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統計解析なんかこわくない 第2版
データ整理から学会発表まで

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看護・医療関係者がよく使う統計解析の手法や考え方に的をしぼった実践的参考書の第2版。「患者の満足度調査」など、臨床現場での身近な例を用いて、分かりやすく解説しています。さらに、データ収集のポイント、集めたデータをExcelを用いて効率的に入力する方法についても、実際の画面を示しながら丁寧に解説しています。苦手意識をもちやすい統計解析も、この1冊があれば、こわくない!?
田久 浩志
発行 2019年01月判型:B5頁:224
ISBN 978-4-260-03800-3
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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  • 序文
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まえがき

 2001年,「統計なんかこわくない」が出版され,2004年にその後,書名を「統計解析なんかこわくない」と改題し,長い間,この本は医療系学生,医療従事者の研究のお役にたってきました。2018年12月現在で,202箇所の大学図書館にこの本は収蔵されていました。
 著者としては,少しでも統計を苦手とする医療従事者を減らし,より多くの方に統計解析,そして,学会・論文発表を行っていただきたいと考え,今回,内容についてよりわかりやすく,より身近な例題とする改訂を行いました。改訂に際し,数値は以前のものを用いて,変数名を変えてよりわかりやすくしたものがいくつかあります。アンケートに答えてくださった方,実際のデータを支給してくださった多くの方々に感謝いたします。
 本書が,この先,医療現場に従事する学生諸君,実際に医療現場で解析をする方々のお役にたつことを期待しています。

 2018年12月
 田久 浩志

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まえがき
本書の使い方
統計学はお好き?

第1章 データを準備する
 1 データ解析の落とし穴 実験・調査で悲しい思いをしないために
  ・研究活動を始める前の注意点(ここがかなり重要)
  ・調査対象に関する注意点(ここも大事)
  ・調査票の作成と調査方法の注意点
  ・データ整理時の注意点
 2 データを入力する
  ・データを入力する
  ・ウインドウ枠を固定する
  ・コードを分かりやすく変換する
 3 データの内容を検証する
  ・欠損値の扱い
  ・並べ替えでデータを検証する
  ・フィルターの機能でデータを検証する
 4 データを集計する
  ・ピボットテーブルを作る
  ・注意点
  ・集計元のデータを再表示する
 5 グラフを作る
  ・ピボットテーブルからすぐにグラフを作る
  ・表示するフィールドの選択
  ・フィールドボタン名をグラフから隠す
  ・Excelに直接値を入力してグラフを作る
  ・グラフの細かな修正
  ・変数の割合を比較するには
 6 データを加工する
  ・対象とするデータ
  ・変数の分布を知る
  ・わかりやすいグラフを描く
  ・年齢を年代に変更する
  ・存在しない階級値を追加する

第2章 統計の基礎を学ぶ
 1 基本統計量を求める
  ・グラフを観察する
  ・平均と標準偏差をめぐる話
  ・個々の値から平均と標準偏差を求める
  ・電卓で平均と標準偏差を求める
  ・電卓のキーの便利な使い方
  ・集計表から電卓で平均と標準偏差を求める
  ・集計表からExcelで平均と標準偏差を求める
  ・最小値,最大値,中央値,パーセンタイル値を求める
  ・累積度数,累積相対度数を求める
  ・順位,平均順位を求める──20~30代の理想のBMI
 2 正規分布を体験する
  ・正規分布のグラフを作る
  ・標準正規分布への変換
 3 違いについて考える
  ・違いを表現する
  ・変数の分布を考える
  ・飛び飛びの値から連続した値へ
  ・確率といってもグラフの面積
  ・統計学的仮説検定について
  ・身近な例──改まったときのヒールの高さ
  ・棒グラフで平均と標準偏差を示す
  ・両側検定と片側検定
  ・一般的な検定の手順

第3章 検定手法をマスターする
 1 検定手法を選ぶには
  ・データの種類と性質をおさえる
  ・変数における対応の有無
  ・検定手法の選び方
 2 2試料χ2検定
  ・χ2検定とは
  ・基本的なχ2検定─―イッキ飲みは男らしい?
  ・χ2分布の右側確率の求め方
  ・χ2分布の自由度について少し考える
  ・楽にp値を求めるには
  ・4分表での簡便なχ2値の求め方
  ・χ2検定の使用上の注意
  ・Yatesの補正
  ・多試料χ2検定法
 3 1試料χ2検定
  ・マーゲンゾンデの自己抜去
  ・大安吉日と退院患者数
  ・1試料χ2検定と2試料χ2検定の違い
     ――スッピンの定義の男女差
  ・1試料χ2検定か対応のあるt検定か?
     ――友だちと恋人とのプレゼント予算の違い
 4 McNemar検定
  ・McNemar(マクネマー)検定とは
  ・BLSに関する講義前後での学生の意識の変化
  ・変数に対応をつけるには
  ・表を加工して対応のあるデータを作る方法
  ・ピボットテーブルからのMcNemar検定
 5 対応のないt検定
  ・2群の平均値の検定とは
  ・2つの変数を準備する
  ・分散が等しいか否かを検討するには――F検定
  ・等分散とみなせる場合
  ・等分散とみなせない場合
  ・Studentのt検定をオーソドックスに行う方法
  ・Studentのt検定をT.TEST関数で行う方法
  ・Welchの検定をオーソドックスに行う方法
  ・Welchの検定をT.TEST関数で行う方法
  ・集計表からt検定を行う方法
 6 対応のあるt検定
  ・対応のあるt検定とは
  ・デートに誘ってくれる人によるヒールの高さの違い
  ・うそも方便――本当の体重,表向きの体重
  ・多重比較にご用心
  ・異性にご馳走するなら,異性からご馳走されるなら
  ・出かける相手によるお化粧や身だしなみの時間について
 7 Mann-WhitneyのU検定
  ・解析を始める前に順位の性質を確認しよう
  ・U検定とは
  ・少ないデータでU検定を行う
  ・多くのデータでU検定を行う
  ・茶髪はどこまで許せるか――看護職員からみた茶髪の評価
  ・正規分布とみなせないデータの解析
     ――あなたの「ちょっと待って」はどれくらい? 日本語のあいまいさの検討
 8 Wilcoxonの符号付順位和検定
  ・少ないデータでの解析──麻酔教室の前後で意識は変わるか
  ・多くのデータでの解析──変形性頸椎症に対する手術前後の神経症状の変化
 9 正規性を検討する
  ・正規分布と仮定するのを避ける場合
  ・試料の性質を考慮する場合
  ・順序尺度であるが連続尺度と見なす場合

付録
 Q&A
  Q なぜ5%とか1%で検定をするのですか?
  Q グラフを選ぶ基準は何ですか?
  Q データの数はどれくらい集めればよいのでしょうか?
  Q ノンパラメトリック検定,パラメトリック検定とは何ですか?
  Q 初心者はどのように統計を勉強するとよいですか?
  Q 統計解析は何が何でも必要ですか?
  Q 何と何を組み合わせて解析すればよいかがわからないのですが…
  Q 統計解析が簡単なんだということを実感したいです
 データ解析べからず集
  名義尺度を数値として取り扱ってはならない
  順序尺度のt検定は場合によりけり
  確立された方法を勝手に変えない
  少数の調査には要注意
  グラフで人をだまさない
  値を書き直さない
  勝手にデータを取捨選択しない
  グラフのスケールは正しく
  円グラフはまだお好き?
  科学論文は簡潔をめざす
 付表
  付表1:標準正規分布表(上側確率)
  付表2:χ2分布の自由度と上側確率のパーセント点
  付表3:t分布の自由度と上側確率および両側確率のパーセント点
  付表4:小数自由度のt分布のパーセント点(Welchの検定に使用)
  付表5-1,5-2:F分布の自由度と上側確率5%点
  付表5-3,5-4:F分布の自由度と上側確率2.5%点
  付表5-5,5-6:F分布の自由度と上側確率1%点
  付表6-1,6-2:Mann-WhitneyのU検定(標本数が8までの場合)
  付表6-3:Mann-WhitneyのU検定(標本数が9以上の場合,
        両側確率5%点のUの値)
  付表7:Wilcoxonの符号付順位和検定

あとがき
索引

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楽しみながら統計を学び,研究に取り組むための一冊
書評者: 濱岸 利夫 (中部学院大准教授・理学療法学)
 年明け早々,“統計”というキーワードが,新聞やテレビなどで連日取り上げられている。国会の委員会でも議論されている。

 今年は“統計”についてしっかり学ばなければならない1年になりそうな予感がする。折しも,平成という時代が終わり,新しい元号が始まる。時代が大きく変化する1年でもある。これからを生き抜くためには,私たちは“統計”について熟知していなければならないのかもしれない。

 巷で議論されている“統計”とは違うが,時勢の流れに合わせたかのように新しい統計に関する一冊が出版された。

 著者の田久浩志氏は,病院医療管理学,救急医学,医療統計学などがご専門である。初版は,すでに2004年に出版されており,当初から医療従事者や医療系学生を対象にしており,今回もよく使う統計解析の手法や考え方に的をしぼった実践的な参考書となっている。

 「少しでも統計を苦手とする医療従事者を減らし,より多くの方に統計解析,そして,学会・論文発表を行っていただきたいと考え,今回,内容についてよりわかりやすく,より身近な例題とする改訂を行いました」とまえがきにもある。

 日々,時間に追われるように勤務する医療従事者や医療系学生を念頭に置いてデータ収集のポイント,集めたデータをExcelへ効率的に入力する方法などを実際の画面を示しながら丁寧に解説してある。また,今回からはカラー刷りになっており,店頭で見かけたらぜひとも手に取ってもらいたい。格段に読みやすい。

 構成は第1章から第3章と付録(Q&Aと付表)からなっている。まず,第1章は,データを準備しながら,入力,集計する。そして,Excelが持つ「ピボットテーブル」などを駆使してクロス集計表やグラフを作成する。

 これだけでも,“地道にコツコツ”と“瞬間的なパソコン操作”の緩急を取り混ぜながら構成されており,読者を飽きさせない工夫がなされている。

 そして,第2章からは時間に余裕がある場合,必ず横に電卓とパソコンを置いて読み進めていくことをお薦めしたい。一方で,時間的に厳しい場合には,第2章にある平均,標準偏差を電卓で計算するページだけでも丁寧に読んでいただきたい。そうすれば,「次も取り組んでみるか」と思い,最後まで読み進めていくことができるだろう。

 さらに,第3章にある検定手法も電卓とパソコンを置いて丁寧に読み進めていくことをお薦めする。一つひとつ,丁寧に取り組まなければならない箇所もあり,少し辛抱強く向き合う必要もあるだろう。けれども,医療従事者や医療系学生は日頃からガマンに慣れているから大丈夫だと信じる。

 最後に,著者からの“統計”を通して研究に取り組む際のノウハウも随所に書かれている。1つは,イヤイヤ取り組むのではなく,“できるだけ楽しみながら”取り組むこと。また,「データの解析前には必ずグラフで得られたデータの概要を把握し,『だからこうなのだ』と言える内容を検討する」と指摘されている。

 医療従事者や医療系学生が,楽しみながら研究・臨床活動に取り組むための一冊であることは間違いない。
研究の強力な道案内に(雑誌『看護教育』より)
書評者: 山田 眞佐美 (大阪国際がんセンター 10階なでしこ病棟 看護師長)
 看護研究に迷えるナースの心強い味方、田久浩志先生の待望の改訂。「異性の友人を作るには」「看護師の妻と夫の認識の違い」「デートに誘ってくれる人によるヒールの高さの違い」「イッキ飲みは男らしい?」といった心をくすぐる問いの数々が、χ2検定、t検定、Wilcoxonの符号付順位和検定など、活用頻度の高い検定手法とふんだんな図表を用いて、科学的かつ軽やかに解説されている。読者が実際に操作するExcel画面は、注意するポイントが赤色で示されていて、数字が並んでいても目に優しくてぐんぐん読める。まさに田久マジック。

 本書のタイトルは『統計解析なんかこわくない』だが、サブタイトルの「データ整理から学会発表まで」が表すように、研究初心者でも、このとおりに行えばサクサクと進められそうな気がする1冊となっている。

 この、うまくいきそうな気がする、という感覚こそが、研究を成功に導く大切なキーワード。かく言う筆者も、本書の前身である「看護研究なんかこわくない」を2000年に手にしたことがきっかけで田久マジックにかかり、初めて取り組んだ看護研究「茶髪はどこまで許せるか─看護職員からみた茶髪の評価」調査を行い、学会発表までできたのだから驚きだ(本書162ページでも掲載)。

 この研究で私は統計解析を通じて、茶髪は陽気で明るく見えるが、まじめ、信頼できるというイメージは低下する、だからそれを考慮しておしゃれをしてください、という身だしなみ指導のエビデンスを得た。おしゃれは自分視点、身だしなみは相手視点と説得力ある指導につながり、研究のおもしろさを知ることができた。おかげさまで今も研究活動を続け、たくさんのすばらしい人たちに出会い続けている。1冊の本により、世界が広がり人生が変わったのだ。

 現場ではさまざまな問題がおきている。神は細部に宿るというが、疑問に感じた事柄に対して、データ(事実)を集め、統計解析を行い、エビデンスを示すことは、経験や慣習にとらわれることなく、謙虚な姿勢でただひたむきに現象の奥に隠された真実を探求することだ。

 初めて研究に取り組もうとした筆者が、世にたくさんある研究解説本のなかから田久先生が執筆された1冊を選んだ決め手は、紙の手触りと質感、やさしそうな雰囲気、何よりこれなら読めそうと思った本の薄さだった。温かみのある綺麗なグリーンと白字のさわやかなコントラストの表紙。ページをめくると、程良い大きさの文字、緑・紫・オレンジなどの調和のとれた色彩、そして滑りの良い紙の質感は、初めて研究を学ぶ方や統計に苦手意識のある方にとっても、研究活動に光を照らし成功へと導く強力な道案内となるに違いない。本書を一度手にとりページをめくってみて、この書評の真偽をお確かめいただきたい。

(『看護教育』2019年6月号掲載)

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