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コーチングで保健指導が変わる!

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たくさんの情報を集めて、クライアント(利用者や患者)に提案したのに、まったく関心をもってもらえない。がんばっているのに、クライアントとの関係が悪くなる。一生懸命保健指導をしているのに、結果が出なくて行き詰っている。そんな状況でお悩みなら本書を開いてみてほしい。本書では、保健指導で結果を出せるスキルをご紹介。これまでとは一味違う保健指導ができる1冊。

読者の皆様へ フォームデータ ダウンロードのご案内
本書掲載の各フォームは,下記よりダウンロードのうえ,本書とあわせてお使いください。
(URLが変わりました)
xls表15-1 個人面談記録フォーム(90頁) [Microsoft Excel 36.5KB]
xls表15-3 保健指導 継続カルテフォーム(92頁) [Microsoft Excel 35.5KB]
doc表15-5 ファックスフォーム(94-95頁) [Microsoft Word 48.5KB]

編著 柳澤 厚生
鱸 伸子 / 田中 晶子 / 磯 さやか
発行 2008年03月判型:A5頁:132
ISBN 978-4-260-00612-5
定価 1,980円 (本体1,800円+税)
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 新しいコミュニケーション技術として日本のビジネス界にコーチングが導入されたのは今から10年前でした。その当時から私たちは医療界や教育界にこそコーチングの技術が必要であると言い続けていました。コーチングは徐々に医療界に広がりました。平成17(2005)年12月に柳澤が厚生労働省のヒアリングで保健指導におけるコーチングの必要性について熱く語り,ようやく平成20(2008)年4月より始まる「標準的な健診・保健指導プログラム」にも保健指導技術としてコーチングが取り上げられるようになりました。ところがこのプログラムでは具体的な成果を出す保健指導を強く求めています。そのため保健指導の現場では「平成20年度問題」と言って対応に大わらわの状態です。
 このプログラムでは内臓脂肪型肥満といういわゆるメタボリック症候群に着目した保健指導が中心になります。ところがどんな人でも「あなたはメタボだから指導します」と面と向かって言われても素直にはなれません。どちらかといえば「余計なお世話だ」「そんなのわかっているよ」「忙しいのに勘弁してくれよな」という人がほとんどで,あなたの呼び出しに楽しそうな顔で来るとは思えません。このような状況で結果を出すのは大変なことです。
 私たちはコーチングを提唱している立場から,本書によってこの問題に応えることにしました。まず私たちは,保健指導が人と人とのコミュニケーションによって成り立っているという原点に立ち返りました。結果を出せる保健指導はクライアントとのコミュニケーションの成果です。そして本書はコーチングを学ぶことで保健指導者として基本的なコミュニケーション能力を高めることを意図に構築しました。
 さらに本書ではコーチングの定義をこれまで言われてきた「相手の能力を引き出すコミュニケーション技術」から「クライアントが自ら考え,決断し,行動を起こすコミュニケーション技術」に大きく変えました。クライアントに自ら自分の健康について考えさせることがクライアントの決断につながり,行動を起こすことができると考えたのです。さらに,これまで長年にわたってGROWモデルと呼ばれていた定番のコーチングの進め方を捨て,オリジナルの「5つの基本ステップ」を提唱し,このステップを使ったオリジナルのカルテも作りました。これにより,現場ではコーチング方式の保健指導を導入しやすくなりました。私たちは読者の皆様が本書によって成果が出せる保健指導を実現し,平成20年度問題を克服されることを願ってやみません。
 最後に,筆者らのわがままを忍耐強く,笑顔で受け容れてくださった医学書院の藤居尚子女史にこの場を借りて,深く感謝を申し上げます。

 2008年2月
 柳澤厚生・鱸 伸子・田中晶子

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1 コーチングを学ぼう
2 コーチングの歴史と研究
3 基本スキル(1)-信頼関係(ラポール)の構築と環境の設定
4 基本スキル(2)-傾聴
5 基本スキル(3)-承認
6 基本スキル(4)-質問
7 基本スキル(5)-提案
8 クライアントのタイプに合わせた保健指導
9 5つの基本ステップ
10 Step1で使う質問
 「どのような健康を手に入れたいですか?」【目標を決める】
 「現状はどうですか?」【現状を知る】
11 Step2で使う質問
 「うまくいってないことは何ですか?」【障害を知る】
 「うまくいっていることは何ですか?」【強みを知る】
12 Step3で使う質問
 「目標達成のためにあなたは何ができますか?」【戦略を練る】
13 Step4で使う質問
 「私がサポートできることは何ですか?」【サポートする】
14 Step5で使う質問
 「いつから始めますか?」【行動を促す】
15 継続支援のポイントと工夫
16 電話を使った保健指導
17 保健指導におけるコーチング事例

著者略歴
索引

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日ごろの保健指導のあり方を省みる書
書評者: 飯島 美世子 (職域保健・産業看護塾主宰)
 2008年4月から「特定健診・特定保健指導」が始まりました。早いところでは,特定健診の結果を階層化して特定保健指導の取り組みが始まりつつありますが,第一線の健診機関の窓口には取り扱い方がまだ行き渡らず,戸惑いがあるようです。一方では保健指導の研修も花盛りですから,まだまだ準備段階にあり,現場には不安や戸惑いがあるということでしょうか。

 保健指導については,従来から企業や健保組合に所属する保健師や看護師等は,カウンセリング技法や行動科学理論を学び,個別健康教育の手法を取り入れるなどして,対象者に適した保健指導技術を模索しながら健康診断時に,あるいは健診後に保健指導を実施してきました。そして,最近は,コーチングの技法を取り入れることが徐々に浸透し始めています。元来,保健指導は,対象者が将来にわたって健康的な生活を維持できるよう,対象者に必要な行動変容に関する情報を提示し,生活習慣を改善するための行動目標を設定するとともに,自らが実践できるよう支援することにあります。したがって,このたびの特定健診保健指導事業が始まってもなんら従来と変わることはないのですが,「標準的な健診・保健指導プログラム」により標準的な面接時間が示された上,具体的な成果を出すことが強く求められていますので,その対応に右往左往することになったようです。

 本書は,日本におけるコーチングの第一人者であり,新しいコミュニケーション技術としてのコーチングを医療や教育現場への導入に努めてこられた柳澤厚生先生らによってまとめられました。コーチングの技法の修得は,保健指導者の基本的なコミュニケーション能力を高め,結果を出せる保健指導の実現につながるとの意図の下に構築されています。

 著者らはコーチングの定義を,「相手の能力を引き出すコミュニケーション技術」から「クライアントが自ら考え,決断し,行動を起こすコミュニケーション技術」に大きく転換させ,さらに独自の「5つの基本ステップ」を提唱して,保健指導にコーチング方式を導入しやすくしています。また,全篇にわたって,具体的な保健指導場面の会話の事例がふんだんに紹介されていますので,今まで自分が行っていた保健指導をあらためて意識させられることになります。さらに,実際の保健指導の面談場面においてコーチング技法が容易に導入できるよう,「5つの基本ステップ」を使った個人面談記録フォームとその記入例が紹介されていますので,明日からの現場で早速,活かすことができるでしょう。

 保健指導の経験の浅い医療職のみならず,熟練者にとっても日ごろの保健指導のあり方を省みる図書として,是非,ご一読をお勧めいたします。

特定保健指導実施者待望! 結果を出す保健指導を可能にするガイドブック (雑誌『保健師ジャーナル』より)
書評者: 松本 承子 (荒川区保健所)
「これは使える!」特定保健指導の強い味方をみつけた。

 2008年4月から始まった特定健康診査・特定保健指導では,保健指導を「対象者のライフスタイルを考慮し,健康的な行動変容の実現を目指す」と定義している。そして,保健指導実施者が有すべき資質の1つに,コーチングスキルがあげられている。ビジネスにおけるコーチングスキルを解説する本は多数あるが,保健指導を主軸にしたものはほとんどなかった。特定保健指導実施者にとっては,待望の1冊である。

 この本は,これまでのさまざまな現場で保健指導の経験を培ってきた保健師が,すぐに使える工夫がされている。

 最も実践的なのは,保健指導の最初から終わりまでの道しるべとなる「5つの基本ステップ」を提唱していることである。これは,限られた相談回数で結果を出すために,非常に有効である。もちろん,このステップに必要なコーチングスキルについて,要点をおさえた解説が施されている。また,文章で目を引くのは,四角いチェックボックス。これは,「5つの基本ステップ」に沿った台詞の具体例である。その数は半端ではない。ざっと数えても,370以上はあった。しかも,保健指導対象者の中心となる肥満,高血圧,高血糖,脂質異常,禁煙の5タイプに分類して示されている。まずはこの台詞を使い,徐々に自分流にアレンジしていくことで,保健指導の引き出しを増やしていくことができる。さらに,このステップにもとづく「記録フォーム」も示され,ネットからダウンロードができる。ファックス,電話などの継続支援方法のアイデアも盛り込まれている。ここまで特定保健指導のために,コーチングスキルの応用と工夫を重ねた本はないだろう。

 文字は比較的大きく,和めるイラストもあり,約100ページと薄手である。一読した後は,手元に置くことをお勧めしたい。保健指導で「迷った!」「困った!」ときに開く,新しい台詞を「思いついた!」ときに書き込むなど手を加えていく。そうすれば,保健指導にさらに磨きがかかることだろう。

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