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検査値を読むトレーニング

ルーチン検査でここまでわかる

著:本田 孝行

  • 判型 B5
  • 頁 352
  • 発行 2019年01月
  • 定価 4,860円 (本体4,500円+税8%)
  • ISBN978-4-260-02476-1
検査値の推移と組み合わせから、「病態を読み解く力」を身につける
検査値の推移と組み合わせから、「病態を読み解く力」を身につける本。「RCPC」の手法では、病歴や身体所見の情報なしで、検査所見のみから病態を推論する。本書はこれに時間軸と複数検査値の組み合わせを加え、患者の病態を13の基本項目に分け、全39症例の検査値の推移から病態の変化を読み解いていく。「患者の体に何が起こっているのか?」を推論する力を磨きたいすべての医師、臨床検査技師に。
序 文


 本書は,血算,生化学,凝固・線溶,尿・便検査および動脈血ガス分析(ルーチン検査または基本的検査)によって,より正確に患者の病態をとらえ,日々の診療に役立てることを目的としています。これらの検査はほとんどすべての患者に行われ,侵襲性が低く,比較的安価のため繰り返し行えるのが特...


 本書は,血算,生化学,凝固・線溶,尿・便検査および動脈血ガス分析(ルーチン検査または基本的検査)によって,より正確に患者の病態をとらえ,日々の診療に役立てることを目的としています。これらの検査はほとんどすべての患者に行われ,侵襲性が低く,比較的安価のため繰り返し行えるのが特徴です。ただ,一つひとつの検査は,遺伝子検査や腫瘍マーカーのように疾患と1対1に対応しているわけではないため,複数のルーチン検査値を組み合わせ,その変動を加味して病態を解釈する必要があります。一見難しそうに思えますが,検査値が変動するパターンはある程度限られますので,個々の検査値が動くメカニズムを十分に理解できれば,驚くほど詳細に患者の病態をとらえられます。

 本書では,患者の病態を13の病態に分けて検討する方法を示してあります。Reversed Clinico-pathological Conference(RCPC)では,ルーチン検査値を個々に検討するのが一般的なのですが,多くの症例を経験すると,複数の検査値を同時に一定の順序で検討することに気づきます。このように検討することにより,患者の病態の見落としがなくなります。多くの病態が絡んでいても個々に検討することができ,複数の病態を合わせると全体像がつかめることも少なくありません。RCPCは診断をするものではないとよく言われるのですが,結果的(必然的?)に診断に結びつくことが多いのも事実です。

 13の病態に分けて考えると,臨床の理学所見(身体所見)をとるのによく似ているのにも驚かされます。まず,全身状態を把握して個々の臓器を検討するのですが,理学所見と比べものにならないくらい詳細に病態をとらえられます。これだけ有用なルーチン検査を,もっと臨床で役立てなければならないと思ったことが,本書を発刊するに至った最大の理由であり,日々正確な検査値を臨床に返している臨床検査部の願いでもあります。

 1994年に呼吸器内科から臨床検査部に移ってきたときに,前・信州大学医学部病態解析診断学講座教授 勝山努先生からRCPCの授業を行うように命ぜられました。「RCPCって何? CPCならわかるけど」という認識しかなく,すべての疾患とすべての検査値に精通しないかぎりRCPCは不可能である,というのが私の第一感でした。しかし現在では,「診断しなければ始まらない」という疾患単位重視の医学教育の副作用だったと思っています。検査値を深く検討するようになって,「病態がわかれば治療が可能ではないか」と思うようになりました。疾患名は,同じような経過をたどる病態に対してつけられており,RCPCは病態から疾患を考え直す意味においても重要に思えます。勝山名誉教授のご指導がなければ,私は今でも「RCPCって何?」から抜け出ていなかったように思います。

 2018年 冬
 著者
目 次

本書の使い方

0 序論
 ① ルーチン検査(基本的検査)とは
 ② ルーチン検査の読み方
 ③ 身体所見をとるように検査値を読もう
 ④ ルーチン検査データで何がわかるか

I 栄養状態はどうか
 ① アルブミン albumin
 ② 総コレステロール total cholesterol
 ③ コリンエステラーゼ cholinesterase
 ④ その他 uric acid (UA), hemoglobin (Hb)
 症例1 40代女性,寝たきり状態になり入院した
 症例2 40代男性,黄疸を認め入院した
 症例3 40代女性,呼吸困難にて1病日入院となった

II 全身状態の経過はどうか
 ① アルブミン albumin
 ② 血小板 platelet
 症例4 40代男性,救急車にて搬送された
 症例5 60代女性,救急車にて来院し入院した
 症例6 80代女性,黄疸と腹痛を認め入院した

III 細菌感染症はあるのか
 ① 左方移動 left shift
 症例7 60代女性,腹痛にて入院した
 症例8 20代男性,入院中であり1病日に発熱を認めた
 症例9 80代男性,自宅の廊下で倒れているのを発見され,救急搬送された

IV 細菌感染症の重症度は
 ① 左方移動 left shiftの程度
 ② CRP C-reactive protein
 ③ 白血球数 white blood cell count
 症例10 20代女性,腰痛がひどく歩けなくなったため入院した
 症例11 80代男性,1病日ショック状態で入院となった
 症例12 70代男性,入院2日前に発熱・咽頭痛が生じた

V 敗血症の有無
 ① 血小板 platelet
 ② フィブリノゲン fibrinogen
 ③ その他の凝固・線溶検査
 症例13 70代女性,嘔吐および39℃台の発熱のため入院した
 症例14 小学生男児,加療目的で入院中,1病日に発熱した
 症例15 40代男性,発熱と呼吸困難にて転院となった

VI 腎臓の病態
 ① クレアチニン creatinine
 ② 尿素窒素(UN) urea nitrogen, blood urea nitrogen (BUN)
 ③ 尿酸(UA) uric acid
 ④ 尿検査 urinalysis
 ⑤ カルシウム(Ca) calcium
 ⑥ リン(P) phosphorus
 症例16 50代男性,血圧上昇と浮腫のため入院した
 症例17 20代男性,発熱と意識消失にて入院した
 症例18 50代女性,呂律が回りにくくなり入院した

VII 肝臓の病態
 ① ALT alanine aminotransferase
 ② AST aspartate aminotransferase
 ③ AST/ALT
 ④ ビリルビン bilirubin
 ⑤ 肝臓での産生物質 albumin, total cholesterol, cholinesterase
 症例19 40代男性,7日前からイソニアジド(INH)の内服を開始した
 症例20 70代男性,1病日ショック状態にて入院した
 症例21 40代男性,血圧低下により入院した

VIII 胆管・胆道の病態
 ① アルカリホスファターゼ(ALP) alkaline phosphatase
 ② γGT γ glutamyl transpeptidase
 ③ 直接ビリルビン direct bilirubin
 症例22 30代女性,意識消失にて救急搬送された
 症例23 80代女性,誤嚥性肺炎にて入退院を繰り返していた
 症例24 70代男性,右大腿の痛みにて来院した

IX 細胞傷害
 ① 乳酸デヒドロゲナーゼ(LD) lactate dehydrogenase
 ② クレアチンキナーゼ(CK) creatine kinase
 ③ ALT alanine aminotransferase
 ④ AST aspartate aminotransferase
 ⑤ アミラーゼ amylase
 症例25 30代男性,腰痛にて入院となった
 症例26 40代男性,外傷にて2病日に入院し,8病日頃から39℃台の発熱を認めた
 症例27 80代男性,意識消失発作を認めたため受診した

X 貧血
 ① ヘモグロビン(Hb) hemoglobin
 ② MCV(平均赤血球容積) mean corpuscular volume
 ③ ハプトグロビン haptoglobin
 ④ 網赤血球 reticulocyte
 ⑤ エリスロポエチン erythropoietin
 症例28 80代女性,顔色不良となり1病日に入院した
 症例29 40代男性,全身倦怠感にて入院した
 症例30 50代男性,嘔気と発熱にて来院した

XI 凝固・線溶の異常
 ① プロトロンビン時間(PT) prothrombin time
 ② 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) activated partial thromboplastin time
 ③ フィブリノゲン fibrinogen
 ④ Dダイマー D-dimer
 ⑤ アンチトロンビン(AT) antithrombin
 ⑥ その他(血小板) platelet
 症例31 60代男性,腹痛にて転院した
 症例32 70代女性,救急車にて入院した
 症例33 80代女性,息切れ,全身倦怠感が増強したため入院となった

XII 電解質異常
 ① 血清ナトリウム(Na) sodium
 ② 血清カリウム(K) potassium
 ③ 血清カルシウム(Ca) calcium
 ④ 血清リン(P) phosphorus
 症例34 20代男性,筋攣縮と嘔吐を認め入院した
 症例35 60代男性,下肢脱力,構音障害および意識障害にて入院した
 症例36 80代男性,意識消失にて入院した

XIII 動脈血ガス
 ① pHからアシデミアもしくはアルカレミアを判断する
 ② 呼吸性か代謝性かを判断する
 ③ Anion gapを求める
 ④ 補正HCO3値から,代謝性アルカローシスを判断する
 ⑤ 一次性酸塩基平衡に対する代償性変化を判断する
 ⑥ 総合的に判断する
 症例37 70代女性,全身倦怠感と全身のしびれにて入院した
 症例38 80代女性,呼吸困難と全身浮腫で入院した
 症例39 60代男性,呼吸困難のため入院した

索引