医学界新聞

 

これからのリハ看護をデザインする

第38回日本リハ学会で「看護フォーラム」開催


 さる6月14-16日に,パシフィコ横浜において開催された第38回日本リハビリテーション(以下リハ)医学会(会長=横浜市大 安藤徳彦氏,2444号に既報)の会期中の16日,同会場において,横浜リハ看護研究会と日本リハ医学会との共催による看護フォーラムが,「これからのリハビリテーション看護をデザインする」をテーマに開催された。

リハ看護の可能性-神奈川県の取組みより

 基調講演では,「神奈川県におけるリハ医療の変遷と看護への期待」と題して,伊藤利之氏(横浜市総合リハセンター長)が,リハ医療を積極的に進めた神奈川県の取組みの変遷を概説。さらに,病院における医学的リハに加え,地域・在宅におけるリハの重要性を前提として,「リハ看護には,介護やADL訓練などに終始しない,障害の受容過程を理解した上での心理的アプローチや,社会参加を保証するQOL訓練などの総合的役割が期待される」と述べた。
 シンポジウム「これからのリハ看護をデザインする」(司会=横市大看護短大 武田宜子氏,横浜市総合リハセンター 深沢啓子氏)では,リハ看護を実践する4名の看護職が登壇。
 本田裕子氏(神奈川リハ病院)は,同病院の果たしてきた役割の1つとして,脊損看護をあげ,リハ看護の視点から,急性期における合併症予防の必要性を呼びかけるとともに,新しいニーズへの対策としてカンファレンスの実施,院内認定リハ看護婦や専門性を浸透させる講師の養成への取組みの必要性をあげた。
 次に,渡邊しのぶ氏(横浜市立脳血管医療センター)が,急性期病棟と回復期病棟を併設し,一貫した固定チームナーシングを行なうとともに,入院後1週間で多職種による総合ケースカンファレンスを開くなどの,同センターでの院内連携による早期リハへの取組みを紹介。一方で,院外との連携上の課題を指摘し,フィールドを越えた看護連携の必要性を強調した。
 続いて,地域・在宅リハを専門とする歌丸得子氏(横浜市総合リハセンター)は,在宅における入院決定までのかかわりから,入院中の看護,退院後のフォローアップに至る一連の過程における看護独自の取組みを報告。「今後の同センターの役割は,急性期リハを担う医療機関と在宅リハを仲介し,より強力に在宅リハをバックアップすること」と展望を述べた。
 最後に,乙坂佳代氏(港北区医療センター訪問看護ステーション)は,介護保険制度導入に伴う訪問看護ステーションの利用状況を提示するとともに,リハの利用度の高さと重要性を指摘。訪問ナースには「リハに関する専門知識に裏づけられた,他施設・他職種との連携を調整できるコーディネート能力や,責任と自覚を持って主体的かつ協調的に取組む姿勢が不可欠」と述べた。