第2583号 2004年5月10日


セミナー「チームでBrush Up糖尿病診療」

「糖尿病患者のからだを診る,こころを聴く,インスリン治療をめぐって」


 本紙第2575号(3月8日)で既報のように,日本糖尿病学会主催による教育講演会「第38回糖尿病学の進歩」が,さる2月6-7日,名和田新世話人(九大)のもとで,福岡市の福岡国際会議場において開催されたが,その会期中に「チームでBrush Up 糖尿病診療:糖尿病患者のからだを診る,こころを聴く,インスリン治療をめぐって」というユニークなランチョン・セミナーが開かれた。

チームによって,医学的および社会的サポートを

 これは石井均氏(天理よろづ相談所病院)を座長に,また吉岡成人氏(北大)を演者に迎えて企画されたもので,次のような趣旨に基づくものである。

 「わが国には糖尿病の療養指導士という制度もありますし,世界的にみても,日本の医療のレベルはきわめて高いと思われる。そこに,看護師,栄養士,薬剤師,臨床検査技師の皆さんに参加していただいてチームができれば,これほど強い診療体制はないと考える。ただ,従来の医師主導,医学主導のものの決め方ではなくて,いかに患者さんを中心とした医療ができるかが今後の課題ではなかろうか。今日は,インスリンを導入することになった患者さんの事例をもとに,医学的および心理的なサポートとして,どのようなかかわりができるかを,皆さんと考えたい」

 セミナーは,「入院中にインスリン治療を行ない,経口血糖降下薬で退院した2型糖尿病の男性患者」をケースに,両氏および参加者との「pros and cons(賛否両論)」の応酬という形で進められた。

治療の立て方:医学的検討と治療方針

 「治療方針の立て方」および「医学的検討と治療方針」では,まず「インスリン導入の基準」が取り上げられ,『糖尿病治療ガイド』(糖尿病治療ガイド編集委員会編)を紹介。

 次いで「なぜ血糖コントロールが必要か」について,UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)の結果を例証。また,「インスリン注射を開始する前に」では,短期の食事療法,bed timeインスリン(就寝時に中間型インスリンを用いる)などが検討された。

「患者の考えを知る方法」と「最終的な治療法の決定」

 次に,患者の考え方を知る方法に関しては,まず「薬物療法選択にかかわる心理的要因」の重要性を指摘し,「入院時の4つの質問」として,(1)入院(受診)理由,(2)(1)に対する考え方,(3)(1)に関するする不安,(4)困っていること,をあげる。さらに「インスリン治療とQOL」に続いて,「インスリン治療の心理的抵抗要因」,「納得のプロセス:結果のフィードバックの重要性」,「どのインスリン治療を選択するか」などが検討された。

 最後に,「最終的な治療法の決定:インスリン離脱の妥当性」をまとめた後に,石井氏は「本人の考え方を取り入れた治療計画」の重要性を強調して,セミナーを締めくくった。

 なお,このセミナーの全容および当日の「Q&A」は,『糖尿病診療マスター第2巻3号(特集:糖尿病外来初診の心得十か条)』(医学書院刊)に収録される。