第2606号 2004年10月25日


チームで育てる新人ナース

がんばれノート
国立がんセンター東病院7A病棟

[第1回]出会い,憧れ,期待と不安
主な登場人物 ●大久保千智(新人ナース)
●末松あずさ(3年目ナース。大久保のプリセプター)


イントロダクション

 右も左もわからない新人がその悩みや不安を書き込み,プリセプターや先輩ナースたちがまたそれに応える。新人教育に,そうしたコミュニケーションのためのノートを活用している病棟も多いことと思います。

 国立がんセンター東病院7A病棟でも,数年前から,新人1人ひとりに「がんばれノート」を配布し,ナースステーションに常備しています。この連載では,そんな「がんばれノート」の1つをご紹介したいと思います。ノートからあふれ出る悩みや葛藤,そして感動は,今まさに悩んでいる新人ナースはもちろん,プリセプターや,新人教育に頭を悩ます管理者の方にも,共感していただけるのではないかと思います。


 国立がんセンター東病院7A病棟では,この年,4月から新人看護師3名が配属されることに決まり,末松さんほか3名の3年目ナースが彼女たちの教育を担当するプリセプターに任命されました。2年目の後半から院内研修でプリセプター研修を受け,4月の新人受け入れに向け何度も指導計画を練ってきた末松さん。しかし,いざ新人を迎えるとなると,何から始めて,何から教えればいいのかさっぱりわからず,真っ暗闇にいる感じだったといいます。

今回の登場人物
大久保千智,末松あずさ,寺田千幸(2年目ナース)。

4/9 ●末松
 7Aへようこそ。

 初めてのことでドギマギしていることと思います。私も試行錯誤しながらやっているので心もとないと思いますがよろしくお願いします。私が教えられることといったら微々たるもので,しかしここで学ぶことは本当に本当にたくさんのことがあると思います。そしてここにいるスタッフの人たちはみな,7Aが誇るALL JAPANみたいなもので本当にすばらしい人たちばかりです。どんどん吸収してスタッフみんなの魂を吸いとるまで学んでください。

 私は本当に教えられることは少ないですが,一緒にまたイチから学んでいきたいと思っています。そして看護師になってよかったなあ・・・と思ってくれたら,それで十分だと思っています。がんばっていきましょう。

4/9 ●大久保
 メッセージありがとうございます。

 昨日はすごく緊張していて,これからやっていけるのかなーと不安に思ったりもしましたが,だんだん楽しく感じられるようになってきました。わからないことがわからない状況で,ご迷惑をおかけすると思いますが,末松さんみたいなナースになりたいという今の気持ちを忘れず,努力していきますので見放さずに応援してください。これからどうぞよろしくお願いいたします。

4/12 ●寺田
 1週間おつかれ様でした。1週間はどうでしたか? すごく緊張して,疲れる毎日だったと思います。去年の1年間,私もこのがんばれノートにすごく励まされました。はじめは何を書いていいかわからなかったんですが,その時感じたことを何でも書いてください。先輩から熱いメッセージがきっと返ってきます。今は,本当に大切な宝になっています。

 これから1人でやることが少しずつ増えてきて,落ち込むこともあると思いますが,一緒にがんばりましょう。

末松 4月から新人指導をさせてもらうことが決まり,微力な自分にプリセプターという大役が務まるのかという不安と緊張,そして新しい出会いへの期待のなかで大久保さんと対面しました。期待の中には新人指導という初めての経験を前に,自分がどう悩み,葛藤し,そのなかでどう成長していくのだろうという気持ちもありました。新しい自分に対峙する緊張と興奮。自分の知識や技術の未熟さへの不安は常に気持ちの大部分をしめていましたが,周りには経験豊かな先輩たちがたくさんいて自分たちを支えてくれるという安心感はありましたので,完璧な指導はできないけれどとにかくこの病院,この病棟,そしてこの仕事を選んだことを後悔しないよう,誇りに思ってもらえるような指導がしたいと考えていました。そして大久保さんと一緒に悩んだり,考えたり,1から勉強していくことでもう一度自分の知識,技術,感性,看護観を確認しながら成長していきたいと考えていました。

大久保 希望していた7A病棟に配属となり,やる気いっぱいで臨んだのはよかったのですが,仕事量の多さ・内容の濃さにたちまち自信をなくしてしまいました。そんな私に優しく指導してくれて,患者さんにもとても信頼されている末松さんがいつもまぶしく見えました。末松さんのようになりたいと思うようになったのは,この頃からです。

寺田 2年目になってすぐの頃,後輩が入ってくることに戸惑いを感じていました。自分は先輩として,何もわからない・何も教えられないと不安でいっぱいでした。1つ上の末松さんは,相談しやすくて,とても心強い先輩です。私も大久保さんにとって,そんな存在になりたいと思いました。指導することだけが先輩としてできることではなくて,1つ上で一番大久保さんに近い存在だからこそできることをしたいと思って,大久保さんを迎えました。今でも先輩からのたくさんのアドバイスが詰まったがんばれノートは私の宝物です。大久保さんにも,このノートを最大限に活用して欲しくて記入しました。


病棟紹介
国立がんセンター東病院7A病棟は,病床数50床,上腹部外科・肝胆膵内科・内視鏡内科の領域を担当している。病床利用率は常に100%に近く,平日は毎日2~3件の手術,抗がん剤治療・放射線治療,腹部血管造影・生検・エタノール注入などが入る。終末期の患者に対する疼痛コントロールなど,新人にとっては右を見ても左を見ても,学生時代にかかわることがない治療・処置ばかりの現場である。

関連書籍紹介
『はじめてのプリセプター 新人とともに学ぶ12か月』(川島みどり,陣田泰子編集)
 本連載に登場するプリセプター,末松あずささんの新人時代のがんばれノートが収録。がんセンター東病院の新人教育が学べる,プリセプター,プリセプティ,看護管理者必携の一冊。