医学界新聞

 

特集

第25回日本医学会総会

社会とともにあゆむ医学-開かれた医療の世紀へ


 第25回日本医学会総会(会頭=高久史麿自治医大学長)の学術講演がさる4月2-4日,2万6千余名の登録者が一堂に会して,東京の東京国際フォーラム,ホテルグランパシフィック,東京国際展示場において,また,「医学展示・博覧会」が3月30日-4月8日,31万7千余名におよぶ史上最多の参加者を得て,東京国際展示場において開かれた(本紙第2337号に速報を掲載)。
 「社会とともにあゆむ医学-開かれた医療の世紀へ」をメインテーマに掲げた今回の医学会総会は,次世紀に向けて新たなメッセージを伝えるべく今世紀最後の記念すべき総会となった。
 本号では,今総会の概要を学術講演を中心に特集する。

 今総会では,会頭講演「社会とともにあゆむ医学」,開会講演「医学の新たな枠組みを求めて」,閉会講演「医学の人間化と非人間化」の他,別表のような「テーマシリーズ」「特別講演」,また25の大項目のもとによるレクチャー29題,レクチャーシリーズ159題,シンポジウム150題,パネル48題など,基礎医学,臨床医学,社会医学領域のすべてが網羅された。
 さらに,「医学・医療は社会とともにあゆむべきもの」と位置づけられた今回の医学会総会は,医学・医療の実際や健康知識を広く市民に知らせるべく配慮した21題におよぶ「市民公開講座」が企画された。
 今回の学術プログラムを企画した廣川信隆学術委員長(東大教授)によれば,医学・医療のすべての分野における進歩と課題を紹介し,21世紀を臨んだ新しい展開を追及することを目的とした今総会では,生命科学の現状と展望から遺伝子工学や,画期的に進歩した画像処理技術を基にした新しい診断法,遺伝子医療を含む新しい的確な診断法,また社会医学やコメディカル分野の現状と展望など医学・医療の文字どおりすべての分野の最先端の情報と現状の紹介,さらには新しい世紀への展望が盛り込まれた内容となった。


テーマシリーズ

(1)糖尿病
(2)甲状腺疾患の検査法
(3)痛風と高尿酸血症
(4)高脂血症
(5)高血圧治療の進歩と21世紀への戦略
(6)虚血性心疾患
(7)不整脈の治療
(8)急速進行性腎炎症候群
(9)慢性腎不全
(10)尿路結石の分子構造と遺伝子治療
(11)気管支喘息の増悪因子と最新の治療法
(12)本邦における肺炎治療ガイドライン作成の動向
(13)慢性閉塞性肺疾患
(14)ヘリコバクターと消化性潰瘍
(15)過敏性腸症候群
(16)肝炎・肝硬変
(17)胆管結石の内視鏡的治療
(18)アトピー性皮膚炎
(19)アレルギー性鼻炎診療の現況
(20)慢性関節リウマチの病態からみた治療法
(21)貧血
(22)血小板と出血
(23)リンパ節腫脹
(24)脳梗塞急性期の抗血栓療法
(25)心身症
(26)ペインクリニックにおける最近の話題
(27)肺尿障害
(28)白内障治療の現況
(29)更年期障害
(30)骨粗鬆症―最近の進歩

大項目

(1)脳と神経
(2)心臓と血管
(3)血液と免疫
(4)癌
(5)発生と生殖
(6)加齢と老化
(7)分子細胞生物学
(8)細胞内情報伝達
(9)エイズと感染
(10)医薬と薬理
(11)注目される病態と疾患
(12)検査と診断
(13)治療の最前線
(14)プライマリ・ケア
(15)緩和医療
(16)移植医療
(17)精神医学
(18)21世紀の医療
(19)環境と健康
(20)医療における教育と福祉
(21)看護とチーム医療
(22)社会と経済
(23)情報と生命倫理
(24)歯学
(25)緊急テーマ
・クローン技術を考える
・新しい肝炎ウイルス
・介護保険
・内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)


特別講演

(1)細胞内の物質輸送の分子機構
(2)グルタミン酸受容体と脳機構
(3)免疫系のシステム統御
(4)遺伝子診断と予防医学
(5)生体肝移植の進歩と問題点
(6)21世紀における臨床研究の流れ
(7)わが研究におけるセレンディピティー
(8)日本の生命科学
(9)死生学―日本の課題
(10)公衆衛生の責任
(11)21世紀にむけての医療保険制度
(12)経済・財政と医療制度