第2614号 2004年12月20日


広く一般への普及も視野に

卵巣がん治療ガイドライン刊行される


 がん治療ガイドラインは,これまでに胃がん,食道がん,肺がん,乳がんにおいて発刊されているが,このたび日本産婦人科腫瘍学会により,卵巣がんの治療ガイドラインが刊行された。さる11月24日には,東京ドームホテルにおいて説明会が開催され,理事長の植木實氏(阪医大)のあいさつの後,卵巣がん治療ガイドライン検討委員会の委員長を務める宇田川康博氏(藤田保衛大)ならびに副委員長の八重樫伸生氏(東北大)が,ガイドラインの詳細について説明を行った。

治療標準化の遅れる卵巣がん

 宇田川氏はまず,「卵巣がんは患者数が少ないせいもあり,治療の標準化が遅れていた。しかし婦人科がんにおける卵巣がんの割合は増加しており,予後も悪く死亡率も高い」とガイドライン作成の背景を説明。本ガイドラインではエビデンスレベルに基づいた推奨だけでなく,抗がん剤の副作用一覧も掲載されており,より実践的なものとなっている。氏は「卵巣がんの現時点での適正と考えられる治療法を示し,国内における卵巣がん治療の向上をはかりたい」と述べ,今後2-3年おきに改訂し,刊行を機に患者も含め広く一般にも普及させたいとの考えを示した。

 また,今回の説明会には米国産婦人科腫瘍学会の副会長ペイトン・テイラー氏(バージニア大がんセンター所長)も出席。「卵巣がんは米国では患者数も多く大きな問題であり,患者やその家族は生存率や最新の治療について,適切な情報を求めている」と米国の現状にふれ,今回のガイドラインは患者,医療者にとって最適な治療を提供するものであり,学術的にも優れていると高く評価した。

 最後に,卵巣がんの早期診断について植木氏は「早期の卵巣がんは症状がほとんどないため発見されにくい。エコー検査の際に偶然見つかるケースも多く,自覚を持って検査に行くことが第一」と定期検診の重要性を強調。宇田川氏も「日本は欧米に比べ検診に人が来ない」と指摘し,ガイドラインの刊行とともに一般への啓発活動も課題とした。