看護の統合と実践[2]
医療安全 第4版
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・本書は、専門分野で身に付けた看護技術を、臨床の看護現場で活用するにあたって不可欠な「安全」の視点から必ず配慮しなければならないポイントを整理するものです。
・まず看護事故の構造を学び、そうした事故を未然に防ぐための基本的な考え方が示されています。次に、その考え方に沿って注射・輸血・内服与薬・経管栄養といった診療の補助業務、転倒転落・誤嚥・異食の防止といった療養上の世話業務における事故防止の具体的な方策が整理されています。
・タイムプレッシャーや途中中断といったミスを誘発しやすい多重課題の特徴と対応、さまざまな場面でみられる患者間違いも横断的に整理し、エラーを防ぐポイントが示されています。
・また、看護師自身の安全に関わる業務上のリスクと対応についても簡潔に整理しています。新人看護師としてすぐに求められる医療安全の具体的な知識を、系統的に理解することができます。
・『医療安全ワークブック 第4版』を副教材として併用することで、各専門科目を学ぶ中では学生に意識されにくいものの、知らないと臨床では重大な結果を招きかねない必須知識の定着を促します。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 系統看護学講座-専門分野 |
---|---|
著 | 川村 治子 |
発行 | 2018年02月判型:B5頁:312 |
ISBN | 978-4-260-03438-8 |
定価 | 2,420円 (本体2,200円+税) |
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序文
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はしがき
第4版に寄せて
医療事故が社会問題化するきっかけになった,1999年の横浜市立大学附属病院手術患者取り違え事故から早いもので,来年で20年になります。この大事故は,本書を手にされる看護学生の多くが生まれる前後の頃のことですが,当時すでに医療現場で働いていたすべての医療職にとって非常に衝撃的なできごとでした。この事故は,心臓の手術と肺の手術の患者を取り違えて手術が行われ,術後のICUまで間違いに気づかなかったというものです。事故そのものもさることながら,それがわが国の病院のトップクラスに位置する特定機能病院の1つでおきたということへの驚きもあって関心を集めたのでした。
この事故がなぜおき,なぜ間違いの発見が遅れたのかが調査される過程で,さまざまな医療システムや組織要因が明らかになりました。それ以来,厚生労働省,医療職能団体,学会,教育機関,医療関係企業,そして医療機関のそれぞれで,医療安全への取り組みが始まりました。本書の初版は,この事故の直後に厚生省(当時)の補助金により行われた,看護師のヒヤリ・ハット報告約1万事例の分析研究の知見をもとに2005年に出版されました。1万事例は全国約200病院の看護部が提供してくださいました。協力してくださった施設の方々に報いるためにも,看護学生のみなさんに先輩看護師の貴重な体験から学んでほしいと思ったからです。その初版から13年,新たな事例や医療安全の知見を盛り込みながら版を重ねてきましたが,今回,念願の第4版を発行することができました。
この第4版での大きな改訂点は,新たに2つの章を加えたことです。1つは,第7章の「看護師の労働安全衛生上の事故防止」です。ここでは,職業感染,抗がん剤の曝露,放射線被曝,ラテックスアレルギー,院内暴力を取り上げています。これは,医療事故の被害者は患者のみならず,医療従事者も含まれると考えたからです。もう1つは,第9章の「医療安全対策の国内外の潮流」です。ここでは,わが国の医療安全対策の潮流として,厚生労働省,医療機能評価機構,医薬品医療機器総合機構および日本看護協会の取り組みを,また国外の医療安全対策の潮流と国際的な連携として,米国やWHOの取り組みと国際的な連携を取り上げています。さらに,産業界からの学びにも触れています。これは,この20年間の医療安全対策の歩みを学び,社会的,国際的な視野からも医療安全を捉えてほしいと考えたからです。
そのほかに,第5章の「業務領域をこえて共通する間違いと発生要因」で,間違いの発生要因として重要な多重課題を取り上げ,その対応の考え方を示しました。また,第8章の「組織的な安全管理体制への取り組み」では,重大事故発生後の対応も加えています。そのほかの章でも,最近発生した事例や知見を盛り込んでいます。
看護師は,診療の補助,療養上の世話と,他の医療職よりもはるかに多様な業務を担当します。とくに急性期医療の現場では,医療の進歩で診療の補助はますます高度化・複雑化し,また療養上の世話においても,患者の高齢化で一層繊細な気遣いが求められています。さらに看護師は,多職種が連携・協働するチーム医療における要としての役割も求められています。安全な医療・看護の提供のために,この第4版も役立てていただければ幸いです。
2018年2月
著者
第4版に寄せて
医療事故が社会問題化するきっかけになった,1999年の横浜市立大学附属病院手術患者取り違え事故から早いもので,来年で20年になります。この大事故は,本書を手にされる看護学生の多くが生まれる前後の頃のことですが,当時すでに医療現場で働いていたすべての医療職にとって非常に衝撃的なできごとでした。この事故は,心臓の手術と肺の手術の患者を取り違えて手術が行われ,術後のICUまで間違いに気づかなかったというものです。事故そのものもさることながら,それがわが国の病院のトップクラスに位置する特定機能病院の1つでおきたということへの驚きもあって関心を集めたのでした。
この事故がなぜおき,なぜ間違いの発見が遅れたのかが調査される過程で,さまざまな医療システムや組織要因が明らかになりました。それ以来,厚生労働省,医療職能団体,学会,教育機関,医療関係企業,そして医療機関のそれぞれで,医療安全への取り組みが始まりました。本書の初版は,この事故の直後に厚生省(当時)の補助金により行われた,看護師のヒヤリ・ハット報告約1万事例の分析研究の知見をもとに2005年に出版されました。1万事例は全国約200病院の看護部が提供してくださいました。協力してくださった施設の方々に報いるためにも,看護学生のみなさんに先輩看護師の貴重な体験から学んでほしいと思ったからです。その初版から13年,新たな事例や医療安全の知見を盛り込みながら版を重ねてきましたが,今回,念願の第4版を発行することができました。
この第4版での大きな改訂点は,新たに2つの章を加えたことです。1つは,第7章の「看護師の労働安全衛生上の事故防止」です。ここでは,職業感染,抗がん剤の曝露,放射線被曝,ラテックスアレルギー,院内暴力を取り上げています。これは,医療事故の被害者は患者のみならず,医療従事者も含まれると考えたからです。もう1つは,第9章の「医療安全対策の国内外の潮流」です。ここでは,わが国の医療安全対策の潮流として,厚生労働省,医療機能評価機構,医薬品医療機器総合機構および日本看護協会の取り組みを,また国外の医療安全対策の潮流と国際的な連携として,米国やWHOの取り組みと国際的な連携を取り上げています。さらに,産業界からの学びにも触れています。これは,この20年間の医療安全対策の歩みを学び,社会的,国際的な視野からも医療安全を捉えてほしいと考えたからです。
そのほかに,第5章の「業務領域をこえて共通する間違いと発生要因」で,間違いの発生要因として重要な多重課題を取り上げ,その対応の考え方を示しました。また,第8章の「組織的な安全管理体制への取り組み」では,重大事故発生後の対応も加えています。そのほかの章でも,最近発生した事例や知見を盛り込んでいます。
看護師は,診療の補助,療養上の世話と,他の医療職よりもはるかに多様な業務を担当します。とくに急性期医療の現場では,医療の進歩で診療の補助はますます高度化・複雑化し,また療養上の世話においても,患者の高齢化で一層繊細な気遣いが求められています。さらに看護師は,多職種が連携・協働するチーム医療における要としての役割も求められています。安全な医療・看護の提供のために,この第4版も役立てていただければ幸いです。
2018年2月
著者
目次
開く
序章 医療安全を学ぶことのたいせつさ
A 人はなぜ間違いをおかすのか
B 意識状態の変動と医療安全を学ぶことの意義
C 人間の3つの行動モデルと医療安全を学ぶことの意義
D 看護職を選ぶことの重さと安全努力の責務
第1章 事故防止の考え方を学ぶ
A 医療事故と看護業務
B 看護事故の構造
C 看護事故防止の考え方
第2章 診療の補助の事故防止(I) 患者に投与する業務における事故防止
A 業務特性からみた患者に投与する業務の事故防止(総論)
B 注射業務と事故防止
C 注射業務に用いる機器(輸液ポンプ・シリンジポンプ関連)での事故防止
D 輸血業務と事故防止
E 内服与薬業務と事故防止
F 経管栄養(注入)業務と事故防止
第3章 診療の補助の事故防止(II) 継続中の危険な医療行為の観察・管理における事故防止
A チューブ管理と事故防止
第4章 療養上の世話の事故防止
A 療養上の世話における2群の事故のとらえ方と防止(総論)
B 転倒・転落事故防止
C 摂食中の窒息・誤嚥事故防止
D 異食事故防止
E 入浴中の事故防止
第5章 業務領域をこえて共通する間違いと発生要因
A 業務領域をこえて共通する患者間違い
B 間違いを誘発する多重課題,タイムプレッシャーと業務途中の中断
C 新人特有の危険な思い込みと行動パターン
第6章 医療安全とコミュニケーション
A 不正確・不十分なコミュニケーションは事故の重要要因
B 事故防止のための医療職間のコミュニケーション
C 医療事故防止のための患者とのコミュニケーション
D 事故の未然防止上重要なコミュニケーション
第7章 看護師の労働安全衛生上の事故防止
A 職業感染
B 抗がん剤の曝露防止
C 放射線被曝
D ラテックスアレルギー
E 院内暴力
第8章 組織的な安全管理体制への取り組み
A 組織としての医療安全対策
B システムとしての事故防止の具体例
C 重大事故発生時の医療チームおよび組織の対応
第9章 医療安全対策の国内外の潮流
A わが国の医療安全対策の潮流
B 国外の医療安全対策の潮流と国際的連携
C 産業界から学ぶ──ヒューマン・ファクターズの取り入れ
参考文献
研究報告書
索引
A 人はなぜ間違いをおかすのか
B 意識状態の変動と医療安全を学ぶことの意義
C 人間の3つの行動モデルと医療安全を学ぶことの意義
D 看護職を選ぶことの重さと安全努力の責務
第1章 事故防止の考え方を学ぶ
A 医療事故と看護業務
B 看護事故の構造
C 看護事故防止の考え方
第2章 診療の補助の事故防止(I) 患者に投与する業務における事故防止
A 業務特性からみた患者に投与する業務の事故防止(総論)
B 注射業務と事故防止
C 注射業務に用いる機器(輸液ポンプ・シリンジポンプ関連)での事故防止
D 輸血業務と事故防止
E 内服与薬業務と事故防止
F 経管栄養(注入)業務と事故防止
第3章 診療の補助の事故防止(II) 継続中の危険な医療行為の観察・管理における事故防止
A チューブ管理と事故防止
第4章 療養上の世話の事故防止
A 療養上の世話における2群の事故のとらえ方と防止(総論)
B 転倒・転落事故防止
C 摂食中の窒息・誤嚥事故防止
D 異食事故防止
E 入浴中の事故防止
第5章 業務領域をこえて共通する間違いと発生要因
A 業務領域をこえて共通する患者間違い
B 間違いを誘発する多重課題,タイムプレッシャーと業務途中の中断
C 新人特有の危険な思い込みと行動パターン
第6章 医療安全とコミュニケーション
A 不正確・不十分なコミュニケーションは事故の重要要因
B 事故防止のための医療職間のコミュニケーション
C 医療事故防止のための患者とのコミュニケーション
D 事故の未然防止上重要なコミュニケーション
第7章 看護師の労働安全衛生上の事故防止
A 職業感染
B 抗がん剤の曝露防止
C 放射線被曝
D ラテックスアレルギー
E 院内暴力
第8章 組織的な安全管理体制への取り組み
A 組織としての医療安全対策
B システムとしての事故防止の具体例
C 重大事故発生時の医療チームおよび組織の対応
第9章 医療安全対策の国内外の潮流
A わが国の医療安全対策の潮流
B 国外の医療安全対策の潮流と国際的連携
C 産業界から学ぶ──ヒューマン・ファクターズの取り入れ
参考文献
研究報告書
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