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標準細胞生物学


(第2版)

監修:石川 春律
編集:近藤 尚武/柴田 洋三郎/藤本 豊士/溝口 明

  • 判型 B5
  • 頁 376
  • 発行 2009年02月
  • 定価 5,832円 (本体5,400円+税8%)
  • ISBN978-4-260-00393-3
10年ぶりの改訂、「臨床との接点」が理解できる生命科学入門書
第2版では、生命の最小単位である細胞や遺伝子のしくみを中心に、生物学の基礎知識も取り入れて再構成し、あわせて新しい知見を盛り込んだ。コアな部分を越えた内容を「Advanced Studies」に、最先端の知識を「Side Memo」に、具体的な研究方法を「技術解説」にまとめ、細胞生物学が臨床とどのようにつながるのかを「臨床との接点」に示した。巻末に「医師国家試験出題基準対照表」および「医学教育モデル・コア・カリキュラム対照表」を収録。

『標準医学シリーズ 医学書院eテキスト版』は「基礎セット」「臨床セット」「基礎+臨床セット」のいずれかをお選びいただくセット商品です。
各セットは、該当する領域のタイトルをセットにしたもので、すべての標準シリーズがセットになっているわけではございません。
序 文
第2版 序

 生物体を構成する基本的単位であり,生命の最小単位でもある細胞は,17世紀から始まった光学顕微鏡の開発当初から,その観察対象として注目を集めてきた。その細胞の形態と機能を総合的に理解しようとする細胞生物学は,近年,分子生物学や遺伝子工学の相前後する発展に伍して,生命科...
第2版 序

 生物体を構成する基本的単位であり,生命の最小単位でもある細胞は,17世紀から始まった光学顕微鏡の開発当初から,その観察対象として注目を集めてきた。その細胞の形態と機能を総合的に理解しようとする細胞生物学は,近年,分子生物学や遺伝子工学の相前後する発展に伍して,生命科学の中で中心的位置を占めるに至っている。その結果,細胞生物学は,生命科学ないし医学教育において重要科目となった。

 このような時代の流れを鑑みて,本書初版をこの学問分野におけるわが国で最初の本格的な教科書として世に問うたのは10年前であった。その編集方針として,それまでに流布していた海外の細胞生物学の教科書が分子レベルを重視する傾向だったのに対して,本書では細胞の構造・形態を幹として細胞生物学を説く立場を貫いた。それが本書のユニークさとして,ある程度,世に認められたと見なせるなら嬉しいかぎりである。

 まさに日進月歩の細胞生物学にとって,この10年の歳月は非常に長く,その間の新知見の集積は著しい。したがって,今の時期に本書の内容の刷新は必須と判断して,「細胞の生命活動は構造の上に展開される」とする初版の編集方針を堅持して改訂を行った。

 目次を一見すると明らかなように,この領域の世界の趨勢を見極めて,章の構成を全面的に組み改めた。一方で初版に引き続いて,各章の冒頭に「本章を学ぶ意義」を設けて読者の注意を喚起し,本文中にはコラム欄として,基本的なコアの部分を越えた内容を「Advanced Studies」に,最新の知見を「Side Memo」に,研究方法の実際を「技術解説」に詳しく記述した。さらに,基礎的知見がいかにして病態解明につながりうるかという視点で,関連する疾患などを取り上げる「臨床との接点」を新たに設けた。加えて,巻末に「医師国家試験出題基準」および「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の対照表を新たに載せて,講義を行なう側と受ける側,双方にとっての便宜を図った。これらの工夫が,読者にとって有意義なものとなることを願う。

 こうして,新しい需要に応えるべく改訂作業を進めて,その完成が間近になった2008年秋に,初版の立案から今回の改訂まで常に編集の強力な牽引者であり続け,日本の細胞生物学のパイオニアの一人であった石川春律博士を失うという悲報に遭遇してしまった。ご逝去される数日前に,監修者としてチェックしていただいた校正刷りをお送りいただいたばかりであった。最後まで本書にかける想いは格別であったことと拝察される。ここに,衷心より本書第2版を,故石川博士に捧げたい。

 2008年12月
 編集者一同
書 評
  • 現代の生命科学を理解するための格好の入門書
    書評者:牛木 辰男(新潟大大学院教授・顕微解剖学)

     本書は,1999年に発行された『標準細胞生物学』(石川春律,近藤尚武,柴田洋三郎編集,医学書院)の改訂第2版である。初版は,細胞生物学のパイオニアとしても著名な解剖学者3氏が編集を手がけたもので,実物の電子顕微鏡写真を豊富に使用しながら細胞の構造面を中心に細胞生物学の知識をバランス良く整理した医学...
    現代の生命科学を理解するための格好の入門書
    書評者:牛木 辰男(新潟大大学院教授・顕微解剖学)

     本書は,1999年に発行された『標準細胞生物学』(石川春律,近藤尚武,柴田洋三郎編集,医学書院)の改訂第2版である。初版は,細胞生物学のパイオニアとしても著名な解剖学者3氏が編集を手がけたもので,実物の電子顕微鏡写真を豊富に使用しながら細胞の構造面を中心に細胞生物学の知識をバランス良く整理した医学生の教科書として,多くの人たちに愛されてきた。

     さて,今回の改訂では,編集者にさらに新進気鋭の2氏を加え,初版の方針,すなわち「細胞の生命活動は構造の上に展開される」というスタンスを守りながらも,この10年間の研究の進歩を盛り込んで,内容を刷新させている。初版とこの版を比べてみると,章の構成が全面的に組み替えられており,意欲的な改訂が行われたことがうかがわれる。

     例えば初版では「細胞内の膜小器官」としてまとめられていた小胞体,ゴルジ装置,リソソーム,ミトコンドリア,ペルオキシソームなどは,「遺伝子と蛋白質合成」「代謝とエネルギー産生」「物質の分泌・吸収・消化」というような章に組み替えられて,構造とともにその機能的な側面をより重視した内容がさらに豊富に盛り込まれている。またどの項目においても,近年明らかになった分子生物学的な側面まで,初学者でも理解しやすいように,順序立ててうまくまとめてある。

     その他,「細胞の情報伝達」や「核-細胞間物質輸送」「アポトーシス」など,随所に初版とは内容を一新した項目が見うけられ,いずれも最新で最先端の内容が簡明に述べられているのがありがたい。

     さらに,本書全体の構成の新たな点は,ところどころに差し込まれた「Advanced Studies」「臨床との接点」「Side Memo」「技術解説」などのコラムで,これにより,必要な専門用語,関連する病気,研究技法などが,立体的に理解できるようになっている。また,巻末には「医師国家試験出題基準対照表」と「医学教育モデル・コア・カリキュラム対照表」が収録され,以前からの特色である各章の「本章を学ぶ意義」とともに,医学生が本書で自学自習する上でのさまざまな便宜も図られている。

     このように,第2版は初版を大幅に改訂しながら,さらに内容を掘り下げ,この分野の教科書のスタンダードをめざしたと言えそうである。

     最後になったが,本書の生みの親とも言える監修の石川春律博士(元群馬大学名誉教授)が,本書の完成を待たず,校正刷りの最中に不帰の人となられた。誠に残念なことではあるが,日本の細胞生物学のパイオニアとしてご活躍された博士の精神は,本書の中にとどめられて,多くの初学者の足元を照らしてくれるものと思う。もちろん,初学者のみならず,臨床医をはじめとして,細胞生物学に興味をお持ちの方が最先端の研究の動向を知る上でも,格好の書ということができるのではないだろうか。
目 次
第1章 細胞と生命
 I. 細胞とは
 II. 細胞の起原と進化
 III. 細胞の微細構造
 IV. 細胞の多様性
第2章 遺伝子と蛋白質合成
 I. 遺伝子とその機能
 II. 遺伝子発現と蛋白質合成
 III. 小胞体における蛋白質合成
 IV. 蛋白質の機能発現
第3章 代謝とエネルギー産生
 I. 酵素と代謝
 II. 解糖系とそれに関連する代謝
 III. ミトコンドリアとエネルギー産生
 IV. ペルオキシソーム,色素顆粒,その他の顆粒成分
第4章 細胞と外界
 I. 生体膜
 II. 細胞膜蛋白質
 III. 細胞膜の透過性と物質輸送
第5章 物質の分泌・吸収・消化
 I. ゴルジ装置
 II. エンドサイトーシス
 III. リソソームと物質消化
第6章 細胞の接着と極性
 I. 細胞接着分子
 II. 細胞間結合
 III. 細胞-基質間の接着
 IV. 細胞間質
 V. 細胞の極性
第7章 細胞の情報伝達
 I. 細胞間情報伝達機構
 II. 細胞内情報伝達機構
第8章 細胞骨格と細胞運動
 I. 細胞骨格とは
 II. 筋収縮
 III. アクチンフィラメント
 IV. 微小管
 V. 中間径フィラメント系
第9章 核と細胞分裂・増殖
 I. 核-細胞質間物質輸送
 II. クロマチンと染色体
 III. 細胞周期とその調節
 IV. 細胞分裂と増殖
 V. 生殖細胞と減数分裂
 VI. 細胞のがん化
第10章 遺伝の仕組み
 I. 遺伝の法則
 II. 非メンデル遺伝
 III. 遺伝子・染色体異常
第11章 細胞の分化・老化・死と適応・応答
 I. 細胞分化
 II. 形態形成過程における細胞のふるまい
 III. 加齢・老化
 IV. アポトーシス
 V. ストレス応答

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