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麻酔科レジデントマニュアル 第2版

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麻酔科研修に行くならまずこの一冊! 麻酔の基本的な知識から臨床での心構え、実践で役立つテクニックまでを幅広くかつコンパクトにまとめたマニュアル、待望の全面改訂! 術中基本手技は豊富なイラストに加えて動画による解説も。麻酔科ローテートの中で経験する「集中治療」「ペインクリニック」「緩和ケア」についてもカバーしており、幅広い場面で役立つ内容となっている。

*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
編集 川口 昌彦
編集協力 井上 聡己 / 渡邉 恵介 / 惠川 淳二
発行 2022年03月判型:B6変頁:456
ISBN 978-4-260-04903-0
定価 4,180円 (本体3,800円+税)

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第2版の序

 本書は医学書院の「レジデントマニュアル」シリーズとして,2008年に初版が出版された『臨床麻酔レジデントマニュアル』(編集:古家 仁,編集協力:川口昌彦,井上聡己)を改訂した書になります.10年以上経過していますので,臨床で使用される薬剤や機器などが大きく変遷しております.また,本書では,手術麻酔の項目以外に,集中治療,ペインクリニック・緩和ケアの領域についての項目を追加しました.麻酔科専門医に求められる内容は,手術麻酔だけでなく,集中治療やペインクリニック・緩和ケアの領域の知識や技能など多岐にわたります.麻酔科専門医を目指すためには,これらの関連領域の習得が必要であるという意味で,本書のタイトルを「麻酔科レジデントマニュアル」としました.関連領域は,サブスペシャルティとしてさらに研修する必要がありますが,基本的な内容は知っておく必要があります.
 また,これらの内容は,麻酔科以外の科を研修中であっても,診療における重要な基本情報となるため,他科の診療においても参照できるポケットマニュアルになればと考えています.気道管理,循環呼吸管理,輸液管理などに加え,痛みの治療薬,重症患者への対応,緩和ケアなどの基礎知識はすべての医師にとって必要な情報です.臨床ですぐに知りたい内容は網羅しましたが,項目が多くなった分,さらに詳細を知りたい場合は,成書を参照いただければと思います.
 近年,多職種チームによる周術期管理,集中治療管理,痛みの治療,緩和ケアの実施が推奨されています.多角的な視点で協働することで医療の安全や質の向上が期待されています.本書が医師だけでなく,その他のチームメンバーと基本情報を共有するためのマニュアルにもなればうれしく思います.
 本書が読者諸氏の明日からの診療にお役に立つことを願っております.最後に,本書作成の機会を与えていただいた医学書院に深く感謝いたします.

 2022年1月
 川口昌彦

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イントロダクション
  1 麻酔科とは?
  2 周術期管理チームとその役割

Ⅰ 手術麻酔の基本
 A 術前管理の基本
  1 術前評価の基本
  2 注意すべき術前合併症と対策
  3 気道確保困難の予測
  4 術前に中止すべき薬剤
  5 栄養評価と対応
   Memo 術前絶飲食と経口補水投与
  6 緊急手術での術前評価
  7 高齢者での術前評価
  8 プレハビリテーション
  9 術前禁煙
   Memo ピアス,マニキュア,指輪,ピル
  10 周術期口腔機能管理
 B 麻酔の基本
  1 手術室入室時の注意点
  2 麻酔準備と麻酔器の始業点検
  3 麻酔関連薬の基礎
  4 麻酔導入の基本
  5 麻酔維持の基本
  6 基本モニター(心電図,血圧,SpO2,EtCO2
  7 麻酔深度モニター
  8 筋弛緩モニター
  9 体位の基本
  10 輸液の基本
  11 体温管理(体温測定含む)
  12 抜管と退室基準
 C これだけは押さえておきたい術中基本手技
  1 末梢点滴の確保のコツ
  2 動脈ラインの確保
  3 中心静脈カテーテル
  4 気管挿管のコツ(喉頭鏡,ビデオ喉頭鏡)
  5 声門上器具
  6 difficult airway management(DAM)
  7 脊髄くも膜下麻酔
  8 硬膜外麻酔
  9 末梢神経ブロック
 D これだけは押さえておきたい麻酔管理法
  1 血液ガス分析
  2 低酸素血症と高二酸化炭素血症
  3 よく使用する循環系薬剤
  4 循環モニター(TEE除く)
  5 循環管理
  6 経食道心エコーの基本画像と操作
  7 血液製剤と輸血の適応
  8 大量出血時の対応
 E 主な周術期合併症と対応
  1 周術期肺塞栓症とその対策
  2 局所麻酔薬中毒とその対応 
  3 アナフィラキシーとその対応
   Memo ラテックスアレルギーとその対応
  4 喘息発作の診断と治療
   Memo 喉頭けいれんとその対応
  5 空気塞栓症とその対応
  6 悪性高熱症とその対応
 F 術後管理の基本
  1 術後悪心嘔吐とその対応
  2 術後咽頭痛・嗄声・瘙痒とその対応
  3 術後疼痛管理
  4 硬膜穿刺後頭痛とその対応
  5 術後神経障害の鑑別とその対応
  6 術後呼吸器合併症
  7 術後早期回復プログラム(ERAS®
  8 術後回復の評価法

Ⅱ 手術麻酔の実践
 A 心臓血管麻酔
  1 冠動脈バイパス手術(CABG)の麻酔
  2 弁膜症手術の麻酔
  3 弓部大動脈瘤手術の麻酔
  4 胸腹部大動脈瘤手術の麻酔
  5 TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)の麻酔
 B 肺外科麻酔
  肺外科手術の麻酔(分離肺換気を含む)
 C 神経麻酔
  1 頭蓋内圧亢進疾患の麻酔
  2 虚血性脳疾患の麻酔
  3 覚醒下脳手術
  4 運動誘発電位モニタリング時の麻酔
 D 産科麻酔
  1 帝王切開術の麻酔
  2 危機的産科出血時の対応
  3 妊婦の非産科手術の麻酔
  4 無痛分娩
 E 小児麻酔
  1 小児の術前評価
  2 小児の末梢点滴確保のコツ(超音波ガイド含む)
  3 小児の気道確保
  4 小児麻酔の基本
  5 日帰り手術の麻酔
  6 小児心臓血管手術の麻酔の基本
  7 小児の人工呼吸(集中治療を含む)
 F 知っておきたい特殊な麻酔
  1 ペースメーカ挿入患者の麻酔
  2 肥満患者の麻酔
  3 腹腔鏡下肝臓切除術
  4 褐色細胞腫摘出術の麻酔
  5 重症筋無力症の麻酔
  6 ECTの麻酔

Ⅲ 押さえておきたいサブスペシャリティ
 A 集中治療の基本と実践
  1 集中治療室の入室基準と重症度評価
  2 呼吸管理の基本
  3 循環・輸液の基本
  4 鎮静鎮痛プロトコール
   Memo せん妄評価と予防
  5 PICSと予防
  6 集中治療での抗菌薬の使い方
  7 心不全の診断と治療
  8 不整脈の診断と治療
  9 ペースメーカとその設定
  10 IABP(大動脈内バルーンパンピング)の適応と基本
  11 急性腎障害と血液浄化の基本
  12 ARDSの診断と治療
  13 ECMOの適応と基本
  14 DICの診断と治療
  15 敗血症の診断と治療
  16 けいれんの診断と治療
   Memo 非けいれん性てんかん重積状態(NCSE)
  17 集中治療における栄養療法
 B ペインクリニックの基本と実践
  1 痛みの定義と分類
  2 ペインクリニックでの問診
  3 基本的な神経学的評価法
  4 痛みの薬物療法(がんを除く)
  5 基本的な神経ブロック療法
  6 ペインクリニックでの主な疾患の診断と治療
 C 緩和ケアの基本と実践
  1 緩和ケアとは
  2 がん患者に対する疼痛管理
  3 がん患者の疼痛以外の症状緩和
  4 緩和ケアでのコミュニケーションの基本

Ⅳ 安全管理
  1 医療安全と手術
  2 針刺し事故の対応
  3 災害時の対応

索引

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日々の診療で役立つ「麻酔科研修の友」
書評者:佐和 貞治(京府医大教授・麻酔科学)

 この『麻酔科レジデントマニュアル』は,白衣やスクラブのポケットに携帯できる本として,「麻酔科研修の友」である。麻酔科領域で研修を行う医師が日々の診療業務の中で,取り組む研修課題についての重要なポイントを確認して整理して自分の知識や技術として身につけていく上で大変役に立つ。2008年の初版『臨床麻酔レジデントマニュアル』(編集:古家仁)の出版から10年以上を経て,今回,奈良医大麻酔科学教室川口昌彦教授の編集のもとで,刷新が必要な部分について改訂されて新たに第2版として出版された。

 いくつかある同様の麻酔科研修マニュアル本の中で,本書の最大の特徴は,何と言っても奈良医大麻酔科学教室とその関連施設スタッフ総勢58名もの方々が協力されて作成された内容であることである。麻酔科の後期研修は,2015年度から日本麻酔科学会による麻酔科専門研修プログラム制度がスタートし,2018年度には日本専門医機構の麻酔科領域専門研修制度に引き継がれた。3~4年間の後期研修は,基幹施設の管理のもとで,複数の連携施設が研修に参画してプログラムが構成される。後期研修医(専攻医)は,基幹施設での研修に加えて,連携施設での研修も行う。したがって,研修者は,基幹施設や連携施設などにおいてさまざまな指導医と接し,いろいろな考え方ややり方を教えられることとなる。そのことは多様性を学ぶ上では利点にもなるが,場合によっては指導者ごとに言うことが異なり,研修者は施設ごとに違うことを言われて振り回されてしまうという欠点にもなる。奈良医大麻酔科学教室がかかわる麻酔科専門研修プログラムにおいて,基幹施設,連携施設のスタッフが総勢で一つのチームのように研修マニュアルを整備されて,研修者に基本的な研修のガイダンスとして提供されるということは,研修における基本的な考え方や手技について統一感を持った後期研修の提供が可能となり,複数施設で連携して行う研修プログラムの中では大きな研修の質の担保につながるものであろう。

 内容的にも,手術麻酔の基本と実践,集中治療,ペインクリニック,緩和ケアの基本と実践,そして医療安全と研修の重要な領域が網羅的にカバーされている。細かいところでは,術前管理では「プレハビリテーション」や「周術期口腔機能管理」などの先進的な部分の項目が含まれているなど,奈良医大が全国に先駆けて取り組まれてきた内容が特徴として表れている。また麻酔のモニターや基本手術,気道確保の道具,合併症などについても,コンパクトに整然と重要点がまとめられている。「術後管理の基本」の項目では,起こり得る麻酔関連の合併症についても十分に解説されており,研修における合併症理解への姿勢が示されている点は印象深い。

 麻酔科領域の研修プログラムでは,集中治療やペインクリニック・緩和医療などのいわゆるサブスペシャルティ領域は,現状では必修化されていない。一方で,麻酔科専門医認定の口頭試験では,全2問の症例問題のうち1問は,集中治療やペインクリニック・緩和医療が深くかかわる問題が出題されることも多い。口頭試験では70~80%の合格点が求められることを考えると,ここでサブスペシャルティ領域についての問いに,適切に回答できないと合格を掴み損ねてしまうかもしれない。本書では,麻酔科専門研修の中でのサブスペシャルティ領域の研修についてもどういう点が重要であるのかを明示している。

 本書は,麻酔科領域の後期研修医を対象にしたものと考えるが,麻酔科へのローテート中の初期研修医に対しても,麻酔科学の面白みや深みを伝える上では大いに役に立つであろう。麻酔科学の研修内容をこのように「麻酔科研修の友」としてコンパクトにまとめられた川口教授以下,奈良医大麻酔科学教室の関連施設のスタッフの先生方には大いなる敬意を表したい。

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