「21世紀に託すサイエンスとアート」をテーマに
第97回日本内科学会が開催される
第97回日本内科学会が,さる4月6-8日に,京都市の国立京都国際会館において開催された。今学会では篠山重威会頭(京大教授)のもと,会頭演説「生命の多様性と医学」(篠山会頭),特別講演「医療における人間関係」(国際日本文化センター所長 河合隼雄氏)をはじめ,シンポジウム,パネルディスカッション,教育講演などが行なわれた(関連記事掲載)。
河合氏による特別講演では,心理カウンセラーの立場から「患者さんを親身になって考える人がいれば,治療経過がよい」と口演。「医師は患者との関係を断って診察しなくてはならないこともあるが,関係を築くことも必要。そのバランスが難しい」とした上で,「患者さんには,医療従事者の行動に心が伴っているかどうかがすぐにわかる」と語った。
外科医ら7名が登壇
1997年10月に臓器の移植に関する法律(通称,臓器移植法)が施行されて以来,7件(本年4月27日現在)の脳死下臓器提供が行なわれてきた。この臓器移植に関し,パネルディスカッション「臓器移植」(司会=北里大 和泉徹氏,東大 小俣政男氏)では,集約医療としての臓器移植のスムーズな定着をめざし,7名の演者が登壇。厚生省からは加藤誠実氏が,また移植医を代表して田中紘一氏(京大・移植免疫医学)や松田暉氏(阪大・機能制御外科),清水信義氏(岡山大・第2外科)らが口演を行ない,行政の協力や国民の理解の必要性が強調されるとともに,内科医をはじめとする医療従事者と移植外科医との連携の大切さが語られた。特に「救命救急医から提言-臓器提供施設でのアンケート結果から」を発表した島崎修次氏(杏林大・救急医学)は,「臓器提供施設病院としての要件を満たす施設が臓器移植に消極的な理由として,(1)環境が未整備,(2)救急で手一杯,(3)人手不足,などが多く指摘された」と報告した。