医学界新聞

 

全国でOSCE導入の動きが加速

その「標準化」が課題に


 近年,医学部教育へのOSCEの導入は急速に進み,本年,OSCEを実施した大学はすでに二十数校に上ると言われているが,中でも,進級判定に用いる総括的試験として実施する大学が増えていることが注目される。関東圏では,4年次末にBSLに入る前のバリア試験として,千葉大,東邦大,日大,埼玉医大などが導入している。いずれも4年次の一定期間に基本的臨床技能指導を小人数制で行ない,その評価をOSCEで実施するというもの。また,5年次末にBSLの総括的試験として実施しているのが東京医大,日大,埼玉医大などだ。埼玉医大と日大は4,5年次に合わせて2度OSCEを実施する。

全国レベルの取り組み必要

 一方,クリニカル・クラークシップの実施で先行している東海大では,本年度にもクラークシップの評価にOSCEが導入される模様。4月4日に行なわれた第25回日本医学会総会の講演で黒川清氏(東海大医学部長)が明らかにした。この中で黒川氏は,クラークシップからOSCEへと教育の流れの確立している米国の卒前臨床教育に触れ,「その流れの中で個々の教育内容の位置づけが明確になされており,完成度の高いものとなっている」と指摘。日本においても個々の大学が単独でOSCEの実施に取り組むだけではなく,「全国レベルでその『標準』となるものを構築していく必要があるのではないか」との提言を行なった。
 OSCE導入の流れが全国的なうねりに変わるのは,そう遠い日ではないのかもしれない。