さる9月14日,KKRホテル東京(東京都千代田区)にて運動器の10年・骨と関節の日記念事業「肩の痛み 中高年の『肩痛』を軽く考えないで」と題する記者説明会が開催された(主催:日本整形外科学会,以下日整会)。司会の松下隆氏(日整会理事,帝京大)は,開会に際し「運動器の不自由は活動を妨げ,自己表現を制限し,さまざまな生活習慣病を引き起こす。運動器の健康はすべての健康の元」と運動器の重要性を語った。
次に越智隆弘氏(日整会理事長,相模原病院)が本事業の趣旨を解説。世界では2000年から2010年を「The Bone and Joint Decade」と定め,日本も「運動器の10年」として,日整会が中心となってこの運動に積極的に参加している。国内でも,「健康日本21」や「健康フロンティア戦略」で「運動器」の項目が取り上げられたほか,これまで医療費の対象とならなかった,高齢者の歩行不全や,転倒増加などの症状に対し,2006年4月から「運動器不安定症」という病名で保険診療が適応された。それに伴い「運動器不安定症」の治療法である「運動器リハビリテーション」が同年春の診療報酬改定で新設されるなど,運動器を見直す動きが活発だと報告した。
続いて尾崎二郎氏(奈良県総合リハビリテーションセンター)が「肩の痛み」について解説。40歳以上では,肩痛は腰痛,膝痛に続いて3番目に多く,40代がピーク。肩痛の原因は,「五十肩」「腱板断裂」「石灰性腱板炎」のほか,心筋梗塞・肺がん・大動脈瘤など重要な内臓疾患によるものも多く,「市販薬で3日たっても治らなければ整形外科へ」と整形外科による鑑別診断の重要性を強調した。さらに尾崎氏は,五十肩の治療法として広く紹介されている「アイロン体操」に疑問を提起。「元となった『コドマン体操』では重りを持たずにおじぎ運動を行う。重りを持つことで手から腕・肩に緊張が生じ,痛みが悪化することがあり,現在のアイロン体操は誤解されている」と述べ,正しいコドマン体操を普及させる必要があると語った。アイロン体操も含め現在あるさまざまな治療法に関しては,今後日整会,日本臨床整形外科学会,日本運動器リハビリテーション学会の3学会が合同で整理していく。