義
  2 薬の管理と適用に関する基礎知識
  3 薬の管理と適用に関する具体例
 R 注射薬の管理と適用
  1 注射薬の管理と適用に関する看護の意義
  2 注射薬の管理と適用に関する基礎知識
  3 注射薬の管理と適用に関する具体例

結章 すべての看護技術を用いるもの
 S 褥瘡の予防と管理
  1 褥瘡の予防と管理に関する看護の意義
  2 褥瘡の予防と管理に関する基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例
 T 命の終わりを看取る
  1 命の終わりを看取る看護の意義
  2 命の終わりを看取る基礎知識
  3 対象・状況・目的別:援助の具体例

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