消化器内科診療レジデントマニュアル
これは頼れる!消化器内科レジデントの新スタンダード
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消化器内科臨床でかならずわきあがる「?」に素早くこたえます。多忙を極める病棟で、外来で。いちはやく情報にたどりつけるのは、検索性の高いシンプルかつ機能的な紙面と、長い文章を避けた徹底的に簡潔な記載だから。効率よくおさえられるのは、4種のコラム・囲みの活用で知識が過不足なくきっちり整理されるから。消化器内科レジデントの新スタンダードは、くりかえし開きたくなるこの1冊で決まり!
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | レジデントマニュアル |
---|---|
編集 | 工藤 正俊 |
発行 | 2018年11月判型:B6変頁:480 |
ISBN | 978-4-260-03597-2 |
定価 | 4,950円 (本体4,500円+税) |
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- 序文
- 目次
- 書評
序文
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序
『消化器内科診療レジデントマニュアル』が発刊された.
本書は,消化器内科をローテート研修で回る研修医1~2年目,および消化器専門医を志す後期レジデント,ならびに消化器内科をローテート研修するすべての内科レジデント,外科レジデントが消化器診療のポイントを短時間で効率的に学ぶためのきわめて有用なツールになるよう企図したものである.
現在,近畿大学医学部消化器内科は附属病院941床のうち101床の入院ベッドを使用しており,在院日数6~7日,稼働率100%とフル稼働している.日本の医学部附属病院消化器内科のなかでは最大規模のベッド数かつ患者数と思われる.消化器内科は肝臓グループ,胆膵グループ,消化管グループに大きく3つに分かれる.全国82医科大学のなかで当科の特徴を挙げるとすれば,その3領域のすべてにおいて,臨床レベルがきわめて高いということに尽きるであろう.肝臓領域では,肝癌のラジオ波治療件数は毎年全国3位以内に位置し,TACEや分子標的治療も全国1位の治療総数である.B型肝炎,C型肝炎の治療実績も全国有数である.胆膵超音波内視鏡は年間1,800件以上と全国一の件数を誇っており,EUS-FNA,胆道ドレナージなどの特殊手技の件数も年間500件以上と全国トップクラスである.また消化器内視鏡検査数は年間2万件を超えており,うち上部内視鏡検査は9,000件以上,下部内視鏡も4,000件を上回りESD,EMRなどの治療内視鏡も毎年500件以上(上部200件以上,下部200件以上)と,膨大な症例数をこなしている.
また,近畿大学消化器内科では年間100本以上の英語論文を出版しており,その8割以上が臨床に関する論文である.日々の高度な日常診療が世界の医療に発信するに足るエビデンスを生み出し,世界の臨床消化器病学の進歩に貢献する論文出版に繋がっているといえる.
スタッフの1人ひとりは大変忙しく高度な臨床業務に専念しているが,誰一人としてこの忙しさを苦と思っている者はなく,生き生きと診療にあたっている.結果,毎年のように症例数も増え,そして論文数や医局員の数も右肩上がりに増えている.まさに「勢いのある診療科」と,自負している.
本書はこのように日本の消化器診療のなかで最高・最善の医療を行っている近畿大学消化器内科の診療を,余すところなく読者に伝えるべく編集している.
第1章では症状・症候からの鑑別診断,第2章では消化器内科にとって必要不可欠な検体検査の読み方,画像検査の手技と読み方,治療手技の実際とコツ,そして第3章の消化器疾患各論では,肝疾患,胆膵疾患,消化管疾患の診断,疾患概念,検査診断治療が簡潔に述べられている.
コラム「NOTE」,「PLUS ONE」,「Side Memo」,「Latest Topics」には工夫を凝らしている.「NOTE」はそこを見れば疑問に思っていたことがすぐに解決されるように工夫が凝らされている.「PLUS ONE」は知っていると大変便利な情報がポイントをついて述べられている.「Side Memo」は消化器病,特に肝臓,胆膵,消化管内視鏡の各専門施設でのみ必要な知識(ある意味,きわめて専門的な内容)が記載されている.「Latest Topics」では世界最先端の話題や高度な専門知識が要領よく端的に述べられている.
本書は冒頭で述べた読者に加え,領域の広い消化器内科医にとって,また高度に専門分化した肝臓専門医,胆膵専門医,消化管内視鏡専門医にとっても,自己の専門と異なる他領域の最新の進歩を短時間でcatch upするうえで参考になる.また外科の研修医,専攻医,若手医師,あるいは放射線診断を目指す研修医,専攻医,若手医師にとっても「今知りたいこと」をto-the-pointで短時間に把握する点で,必ずや若い医師たちのお役に立つことができる本に仕上がったことを大変喜ばしく思っている.
最後に本書作成にあたってご尽力いただいた西田直生志准教授,南康範講師,そしてお世話になった医学書院の関係諸氏に厚く御礼申し上げ,編集者の言葉としたい.
2018年10月 大阪狭山市にて
近畿大学医学部消化器内科・主任教授
工藤正俊
『消化器内科診療レジデントマニュアル』が発刊された.
本書は,消化器内科をローテート研修で回る研修医1~2年目,および消化器専門医を志す後期レジデント,ならびに消化器内科をローテート研修するすべての内科レジデント,外科レジデントが消化器診療のポイントを短時間で効率的に学ぶためのきわめて有用なツールになるよう企図したものである.
現在,近畿大学医学部消化器内科は附属病院941床のうち101床の入院ベッドを使用しており,在院日数6~7日,稼働率100%とフル稼働している.日本の医学部附属病院消化器内科のなかでは最大規模のベッド数かつ患者数と思われる.消化器内科は肝臓グループ,胆膵グループ,消化管グループに大きく3つに分かれる.全国82医科大学のなかで当科の特徴を挙げるとすれば,その3領域のすべてにおいて,臨床レベルがきわめて高いということに尽きるであろう.肝臓領域では,肝癌のラジオ波治療件数は毎年全国3位以内に位置し,TACEや分子標的治療も全国1位の治療総数である.B型肝炎,C型肝炎の治療実績も全国有数である.胆膵超音波内視鏡は年間1,800件以上と全国一の件数を誇っており,EUS-FNA,胆道ドレナージなどの特殊手技の件数も年間500件以上と全国トップクラスである.また消化器内視鏡検査数は年間2万件を超えており,うち上部内視鏡検査は9,000件以上,下部内視鏡も4,000件を上回りESD,EMRなどの治療内視鏡も毎年500件以上(上部200件以上,下部200件以上)と,膨大な症例数をこなしている.
また,近畿大学消化器内科では年間100本以上の英語論文を出版しており,その8割以上が臨床に関する論文である.日々の高度な日常診療が世界の医療に発信するに足るエビデンスを生み出し,世界の臨床消化器病学の進歩に貢献する論文出版に繋がっているといえる.
スタッフの1人ひとりは大変忙しく高度な臨床業務に専念しているが,誰一人としてこの忙しさを苦と思っている者はなく,生き生きと診療にあたっている.結果,毎年のように症例数も増え,そして論文数や医局員の数も右肩上がりに増えている.まさに「勢いのある診療科」と,自負している.
本書はこのように日本の消化器診療のなかで最高・最善の医療を行っている近畿大学消化器内科の診療を,余すところなく読者に伝えるべく編集している.
第1章では症状・症候からの鑑別診断,第2章では消化器内科にとって必要不可欠な検体検査の読み方,画像検査の手技と読み方,治療手技の実際とコツ,そして第3章の消化器疾患各論では,肝疾患,胆膵疾患,消化管疾患の診断,疾患概念,検査診断治療が簡潔に述べられている.
コラム「NOTE」,「PLUS ONE」,「Side Memo」,「Latest Topics」には工夫を凝らしている.「NOTE」はそこを見れば疑問に思っていたことがすぐに解決されるように工夫が凝らされている.「PLUS ONE」は知っていると大変便利な情報がポイントをついて述べられている.「Side Memo」は消化器病,特に肝臓,胆膵,消化管内視鏡の各専門施設でのみ必要な知識(ある意味,きわめて専門的な内容)が記載されている.「Latest Topics」では世界最先端の話題や高度な専門知識が要領よく端的に述べられている.
本書は冒頭で述べた読者に加え,領域の広い消化器内科医にとって,また高度に専門分化した肝臓専門医,胆膵専門医,消化管内視鏡専門医にとっても,自己の専門と異なる他領域の最新の進歩を短時間でcatch upするうえで参考になる.また外科の研修医,専攻医,若手医師,あるいは放射線診断を目指す研修医,専攻医,若手医師にとっても「今知りたいこと」をto-the-pointで短時間に把握する点で,必ずや若い医師たちのお役に立つことができる本に仕上がったことを大変喜ばしく思っている.
最後に本書作成にあたってご尽力いただいた西田直生志准教授,南康範講師,そしてお世話になった医学書院の関係諸氏に厚く御礼申し上げ,編集者の言葉としたい.
2018年10月 大阪狭山市にて
近畿大学医学部消化器内科・主任教授
工藤正俊
目次
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略語一覧
第1章 症状・症候からの鑑別診断
1 食欲不振
2 悪心・嘔吐
3 嚥下障害
4 胸やけ
5 腹痛・急性腹症
6 吐血・下血・血便
7 下痢
8 便秘
9 黄疸
a.閉塞性黄疸
b.肝細胞性黄疸
c.溶血性黄疸
10 腹水
11 腹部腫瘤
第2章 検体検査・画像検査・治療手技の要点
A 検体検査の読み方
1 系統別臨床検査の進め方
a.感染症が疑われる場合
b.肝障害が指摘された場合
2 検査項目各論
a.生化学検査
b.ウイルス関連マーカー
c.腫瘍マーカー
B 画像検査―手技と読み方
1 腹部単純X線
2 超音波
a.Bモード
b.ドプラ法
c.造影超音波
d.超音波エラストグラフィー
3 CT・MRI
a.CT
b.MRI(磁気共鳴画像法)
4 上部消化管内視鏡
5 下部消化管内視鏡
6 小腸検査(小腸内視鏡・カプセル内視鏡)
a.小腸内視鏡
b.カプセル内視鏡
7 消化管疾患の超音波内視鏡
8 内視鏡的逆行性胆管膵管造影
C 治療手技の実際とコツ
I 消化管領域
1 内視鏡検査・治療と抗血栓薬服用者のマネジメント
2 内視鏡検査・治療における鎮静法
3 ポリペクトミー・内視鏡的粘膜切除術
4 内視鏡的粘膜下層剥離術
5 食道・胃静脈瘤の内視鏡的治療
6 内視鏡的止血術(非静脈瘤性)
7 消化管バルーン拡張術
8 消化管ステント留置術
9 消化管異物除去術
10 経皮内視鏡的胃瘻造設術
11 胃管・イレウス管挿入法
II 肝臓領域
1 肝生検・肝腫瘍生検
2 ラジオ波焼灼術
3 肝動脈化学塞栓療法
4 リザーバー肝動注化学療法
5 肝膿瘍ドレナージ
III 胆道・膵臓領域
1 内視鏡的胆管ドレナージ
a.内視鏡的胆管ステント留置術
b.内視鏡的経鼻胆管ドレナージ
2 内視鏡的乳頭切開術
3 内視鏡的乳頭バルーン拡張術
4 経皮的胆嚢ドレナージ・経皮的胆管ドレナージ
第3章 消化器疾患各論
I 食道疾患
1 逆流性食道炎・胃食道逆流症
2 食道潰瘍
3 好酸球性食道炎
4 Mallory-Weiss症候群
5 食道アカラシア
6 食道・胃静脈瘤
7 食道良性腫瘍
a.食道乳頭腫
b.食道顆粒細胞腫
8 食道癌
II 胃・十二指腸疾患
1 慢性胃炎
2 機能性ディスペプシア
3 胃・十二指腸潰瘍
4 好酸球性胃腸炎
5 胃ポリープ
a.胃底腺ポリープ
b.胃過形成性ポリープ
c.腺腫性ポリープ・腺腫
d.炎症性類線維性ポリープ
6 胃癌
7 粘膜下腫瘍
a.消化管間葉系腫瘍
b.平滑筋肉腫
c.神経鞘腫
8 十二指腸腫瘍
a.非乳頭部腫瘍
b.乳頭部腫瘍
9 消化管悪性リンパ腫
a.胃MALTリンパ腫
b.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
10 消化管アミロイドーシス
III 小腸・大腸疾患
1 炎症性腸疾患
a.潰瘍性大腸炎
b.クローン病
2 その他の炎症性腸炎
a.虚血性腸炎
b.腸管Behçet病
c.非特異性多発性小腸潰瘍症
3 細菌性腸炎
4 ウイルス性腸炎
a.ノロウイルス胃腸炎
b.ロタウイルス腸炎
5 薬剤起因性粘膜障害
a.NSAIDs起因性粘膜障害
b.偽膜性腸炎
c.急性出血性腸炎
d.MRSA腸炎
e.コラーゲン大腸炎
f.静脈硬化性大腸炎
6 腸管循環障害
a.急性上腸間膜動脈閉塞症
b.非塞栓性腸間膜虚血
c.腸間膜静脈血栓症
7 小腸腫瘍
a.小腸腺癌
b.小腸血管腫
8 大腸ポリープ
a.(通常型)腺腫
b.大腸鋸歯状病変
9 消化管ポリポーシス
a.家族性大腸腺腫症
b.Peutz-Jeghers症候群
c.Cronkhite-Canada症候群
d.Cowden病
10 大腸癌
11 大腸憩室症
a.憩室炎
b.憩室出血
12 腸閉塞・イレウス
a.単純性(閉塞性)イレウス
b.複雑性(絞扼性)イレウス
13 腸重積
14 過敏性腸症候群
IV 虫垂・肛門・腹壁疾患
1 急性虫垂炎
2 痔核
3 鼠径ヘルニア
V 肝疾患
1 ウイルス性肝炎
a.A型肝炎
b.B型肝炎
c.C型肝炎
d.E型肝炎
e.その他の肝炎
2 薬物性肝障害
3 肝硬変
4 劇症肝炎・急性肝不全
5 自己免疫性肝炎
6 原発性胆汁性胆管炎
7 非アルコール性脂肪性肝疾患・非アルコール性脂肪肝炎
8 アルコール性肝障害
9 肝良性腫瘍
a.肝血管腫
b.肝細胞腺腫
c.肝血管筋脂肪腫
d.限局性結節性過形成
10 肝細胞癌
11 その他の悪性腫瘍
a.肝内胆管癌
b.細胆管細胞癌
c.転移性肝癌
12 肝膿瘍
13 注意すべき肝疾患
a.ヘマクロマトーシス
b.Wilson病
附記 針刺し・体液曝露時の対応
VI 胆道・膵疾患
1 胆嚢結石・総胆管結石
2 急性胆嚢炎・急性胆管炎
a.急性胆嚢炎
b.急性胆管炎
3 胆嚢ポリープ・胆嚢腺筋腫症
a.胆嚢ポリープ
b.胆嚢腺筋腫症
4 胆嚢癌
5 胆管癌
6 原発性硬化性胆管炎
7 IgG4関連硬化性胆管炎
8 急性膵炎
9 慢性膵炎
10 自己免疫性膵炎
11 膵癌
12 膵神経内分泌腫瘍
13 膵管内乳頭粘液性腫瘍
14 その他の膵嚢胞性病変
a.粘液性嚢胞腫瘍
b.漿液性嚢胞腫瘍
付録
索引
第1章 症状・症候からの鑑別診断
1 食欲不振
2 悪心・嘔吐
3 嚥下障害
4 胸やけ
5 腹痛・急性腹症
6 吐血・下血・血便
7 下痢
8 便秘
9 黄疸
a.閉塞性黄疸
b.肝細胞性黄疸
c.溶血性黄疸
10 腹水
11 腹部腫瘤
第2章 検体検査・画像検査・治療手技の要点
A 検体検査の読み方
1 系統別臨床検査の進め方
a.感染症が疑われる場合
b.肝障害が指摘された場合
2 検査項目各論
a.生化学検査
b.ウイルス関連マーカー
c.腫瘍マーカー
B 画像検査―手技と読み方
1 腹部単純X線
2 超音波
a.Bモード
b.ドプラ法
c.造影超音波
d.超音波エラストグラフィー
3 CT・MRI
a.CT
b.MRI(磁気共鳴画像法)
4 上部消化管内視鏡
5 下部消化管内視鏡
6 小腸検査(小腸内視鏡・カプセル内視鏡)
a.小腸内視鏡
b.カプセル内視鏡
7 消化管疾患の超音波内視鏡
8 内視鏡的逆行性胆管膵管造影
C 治療手技の実際とコツ
I 消化管領域
1 内視鏡検査・治療と抗血栓薬服用者のマネジメント
2 内視鏡検査・治療における鎮静法
3 ポリペクトミー・内視鏡的粘膜切除術
4 内視鏡的粘膜下層剥離術
5 食道・胃静脈瘤の内視鏡的治療
6 内視鏡的止血術(非静脈瘤性)
7 消化管バルーン拡張術
8 消化管ステント留置術
9 消化管異物除去術
10 経皮内視鏡的胃瘻造設術
11 胃管・イレウス管挿入法
II 肝臓領域
1 肝生検・肝腫瘍生検
2 ラジオ波焼灼術
3 肝動脈化学塞栓療法
4 リザーバー肝動注化学療法
5 肝膿瘍ドレナージ
III 胆道・膵臓領域
1 内視鏡的胆管ドレナージ
a.内視鏡的胆管ステント留置術
b.内視鏡的経鼻胆管ドレナージ
2 内視鏡的乳頭切開術
3 内視鏡的乳頭バルーン拡張術
4 経皮的胆嚢ドレナージ・経皮的胆管ドレナージ
第3章 消化器疾患各論
I 食道疾患
1 逆流性食道炎・胃食道逆流症
2 食道潰瘍
3 好酸球性食道炎
4 Mallory-Weiss症候群
5 食道アカラシア
6 食道・胃静脈瘤
7 食道良性腫瘍
a.食道乳頭腫
b.食道顆粒細胞腫
8 食道癌
II 胃・十二指腸疾患
1 慢性胃炎
2 機能性ディスペプシア
3 胃・十二指腸潰瘍
4 好酸球性胃腸炎
5 胃ポリープ
a.胃底腺ポリープ
b.胃過形成性ポリープ
c.腺腫性ポリープ・腺腫
d.炎症性類線維性ポリープ
6 胃癌
7 粘膜下腫瘍
a.消化管間葉系腫瘍
b.平滑筋肉腫
c.神経鞘腫
8 十二指腸腫瘍
a.非乳頭部腫瘍
b.乳頭部腫瘍
9 消化管悪性リンパ腫
a.胃MALTリンパ腫
b.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
10 消化管アミロイドーシス
III 小腸・大腸疾患
1 炎症性腸疾患
a.潰瘍性大腸炎
b.クローン病
2 その他の炎症性腸炎
a.虚血性腸炎
b.腸管Behçet病
c.非特異性多発性小腸潰瘍症
3 細菌性腸炎
4 ウイルス性腸炎
a.ノロウイルス胃腸炎
b.ロタウイルス腸炎
5 薬剤起因性粘膜障害
a.NSAIDs起因性粘膜障害
b.偽膜性腸炎
c.急性出血性腸炎
d.MRSA腸炎
e.コラーゲン大腸炎
f.静脈硬化性大腸炎
6 腸管循環障害
a.急性上腸間膜動脈閉塞症
b.非塞栓性腸間膜虚血
c.腸間膜静脈血栓症
7 小腸腫瘍
a.小腸腺癌
b.小腸血管腫
8 大腸ポリープ
a.(通常型)腺腫
b.大腸鋸歯状病変
9 消化管ポリポーシス
a.家族性大腸腺腫症
b.Peutz-Jeghers症候群
c.Cronkhite-Canada症候群
d.Cowden病
10 大腸癌
11 大腸憩室症
a.憩室炎
b.憩室出血
12 腸閉塞・イレウス
a.単純性(閉塞性)イレウス
b.複雑性(絞扼性)イレウス
13 腸重積
14 過敏性腸症候群
IV 虫垂・肛門・腹壁疾患
1 急性虫垂炎
2 痔核
3 鼠径ヘルニア
V 肝疾患
1 ウイルス性肝炎
a.A型肝炎
b.B型肝炎
c.C型肝炎
d.E型肝炎
e.その他の肝炎
2 薬物性肝障害
3 肝硬変
4 劇症肝炎・急性肝不全
5 自己免疫性肝炎
6 原発性胆汁性胆管炎
7 非アルコール性脂肪性肝疾患・非アルコール性脂肪肝炎
8 アルコール性肝障害
9 肝良性腫瘍
a.肝血管腫
b.肝細胞腺腫
c.肝血管筋脂肪腫
d.限局性結節性過形成
10 肝細胞癌
11 その他の悪性腫瘍
a.肝内胆管癌
b.細胆管細胞癌
c.転移性肝癌
12 肝膿瘍
13 注意すべき肝疾患
a.ヘマクロマトーシス
b.Wilson病
附記 針刺し・体液曝露時の対応
VI 胆道・膵疾患
1 胆嚢結石・総胆管結石
2 急性胆嚢炎・急性胆管炎
a.急性胆嚢炎
b.急性胆管炎
3 胆嚢ポリープ・胆嚢腺筋腫症
a.胆嚢ポリープ
b.胆嚢腺筋腫症
4 胆嚢癌
5 胆管癌
6 原発性硬化性胆管炎
7 IgG4関連硬化性胆管炎
8 急性膵炎
9 慢性膵炎
10 自己免疫性膵炎
11 膵癌
12 膵神経内分泌腫瘍
13 膵管内乳頭粘液性腫瘍
14 その他の膵嚢胞性病変
a.粘液性嚢胞腫瘍
b.漿液性嚢胞腫瘍
付録
索引
書評
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世界をリードする近大消化器内科による充実のマニュアル
書評者: 泉 並木 (武蔵野赤十字病院院長)
消化器内科は,病院の入り口の一つとして,大変重要な部分を占めている。がん診療や救急診療の大きな部分を担っており,そこから外科的手術や重篤な救急疾患の診療につながる。また,内科的疾患に関しては,大多数の症例で何らかの診療にかかわる問題点に関与している。まさに消化器内科は病院全体の屋台骨を担っているといっても過言ではないだろう。
近年,高齢者の増加に伴い従来なら外科切除していた疾患が,内視鏡下や薬を用いた内科的治療,処置で対処されることが多くなった。内視鏡下では繊細な処置や治療が行われるため,消化器内科の研修範囲が広がり充実することが求められている。また肝疾患では超音波を用いた侵襲的処置の範囲が拡大している。若手医師,特にレジデントは,学ぶべき知識や技能の範囲が広がっており,多岐にわたる手技や知識をレジデントの間に習得して,病院全体の運営にかかわれるような消化器内科医へと成長することが必要とされるようになっている。
このレジデントマニュアルは,工藤正俊主任教授が率いる近大消化器内科のスタッフによって執筆されている。近大消化器内科は,肝がんの診療においては世界をリードしており,新しい薬や治療法の開発に携わり,世界中から注目される研究を行っている。ウイルス性肝炎診療においては,研究成果を論文化して業績を上げている。胆道系や膵臓の診断や治療においては,他大学を指導する立場にあり充実した内容を誇っている。上部・下部消化管疾患については,早期がんの治療のみならず炎症性腸疾患などの病態解明や新規治療に取り組んでいる。その結果,近大消化器内科は,病院の稼働や収益の中心を担っている。まさにわが国のトップレベルの診療と研究が実践されているが,そこに携わっているスタッフが,レジデントに習得してもらいたい知識として,この本が書かれており,充実した内容となっている。
このマニュアルの特徴として,箇条書きに整理されており,日常診療における疑問点をすぐに調べられる体裁になっている。また具体的な処方が記載されており,診療中に参考にすることができる。知っておくと便利なことは「PLUS ONE」として,専門的知識は「Side Memo」として,世界最先端の話題や高度な専門知識は「Latest Topics」として記載されており,消化器内科のレジデントが使いやすい工夫が凝らされている。この本を手元において充実したレジデント生活の糧として利用することをお薦めする。
優れた消化器内科医育成システムの一端が凝縮されたマニュアル
書評者: 菅野 健太郎 (自治医大名誉教授・消化器内科学)
『消化器内科診療レジデントマニュアル』の書評を,編集の工藤正俊教授から直々にご依頼されたのであるが,正直に申し上げると若いレジデント向けの本書を,すでに現役を退いた評者が評価するのが必ずしも妥当ではないのではないかという思いが交錯し,一瞬逡巡した。評者自身が内科研修を受けたのは半世紀近く前で,当時の教育は上級医の経験に基づく指導に依存していた部分が多かったように記憶している。消化器内科の診断法としては,内視鏡,X線画像検査は導入されていたが,CTやMRIはなく,超音波断層画像もまだ実用的レベルに到達していなかった時代である。薬物治療についても,消化性潰瘍や,肝炎ウイルス治療など病因に基づく画期的な進歩は最近の出来事である。診断や治療の進歩を整理し,合理的な医療を推進するEvidence-based medicine(EBM)の考え方が提唱され,それに基づいたガイドラインがわが国に導入され始めたのも,約20年前からに過ぎない。日本消化器病学会は,単なる知識だけでなく,医療者の相互協力,患者とのコミュニケーションスキル,プロフェッショナリズムなどの医療者に求められる基本的技能(Competency)の習熟を盛り込んだ新しい研修カリキュラムも作成している。
このような基本的な研修システムが整備された時代にあっても,急激な医学の進歩に対応していくためには,最新の情報が盛り込まれている本書のようなマニュアルは大変便利である。その一例として肝がんの薬物治療を見ると,工藤教授ご自身が臨床試験を担当され,優れた有効性が示された薬剤だけでなく,今後有望とされる免疫チェックポイント阻害薬についても論じられていることには驚かされた。これは,ジュニアレジデントだけではなくシニアレジデントにとっても参考となるように企画されたのかもしれない。ただ,シニアレジデントは外来診療を担当するので,そこで遭遇する機会の多い機能性消化管疾患に関する記述を充実していただければと思うのは欲張り過ぎであろうか。例えば,機能性ディスペプシア(FD)では,警告症状の有無の確認,H. pylori除菌治療というアルゴリズムとされているが,FDに対する保険適用を持たないH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬で不応の場合に除菌治療を行うという記載は改定が必要と思われる。また便秘の治療薬も,胆汁酸吸収阻害薬など新たな薬剤が市販されているので,これらも次版での追記をお願いしたい。
工藤教授が主宰されている近大消化器内科学教室は,臨床のみならず,毎年100編以上の原著論文を発表し続けている学術的な実力も併せ持つわが国有数の消化器内科学教室である。本書には,工藤教授のご指導の下で行われている優れた消化器内科医育成システムの一端が凝縮されているともいえよう。本書が全国の消化器内科レジデントの必携マニュアルとして活用され,版を重ねていくことを期待したい。
書評者: 泉 並木 (武蔵野赤十字病院院長)
消化器内科は,病院の入り口の一つとして,大変重要な部分を占めている。がん診療や救急診療の大きな部分を担っており,そこから外科的手術や重篤な救急疾患の診療につながる。また,内科的疾患に関しては,大多数の症例で何らかの診療にかかわる問題点に関与している。まさに消化器内科は病院全体の屋台骨を担っているといっても過言ではないだろう。
近年,高齢者の増加に伴い従来なら外科切除していた疾患が,内視鏡下や薬を用いた内科的治療,処置で対処されることが多くなった。内視鏡下では繊細な処置や治療が行われるため,消化器内科の研修範囲が広がり充実することが求められている。また肝疾患では超音波を用いた侵襲的処置の範囲が拡大している。若手医師,特にレジデントは,学ぶべき知識や技能の範囲が広がっており,多岐にわたる手技や知識をレジデントの間に習得して,病院全体の運営にかかわれるような消化器内科医へと成長することが必要とされるようになっている。
このレジデントマニュアルは,工藤正俊主任教授が率いる近大消化器内科のスタッフによって執筆されている。近大消化器内科は,肝がんの診療においては世界をリードしており,新しい薬や治療法の開発に携わり,世界中から注目される研究を行っている。ウイルス性肝炎診療においては,研究成果を論文化して業績を上げている。胆道系や膵臓の診断や治療においては,他大学を指導する立場にあり充実した内容を誇っている。上部・下部消化管疾患については,早期がんの治療のみならず炎症性腸疾患などの病態解明や新規治療に取り組んでいる。その結果,近大消化器内科は,病院の稼働や収益の中心を担っている。まさにわが国のトップレベルの診療と研究が実践されているが,そこに携わっているスタッフが,レジデントに習得してもらいたい知識として,この本が書かれており,充実した内容となっている。
このマニュアルの特徴として,箇条書きに整理されており,日常診療における疑問点をすぐに調べられる体裁になっている。また具体的な処方が記載されており,診療中に参考にすることができる。知っておくと便利なことは「PLUS ONE」として,専門的知識は「Side Memo」として,世界最先端の話題や高度な専門知識は「Latest Topics」として記載されており,消化器内科のレジデントが使いやすい工夫が凝らされている。この本を手元において充実したレジデント生活の糧として利用することをお薦めする。
優れた消化器内科医育成システムの一端が凝縮されたマニュアル
書評者: 菅野 健太郎 (自治医大名誉教授・消化器内科学)
『消化器内科診療レジデントマニュアル』の書評を,編集の工藤正俊教授から直々にご依頼されたのであるが,正直に申し上げると若いレジデント向けの本書を,すでに現役を退いた評者が評価するのが必ずしも妥当ではないのではないかという思いが交錯し,一瞬逡巡した。評者自身が内科研修を受けたのは半世紀近く前で,当時の教育は上級医の経験に基づく指導に依存していた部分が多かったように記憶している。消化器内科の診断法としては,内視鏡,X線画像検査は導入されていたが,CTやMRIはなく,超音波断層画像もまだ実用的レベルに到達していなかった時代である。薬物治療についても,消化性潰瘍や,肝炎ウイルス治療など病因に基づく画期的な進歩は最近の出来事である。診断や治療の進歩を整理し,合理的な医療を推進するEvidence-based medicine(EBM)の考え方が提唱され,それに基づいたガイドラインがわが国に導入され始めたのも,約20年前からに過ぎない。日本消化器病学会は,単なる知識だけでなく,医療者の相互協力,患者とのコミュニケーションスキル,プロフェッショナリズムなどの医療者に求められる基本的技能(Competency)の習熟を盛り込んだ新しい研修カリキュラムも作成している。
このような基本的な研修システムが整備された時代にあっても,急激な医学の進歩に対応していくためには,最新の情報が盛り込まれている本書のようなマニュアルは大変便利である。その一例として肝がんの薬物治療を見ると,工藤教授ご自身が臨床試験を担当され,優れた有効性が示された薬剤だけでなく,今後有望とされる免疫チェックポイント阻害薬についても論じられていることには驚かされた。これは,ジュニアレジデントだけではなくシニアレジデントにとっても参考となるように企画されたのかもしれない。ただ,シニアレジデントは外来診療を担当するので,そこで遭遇する機会の多い機能性消化管疾患に関する記述を充実していただければと思うのは欲張り過ぎであろうか。例えば,機能性ディスペプシア(FD)では,警告症状の有無の確認,H. pylori除菌治療というアルゴリズムとされているが,FDに対する保険適用を持たないH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬で不応の場合に除菌治療を行うという記載は改定が必要と思われる。また便秘の治療薬も,胆汁酸吸収阻害薬など新たな薬剤が市販されているので,これらも次版での追記をお願いしたい。
工藤教授が主宰されている近大消化器内科学教室は,臨床のみならず,毎年100編以上の原著論文を発表し続けている学術的な実力も併せ持つわが国有数の消化器内科学教室である。本書には,工藤教授のご指導の下で行われている優れた消化器内科医育成システムの一端が凝縮されているともいえよう。本書が全国の消化器内科レジデントの必携マニュアルとして活用され,版を重ねていくことを期待したい。