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フィジカルアセスメントの根拠がわかる!

機能障害からみた からだのメカニズム


編集:清村 紀子/工藤 二郎

  • 判型 A5
  • 頁 424
  • 発行 2014年03月
  • 定価 3,672円 (本体3,400円+税8%)
  • ISBN978-4-260-01622-3
フィジカルアセスメントにつながる解剖生理・病態生理の知識を1冊に!
的確なフィジカルアセスメントの第一歩は、身体のしくみとその障害を知ること。人体の構造と機能に始まり、機能の破綻によってどのような障害が起こるのか、どの部位にどのような症候が表れるのかを解説。症候出現の根拠がわかれば、フィジカルアセスメントのポイントが見えてくる。機能障害の枠組みと、豊富なイラストで解説する、“フィジカルアセスメントのための解剖生理・病態生理”。
序 文
はじめに

 解剖生理学は,看護を学ぶための基礎となる科目です.同時に,初学者にとって,最初に立ちはだかる大きな壁でもあります.難解な専門用語や恐ろしく膨大な知識量に加え,“なぜ解剖生理学が看護実践に必要なのか”について理解できていないレディネスの乏しさが,学生にとって「難解な科目...
はじめに

 解剖生理学は,看護を学ぶための基礎となる科目です.同時に,初学者にとって,最初に立ちはだかる大きな壁でもあります.難解な専門用語や恐ろしく膨大な知識量に加え,“なぜ解剖生理学が看護実践に必要なのか”について理解できていないレディネスの乏しさが,学生にとって「難解な科目」第1位に解剖生理学を押し上げ,入学後の最初の高いハードルとなっています.多くの学生は,からだの機能やそれに見合った巧みなからだの構造を理解するに至らないまま,単位認定試験に向けてがむしゃらに,筋肉・ホルモン・消化酵素などの専門用語を覚えることだけに全力を尽くしています.しかし,記憶は薄れていくものです.苦労して単位を取得したとしても,試験対策のための短期記憶による知識はもろく,このことが臨床実習での“解剖生理学の知識と看護がつながらない”状況を生み,それは就職してからも改善されることはありません.このため,臨床看護師にとって「学び直したい科目」第1位はいつも解剖生理学で,このNo.1の座は今も昔もゆるぎないものです.
 一方,同じ医療職であっても,解剖生理学が不得意な医師はいません.仮に,医師がからだに関する知識を十分に持ちあわせていないとすると,疾病の診断・治療・評価は不可能です.医療が密接なチームで行われ,高度化・専門化される時代にあり,もはや“看護職は慢性的に解剖生理学が苦手”と言ってはいられない状況になりつつあることを,我々は本気で自覚しなければならないと実感しています.
 “看護職は慢性的に解剖生理学が苦手”である最大の要因は,看護基礎教育課程における解剖生理学の講義時間の絶対的不足に起因しますが,“解剖生理学の知識と看護がつながらない”最大の理由は,解剖生理学と看護学との枠組みの違いにあると考えています.看護基礎教育課程のカリキュラムは,概ね専門基礎科目,基礎看護学,疾病学,成人看護学,と段階を踏んで進んでいきます.解剖生理学や病理学といった専門基礎科目や疾病学は医学モデル(器官系統別知識体系)に準拠します.一方,看護学に関連した科目は,成人看護学や老年看護学といった成長・発達段階,急性期・慢性期といった健康レベル,あるいは活動の場によって区分され,かつそれぞれに見合った看護モデルや看護の枠組みで知識が教授されます.
 こうして異なる枠組みで教授された解剖生理学と看護学の知識を実践で活用するには,改めて1つ1つの知識を集めなおし,統合しなければなりません.この知識を統合する作業は困難を極め,結果的に苦労して覚えた知識は実践に活用できないまま,知識と実践の乖離〈かいり〉だけが広がっているのではないかと感じています.どんなに複雑な病態であっても,看護職の適切な判断と行動にまず必要なのは,基本的なからだの構造や機能に関する知識です.極端に言えば,疾病を知らなくても,正常な人体の構造と機能さえ理解していれば,正常な機能が障害されるとどんな支障をきたすかを考えることができ,それはそのまま何をどうケアすればよいのかといった臨床判断にもつながります.
 本書は,知識と看護実践の乖離を埋めるべく,(1)ヒトのからだを13の機能で捉え,(2)正常な機能に関連する解剖生理学の知識を整理した上で,(3)13の機能の破綻としての疾患・病態とその症状・徴候出現のメカニズムを解説する,という思考に沿った構成とし,からだの中で何が起こっているのか理解するための道筋を提供しています.ヒトのからだを機能として捉えると,その機能が破綻した状態として疾患・病態との関連性を見出すことが容易となり,つながりをもって対象を見つめるという思考プロセスをたどることができます.各章は,正常なからだの機能について知識を整理した後,機能障害としての主要な疾患・病態をピックアップしてその症状・徴候とともに解説しています.特に,正常なからだの機能についての知識の整理は,解剖生理学の専門書に引けを取らない吟味された内容によって構成されています.機能の破綻によって出現した症状・徴候を捉えるために必要となる,インタビューやフィジカルイグザミネーションといったフィジカルアセスメント技術項目や検査項目については,姉妹書『根拠と急変対応からみた フィジカルアセスメント』と連動させて記述しています.フィジカルアセスメントの実際については姉妹書で詳説していますので,ご活用いただけたら幸いです.
 本書は,企画段階から約5年間の歳月を経て完成しました.5年間は決して短い年月ではありませんが,正確な知識を誠実にクリティークして皆様にお届けするのに,必要な時間だったと感じており,またそれによって読者の皆様からの信頼にお応えできる良書になったと確信しております.執筆者の先生方には微細にわたって内容を吟味・確認していただき,また多くのリクエストにお応えいただきまして心より感謝申し上げます.先生方のご尽力の成果である本書が,対象のいのちを護り,生活を支援する多くの学生・看護職の方々にとって,知識と看護実践をつなぐための1冊になることを切に願っております.
 最後になりますが,本書発刊にあたって,企画から編集に至る過程で様々に助言と支援をいただきました医学書院看護出版部の皆様に心より感謝いたします.

 2014年1月
 清村紀子
 工藤二郎
目 次
 はじめに
 本書の構成と使い方

第1章 ホメオスタシスとその破綻
  1.ホメオスタシスとは
   A.生命活動と日常生活動作
   B.内部環境とホメオスタシス
   C.ホメオスタシスの調節
   D.ホメオスタシスを維持するための主要な要素
  2.血圧調節機能
   A.血圧:概論
   B.血圧調節の仕組み
  3.体温調節機能
   A.体温:概論
   B.体温調節の仕組み
  4.体液調節機能
   A.体液調節機能とは
   B.糸球体での濾過
   C.尿細管での再吸収と分泌
   D.ホルモンによる調節
   E.体液調節機能障害の症候
第2章 呼吸機能とその破綻
  呼吸器の解剖生理と機能障害
   A.呼吸とは
   B.呼吸の調節機構
   C.換気(呼吸運動)
   D.ガス交換とガスの運搬
   E.肺の循環と血流
第3章 循環機能とその破綻
  循環器の解剖生理と機能障害
   A.循環とは
   B.循環の調節機構
   C.心臓のポンプ機能
   D.血液の流れ
第4章 摂食・嚥下機能とその破綻
  摂食・嚥下のしくみと機能障害
   A.摂食・嚥下とは
   B.摂食・嚥下に関わる器官
   C.嚥下を制御する神経調節
   D.摂食・嚥下運動に関わる筋群の働き
   E.摂食・嚥下過程の進行
第5章 栄養吸収・代謝機能とその破綻
  消化器の解剖生理と機能障害
   A.栄養素の消化・吸収とは
   B.食物の移送(消化管の運動と神経性調節)
   C.消化機能
   D.吸収機能
   E.栄養素を代謝する機能
第6章 排泄機能とその破綻
 1 排便機能
  排便のための解剖生理と機能障害
   A.便を排泄するための構造
   B.便の生成
   C.便の移送
   D.排便の調節機構
 2 排尿機能
  排尿のための解剖生理と機能障害
   A.尿を排泄するための構造
   B.尿の生成と体液調節
   C.蓄尿機能
   D.排尿機能
第7章 運動機能とその破綻
  運動器の解剖生理と機能障害
   A.運動とは
   B.からだを支える骨格
   C.しなやかな動きを生み出すための関節
   D.関節を補強する靱帯
   E.動くことのできる筋組織
   F.筋収縮のメカニズムと神経支配
第8章 運動調節機能とその破綻
  神経系の解剖生理と機能障害
   A.神経系
   B.中枢神経での運動の制御とプログラムの構築
   C.運動ニューロンによる運動指令の伝導と伝達
第9章 感覚機能とその破綻
  感覚器の解剖生理と機能障害
   A.感覚とは
   B.体性感覚受容器
     -感覚受容器による刺激の受容と感覚ニューロンによる情報の伝導
   C-1.視覚〈見る〉
     -特殊感覚受容器による刺激の受容と感覚ニューロンによる情報の伝導
   C-2.聴覚〈聞く〉
     -特殊感覚受容器による刺激の受容と感覚ニューロンによる情報の伝導
   C-3.平衡覚〈バランスをとる〉
     -特殊感覚受容器による刺激の受容と感覚ニューロンによる情報の伝導
   C-4.味覚〈味わう〉
     -特殊感覚受容器による刺激の受容と感覚ニューロンによる情報の伝導
   C-5.嗅覚〈嗅ぐ〉
     -特殊感覚受容器による刺激の受容と感覚ニューロンによる情報の伝導
   D.内臓感覚〈ホメオスタシスを維持する〉
第10章 高次脳機能とその破綻
  高次脳機能のしくみと機能障害
   A.高次脳機能とは
   B.高次脳機能障害の主要症状
第11章 内部環境調節機能とその破綻
 内分泌機能
  内分泌器官の解剖生理と機能障害
   A.内分泌機能
   B.ホルモン
   C.視床下部-下垂体系
   D.内分泌器官
第12章 生体防御機能とその破綻
 1 皮膚
  皮膚の解剖生理と機能障害
   A.皮膚とは
   B.皮膚付属器とは
   C.皮膚の障害とフィジカルアセスメント
 2 免疫・リンパ系
  免疫系のしくみと機能障害
   A.免疫系の概要
   B.細胞性免疫と液性免疫
   C.リンパ系
   D.免疫・リンパ系の機能障害とフィジカルアセスメント
第13章 生殖機能とその破綻
  生殖器の解剖生理と機能障害
   A.生殖と女性生殖器
   B.生命をつなぐための準備機能(性周期)
   C.感染防御機構
   D.生命を育む機能

 索引
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