医学界新聞

 

シリーズ   私はこうして研修病院を選んだ

医学生へのアドバイス


八藤英典(日鋼記念病院研修医2年)

◆どのような基準で研修病院を選んだか?
 私が臨床研修施設を選んだ基準を以下に挙げます。
(1)家庭医療学(自分の学びたいもの)を学べる場があるか。
(2)家庭医療学(それ)を学ぶカリキュラムがあるか。
(3)家庭医療学を教えられる人がいるか。
(4)常に,よりよい研修をめざしてプログラムが変更されているか。
(5)ロール・モデルとなる先輩や指導医がいるか。
(6)ともに学び合える研修医がいるか。
 私は家庭医になるための研修がしたかったので,まず,(1)が臨床研修病院を選ぶ重要な基準となりました。また,家庭医療学を常に意識させられるような研修がしたいと考えていたので,(2)を次の基準として挙げました。さらに,場とカリキュラムが提供されても,中身を教えられる人がいないと,学びは深まりません。というわけで,(3)が基準に入ってきます。さらに,研修医が現状に満足することなく,よりよい研修を作っていこうとすることで,後輩だけでなく,今研修している自分たちも,よりよい研修ができるという考えがあり,(4)も基準として考えていました。また,教えるのが上手な指導医というだけではなく,「こんな医師になりたい!」,「この人の真似をしたい!」,「あの人なら,こういう時にどう考えるだろう。」と思えるようなロール・モデルとなる医師がいることで,常に,目標を持ち続けて研修ができると思います。最後に,(6)を挙げましたが,実は,(6)が一番重要な基準ではないかと,1年の研修を終えて感じています。幸い,今は家庭医をめざすやる気に満ちあふれた先輩,同僚,後輩に囲まれています。同じ道をめざしていても,皆さまざまなバックグラウンドを持っているので,非常に刺激になります。このような基準を満たしたのが私が研修させていただいている日鋼記念病院北海道家庭医療学センターだったのです。

◆情報収集はどうすべきか?
 私の情報源としては,本,メーリング・リスト,実習への参加が主ですね。4年生の時に,「臨床研修病院ガイドブック」全国の卒後研修プログラムについて調べてみました。そして,いくつかの研修病院を実習させていただきました。その時に,上記の基準を意識して実習することが大切ですし,実習先の研修医の先生や同じく実習に来ている学生さんから話を聞くことがとてもよい情報源となりました。実習先で出会った方に,college-medなどの医学生向けのメーリング・リストも教えていただき,いろいろな情報を得る手段となりました。

◆病院実習にあたってのアドバイス
 病院実習では,先ほども書きましたが,研修医の先生や学生さんと語り合うことが重要だと思います。そして,自分をアピールすると同時に,相手のこともよく知ることが大事だと思います。また,自分が重要だと思う基準をいくつか作っておいて,実習することも大切ですね。いくつか欠点があっても,自分が重要だと思う基準を満たしているかもしれません。

◆試験・面接に臨む際のアドバイス
 試験に関しては,どのような試験が行なわれるのか,研修医の方に聞いておくとよいでしょう。試験というのはその臨床研修施設が採りたい人材を選ぶものですから,試験に出る内容がその施設で重要視していることであることが多いと思います。
 また,面接に臨む際には,まず,自分のやりたいこと,夢を語れることが大切だと思います。自分がどういう医師になりたいのか,10年後,20年後の大まかなビジョンは何か,など考えておく必要があると思います。




 八藤英典氏
兵庫県生まれ。2002年3月名古屋市立大学医学部卒業。医学部在学中に,日鋼記念病院の先輩レジデントである草場鉄周氏と出会い,家庭医になる道をめざす。家庭医を知るために,さまざまな研修病院を見学した。現在は,2年目レジデントとして後輩を迎え,ともに学ぶ喜びを感じている。