総合リハビリテーション Vol.49 No.11
2021年 11月号

ISSN 0386-9822
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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呼吸リハビリテーションの新しい展開

 呼吸リハビリテーションの対象となる患者は,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)などの慢性呼吸器疾患から,集中治療室(intensive care unit;ICU)入室中などの重症患者・誤嚥性肺炎患者・そして終末期患者と広がり,呼吸ケアやリハビリテーション機器も増え,取り入れるべき新しい知見が増えてきています.本特集では,呼吸リハビリテーションの実践について,疾患特有の方法や工夫・注意点を中心に,ご解説いただきました.

呼吸リハビリテーションの展開 海老原覚氏ら
 現在の呼吸リハビリテーションは,運動療法・薬物療法・教育・日常生活整備や訓練などを多職種で行う包括的リハビリテーションが中心となっている.今後,オンラインデバイスを用いた遠隔医療としての遠隔呼吸リハビリテーションの拡大が予想される.また,栄養サポートや,アロマテラピーの併用も有効性が報告されており,今後発展が期待される.

慢性閉塞性肺疾患 田中貴子氏
 COPDは70歳以上では6人に1人の割合で罹患者がいると推定され,薬物療法とともに非薬物療法であるリハビリテーションが奏功する疾患である.COPDの呼吸リハビリテーションプログラムは,運動療法・日常生活動作(activities of daily living;ADL)トレーニング・コンディショニング・セルフマネジメント教育などで構成される.外来や教育入院で行われている,病期に応じた呼吸リハビリテーションプログラムの実際も紹介する.

間質性肺炎に対する呼吸リハビリテーションの現状と展望 佐々木琢磨氏
 間質性肺炎は,関節リウマチなどの膠原病・粉じんなどの慢性的な吸入・薬剤・特殊な感染症などが原因になるほか,原因が特定できない特発性のものもある.間質性肺炎に対しては,早期から,多職種で構成された包括的リハビリテーションを行うことが必要である.急性期から亜急性期,および安定期の,呼吸リハビリテーションの実際を紹介する.特に特発性間質性肺炎は進行性で予後不良であることも多く,より長期的な効果が得られる包括的リハビリテーションが期待される.

誤嚥性肺炎 岡崎達馬氏ら
 肺炎は,本邦の死因の第三位であり,高齢者の肺炎の70~90%は誤嚥性であるとされている.誤嚥性肺炎に対しては,絶食と抗菌薬加療に加えて,嚥下機能の評価と,リハビリテーション治療(間接訓練・直接訓練)が必要である.嚥下反射を改善させるsubstance Pの放出を促進する物質や,angiotensin‒converting enzyme(ACE)阻害薬などの薬剤も用いられる.サルコペニアが誤嚥性肺炎に関係しているという報告も多く,栄養・筋力・筋量への各種治療の可能性をさぐることも,今後の検討課題である.

周術期・ICU 井上順一朗氏
 周術期リハビリテーションは,術後合併症を予防し,ADL や生活の質(quality of life;QOL)を維持・改善することを目的として行われる.特に侵襲が大きい胸腹部手術の一つである食道がん手術(食道切除再建術)で行われている,術前リハビリテーション(prehabilitation),周術期リハビリテーションの実際について紹介した.また,早期離床や運動療法中の呼吸管理として有用な,高流量鼻カニューラ酸素療法についても解説した.

神経筋疾患 花山耕三氏
 神経筋疾患の呼吸障害を診るうえでは,その経過や予後を考慮することが重要である.経時的に,症状や徴候・努力性肺活量・咳のピークフロー・最大強制吸気量・経皮的動脈血酸素飽和度(saturation of percutaneous oxygen;SpO2)などを評価して呼吸状態を把握し,肺・胸郭のコンプライアンス・気道クリアランス・換気の正常化を目標として,呼吸障害に対する治療・ケアがなされる.呼吸障害があっても,呼吸補助装置を用いていても,行動範囲を広げ,社会参加ができるような働きかけが重要である.

新型コロナウイルス感染症 藤谷順子氏
 急性期・重症例では集中治療後症候群予防のためのリハビリテーションが行われ,腹臥位療法も勧められている.重症症例の回復期や中等症症例で,酸素飽和度の低下の自覚が少ないsilent hypoxaemiaや,軽労作や立位で頻脈となるpostural tachycardial syndromeなどがみられ,リハビリテーション中のモニターが必要である.Post COVID‒19症例で,易疲労性・運動耐容能の低下などを含む多彩な後遺症も指摘されており,今後のリハビリテーション治療の関与が重要と考えられる.

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呼吸リハビリテーションの展開
海老原 覚,他

慢性閉塞性肺疾患
田中貴子

間質性肺炎に対する呼吸リハビリテーションの現状と展望
佐々木琢磨

誤嚥性肺炎
岡崎達馬,他

周術期・ICU
井上順一朗

神経筋疾患
花山耕三

新型コロナウイルス感染症
藤谷順子


●巻頭言
心理学の世界が変わりつつある!
中島恵子

●入門講座 どう選ぶ? 介護保険のリハビリテーション・機能訓練④
介護老人保健施設,短期入所療養介護(ショートステイ)
東憲太郎

●実践講座 医療機関における治療と仕事の両立支援④
両立支援の実際――がん
立石清一郎,他

●調査
新型コロナウイルス感染症(COVID—19)が発達障害領域の作業療法にもたらした影響
齊藤秀和,他

●集中講座 評価法の使い方 シリーズ2 各論(疾患別篇)⑪
精神疾患
倉科志穂,他

●新専門医制度における研修プログラム 第4回
リハビリテーション専門施設を基幹研修施設とする研修プログラム
――静岡広域病院連携リハビリテーション科専門医研修プログラム
藤島一郎,他

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
庄野潤三の『世をへだてて』――脳出血発症時の状況
高橋正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ゆうやけ子どもクラブ!」――発達の事実を生み出す放課後実践は詩的世界に昇華する
二通 諭

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