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はじめての漢方診療 症例演習

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『はじめての漢方診療十五話』 『はじめての漢方診療ノート』 に続く、好評シリーズ第3弾。漢方処方の考え方と症例の経過を、演習形式で詳しく解説。

監修 三潴 忠道
発行 2011年03月判型:B5頁:280
ISBN 978-4-260-01189-1
定価 6,050円 (本体5,500円+税)

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 本書は先に発刊された『はじめての漢方診療 十五話』(医学書院2005)と『はじめての漢方診療 ノート』(医学書院2007)に続く,実地編としての“はじ漢シリーズ”第3作である.既刊の『十五話』では講義録をもとに系統的な解説を試み,『ノート』では読者の知識の整理を目指して図表の掲載を中心とした.本書では実際の症例を問題形式で提示し,これまでの知識を臨床に応用するための参考となすことを目的とした.また診療実地について,考え方や手順,手技,方剤の運用方法などを,「総論」として巻頭にまとめた.
 本書に掲載した症例は,いずれも飯塚病院漢方診療科あるいはその関連施設である博愛会ももち東洋クリニックを中心とした,私を含めた仲間たちの実際の治験例である.教科書用に脚色した記載ではないため,証を決定するための所見に矛盾や過不足が生じたり,あるいは記載され得ない現場での印象による方剤運用であるおそれがないとはいえない.この点は臨床の現実であるが,受け持ち医による「処方決定までの思考過程」,「鑑別処方」や「コメント」などでできるだけ説明するように努めた.
 近年,漢方薬は臨床現場でおおいに活用され,種々の成果が報告されている.しかし,治療手段としての漢方薬だけではなく,長期にわたる経験に支えられた運用方法が重要で,両者が両輪となってこそ漢方としての真価が発揮される.漢方としての個性を十分に活かしてこそ,現代西洋医学と融和したよりよい医療体系構築につながりうる.私どもの目指す,随証治療による漢方診療の実際が,臨床の現場で少しでもお役にたてればと願っている.
 掲載症例の多くは,毎月開催され今月で第150回を迎えた「麻生飯塚漢方診療研究会」,あるいはさらに歴史のある「筑豊漢方研究会」における症例検討での出題で,その折のコメントなども採録している.いわば,歴代の仲間たちの臨床経験の集積である.受け持ち医として,出題者としてご尽力いただいた多くの同僚に感謝と敬意を捧げます.また本書を目指し,札幌へ転勤後も症例を整理された宮坂史路先生,そのあとを受けて完成までこぎつけた現・九州大学病院総合診療科診療講師の貝沼茂三郎先生のご努力に感謝し,完成に向けてご助力いただいたももち東洋クリニック院長木村豪雄先生,飯塚病院漢方診療科部長田原英一先生ならびに犬塚央先生に厚く御礼申し上げます.本書完成まで終始ご尽力くださいました医学書院の藤本さおり氏,佐藤博氏に深謝いたします.

 平成23年1月
 飯塚で結びの春を迎えて
 三潴忠道

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 序
 本書をご利用の皆様へ

総論
 診療の実際-四診と証の判定,方剤の運用
 証判定のポイントとチェックリスト

症例演習 初級編
 症例1 かぜをひいて体調が悪い
 症例2 微熱
 症例3 発熱,便秘,腹部膨満,喘鳴
 症例4 下痢
 症例5 右下肢の痛み
 症例6 全身倦怠感
 症例7 便秘
 症例8 不安,動悸
 症例9 頭痛
 症例10 腹部膨満感
 症例11 右膝関節痛
 症例12 動悸
 症例13 めまい感
 症例14 のぼせ感
 症例15 心窩部痛,呼吸苦,手足のしびれ(高血圧の治療希望)
 症例16 月経痛
 症例17 倦怠感と稀発月経
 症例18 無気力,易疲労感
 症例19 頭痛
 症例20 眼瞼違和感
 症例21 腹痛,下痢
 症例22 腰痛
 症例23 下痢
 症例24 下痢,食欲低下
 症例25 咳,痰,呼吸苦
 症例26 蕁麻疹
 症例27 くしゃみ,鼻汁,下肢の冷え,全身倦怠感
 症例28 ふらつき
 症例29 頭痛

症例演習 中級編
 症例1 多関節痛
 症例2 舌の痛み
 症例3 咳,痰,発熱
 症例4 腹痛,下痢,発熱
 症例5 全身の冷え
 症例6 便秘と下痢の繰り返し
 症例7 皮膚掻痒感
 症例8 掻痒,皮疹
 症例9 倦怠感,食欲不振
 症例10 倦怠感,不眠
 症例11 高血圧症
 症例12 喘息
 症例13 動悸,皮膚掻痒感
 症例14 ホットフラッシュ
 症例15 下肢のしびれ
 症例16 発熱,咳嗽

症例演習 上級編
 症例1 首と肩のこり
 症例2 左上下肢痛
 症例3 下肢のつっぱり感,レイノー症状,腰下肢の痛み・しびれ感
 症例4 全身倦怠感と心窩部痛
 症例5 外陰部の痒み
 症例6 倦怠感,ふらつき
 症例7 全身倦怠感
 症例8 湿疹
 症例9 頭痛,嘔吐
 症例10 右前腕のヒラヒラした異常知覚
 症例11 慢性腎不全
 症例12 咳が止まらない
 症例13 手掌と足蹠の皮膚剥離,疼痛
 症例14 下痢
 症例15 全身倦怠感

 方剤索引
 事項索引

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漢方診療の要諦を身につけられる工夫が至れり尽くせり
書評者: 宇宿 功市郎 (熊本大病院医療情報経営企画部長)
 本書は,三潴先生がこれまでに上梓された“はじめての漢方診療”シリーズの“十五話”“ノート”に続く第3弾としての役割を果たすもので,かつこれまでにも求められていたものであり,三潴先生グループの経験を余すところなく読者に伝えることをめざしたものです。

 内容は,日常診療においてすぐにでも参考にしたい場合,ある程度漢方診療を行ってさらなる向上をめざす場合の双方の読者にとっても有用なものになっており,診察室や自己学習の場面など多方面での活用が期待できるものになっています。

 また,三潴先生の工夫が随所にみられるのも特筆すべき点です。特に,症例をまず読者自身が一人で検討し,その後に病態,処方を考えるという流れが全体を通して採られていることは本書の特徴といえます。処方を考え,決定するまでのプロセスは症例ごとに丁寧に記載されており,症例ごとのポイントの解説,鑑別処方,症候の考え方の記述は,具体的で読者の頭の整理には十分といえるものになっています。

 前二著書の参考ページも掲載してあり,併読することで理解が深まります。加えて,基本的学習項目をあらかじめ確認するために,本書の冒頭部分に「総論」として,診療の実際について簡単明瞭ながらポイントを突いたまとめが挙げてあり,知識の整理にも役立つものになっています。表紙カバーの裏側には「考えるヒント」を掲げ,漢方診療の流れを繰り返し読者自身がたどることで,知識の習得を円滑に進められるように工夫もされていて,至れり尽くせりのものとなっています。すなわち,読者が本書を日々使用することで,漢方診療の要諦を簡単に身につけることができる構成となっているわけです。ぜひとも本書を利用して漢方診療の流れに親しみつつ,実地の診療に生かしてもらえればと思っています。

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