理学療法ジャーナル Vol.57 No.2
2023年 02月号

ISSN 0915-0552
定価 1,980円 (本体1,800円+税)

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特集 嚥下機能に着目した理学療法

 食事は,栄養摂取し生命を維持するだけでなく,食べる楽しみ,社会的つながりなど,心理的・文化的にも意義深い活動である.それを支える嚥下運動は,食物を口腔に取り込み,咀嚼し食塊を咽頭へ移動し,嚥下反射で消化器へ送り込む複雑な機能連携から成り立ち,その障害は低栄養・誤嚥性肺炎の直接の原因となる.嚥下運動に影響する因子には姿勢・呼吸・筋力などが含まれ,理学療法士がかかわる機会も増えている.多職種アプローチとしての嚥下リハビリテーションと,嚥下機能への理学療法の取り組みをまとめる.

嚥下機能と全身機能の関連──誤嚥のメカニズム 杉山岳史
 高齢化は世界規模で進行しており,その影響として摂食嚥下機能障害患者の急激な増加が見込まれている.認知機能の低下や,低栄養,低ADLは,誤嚥に伴う肺炎を増加させる.本稿では,高齢化と嚥下の社会動態の変化,嚥下のメカニズムの理解と,理学療法による基本動作能力の改善が摂食・嚥下機能を改善させ得る可能性について解説する.

フレイルとオーラルフレイル 長谷川翔平,他
 “死角”となりやすい口腔領域では,身体のフレイルに先立ってオーラルフレイルが生じていることがわかってきている.本稿では,フレイル,オーラルフレイル,口腔機能低下症,摂食嚥下障害といった用語を解説し,簡単に実施できるトレーニングを紹介する.

摂食嚥下機能とチームアプローチ 森光 大
 多職種が連携して,嚥下機能・周辺能力・レベルをアセスメントし,環境・姿勢・自助具・食形態・介助方法などをセットでプランニングすることによって,安全においしく経口摂取が可能になり,本人および家族のQOL向上が期待できる.多職種で検討と工夫を繰り返すことが重要である.

嚥下機能に着目した理学療法評価 久保高明,他
 摂食嚥下リハビリテーション領域における評価項目は,日頃行っている理学療法評価が大半を占めている.すなわち,「食事」を理学療法士が得意とする運動学,生理学,解剖学などの観点から「診る」ことが必要である.そして,病院,施設,在宅など,いかなる場所においても嚥下機能の理学療法評価が行えるようになることが大事である.

嚥下機能に着目した理学療法──嚥下関連運動機能 吉田 剛
 嚥下筋を運動学的に捉えて頸部・体幹機能との関係を考えると,姿勢や呼吸,座位保持機能などとの関係を考えた全身的視点からの理学療法が可能となる.理学療法士は,嚥下チームのなかで,頸部周囲筋の筋緊張を整え口腔・嚥下機能が働きやすいよう準備することや,嚥下筋自体の効率的な強化について運動療法の専門家としての役割を果たせるよう研鑽していきたい.

嚥下機能に着目した理学療法──姿勢と呼吸 内田 学
 摂食嚥下障害を引き起こす疾患は多岐にわたる.多くは,口腔顔面領域の障害により嚥下障害が発生していることが想定されており,ほとんどの介入は言語聴覚士のみで対応される.一方,口腔顔面の機能は姿勢の影響を受け,不良姿勢により誘発される嚥下障害も存在する.実は,理学療法士の専門とする姿勢への介入は嚥下機能を発揮する土台に対する介入であり,嚥下機能を効果的に発揮させるためにも有効である.本稿では姿勢-呼吸-嚥下の関連性について解説する.

嚥下機能に着目した在宅理学療法──評価と実践 高橋浩平,他
 嚥下障害は高齢者の健康状態にさまざまな悪影響を及ぼすため,早期発見と適切な評価,介入が重要となる.しかし,在宅高齢者では,嚥下評価や介入が十分になされていないことがある.そのため,在宅高齢者にかかわる理学療法士は,姿勢や呼吸,身体機能などの視点から嚥下機能を評価し,介入していくことが望まれる.また,嚥下機能に関する情報をケアマネジャーなどに発信し,多職種と連携していくことが重要である.

嚥下機能と栄養──予防理学療法 原山永世,他
 嚥下機能の理学療法においては,嚥下障害の原因を適切に評価する必要がある.嚥下障害を局所の問題と捉えるのか,もしくは,サルコペニアやフレイルに代表される全身の問題として捉えるのかでアプローチは異なる.嚥下障害の原因を概説し,嚥下障害に対する運動療法や栄養療法の重要性,予防理学療法のエビデンスを提示する.

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特集 嚥下機能に着目した理学療法

嚥下機能と全身機能の関連──誤嚥のメカニズム
杉山岳史

フレイルとオーラルフレイル
長谷川翔平,他

摂食嚥下機能とチームアプローチ
森光 大

嚥下機能に着目した理学療法評価
久保高明,他

嚥下機能に着目した理学療法──嚥下関連運動機能
吉田 剛

嚥下機能に着目した理学療法──姿勢と呼吸
内田 学

嚥下機能に着目した在宅理学療法──評価と実践
高橋浩平,他

嚥下機能と栄養──予防理学療法
原山永世,他


■Close-up 運動制御
筋シナジーと運動制御
神﨑素樹

体幹の運動制御
成田崇矢

片麻痺歩行の多関節運動制御
森 公彦,他


●とびら
「理学療法×(かける)○○」のキャリアデザイン
西川正一郎

●「経営者」の視線 2
貢献の輪を広げて
池畑健太

●臨床研究のススメ──エビデンスを創ろう 2
シングルケースデザイン
久保田雅史

●臨床に役立つアプリケーション活用術 2
自助具に関するアプリとウェブサービス
林 園子

●臨床実習サブノート
退院後から振り返るゴール設定──推論を事実と照合して学ぶ 9
施設入所 歩行自立
濱原健太郎,他

●原著
鏡視下腱板修復術後における複合性局所疼痛症候群様症状の発症に影響する術前因子──決定木分析による検討
今井孝樹,他

●報告
速さ-正確性トレードオフを示す運動調整課題データを統合的に分析する方法の検討
平井達也,他

●症例報告
イラストやオノマトペを活用した運動学習により片麻痺機能と自立度の改善を認めた慢性期失語症患者の1症例
村部義哉

●My Current Favorite 11
臨床理学療法研究者の育成
玉利光太郎

●私のターニングポイント
多くの理学療法士から影響を受けて
八木優英

●新型コロナウイルス感染症──現場からの報告
新型コロナウイルス感染症流行に伴うコロナフレイル予防の取り組み
石光雄太

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