医学書院

検索
HOME書籍・電子メディア > 書籍詳細

緩和ケアレジデントの鉄則


編集:西 智弘/松本 禎久/森 雅紀/山口 崇/柏木 秀行

  • 判型 B5
  • 頁 250
  • 発行 2020年05月
  • 定価 4,180円 (本体3,800円+税10%)
  • ISBN978-4-260-04128-7
こんなとき、どうしたらいい? 緩和ケアの現場で困ったときのお助け集
がん(および一部慢性疾患)の主要症状へのアプローチや患者・家族とのコミュニケーションの取り方などを“鉄則”形式で解説する一冊。疼痛、身体症状、精神症状、終末期、コミュニケーションの5大テーマについて、初学者が対応に迷いがちな問題を取り上げ、具体的なケースをもとに実践的な対応策や考え方を提示する。よりアドバンスな内容を知りたい人向けのコラム「もっと知りたい」も随所に収載。
序 文


 『緩和ケアレジデントマニュアル』(2016年発行)を上梓してから4年がたった.その間,がん領域における世界的研究のスピードはすさまじく,発表される研究の数も年々増えていったが,それは緩和ケア分野についても例外ではなかった.新しい薬や治療法の登場だけではなく,コミュニケーショ...


 『緩和ケアレジデントマニュアル』(2016年発行)を上梓してから4年がたった.その間,がん領域における世界的研究のスピードはすさまじく,発表される研究の数も年々増えていったが,それは緩和ケア分野についても例外ではなかった.新しい薬や治療法の登場だけではなく,コミュニケーション技術や,緩和ケアシステムについてのエビデンスが次々に発表され,かつて洞窟の中を手探りで進んでいたような時代と比べ,日々の臨床を照らす足元は確実に明るくなってきている.
 その世界的な流れの影響だろうか,緩和ケアをもっと専門的に学びたい,という声も年々高まってきている.そのような声の中,『緩和ケアレジデントマニュアル』を一歩超えた,「次の教科書」と呼べるものに乏しかったことは事実だ.緩和ケアの専門家ではなくても,当直中,または救急外来などで「痛いと言っています!」「眠れていません!」「メチャクチャ怒っています!」というスタッフの声にタジタジとなった経験がある医師は大勢いるだろう.そういった声に,緩和ケアの専門家が初心者から中級者になっていく過程で,何を考え,どのようなエビデンスを参照し,現場に即した答えを出してきたのか.医学書院の伝統ある『鉄則』シリーズに,『緩和ケアレジデントの鉄則』としてこの一冊を加え,われわれが日々どういう思考過程を経て,症状緩和や精神的ケアを行っているのかを明らかにした.症例を読み,初心者が考えそうな落とし穴を知り,それに対してどう考えていくべきなのか,という本書の流れは,通して読むことで「なるほど!」という発見にあふれているだろう.
 緩和ケアとは,その人が病を抱えながらも自分らしく生きられることを支えるケアだ.緩和ケアの専門家ではなくても,目の前で苦しむ患者のために,そしてその患者の苦しみをくみ取ったスタッフの助けに応じるために,学ぶことが楽しいことだと知ってほしい.症状を和らげ,言葉を駆使し,昨日まで泣いていた患者さんが今日笑顔になっているのを見られるのが緩和ケアの醍醐味だ.それは時に魔法のように感じられるほど.この『鉄則』を知ることで,その魔法をもっとうまく使うことができたら,それはあなた自身も救うことになる.
 ぜひ,この本を教科書に,患者も,家族も,あなたも,スタッフも救う道を見つけてほしいと願っている.

 2020年3月
 編集者一同
書 評
  • 「臨床ではこう考えている」という知恵が詰まった実践書
    書評者:木澤 義之(神戸大病院特命教授・緩和支持治療科)

     本書は緩和ケアの専門家の中でも,アクティビティが高い緩和ケア病棟,緩和ケアチームに勤務していて,現場で主戦力として働いている医師が「臨床ではこう考えている」という知恵を上手に集めた良書です。言うまでもなく,緩和ケアの基本としている軸は丁寧な病歴聴取と身体診察,そして内科的な診断学であり,その重要性...
    「臨床ではこう考えている」という知恵が詰まった実践書
    書評者:木澤 義之(神戸大病院特命教授・緩和支持治療科)

     本書は緩和ケアの専門家の中でも,アクティビティが高い緩和ケア病棟,緩和ケアチームに勤務していて,現場で主戦力として働いている医師が「臨床ではこう考えている」という知恵を上手に集めた良書です。言うまでもなく,緩和ケアの基本としている軸は丁寧な病歴聴取と身体診察,そして内科的な診断学であり,その重要性が強調されていることには強く共感します。また,それだけにとどまらず,精神症状とコミュニケーション,私達の専門性とも言える終末期における対応についても,そのTipsにとどまらず,最新の知見に基づいてどのように考え,患者さんにアプローチしたらよいかが,長くもなく短くもない適切な量で書かれています。

     編集者や執筆者を見てみると,「ああ~いいメンバーを集めて書いたな~」「ちょっと悔しいくらいだな~」と感じました。臨床がちゃんとデキる人を集めて書いたんだな,と思います。担当者が得意な分野を上手に振り分けて書かれていて,その内容にも人柄がよく表れています。臨床にすぐ役立って,患者さんやご家族のQOLや満足に直結するものとなっていると思います。

     この頃,立場上というか,年回り的なものなのかと思いますが,「緩和ケアを学ぶためにはどうしたらよいか」とよく質問されるのですが,その度に大学2年生の時に日野原重明先生から車の中で授けられた一言を紹介しています〔あるセミナーのために新神戸駅から1時間程度の道のりを車で送迎させていただきました。私は当時喫煙者で,相当タバコ臭かったんだと思います。日野原先生から厳しく禁煙指導を受けたことを思い出します,余談です(笑)〕。

     「木澤くん,まずは多くの医師の診療を見てみるといいですよ。そして,この先生のようになりたい,と思った医師がいたら,その先生にどうしたら先生のようになれますか? と真摯に尋ねてみなさい」

     まさにこの本は,そのような優れた指導者の一言一言を集めたものではないか,と思います。

     おそらく本書は,緩和ケアに興味があって,少し深く学んで見たいと思った人たちにピッタリだと思います。医師はもちろん,認定・専門看護師の皆さんの学習の助けにもなるのではないでしょうか。恵まれた研修環境にある人には,OJTの補助教材として,そしてあまり恵まれない研修環境にある方や,場合によってはいきなり1人医長になってしまった方には,指導医の代わりになるかもしれません。ぜひ手にとって,日常臨床の一助にしていただきたいと思います!
目 次
I 疼痛
 1 頭頸部
  頭や首が痛いと言っています!
 2 胸部(心臓を含む)
  胸が痛いと言っています!
 3 腹部
  お腹が痛いと言っています!
 4 背中・腰
  背中や腰が痛いと言っています!
 5 手足
  手や足が痛いと言っています!
 6 全身
  あちこちが痛いと言っています!
 7 臓器の機能が悪いとき(腎機能・透析,肝機能,心機能)
  持病がありますが薬を飲んでも大丈夫でしょうか?
 8 予定外に投与経路を変更しないといけないとき
  薬が飲めなくなったので変えたほうが良いですか?
 9 オピオイドが効かないとき
  薬が効いた様子がないのですがどうしたら良いでしょうか?
 10 レスキューの回数が多いとき
  またレスキューが欲しいと言っています

II 身体症状
 11 食欲不振
  食べられないと言っています
 12 悪心
  むかむかすると言っています
 13 便秘
  最近お通じが出ていません
 14 発熱
  熱があります
 15 倦怠感
  シンドイです,だるいです
 16 浮腫(四肢)
  むくんでいます
 17 呼吸困難
  息苦しいと言っています
 18 出血
  血が止まりません

III 精神症状
 19 傾眠
  ボーっとしています
 20 落ち着かない
  身の置きどころのない感じです
 21 無気力
  最近元気が出なくて,やる気がおきません
 22 不眠
  眠れません……

IV 終末期
 23 鎮静
  苦しくて耐えられません……
 24 終末期せん妄
  ベッドに立ち上がっています!
 25 死前喘鳴
  ゴロゴロ……
 26 死亡徴候の説明
  そろそろ遠くに住む息子を呼んだほうがいいでしょうか?

V コミュニケーション
 27 怒り
  腹が立って仕方がない!
 28 希死念慮
  もう全部終わりにしたい……
 29 余命
  私はあとどのくらい生きられるのでしょうか?
 30 これからのこと
  まだ治療をあきらめたくない!

索引