• HOME
  • 書籍
  • そのまま使える医療英会話 [CD付]


そのまま使える医療英会話 [CD付]

もっと見る

腹痛? 胃痛? 英語でどう診察したらいい? 発展性のある医療英会話力を目指す医師、コメディカルを対象としたCD付き医療英会話テキスト。外国人患者さんから正確なデータを得るためのできるかぎり具体的な説明・質問表現を繰り返し聞き/口に出し、フレーズの定着を図る、診療科別のセクションA。病名・診療科名など発音が難しく耳慣れ・口慣れしておきたい単語を中心にvocabulary buildingするセクションBの二部構成。『そのまま使える 病院英語表現5000』 の実践編。
仁木 久恵 / 森島 祐子 / Flaminia Miyamasu
発行 2010年03月判型:A5頁:128
ISBN 978-4-260-00878-5
定価 3,850円 (本体3,500円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 書評

開く

本書の特色と活用法

①医療現場でそのまま使える
セクションAでは,医療スタッフが出会う様々なコミュニケーション場面を想定し,診療科別の会話に焦点を当てて編集しました.セクションBでは,診療科に特化した重要な表現が提示されています.情報収集のための質問や患者さんへの説明・指示表現を中心に取り上げましたので,CDの音声を聴きながら繰り返し練習して自分のものにして下さい.
②興味や必要に応じて,どの章からでも学習を始められる
各レッスンはそれぞれ独立した内容になっています.最初から取り組むのが理想的ですが,皆さんが関心をもつ診療科のレッスンから練習を始めてもかまいません.その場合,ご自分の診療科をマスターしてから他のレッスンへと進み,例文の一部を自分がよく使う単語に置き換えて応用して下さい.
③段階式に病院英会話の実践トレーニングを目指す
CDを聴いて状況にあった表現をインプットし,自分で声に出して言ってみる,さらにそれを応用するという流れを追っていくうちに,「話す力」が着実に身に付くように工夫してあります.


外国人患者との効果的なコミュニケーション10か条

1.初診時には自己紹介し,患者の名前を言って確かめる.
2.コンピュータ画面やカルテから目を離して,患者と目を合わせながら話す.
3.自分のほうから声をかけて笑顔で接する.患者の気持ちを和らげるように努力する.
4.ゆっくり,そしてはっきり話す.患者の母語が英語であるとはかぎらない.
5.平易な英語で話し,専門用語はなるべく使わない.
6.必要に応じてジェスチャーを使う.イラストや資料を用いて説明する.
7.患者が話す内容を正確に把握するために,重要な情報は再確認する.
8.診察や検査を行う前にはきちんと説明する.
9.自分が話した内容を患者に繰り返し言ってもらい,情報が正確に伝わったかを確認する.
10.患者が退室するときには目を合わせて挨拶をする.

 最後に,患者との信頼関係を築くために医療従事者も‘patient’であること.

開く

Lesson 1 患者さんのプロフィールを訊く
 A.診療科の受付で
 B.個人に関する一般情報
Lesson 2 診察室に患者さんを迎える
 A.診察室でのあいさつ
 B.病歴をとるためのヒント
Lesson 3 循環器科
 A.胸痛(狭心症の疑い)
 B.バイタルサインと心電図
Lesson 4 呼吸器科
 A.咳・熱・頭痛(急性気管支炎の疑い)
 B.胸背部の診察
Lesson 5 消化器科
 A.腹痛(急性胃炎の疑い)
 B.腹部の診察/内視鏡検査
Lesson 6 代謝・内分泌科
 A.健診異常(糖尿病の疑い)
 B.尿検査と血液検査
Lesson 7 救急
 A.頭部外傷
 B.X線検査とCT・MRI検査
Lesson 8 泌尿器科
 A.背部痛・血尿(腎結石の疑い)
 B.超音波検査(エコー)
Lesson 9 乳腺外科
 A.乳房のしこり(乳癌の疑い)
 B.手術の説明
Lesson 10 脳神経科
 A.めまい(脳出血の疑い)
 B.入院
Lesson 11 心療内科・精神科
 A.疲労・体重減少・睡眠障害(適応障害の疑い)
 B.薬剤投与
Lesson 12 皮膚科
 A.湿疹(アトピー性皮膚炎の疑い)
 B.アレルギー歴
Lesson 13 産婦人科
 A.妊娠
 B.産科診察
Lesson 14 小児科
 A.喘息発作
 B.予防接種・健診
Lesson 15 会計窓口
 A.診療費の支払い
 B.保険・支払い
Lesson 16 病院のなかの基礎用語
 1.診療部門
 2.病院関係者
 3.病名

索引

開く

医療現場で必要な英語情報と実践のギャップを埋める一冊 (雑誌『看護教育』より)
書評者: 迫 和子 (翻訳家)
 「日本の常識は世界の非常識」とも言われるように,日本で当たり前と考えられている流儀が海外で通用しないことは決して少なくない。特に対人コミュニケーションでは,これがトラブルの原因となる可能性もある。ところが日本の医療現場における外国人患者への対応はこれまで,医療従事者の個人的な経験則に委ねられがちだった。

 本書ではそれを「外国人患者との効果的なコミュニケーション10か条」として明快にまとめている。「平易な英語で話し,専門用語はなるべく使わない」「患者の母語が英語であるとはかぎらない」「自分が話した内容を患者に繰り返し言ってもらい,情報が正確に伝わったかを確認する」など,具体的な方法論はどれも分かりやすく実際的だ。本書の全編を通じて,これに共通する姿勢が根底に感じられる。相手に対する効果的なコミュニケーションとは,医療従事者と外国人患者の間の問題であるだけでなく,著者と読者(学習者)との間に横たわる課題でもある。本書の著者は,数多くの医療英語表現のエッセンスをいかに効果的に学習者に伝え,身につけてもらうかという点に,特に心を砕いている。ひとことで言えば,大変ユーザー・フレンドリーな本だ。

 例えば,対話文では医療者側のセリフだけ色分けしてあるので,どこを意識して学べばいいか分かる。さらに重要な表現をUseful Expressions にまとめてあるので,まずはその部分を覚えれば,医療場面でかなりの意思疎通が可能になるだろう。

 また,シャドウイング(CDの英語音声を聞きながら後を追いかけて発音する)は,通訳養成講座ではすでに定番として確立している効果的な訓練法だが,本書ではそれを積極的に医療英語に取り入れ,具体的なやり方の助言を添えている。

 ほかにも,症状別の詳しい「用語ファイル」,同じ病気に対する医学専門用語と一般的な呼び名との比較表,実用的な「スピーキング攻略のヒント」など,学習者の目線に立った提案が多い。

 実は,同じ著者の前作である『そのまま使える 病院英語表現5000』(医学書院,2006年)をはじめて見たとき,同じ英語テキスト製作に携わる者の1人として,率直にこれはすごいと思った。これほど詳細に,あらゆる医療場面を英語で表現した緻密な本は,並の苦労では作れない。

 しかし一方ではその情報量の多さゆえに,膨大な量の英文を前にどこから手をつければいいか,途方にくれる学習者もあったかもしれない。

 だが,「情報」と「実践」の間の大きなギャップを埋める今回のテキストが出版された。この2冊がそろえば,リソースとしての医療英語表現の大型データバンクと,それを活用・実践するための親切な道案内のガイドブックとが両方手に入ることになる。画期的な新シリーズの登場と言えよう。

(『看護教育』2010年10月号掲載)
「医学英語」とは異なる「医療英会話」
書評者: 曽根 博仁 (筑波大大学院教授 内分泌代謝・糖尿病内科)
 言うまでもなく,英語はすでに医療の世界にも深く入り込んでおり,われわれは日本にいても,日常的に英語の教科書を読んだり,英語の論文からエビデンスを抽出したり,時には国際学会で英語の発表をしたり,英語論文を書いたりもしている。最近では多くの若い医師や医療従事者が,このような英語による読み書きやフォーマルなプレゼンテーションをうまくできるようになってきた。医学英語教育の充実や留学経験者の増加も寄与しているのだろう。しかし,このような書き言葉をベースにした医学英語に精通していても,外国人の患者さんがくるとけっこう苦労する,というのが私自身を含む多くの医療従事者にとって正直なところではないか。英語圏であれば,子どもでも知っているような症状を表す言葉がすぐに出てこなくて,もどかしい思いをすることが多い。難しい専門用語が通じにくいのは日本人患者さんでも同じであるが,簡単な表現への言い換えは英語では実際にはなかなか難しい。

 多くの若い医師が研究目的で留学するが,そのような人が英語によるコミュニケーションで困るのは,専門用語を駆使した仕事上の会話でなく,むしろ研究室内の世間話や,銀行やスーパーマーケットなどでの日常会話である。診察室における患者さんとの会話もそのような日常会話の延長線上にあり,いくら英語の論文をnative speakerと同じように読み書きできても,それだけでうまく英語による診療をこなせるわけではない。海外での診療経験を持たない大部分の医療従事者にとって,英語による診療のトレーニングあるいは診療現場での参照に最適なのが本書である。本書には,医師のみならず,看護師,技師,医療事務担当者など医療関係者の多くがそのまま使える便利な表現がコンパクトにまとめられている。付属のCDも手近にnative speakerの教師のいない環境では便利な学習ツールである。

 本書をみると診察室英語は決して特殊で難しいものではなく,むしろ高校までの英単語に必要最低限の医学英語を加えていけばよいことがわかる。本書をめくると,われわれが英語の教科書や論文を理解するために,ラテン語やギリシャ語由来の難しい「医学専門用語」や論文表記に特有な「科学英語」ばかり暗記しているうちに,実はそういう簡単な表現(医療英会話とでも言おうか)を忘れてしまっていることに気付く。

 「医学英語」とは全く異なる「医療英会話」の教育も現場では少しずつ導入されており,筑波大学でも今年度から医療面接のロールプレイを含めた授業が始まっており大好評であると聞く。筆者らの時代には考えられなかっただけにうらやましい限りである。今後は日本医療の国際化に対応するために,栄養指導や服薬指導なども含めて多くの医療従事者の養成に必要な科目になるであろう。

 本書は,同著者によるさらに詳しい姉妹書『そのまま使える 病院英語表現5000』とともに,各外来ブースや病棟に一冊ずつ備え付けられているべき本である。本書で基本となる表現をできるだけ暗記しておき,姉妹書を必要に応じて辞書的に使えば,多くの診療場面は対応可能であると思われる。今までは緊張して冷や汗をかきながら診察していた外国人の患者さんを迎えるのが少し楽しみに変わる一冊である。

タグキーワード

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。