総合リハビリテーション Vol.51 No.5
2023年 05月号

ISSN 0386-9822
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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特集 整形外科疾患の回復期リハビリテーション

 回復期リハビリテーション病棟については,脳血管リハビリテーションを中心に論じられることが多いですが,骨折や人工関節置換術後など整形外科疾患のリハビリテーション治療も多く行われています.高齢者が多く,術後患者が多い,また算定上限日数が脳血管系に比べて短いなどの制度上の違いもあり,整形外科疾患の回復期リハビリテーション治療には,特有の課題やその解決のための対応があると考えられます.
 そこで今回は,整形外科疾患患者の,回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーション治療についての現状・臨床実践や,新しい知見などについて,解説をいただきました.

現状と課題 高橋 剛治 氏
 回復期リハビリテーション病棟協会の報告書によると,整形外科疾患と脳血管系疾患の患者割合はそれぞれ40%強でほぼ同じであり,日常生活動作(activities of daily living:ADL)利得もおおむね同等であるが,実績指数の中央値はやや低い.算定上限日数が短い整形外科疾患では,実績指数が低くなりやすいことは課題であり,入院期間の短縮などに向けた工夫が必要となる.

大腿骨近位部骨折のリハビリテーションのポイント,歩行予後と固定不全リスクの予測 森永 伊昭 氏
 大腿骨近位部骨折後のリハビリテーション治療では,多職種連携し集中して実施すること,耐え得る限りの荷重を手術直後から行うこと,栄養療法を強化することなどがポイントとなる.歩行予後予測は,個別訓練の最適化への応用,という点でも重要であり,著者らの研究および先行研究を紹介した.最後に,術後に起こり得る骨折転位や固定不全について危険因子や発症時期について解説した.

脊椎疾患(脊椎圧迫骨折) 島袋 尚紀 氏ら
 骨粗鬆症を背景とした脊椎圧迫骨折は,有病者の増加が見込まれ,回復期リハビリテーション病棟での対応も増えてくると考えられる.椎体圧迫骨折の分類や評価について解説した.治療は多くは保存療法であり,臥床期には装具を作成しながらベッド上で体位管理・ポジショニング,疼痛のない体位での運動療法,物理療法などを行う.離床期には,負担のかからない動作指導・立位歩行時に良好なアラインメントが得られるように指導していく.

人工股関節全置換術,人工膝関節全置換術後の evidence-based clinical pathways──適応と逸脱症例 仲山 勉 氏
 人工股関節全置換術・人工膝関節全置換術では,手術法・手術支援法・インプラントの改良により,術後の荷重や肢位などの制限や疼痛が減り,早期の起居動作やADL 獲得が可能となってきている.著者の病院におけるクリニカルパスを提示し,パスからの逸脱に関係した術前・術後因子および隣接関節障害について解説した.

高齢者の整形外科疾患と認知症 都築 圭太 氏ら
 回復期リハビリテーション病棟入院中の整形外科疾患患者において認知症の合併頻度は高い.せん妄や周辺症状により,リハビリテーションへの積極的な参加が困難になったり,病棟での介助量が増加するため,これらに対する十分な対応が必要である.予防や治療について,薬物療法・非薬物療法を解説するとともに,症例を提示し実際の対応について紹介した.

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価格については医書.jpをご覧ください。

特集 整形外科疾患の回復期リハビリテーション

現状と課題
高橋 剛治

大腿骨近位部骨折のリハビリテーションのポイント,歩行予後と固定不全リスクの予測
森永 伊昭

脊椎疾患(脊椎圧迫骨折)
島袋 尚紀,他

人工股関節全置換術,人工膝関節全置換術後の evidence-based clinical pathways──適応と逸脱症例
仲山 勉

高齢者の整形外科疾患と認知症
都築 圭太,他


●巻頭言
在宅生活を育む連携強化を
前野 豊

●入門講座
小児リハビリテーションに必要な評価法 ⑤
日本版KABC-II
小野 純平

●実践講座
精神科作業療法のエッセンス ①
統合失調症
森元 隆文

●研究と報告
高齢者のICT活用が健康感やフレイル予防活動に与える効果
宮寺 亮輔,他

●紹介
非切断側下肢の骨折を合併した下肢切断者のリハビリテーションプロトコルの提案
三田 友記,他

●YouTubeの使えるコンテンツ/アプリの紹介 ⑩
読み書き障害の支援のためのアプリ
縄手 雅彦

●摂食嚥下機能障害のリハビリテーション治療の倫理的な葛藤 ④
摂食嚥下障害症例にかかわるケア職種における葛藤
白坂 誉子,他

●専門職からみた第49回 H.C.R.(国際福祉機器展)レポート vol.3
⑤電子機器・情報機器
池谷 麗子

⑥住宅改修
西村 顕

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
渋沢栄一の『青淵回顧録』・2──児童精神医学者としての側面
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ぼけますから,よろしくお願いします.~おかえりお母さん~」──ひとり娘の映画監督・信友直子を守ろうとした両親の奮戦記でもある
二通 諭

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