臨床外科 Vol.78 No.5
2023年 05月号

もっと見る

 胃癌手術における胃の切除範囲は占居部位に規定され,進行癌においてはあまり工夫の余地がないが,比較的早期の癌では縮小手術の適応がある.しかし,縮小手術も真価を発揮するためには様々な工夫が必要である.一方,進行癌に対する胃全摘術はとりわけQOLに対する影響が大きい.著しい体重減少は術後補助化学療法のコンプライアンスにも影響し,予後にも関わる可能性がある.このため術後の外来診療においては,栄養療法や切除術後障害を軽減する薬物療法など様々な工夫が凝らされている.さらに,再建に際して,パウチなどの代用胃で失われた容量を補う工夫も永年行われてきた.
 これらの方法についてのハイレベルなエビデンスは乏しく,またその効果については個体差が大きい印象もあるが,これらの術式を追求してきた研究者の永年の努力が実り,2022年度よりパウチ作製が保険適用となった.この機会にQOLを重視した胃癌手術および再建法について特集し,改めて外科的な胃切除術後障害対策について考えたい.


編集室より:本号では関連する動画を配信しています。ぜひご覧ください。
※ 配信・閲覧期限:発行後3年間
※ ファイルは予告なしに変更・修正,または配信を停止する場合もございます。あらかじめご了承ください。

ISSN 0386-9857
定価 2,970円 (本体2,700円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 収録内容

開く

医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 術後QOLを重視した胃癌手術と再建法

 ■総論
胃癌手術と術後QOLについての患者報告型アウトカムを用いた近年の研究方法とその成果
小寺泰弘

胃癌術式と胃切除後障害
中田浩二・他

永年の経験より代用胃への思いを語る
池田正視・他

■噴門側胃切除
噴門側胃切除術は本当に胃全摘術より優れた術式なのか
國崎主税・他

噴門側胃切除後再建におけるパウチの役割
會澤雅樹・他

腹腔鏡下噴門側胃切除術における double tract reconstructionの工夫:NI法
辻 敏克・他

■胃全摘
腹腔鏡下胃全摘術における空腸パウチ作製の手技とポイント
太田秀一・他

胃全摘後の再建法:ランダム化試験によるパウチ再建の検証──Aboral pouch
伊藤友一

■幽門側胃切除
小胃を残す幽門側胃切除術
石田洋樹・他

幽門側胃切除術後の最適な再建方法とは
今井義朗・他

QOLからみた幽門保存胃切除術のコツ
並川 努・他

グルコース値からみた幽門側胃切除術後の再建法
窪田 健・他


●同心円状モデルで読み解く 新しい食道外科解剖・4
頸部・気管傍領域──頸部こそが食道外科の原点
藤原尚志

●手術器具・手術材料──私のこだわり ⑯
食道裂孔からの中下縦隔術野展開における atrial retractor(心囊鉤)の役割
瀬戸泰之

●FOCUS
「食道癌診療ガイドライン2022年版」改訂のポイント
竹内優志・他

●病院めぐり
公立学校共済組合東海中央病院外科
日比健志

●手術手技
術中膀胱鏡が有用であった右鼠径部膀胱ヘルニアの1例
赤尾希美・他

●臨床報告
鼠径管後壁を切開することで腹腔鏡下に切除しえたNuck管水腫の1例
黒田顕慈・他

乳び腹水を伴った原発性小腸軸捻転症の1例
佐久間 崇・他

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • https://gastro.igaku-shoin.co.jp/