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ティアニー先生のベスト・パール2


著:ローレンス・ティアニー 
訳:松村 正巳

  • 判型 A5
  • 頁 186
  • 発行 2012年10月
  • 定価 2,750円 (本体2,500円+税10%)
  • ISBN978-4-260-01712-1
待望の第2弾。ティアニー氏厳選144パール!
「診断の神様」と賞賛されるティアニー氏は、臨床の知を短いフレーズにまとめた「クリニカル・パール」の神様としても知られる。絶賛された前作に続く本書では、循環器疾患や消化器疾患から眼科、耳鼻咽喉科、精神科まで、一般診療医が遭遇しうる幅広い領域にわたり、とっておきのクリニカル・パールを選んでいただいた。日々の診療、日々の臨床研修に刺激を与えてくれる待望のパール・ブック第2弾。
序 文
序-PREFACE

 私のパールを扱った『ティアニー先生のベスト・パール』に続き,『ティアニー先生のベスト・パール2』を上梓できたのは大きな喜びです.この本では,昨年出版した『ベスト・パール』よりもい...
序-PREFACE

 私のパールを扱った『ティアニー先生のベスト・パール』に続き,『ティアニー先生のベスト・パール2』を上梓できたのは大きな喜びです.この本では,昨年出版した『ベスト・パール』よりもいささか多くのパールを取り上げ,日本の医学生,研修医,臨床医の方々に,同様の関心を持っていただけるものと考えています.私は,前著『ベスト・パール』がサンフランシスコの私のオフィスで,これを読んだ米国の医師たちから熱烈に受け入れられたことを思い出します.このことは,パールは国境を超えた関心をもたらすことを示し,臨床医学そのものが存在する限り,パールは確実にそこにあり続けると私は考えています.前著『ベスト・パール』と同様,再度強調します.パールは,あたかもすべてのケースにおいて通用するかのような表現形式で語られますが,実際には,いくつかのケースにおいては真実である,というのが正しいところかもしれません.しかし,パールは,そのような表現形式をとるからこそ,臨床で遭遇するあらゆる問題に向き合う際に,医師が決して謙虚さを失わないように,その心に訴えかける最良のツールなのです.パールとは重要なコンセプトを瞬時に学ぶひとつの方法だと学習者たちは気づきます.パールはツイートであり,ツイッターの登場を予見していたという人もいるかもしれません! EBM(Evidence-Based Medicine)はより難しく複雑なものかもしれませんが,パールは今もなお,EBMと同等の価値を有します.多くの患者が最良のケアを受けるためには,常にパールとEBM,そして思慮分別のコンビネーションが不可欠なのです.
 今回もこの優れた翻訳を担ってくれた金沢大学の松村正巳医師に感謝します.この本でなされたように,同時に2 つの言語で記述された医学書籍は,他には存在しないでしょう.
 私たちは読者にこの本を楽しんで読んでいただけることを心から願っています.洗練された編集と,機敏なる出版をしてくださった医学書院に感謝します.

It is a great pleasure to add a second volume to our fi rst book about my clinicalpearls. Th is volume has a few more than last year’s, and I think will be of equalinterest to students, residents, and practicing physicians in Japan. I might pointout that the fi rst book was enthusiastically received by American doctors whohad the opportunity to read it in my offi ce in San Francisco. Th is indicates auniversal interest, I think, in the clinical pearl, and indeed it has existed for aslong as clinical medicine itself. It should be emphasized again, as in the previousedition, that the pearl is delivered in a way that sounds as though it is truein all cases, and while perhaps some are, it is always best to keep an open mindabout any problem encountered in medicine. Learners fi nd the pearl to be away to learn important concepts rapidly; one might say that it anticipatedTwitter, with the pearl being a tweet! Still, there is equal value in evidencebasedmedicine, even if it is more challenging and complicated. As always,most patients require a combination of the pearl, evidence-based medicine, andcommon sense to receive the best care.
Again, my thanks to the great Masami Matsumura of Kanazawa University forhis superb translation. It is our opinion that there is really no book in the medicalliterature in which simultaneous presentation of the material in two greatlanguages exists, as it does here.
Professor Matumura and I hope you enjoy reading our work. Our thanks toIgaku-shoin for their fi ne work in production and prompt publication.

 2012年9月
 September, 2012

 ローレンス・ティアニー
 Lawrence M. Tierney Jr, MD
 松村正巳(訳)
 Masami Matsumura, MD
書 評
  • さまざまなレベルの医師に活用してもらいたい奥深いパールの数々
    書評者:清田 雅智(飯塚病院・総合診療科)

     物事を単純化することは,しばしば行動を誤らせる原因になる。現実世界では,単純化されたマニュアル的な対応だけでは通用しないことがしばしば起こる。しかし細かいことにこだわらなければ,おおむねマニュアルは使い勝手が良いことが多い。

     クリニカル・パールというのは,米国では昔から行われていた教育手段...
    さまざまなレベルの医師に活用してもらいたい奥深いパールの数々
    書評者:清田 雅智(飯塚病院・総合診療科)

     物事を単純化することは,しばしば行動を誤らせる原因になる。現実世界では,単純化されたマニュアル的な対応だけでは通用しないことがしばしば起こる。しかし細かいことにこだわらなければ,おおむねマニュアルは使い勝手が良いことが多い。

     クリニカル・パールというのは,米国では昔から行われていた教育手段だという。日本でも,経験のある医師がしばしば臨床の“コツ”を伝えるという教育手段はあった。それは経験則として語られていたと思う。個人的な見解だが,日本で聞くその手の“コツ”というのは,しばしば誤用されて伝わっているものだったり,独善的な知識の場合もあると感じていた。それはその経験則が,何から導き出されているのか十分検証されることがなかったからだと思っていた。私はそういう“コツ”を聞くと最初は疑いの目をもち,書物や文献によって検証して納得したものしか信用していなかった。

     過日の日本プライマリ・ケア連合学会で,私は初めてティアニー先生に症例を提示する機会に恵まれた。先生は一部の識者の間では,診断学では神の領域に近いと噂される人物と聞いていた。そこで約半年かけて症例を厳選し,おおむね40くらいの文献に目を通し,1940年代の文献も引いて根拠の裏付けも十分に行って臨んだ。先生は45枚準備したスライドの4枚目,年齢,性別,主訴,現病歴4行しか提示していない段階で,ほぼ核心に迫るtentative diagnosisに至っていた。こういう例は枚挙にいとまがないそうだが,目の前で見ると本当に恐ろしい人だと思った。一方で,提示した情報では理論上そのようにコメントするのが妥当だということも事前に検証して臨んでいたので,その思考プロセスが合致したことは私としてはうれしかった。そのケースとは,common disease rare presentationの例で,前著『ティアニー先生のベスト・パール』よりパール26を引用したものであった。今回の新しい版ではパール96に該当する疾患であるが,新版を読んでみると,なんとパールの中身も進化していた!

     パールには必ず単純化による限界がある。しかし,この人のパールは別格である。本書のパールには奥深い真理があり,読み流してはいけないと思う。私も隅々まで読み,その背景も調べることで得られるものがあった。訳者の松村先生にも敬意を表したい。パールの意図を汲みとれないと日本語と英語併記という形は難しかったはずだ。

     きっとさまざまなレベルの医師がこの本を利用できるであろう。
  • 臨床診断の「愉しみ」を心ゆくまで体験できる144パール
    書評者:八重樫 牧人(亀田総合病院総合診療・感染症科)

     ティアニー先生は「診断の神様」といわれ,NIH(米国国立衛生研究所)が毎年1名だけ選出するGreat Teacherにも選ばれたことがある全米を代表する総合内科医である。症例カンファレンスでの卓越した診断能力・教育能力,そして愛すべき人柄にファンが多く,毎年日本全国から講演依頼が殺到している。それ...
    臨床診断の「愉しみ」を心ゆくまで体験できる144パール
    書評者:八重樫 牧人(亀田総合病院総合診療・感染症科)

     ティアニー先生は「診断の神様」といわれ,NIH(米国国立衛生研究所)が毎年1名だけ選出するGreat Teacherにも選ばれたことがある全米を代表する総合内科医である。症例カンファレンスでの卓越した診断能力・教育能力,そして愛すべき人柄にファンが多く,毎年日本全国から講演依頼が殺到している。それだけでなく,先生の影響で臨床診断学や総合内科に興味を持ち,キャリアまでも変えた医師も数多い。数多くの症例カンファレンスで,ほんの一握りの追加情報が加えられただけで,診断に卓越した医師ならどう考えるかを研修医にもわかりやすくホワイトボードに書きながら語りかけてくれる。その診断能力が素晴らしいのはいうまでもないが,臨床医学の「愉しさ」が伝わってくるのもティアニー先生のカンファレンスの特徴である。

     診断能力などの技能を極めるためにはその分野が好きであることが近道である。好きであれば技能を極めるために必要な努力を惜しまず,積極的に努力できる。ティアニー先生のカンファレンスが素晴らしいのは,本来ならばティアニー先生の技能がないと感じられない臨床診断の「愉しみ」を,参加者までもが感じられるからではなかろうか。医療のサイエンスではなくアートの部分である。

     そのカンファレンスでの学びを一般化し,心にとどまりやすくし,ティアニー先生のカンファレンスを特徴付けているのがクリニカル・パールである。エビデンスに基づく教科書的な記載と異なり,「ざっくり」とした切り口で,わかりやすい形でわれわれ臨床家の心に響いてくる。ティアニー先生のカンファレンスは1つのパール,多くて数個のパールに集約されることが多い。このようなパールは一朝一夕にできるものではなく,数多くの経験によって洗練され,磨かれ抜いて光輝く。年代物のワインやビンテージ・ジーンズのように年を重ねるほど上質となる。Less is moreといわんがばかりに余計な記載がなく,1,2文であるがために鋭く心に響く。

     本書には厳選されたパールが144も収載されている。ティアニー先生のカンファレンスに144回も参加できるほど恵まれている医師はそうはいないだろう。ぜひ一読し,ティアニー先生のアートを144回疑似体験してほしい。
目 次
SYMPTOMS 症候
 1.Chest Pain 胸痛
 2.Dyspnea 呼吸困難
 3.Dyspnea 呼吸困難
 4.Weight Loss 体重減少
 5.Abdominal Pain 腹痛
 6.Fever 発熱

CARDIOLOGY 循環器疾患
 7.Acute Coronary Syndrome 急性冠症候群
 8.Aortic Insufficiency 大動脈弁閉鎖不全
 9.Aortic Stenosis 大動脈弁狭窄
 10.Mitral Stenosis 僧帽弁狭窄
 11.Mitral Regurgitation 僧帽弁閉鎖不全
 12.Atrial Fibrillation 心房細動
 13.Atrial Flutter 心房粗動
 14.Congestive Heart Failure うっ血性心不全
 15.Atrial Myxoma 心房粘液腫
 16.Cardiac Tamponade 心タンポナーデ
 17.Deep Venous Thrombosis 深部静脈血栓症
 18.Dilated Cardiomyopathy 拡張型心筋症
 19.Hypertension 高血圧症
 20.Hypertrophic Cardiomyopathy 肥大型心筋症
 21.Prinzmetal’s Angina プリンツメタル型狭心症

PULMONARY DISORDERS 呼吸器疾患
 22.Bacterial Pneumonia 細菌性肺炎
 23.Pulmonary Embolism 肺塞栓症
 24.Asbestosis アスベストーシス(石綿症)
 25.Asbestosis アスベストーシス(石綿症)
 26.Mycoplasma Pneumonia マイコプラズマ肺炎
 27.Foreign Body Aspiration 異物誤嚥
 28.Lung Abscess 肺膿瘍
 29.Pleural Effusion 胸水
 30.Allergic Bronchopulmonar Aspergillosis(ABPA)
   アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
 31.Asthma 気管支喘息

GASTROENTEROLOGICAL DISORDERS 消化器疾患
 32.Celiac Sprue セリアックスプルー
 33.Inflammatory Bowel Disease 炎症性腸疾患
 34.Duodenal and Gastric Ulcer 十二指腸潰瘍,胃潰瘍
 35.Gastroesophageal Reflux Disease 逆流性食道炎
 36.Mallory-Weiss Syndrome マロリー・ワイス症候群
 37.Whipple’s Disease ウィップル病
 38.Zollinger-Ellison Syndrome ゾリンジャー・エリソン症候群

METABOLIC DISORDERS 代謝性疾患
 39.Alcoholic Hypoglycemia アルコール性低血糖
 40.Hypercalcemia 高カルシウム血症
 41.Hyperkalemia 高カリウム血症
 42.Hypernatremia 高ナトリウム血症
 43.Hypocalcemia 低カルシウム血症
 44.Hypokalemia 低カリウム血症
 45.Metabolic Acidosis 代謝性アシドーシス
 46.Metabolic Alkalosis 代謝性アルカローシス
 47.Respiratory Acidosis 呼吸性アシドーシス
 48.Respiratory Alkalosis 呼吸性アルカローシス

KIDNEY DISORDERS 腎疾患
 49.Polycystic Kidneys 多発性嚢胞腎
 50.Obstructive Uropathy 閉塞性尿路疾患
 51.Nephrotic Syndrome ネフローゼ症候群
 52.Myeloma Kidney 骨髄腫腎
 53.Lupus Nephritis ループス腎炎
 54.Diabetic Nephropathy 糖尿病腎症
 55.Goodpasture Syndrome グッドパスチャー症候群
 56.Acute Glomerulonephritis 急性糸球体腎炎
 57.Kidney Stones 腎結石
 58.Benign Prostatic Hyperplasia 良性前立腺肥大症

NEUROLOGICAL DISORDERS 神経疾患
 59.Peripheral Neuropathy 末梢性ニューロパチー
 60.Parkinson’s Disease パーキンソン病
 61.Myasthenia Gravis 重症筋無力症
 62.Ischemic Stroke 虚血性脳卒中
 63.Subarachnoid Hemorrhage くも膜下出血
 64.Guillain-Barré Syndrome ギラン・バレー症候群
 65.Brain Abscess 脳膿瘍
 66.Cerebellar Ataxia 小脳失調
 67.Epidural Abscess 硬膜外膿瘍
 68.Coma 昏睡

OTOLARYNGOLOGICAL CONDITIONS 耳鼻咽喉疾患
 69.Acute Otitis Externa 急性外耳炎
 70.Otitis Media 中耳炎
 71.Acute Sialoadenitis 急性唾液腺炎
 72.Acute Sinusitis 急性副鼻腔炎
 73.Positional Vertigo 頭位性めまい
 74.Epiglottitis 喉頭蓋炎
 75.Epistaxis 鼻出血

OPHTHALMOLOGICAL DISORDERS 眼科疾患
 76.Angle Closure Glaucoma 閉塞隅角緑内障
 77.Age-Related Macular Degeneration 加齢黄斑変性症
 78.Cataracts 白内障
 79.Open Angle Glaucoma 開放隅角緑内障
 80.Corneal Ulceration 角膜潰瘍
 81.Diabetic Retinopathy 糖尿病網膜症
 82.Pinguiculum and Pterygium 瞼裂斑と翼状片
 83.Central Retinal Artery Occlusion 網膜中心動脈閉塞症
 84.Subconjunctival Hemorrhage 結膜下出血
 85.Uveitis ぶどう膜炎

INFECTIOUS DISEASES 感染症
 86.Lemierre’s Syndrome レミエール症候群
 87.Anthrax 炭疽
 88.Botulism ボツリヌス中毒
 89.Cat Scratch Disease ネコひっかき病
 90.Legionnaire’s Disease レジオネラ感染
 91.Meningococcal Meningitis 髄膜炎菌髄膜炎
 92.Plague ペスト
 93.Pneumococcal Infections 肺炎球菌感染症
 94.Psittacosis オウム病
 95.Elapsing Fever 回帰熱
 96.Secondary Syphilis 第2期梅毒
 97.Tuberculosis 結核
 98.Coccidiomycosis コクシジオイデス症
 99.Cryptococcosis クリプトコッカス症
 100.Sporotrichosis スポロトリクス症
 101.Ascariasis 回虫症
 102.Fish Tapeworm 広節裂頭条虫
 103.Amoebiasis アメーバ症
 104.Babesiosis バベシア症
 105.Giardiasis ランブル鞭毛虫症
 106.Malaria マラリア
 107.Q Fever caused by Coxiella burnetii Coxiella burnetii によるQ熱
 108.Rocky Mountain Spotted Fever(RMSF) ロッキー山紅斑熱
 109.Colorado Tick Fever コロラドダニ熱
 110.Cytomegalovirus サイトメガロウイルス
 111.Dengue Fever デング熱
 112.HIV/AIDS HIV/AIDS
 113.Epstein-Barr Virus エプスタイン・バーウイルス
 114.Influenza インフルエンザ
 115.Viral Encephalitis ウイルス性脳炎

ONCOLOGICAL DISORDERS 腫瘍性疾患
 116.Thyroid Cancer 甲状腺癌
 117.Testicular Cancer 精巣癌
 118.Renal Cell Carcinoma 腎細胞癌
 119.Pancreatic Cancer 膵癌
 120.Lung Cancer 肺癌
 121.Head and Neck Squamous Cell Cancer 頭頸部扁平上皮癌
 122.Colorectal Cancer 大腸癌
 123.Cholangiocarcinoma 胆管癌
 124.Acute Leukemia 急性白血病
 125.Essential Thrombocytosis 本態性血小板血症
 126.Hodgkin’s Disease ホジキン病
 127.Multiple Myeloma 多発性骨髄腫
 128.Myelofibrosis 骨髄線維症
 129.Non-Hodgkin’s Lymphoma 非ホジキンリンパ腫
 130.Polycythemia Vera 真性赤血球症

POISONING 中毒
 131.Acetaminophen アセトアミノフェン
 132.Benzodiazepines ベンゾジアゼピン
 133.Beta-blockers β遮断薬
 134.Carbon Monoxide 一酸化炭素
 135.Digitalis ジギタリス
 136.Lead 鉛
 137.Ethylene glycol エチレングリコール

CONGENITAL DISORDERS 先天性疾患
 138.Erythropoietic Porphyria 赤血球生成性ポルフィリン症

PSYCHIATRIC DISORDERS 精神疾患
 139.Delirium 譫妄
 140.Bipolar Disorder 双極性障害
 141.Eating Disorders 摂食障害
 142.Factitious Disorder 虚偽性障害
 143.Obsessive-Compulsive Disorder 強迫性障害
 144.Panic Disorder パニック障害
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