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≪ジェネラリストBOOKS≫

トップランナーの感染症外来診療術


編集:羽田野 義郎/北 和也

  • 判型 A5
  • 頁 356
  • 発行 2019年03月
  • 定価 4,536円 (本体4,200円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03633-7
これぞリアルな感染症外来! もう“できてるつもり医”とは呼ばせない!
シリーズ《ジェネラリストBOOKS》の1冊。外来で遭遇する感染症への基本的な対応からワンランク上の対応までをまとめるもの。この領域のトップランナーたちが、診療の基本からよりアドバンスなテクニックまでを自身の診療や過去の経験などを踏まえながら解説。著者の失敗談やそこから学んだことなどについても紹介しており、「本書を読めば外来で診る感染症診療の質が上がる!」と言っても過言ではない充実の内容。
*「ジェネラリストBOOKS」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文
まえがき

外来1年生,そのときは突然やってくる
 私は3年目(後期研修1年目)に総合内科の後期研修を始めましたが,大した準備もなくいきなり勤務1週目から一般内科外来を担当しました(いや,させられた!?).月曜日,病院を移動してオリエンテーションが終わった後,「外来...
まえがき

外来1年生,そのときは突然やってくる
 私は3年目(後期研修1年目)に総合内科の後期研修を始めましたが,大した準備もなくいきなり勤務1週目から一般内科外来を担当しました(いや,させられた!?).月曜日,病院を移動してオリエンテーションが終わった後,「外来は毎週火曜日だから明日だね,よろしく」と部長に言われて焦ったのを今でも覚えています.翌日,緊張した中で一般内科外来を担当させていただくこととなりました.当時,忙しい市中病院で一般内科外来のことについて質問できる指導医もおらず,自分が疑問に思ったことを横の外来の先生に質問してなんとか切り抜けましたが,そのときの尋常じゃない緊張感は忘れられません.初期研修中に外来研修が1か月あったのにもかかわらず,です.

正しいことをしている「つもり」のプラクティス,実はそうではない?
 上記のようにわからない事柄について質問する状況では,特に疑問に思わないことに関しては当然ですが質問しませんでした.わからないことばかりで,目の前の疑問を解決することだけで精一杯だったということもあるかもしれません.
 駆け出しの頃,幸いにも私は指導医のご厚意により空いた時間で外来患者のレビューをしていただいていました.あるとき,私が「この患者さんはかぜですから飛ばしていいです」と次に移ろうとすると,指導医からプレゼンを求められたので行ったところ,前立腺肥大の患者さんに,抗コリン作用を有する薬剤が含まれるPL顆粒を処方してしまっていることがわかりました(お恥ずかしい限りです).そこで私は学ぶことになったのですが,入院のケースと比較して外来のケースは他の医師の目が入ることは少なく,この例に限らず自分が特に問題ないと思って行っているプラクティスが,実はベストプラクティスとは限らないのです.
 一般内科外来ではいわゆる「かぜ」から肺炎,尿路感染症などのコモンな感染症,よくわからない発熱患者など,多彩な症状をもった感染症患者さんが受診されます.幸か不幸か,外来診療をしている限り感染症の診療を避けることは不可能です.さらにいうと,感染症の初診は感染症専門医でないことがほとんどです.したがって感染症の基本的なマネジメントは外来診療に関わるすべての医師に必要なスキルの1つなのです.
 本書は,細菌感染症の範囲を超えて,外来でよく出会うウイルス感染症や皮膚科疾患,慢性感染症のマネジメントに至るまで「外来感染症についてこの1冊があれば対応できる!」というコンセプトのもと,編集しました.これから外来を始める研修中の皆さまが,私のように冷や汗をかくような思いをすることがないよう,第一線で勤務されている先生方に診療のプロセスや思考過程などを紹介していただいています.同時に,すでに外来でご活躍中の先生方にとっても,なるほどと思っていただけるような内容が豊富に盛り込まれた1冊となっていると思っています.
 一緒に編集をしてくださった北和也先生は,診療所や在宅という総合病院とは対極のセッティングにいますが,同じ思いをもちつつ,診療所・在宅で働く総合医という立場から現場で役立ちそうなTipsをところどころコメントに散りばめてくださいました.私は大学病院,地域の中核病院での感染症専門診療,プライマリケアとしての内科外来診療,と異なる3つのセッティングで診療していますが,夜な夜な行われるSkype会議で語られる北先生の診療の実際とその視点は,私にとっても気づかされるところが多く,一緒に作り上げてきてよかったと感じています.
 この10年で日本の感染症診療は大きく変わりました.例えば「血液培養2セット」は,日本中どこでも今では常識になりつつあり,臨床感染症のマネジメントが全国に浸透した10年だったように感じます.私自身も総合内科と感染症の専門研修を経て,今では感染症専門医として勤務するようになりました.
 一方で,世界の感染症を取り巻く諸問題もこの10年で急速に変化しています.例えば薬剤耐性の問題で,10年前には割と稀であったESBL産生菌は,今ではMRSAと同様コモンな耐性菌として認識されるようになりました.この薬剤耐性に対する取り組みは薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン,抗微生物薬適正使用の手引きなど,国家レベルをはじめとして全国で取り組まれています.外来診療に目を向けると,抗菌薬処方の90%を占める内服抗菌薬をどう適正使用するかは,外来診療に関わる皆さまの日々のプラクティスにかかっている,といっても過言ではありません.
 皆さまの外来診療に本書の内容が少しでもお役に立てるように,ひいては次の10年,急速に変化する状況を上回るスピードで日本の感染症診療がさらによい方向に向かうように願っています.
 最後に,非常に洗練された原稿をご担当いただいた執筆者の皆さま(時間がかかり,また色々とお願いして大変申し訳ありませんでした!),そのような編集を最後まで粘り強くお付き合いいただいた医学書院の松本哲さん,いつも斬新なアイデアでこの本を完成に導いてくれた北先生にお礼を申し上げます.皆さまとの時間は,私にとって実りある時間となりました.

 2019年1月
 羽田野義郎
目 次
まえがき
編者紹介

第1章 これだけは押さえておきたい! 基本疾患の診療
 かぜ
  たかが「かぜ」,されど「かぜ」
 インフルエンザ
  治療はムンテラマイシン,時々抗インフルエンザ薬?
 咽頭炎
  奥の深い咽頭痛,咽頭炎
 副鼻腔炎・中耳炎
  似ているようで違う副鼻腔炎と中耳炎
 気管支炎・肺炎
  両者の線引き,意外と難しいんです
 尿路感染症
  膿尿があれば診断確定?
 下痢症
  感染性腸炎はnon-invasive typeあるいはinvasive typeかの判断が大切
 皮膚軟部組織感染症
  皮膚所見の違い,見分けられますか?
 性感染症
  内科外来にはどんな症状で来るのか?
 白癬
  白癬に対して非専門医ができること
 帯状疱疹
  あなたは皮疹を見る前に診断ができるか?

第2章 ちゃんと診られる? 診断に注意が必要な疾患の診療
 パルボウイルスB19感染症
  どんなときに疑えばいいの?
 伝染性単核球症
  若者たちの情熱のあとさき
 麻疹と風疹
  臨床所見の類似点と相違点
 手足口病
  手足口病は手と足と口だけ?
 水痘
  定期接種化が始まった水痘と成人水痘
 ムンプス(流行性耳下腺炎)
  福は転じて災いとなる
 単純ヘルペスウイルス感染症
  話はそう“単純”ではない
 寄生虫
  無視しちゃいけないムシ(寄生虫)の話
 ダニ
  「ダニに刺された!」あなたならどうする!?
 HIV
  想起で早期診断!
 レプトスピラ症
  目が赤い,鑑別のポイントは?
 熱と皮疹
  鑑別のための6つのフェーズ
 猫ひっかき病
  痛みを伴った限局性リンパ節腫脹,どう考える?

第3章 外来エマージェンシー! 見落としてはならない重要疾患の見極め方
 髄膜炎
  Time is brain here, too.
 胆嚢炎・胆管炎
  近くも遠い胆道感染症(似て非なる胆嚢炎と胆管炎)
 感染性心内膜炎
  感染性心内膜炎は歩いて外来にやってくる
 敗血症
  素早く認識し,確実に対処する!
 椎体炎
  長期間の治療が必要なため,最初が肝心
 化膿性関節炎
  意外と死亡率が高く,関節機能にも影響が…

第4章 退院後が肝心! 長期マネジメントが求められる疾患のフォローの仕方
 結核
  少なくとも2年半はお付き合いしましょう
 非結核性抗酸菌症(NTM症)
  結核よりタチが悪い?

第5章 外来レベルをさらに高めるために知っておきたいこと
 高齢者の診かた
  コモンを制するものが感染症を制す
 子どもの診かた
  劇的な「スゴ技」はないけれど
 妊産婦の診かた
  妊婦・授乳婦さんって何を処方していいの?
 海外渡航者の診かた
  疾患名をあぶり出す3つのポイント
 感染対策
  外来でできる対策は? 診療所,費用,針刺し対策
 外来静注抗菌薬療法
  OPATって何?
 ワクチン
  成人向けキャッチアップ接種

あとがき
索引

COLUMN
 (1)第3世代経口セフェム 吸収率と副作用
 (2)経口カルバペネム
 (3)肺炎球菌ワクチン 最近のトピック
 (4)膀胱炎の第一選択薬は難しい
 (5)ホスホマイシン
 (6)梅毒感染はコンドームで予防できるか?
 (7)疥癬のピットフォール
 (8)だまし取られた意識
 (9)診療所でアンコモンかつself-limitedな感染症を診断する!
 (10)関節の腫れの見分け方
 (11)Infectious Diseases in Primary Careに参加して
 (12)学校保健安全法(保護者から治癒証明書を求められた場合の対応など)
 (13)やろうぜ! 診療所・在宅でのグラム染色!
 (14)感染症法に基づく医師の届出
 (15)在宅で重宝する! 抗菌薬の皮下点滴
 (16)診療所での医療廃棄物の扱いについて
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