胃と腸 Vol.56 No.5
2021年 05月号(増刊号)

ISSN 0536-2180
定価 7,920円 (本体7,200円+税)

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次はあなたの「なぜ?」と工夫が主流となる!
書評者:後藤田 卓志(日大教授・消化器肝臓内科学)

 消化管の診断から治療を取り扱った書籍はこれまでにも多数出版されているが,本書はそれぞれの臓器で解剖の解説から始まっているところが非常に斬新である。この大原則を押さえ,最新の内視鏡診断と治療につながる要諦が盛り込まれており初学者から上級医まで幅広い層に役立つ項目立てとなっている。消化管疾患はスクリーニングや無症状あるいは鑑別疾患除外目的に行った内視鏡検査で発見されることが多い。そして何らかの疾患に遭遇した場合,その疾患を報告書に的確にドキュメントしなくてはならない。また,意味のある・なしにかかわらず背景周辺粘膜の所見の把握は正確な診断や的確な治療につながる場合がある。

 2000年代に入って内視鏡治療の進歩は目覚ましい。これは,早期病変での拾い上げが進んだことと同時に治療法の確立が寄与している。特に早期消化管癌の治療が外科医だけでなく内科医にも可能となった時代である。そして現在,多くの工夫や新規治療の登場によって知識として追いつくのも大変な時代である。本書は,解剖という一丁目一番地を押さえた上で診断のイロハが示され,治療法選択の助けとなるべく多種多様な内視鏡による治療法が網羅されており,臨床医にとって大いに役立つ。

 消化器系の発生は原腸形成後につくられる単純な1本の管から始まる。このたった1本の管が咽頭から肛門管に至る消化管と肝臓や膵臓を形成する。1本の管でありながら多くの器官が原始腸管の決まった領域に形成され,各器官の位置や境界が厳密に決まっているのは生命の進化の神秘である。一方で,消化管の最も重要な生理機能は,食餌を消化吸収し生命維持に必要な成分に変換することであることを知っておく必要がある。最適な消化管の状態をつくり出すために神経細胞や内分泌細胞が介在し,神経やホルモンの指示を受けて消化液を分泌する外分泌細胞が存在する,意外と複雑な臓器である。また,消化管には病原微生物に対する体内最大の免疫担当細胞が存在している。さらに,腸内細菌叢はエネルギー産生,蠕動運動・消化吸収の促進,物質代謝の調節,感染防御,免疫能活性化など多くの作用を有している。

 つまり,消化管は生命維持の基本となる臓器であり,単純な原始的臓器であるがされど消化管である。本書を片手に,臨床における「なぜ?」に思いをはせていただければ,さらなる発見や飛躍があるはずである。治療においても,提示されている手技で満足することなく次の工夫につなげていただきたい。それが医学(Science)の進歩であり医療(Art)につながる。本書は極めて時宜にかなった内容であり,内視鏡検査・診断に従事する全ての先生に必携の書物である。

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

序文

■咽喉頭
診断
咽喉頭の解剖
通常内視鏡(経鼻)
通常内視鏡(経口)
画像強調内視鏡:拾い上げ診断と鑑別診断

治療
ESD
ELPS
EMR-C

■食道
診断
食道の解剖
食道造影:撮影法と拾い上げ診断
食道造影:癌の診断および深達度診断
通常内視鏡:撮影法と拾い上げ診断
画像強調内視鏡
通常内視鏡:癌の診断と鑑別診断
色素内視鏡(ヨード/トルイジンブルー)
色素内視鏡(Barrett食道)
画像強調拡大内視鏡(拾い上げ)
画像強調拡大内視鏡(癌の精査)
超拡大内視鏡
EUS

治療
ESD
EMRC法(キャップ法)
EEMR-tube
APC焼灼
RFA
PDT
EVL
EIS
バルーン拡張術
RIC
セレスチン
ステント留置
異物除去
POEM
POET
ARMS/ARMA
内視鏡的縫縮(機械吻合によるGERDの治療)
Zenker憩室に対する新しい内視鏡治療(Z-POEM)

■胃
診断
胃の解剖
木村・竹本分類
胃造影:撮影法
胃造影:癌の診断と鑑別診断
通常内視鏡:撮影方法と拾い上げ診断
H. pylori感染の内視鏡診断
A型胃炎の内視鏡診断
色素内視鏡(インジゴカルミン)
色素内視鏡(酢酸法/Congo-red法)
画像強調内視鏡(NBI)
画像強調内視鏡(BLI,LCI)
拡大内視鏡の理論と基本手技
拡大内視鏡(胃炎の診断)
拡大内視鏡(癌/非癌の診断)
拡大内視鏡(癌の組織型診断)
拡大内視鏡(癌の指標)
超拡大内視鏡(ECS)
EUS
EUS-FNA(SMT診断)

治療
ESD先端系
ESD絶縁体系(ITknife,ITknife2)
ESDはさみ系
ESDトラクション法
Strip Biopsy
ERHSE(EMR-HSE)
EDSP
SMTの内視鏡的切除
ポリペクトミー
PDT
LECS
EIS:胃静脈瘤に対する内視鏡治療(CA法)
超音波内視鏡下コイル塞栓療法
止血術
焼灼術:GAVEに対するAPC焼灼治療
胃石の溶解・破砕
異物除去
PEG(Pull法)
PEG(Introducer法)
PTEG
ステント留置(悪性狭窄の治療)
G-POEM

■十二指腸
診断
十二指腸の解剖
低緊張性十二指腸造影
通常内視鏡:良性病変の診断
通常内視鏡:癌/腺腫の診断
画像強調内視鏡

治療
ESD
ESDの偶発症予防策
内視鏡的縫縮
EMR
UEMR
Coldスネアポリペクトミー
LECS

■小腸
診断
小腸の解剖
小腸造影(充満法)
小腸造影(二重造影)
カプセル内視鏡
ダブルバルーン内視鏡(DBE)
シングルバルーン内視鏡(SBE)
Spiral内視鏡
CT Enterography
MR Enterography
EUS

治療
止血術(クリップ,APC)
止血術(薬剤局注)
止血術(IVR)
腸重積解除
EMR,ポリペクトミー
内視鏡的バルーン拡張術(EBD)
RIC

■大腸
診断
大腸の解剖
注腸造影(総論)
注腸造影(腫瘍の診断)
注腸造影(炎症性疾患の診断)
大腸内視鏡の前処置・挿入法
通常内視鏡(腫瘍様病変)
通常内視鏡(炎症)
色素拡大内視鏡(腫瘍)
拡大内視鏡(炎症)
画像強調拡大内視鏡(NBI,BLI)(腫瘍)
画像強調拡大内視鏡(LCI)(腫瘍)
Endocytoscopy
confocal laser endoscopy
EUS
カプセル内視鏡
CT Colonography
潰瘍性大腸炎の内視鏡的活動性評価
潰瘍性大腸炎関連腫瘍(UCAN)の内視鏡診断

治療
ポリペクトミー
Coldポリペクトミー
EMR
UEMR
precutting EMR
Hybrid ESD
ESD(IT-nano)
ESD(先端系)
ESD(scissors)
per-anal endoscopic myectomy
止血術(止血鉗子)
止血術(クリップ)
止血術(留置スネア)
止血術(IVR)
ステント留置術
EBD
内視鏡的縫縮術
全層切除術
大腸憩室出血の部位同定と内視鏡的止血法(EBL)
神経内分泌腫瘍に対するESMR-L

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