医学界新聞

 

准看護婦養成停止と移行教育の実現を

医労連が看護問題シンポジウムを開催


 さる2月3日,日本医療労働組合連合会主催の看護問題シンポジウム「21世紀の看護と看護教育を考える-准看護婦養成停止と移行教育の実現を」が,東京・大手町のJAホールで開かれた。

一刻も早く移行教育の実施を

 同シンポジウムには,黒沢祐子氏(宮城県・坂総合病院),広瀬寛子氏(阪南中央病院看護部長),田口正男氏(神奈川県立弥栄東高校),川島みどり氏(健和会臨床看護学研究所長)の4氏が登壇。江尻尚子氏(医労連中央執行委員長)がコーディネーターを務めたが,それぞれの演者は,一刻も早く経験年数の長い准看護婦の看護婦への移行教育が実施されることを訴えた。
 黒沢氏は准看護婦としての自らの歩みを語った上で,移行教育に対する当事者としての期待を語った。また広瀬氏は,約240人の看護職員中50人が准看護婦として勤務する病院での取り組みを報告し,看護全体の質の向上にとって移行教育がいかに大切かを力説した。田口氏は,卒業生から受けた相談を具体的に紹介し,「『安心して教え子を送り出せる看護界であってほしい』という15年前に掲げたキーワードが今も生きている」現状を厳しく指摘した。
 さらに厚生省「准看護婦の移行教育に関する検討会」の委員でもあった川島氏は,移行教育に用いられる教材を作成。「教材は“単なる移行教育”にはとどまらない,現在の看護・看護教育に一石を投じ,看護婦の現任教育・卒後教育にも役立つものになった」と紹介し,「移行教育は空前絶後の規模と意義を持つ大事業。この時代を生きる看護職自身の責任において成功させよう」と参加者に呼びかけた。
 会場に集まった参加者は約400人。医労連組合員以外の看護婦・准看護婦も多く,当事者としての関心の高さがうかがえた。一方で,移行教育を知らない准看護婦もまだ多いと報告され,移行教育のことを知らせる努力を続けていくことも確認された。