医学界新聞

対談

韓国の医学・医療事情を語る

 比企能樹氏
(北里大学教授・外科)
     金 世民氏
  (韓国・高麗大学校医科大学教授・外科)

●金 世民氏の略歴
1986年~89年
1989年~92年
1991年~93年
高麗大学校九老病院院長
高麗大学校医科大学学長
韓国医科大学学長協議会会長,運営委員長
その他,大韓病院協会法制理事,学術理事,また大韓癌学会,大韓消化器内視鏡学会,大韓大腸肛門病学会などの会長を歴任


韓国の医学教育事情について

韓国の医師数は人口対比784名

比企 今日はこのたび来日されました,韓国の外科学会のリーダーのお1人である高麗大学校医科大学の金世民先生に,隣国である韓国の医学・医療事情をいろいろ伺いたいと存じます。
 私がなぜ先生に「韓国の医学・医療事情」という大きなテーマをお伺いするかと言いますと,先生は韓国における代表的な大学である高麗大学校医科大学の学長をなさり,そして学長の時代に韓国医科大学長協議会の会長もなさいました。また,韓国の医科大学をどのように運営していくかを討議する運営委員会の委員長もなさったと伺っております。そういうご経験の中から,医学教育の状況や医学・医療界の事情をお聞かせいただければと思います。
 まず最初に,韓国では現在医師が足りないのでしょうか,それともアメリカや西欧諸国のように余裕ができつつあるのでしょうか。いかがですか。
 私が学長をしていた時には,韓国の医科医学は32校でしたが,ここ数年の間に8校ほど増えて,現在は40校になりました。日本の状況と異なるのは,国・公立の医科大学が少なく,私立の医科大学が多いことです。韓国の人口は約4485万人ですので,1996年の人口対比の医師の数は大体784名に1人ということになります。
 日本は約570名に1人ですから,だいぶ少ないように感じますが,韓国にはその他に漢医科大学があります。
比企 漢医科大学と言いますと,どのようなことを教えるのでしょうか。
 oriental medicineを教える医科大学です。漢方医が現在約8000名ほどおりまして,プライマリ・ヘルス・ケアを行なっています。
比企 医療に参画できるのですね。
 ええ。漢方医まで入れると人口対比が680名に1人ぐらいになります。
 ところでご質問の,医師が多いか少ないかについては,考え方が大きく2つに分かれます。政府は人口対600名に1人が適当だと考えていますが,一般国民はそれでは足りないと考えています。 
 医療界自身は医師が多すぎるという考えを持っています。そして,医科大学増設に反対し,医学生の定員減縮に賛成する理由として,(1)1次診療基本,(2)専門医が多い,(3)医療の役割分担が必要,(4)社会的要因,(5)保険点数(値)が現実的でない,(6)GNP対比医師数の適正なバランスが必要であることなどをあげています。

漢方医について

比企 漢方医というお話が出ましたが,日本にはない制度です。漢方医に対しては,わが国でいう厚生省がライセンスを出しているのですか。
 ええ。漢医科大学で6年修学後に,国家試験を受けて漢方医の免許を受けます。
比企 開業もできるのですか。
 私が学長協議会会長の時に,漢医師も医師と同じ資格を認めるようにしました。
比企 西洋医学と東洋医学の医師の両方を1つにしたわけですか。
 基本的にはカリキュラムを調節すればよいと考えました。漢方医という医師は中国にもありませんし,もちろん日本にもないですね。WHOにもありません。
 先ほども言いましたように,韓国では漢医師はプライマリ・ヘルス・ケアを行なっていますが,WHOの基準のように「プライマリ・ヘルス・ケアで1次のスクリーニングを行なう」と考えますと,現在の医師の数でも十分だと思います。

韓国の専門医制度

 それからもう1つ日本と異なっている点は,専門医制度ではないかと思います。
比企 韓国では専門医制度がもうスタートしているのですか。
 ええ,1959年に作られました。インターン1年,レジデント3~4年終了後に試験を受けて合格すれば,専門医標榜許可証をもらって専門医になります。
 現在,専門医は医師全体の約45%ぐらいを占めますから,かなり多くの患者さんを診療していることになります。しかし開業した場合,専門医の資格はそれほど役には立ちません。
比企 専門医の資格を持つことで,どのようなメリットがあるのですか。
 大きな病院に就職する場合や大学で働く場合は,専門医の資格が必要になります。
比企 大学のスタッフになる時にも必要ですか。
 大学のスタッフには基本的に専門医の資格が必要です。また,助教授まではいいのですが,教授には医学博士号が必須です。

標榜科について

比企 開業する場合,専門医の資格が必要なのですか。また,日本で言うところの標榜医との関係はどうなのでしょうか。
 それは必要ないです。標榜医はいわゆるgeneral practiceもできますから,専門医の資格がない医師は2つの診療科目を標榜することができます。
比企 内科と小児科を標榜できますか。
 それはできます。開業することとはそれほど関係ないと思います。
比企 私自身の専門でもあるのでお聞きしますが,「消化器外科」は標榜できるのでしょうか。
 それはまだできませんが,大学病院の中には外科の分科として,一部では分割しているところもあります。
 正式に分科されているのは内科で,消化器,循環器,呼吸器,内分泌,腎臓,血液腫瘍,感染,アレルギー,リウマチの9つに分かれていて,それぞれに分科専門医がいます。最近は外科でも次第にそういう形になり始めています。
比企 もう少し具体的にお伺いしたいのですが,韓国の保険制度のもとでは,専門医の資格を持って開業すると,保険点数が高いとか,持っていない人よりも収入が多くなるというようなメリットはありますか。
 日本と同じだと思いますが,韓国では医師が専門医になってもあまりメリットはありません。しかし,保険診療費は医院,病院,総合病院など各施設によって療養加算率があります。医院が10%,病院が15%,総合病院100床以上が23%,大学病院500床以上が30%と点数が多くなりますし,また大学病院の専任講師以上の医師の指定診療時には,診療行為に特診加算が加算されます。
比企 ある程度そういう面の規制があるわけですね。

韓国の家庭医

 それから,最近一般の国民は診療を受ける際に個人病院より大学病院のような大きな病院を好むようになりました。その理由の1つとして,個人病院はどうしても最新の機器をすぐには準備できにくい状況にあることが,そして2つ目は,個人病院よりは大学病院の診療内容に対する信頼度が高くなる傾向があげられますが,そのために一般の開業医は苦しんでいます。
比企 日本でも同じような傾向があると思いますが,日本の医師会はなるべくかかりつけの医師,つまりホームドクターを持って,そこからの紹介制にしようとしています。韓国でもそういうシステムを採用しているのでしょうか。
 私たちはアメリカ式の「family care medicine」という家庭医制度を採用しています。しかし,従来どおりの開業医もいますので,必ずしも家庭医だけというわけではありませんから紹介などはします。
 制度としては1次病院,2次病院,3次病院に分けられています。大学病院は3次病院ですので,1次病院の紹介状がなければ直接に行くことはできません。
比企 紹介状のフォームができているのですか。
 ええ。しかしそれでも抜け道がないわけではありません。家庭医科が大学病院にありますので,1次の診療をした後に各科に紹介ができます。救急の場合は大学のemergency roomを通じて直接大学病院に行けるようになっています。
比企 救急は3次まではないのですか。
 2次病院にもあります。高麗大学校安岩病院では,救急のベッドが70床ほどありました。九老病院も60床ほどありますので,そこで救急患者が入院待機をしています。

韓国の医学生の数は

比企 最初の話に戻りますが,医療界とは逆に一般市民からは医師が少ないと言われている理由は何でしょうか。
 それは大学病院では,日本でいうところの「3分診療のために何時間待った」というような現象が起きているからだと思います。待つ人の立場から見れば,医師が少な過ぎると感じるのは当然でしょう。一般市民はもっと増やしたらどうかといつも思っています。私たちが卒業した1960年には医科大学は11校でしたが,その後新設医科大学を作りまして,先ほど言いましたように現在は40校になっています。
比企 年間の入学者数はどのくらいですか。
 教授の数やカリキュラムなど学校によって異なりますが,新設の医科大学の入学生は,大体1学年30名から50名です。
比企 高麗大学校はいかがですか。
 私のところは古い私立大学なので120名です。
比企 国立のソウル大学はどうですか。
 ソウル大学は,私のところより少し多く,140名ぐらいです。
比企 他の大学はどうですか。
 慶北医大が120名,全北医大が120名,済州医大が40名,蔚山医大が40名,亜州医大が30名,江原医大が50名です。

韓国の病院事情について

韓国では財閥が病院経営をする

 一方,最近ある財閥が医科大学を作りましたが,この傾向は増えつつあります。
比企 アメリカにも私立の大学が多いですね。もちろん最近はstate universityもだいぶ増えていますが,もともとアメリカは私立大学が多い国です。
 その理由の1つは財閥が寄付をして作っているからですが,韓国でも医科大学を作っているのは大企業なのですね。財閥がお金を出して自分のところで大学の医学部と付属病院を作っているのですね。
 高麗大学もそうですが,以前は主に土地をたくさん持っている人が大学を建てたのです。この頃は財閥がまず病院を作り,その後に医科大学を作ります。基本的な考え方は,表向きは従業員の福祉のためということにしています。
比企 韓国では財閥の方々がまず病院を建てるというお話ですが,先生は高麗大学校九老病院の病院長もなさっていましたね。この病院は600床以上もある大きな病院で,しかも,先生は黒字経営を実現したとお聞きしています。病院経営は経済的にも利益が上がるものなのでしょうか。
 儲かるという考えより,先ほど申し上げたように,財閥が病院を建てる目的は,自分のグループの何十万という従業員の家族に対して奉仕することと,事業として病院の専門的なマネジメントをするという考えに立っています。
比企 例えばどういうことですか。
 ロスをなくすために,病院事務と臨床の両方に専門職を置いたりするなど,いろいろ工夫してマネジメントしています。
比企 やはりまず自分の企業の従業員やその家族のために,福祉などの意味も含めて病院を作るのであって,企業の経営と同じ目的,つまり採算性を求めて利益を上げることが目的ではではないわけですね。
 そはできないと思います。

高麗大学校九老病院の経営:病院長として,学長として

 日本と異なることがもう1つあります。以前は2割から3割が国立や公立の病院でしたが,次第に減少しています。国立病院が一番赤字が多いですね。前は公立病院といって県立病院のようなものがありましたが,それが医療法人という形でみな独立しました。そして,私立病院に似たような運営を始めました。それで政府の予算をだいぶ減らすことができました。
 現在,国立大学の中で,政府の予算で運営している大学病院はソウル大学1つしか残っていませんが,昨年70億ウォンの赤字と聞きました。その上,文部省がソウル大学の職員の給与を支給していますので,その人件費まで入れると大変な赤字です。
比企 かなりの金額になりますね。ソウル大学以外の国公立の病院は,それぞれがある程度独立採算できるような形にして,予算を少し下げて経営努力をさせたわけですね。
 先ほども申したように,先生のところの病院は先生が院長や学長をなさった時に,経営が非常にうまくいったとお聞きしていますが,どういう点を工夫されたからでしょうか。つまり黒字経営ができた要因は何でしょうか。
 病院を運営していく上での基本的な考えとして,第1は人件費をどのように節減するか,第2は薬と医療材料の回転,3番目は職員の自発的協力を得るために何をすればよいのかを考えることでした。

経営診断と従業員への還元

比企 具体的にはどのようなことをなさいましたか。
 例えば高麗大学の経済学部に依頼をして,どうすれば人件費を減らすことができるかを考えてもらいました。
 具体例を申し上げれば,私たちの病院は各階は東西各48床あって,2つの病棟に2人の婦長がいましたが,中央にナースステーションを統合しました。ヘッドナースは1人で十分です。そして1人減らせば年に5000万ウォンぐらい減らせます。そうすれば,9階ありますから9名のヘッドナースしか要らなくなり,年に4億5000万ウォンほど減らせます。そのかわりヘッドナースに外来部を回ってもらって,患者さんへの対応をよくしました。
 また事務システムを科学的に再検討して,ここでも大分節減できることがわかり,それを実行しました。そうして何とかいい結果が出ましたが,病院の増収にではなく,職員のボーナスに回すようにしました。
比企 病院の収入にするのではなく,職員に還元したわけですか。
 私たちは年のボーナスが1140%で,韓国ではよい待遇です。どこの病院も労働組合との協力が一番重要です。
比企 高麗大学は総合大学ですから,医学部だけでなく経済学部もあるので,その道の専門家たちにまず経営診断をしてもらう。その指示によって,まず最も大きな構成要素である人件費を切り詰めることができた。さらに,その他の組織の仕事の内容まで診断してもらったわけですね。
 そして,そのようにして切り詰められた経費を病院の中の収入としてしまうのではなくて,従業員のボーナスとして戻していったのですね。おそらく,それが先生のところが韓国で一番勤務条件のよい病院になった理由なのでしょう。
 私たちは紙の出し入れ1枚すべてコンピュータに入力してあるので,労働組合も大体コンピュータの端末でチェックできます。むだ遣いということは1つもなくなりました。

効率よい薬剤と医療材料の管理

比企 私立の大学病院は課税されないのでしょうか。また,税法上の優遇処置はあるのでしょうか。
 税金は支払っておりません。しかし,予算の余り分は法人請求になり,2%から30%を支払います。
 先ほどの病院運営の話になりますが,薬の回転の関係からできるだけ薬の種類は増やさないようにして,もし必要であれば回転率のよい薬を整理して,新しい薬は特別に扱いました。
比企 新しい薬は入れるけれども,そのかわり古い薬は整理して,効率よく循環させたわけですね。
 例えば外科で出したAという薬があれば,外科では同類の薬は使えない,そして使わないようにしました。最初はだいぶ不満も出ましたが,次第にうまくいくようになりました。調剤についても,今年からコンピュータでできるようになりました。
比企 コンピュータで調剤して,薬を仕分けするのですね。
 外来で処方を入力すると,直接薬局へいきます。1988年に新潟のがんセンターを見習って始めましたが,最初はなかなか協力が得られなくて苦労しました。
比企 医療材料についてはどうですか。
 一般医療材料は病院で入札して購入しますが,例えば人工関節などは現品を手術室に入れて,月末清算にしました。その結果,5%ほど経費が下がりました。

コンピュータ導入がもたらしたこと

比企 コンピュータを診療の中のさまざまな場面に導入されたようですが,これは大事なことだと思います。
 私は自分自身も含めて,すべての医師の業務量をコンピュータに入れて分析してみました。例えば入院患者を手術するとしてコンピュータで計算してみると,自分は病院のために一生懸命働いたと思っていても,実際にはそれほどではないという結果が出る場合もあります。つまり,自己点検,自己評価ができます。
比企 私どもの北里大学東病院もいまのお話と同じ頃,1986年にできたのですが,その時コンピュータを導入しました。
 そして先生がおっしゃったように,外来で患者さんを診る時にドクターが自分で入力するようにしました。そうしますと,薬の処方が直ちに薬局にいくようになって,患者さんが帰る頃には薬はでき上がっています。患者さんの待ち時間を大幅に短縮することが可能になりました。
 また,発生源入力も導入しました。つまりさまざまな医療行為,例えば採血ですとか検査などが発生したその場所で,その行為を行なった人が入力するわけです。これまでは伝票に書いていたオーダーをすべてペーパーレスにして,コンピュータで直接オーダーすることにしました。
 しかし実を言うと,これを開始する時に一番強固に反対したのは医師でした。「仕事が増えるので,秘書を置いてくれるならは導入してもかまわない」などという意見も出てきまして,当時の初代の院長が吊るし上げられたりしました。ですが,それは病院として決定した方針だからということで,1986年の東病院の開院と同時に予定通りスタートさせました。そうしましたら,今や新しく入って来る人たちは,伝票の書き方もまったく知らないぐらいで,むしろコンピュータでないと診療ができないほどに状況が一変しました。

OCSについて

 ところで,現在われわれはOCSと呼ばれている面白いコンピュータ・システムを導入しています。
比企 OCS? 何の略ですか。
 「order command system」の略です。
 現在,私どもの外来の患者さんは1日大体2000名ぐらいで,それまでは外来の窓口が20ほどありましたが,コンピュータを導入することによって,20人の職員が行なっていたことを4つに減らしました。
比企 1/5ですね。
 ええ,OCSを完全に行なっているのは,韓国では私たちの九老病院だけです。
比企 それはすばらしいですね。
 人件費も減るし,ロスもなくなります。そうなると,次は“診療する人の心”をどうするかが重要になります。
比企 診療行為にどうやって心を入れていくかですね。
 私たちのところでは,朝7時半に回診が始まります。これは誰かが注文してそうするのではありません。そうしないと自分の仕事ができないからで,8時半に必ず手術が始まりますので,その前に回診をしないとだめなんですね。
比企 8時半に手術を始める前に回診を済ませておくのですね。
 すべてコンピュータでオーダーが決まっていますから,1人が抜けても診療行為全体がだめになってしまうのです。

「体育の日」と「克気訓練」

 あまりほめられたお話ではありませんが,1986年に勤務医の一部が平日にゴルフにでかけるという事件がありました。
 その頃,韓国では週末はゴルフ塲が混んで,プレイするのが難しくなった時期でもありましたが,私はこれはいけないと思いました。そこで,1986年に「体育の日」を作ることにしました。つまり,第3週の土曜日を体力デーにし,当直を除いたすべての医師や看護婦,技師,事務員,その他の職員がテニスやピンポン,バスケットボール,サッカー,ゴルフなどを自由にできるようにしました。
 当時の総長先生にも正式に許可を貰いました。その結果,平日にゴルフにでかける人はまったくなくなりました。
比企 勤務体制は,週6日制ですか。
 ええ,6日制です。
比企 そこで1か月に1回だけ,土曜日を体育の日にして休日にしたわけですね。
 体育の日には,食事は出せませんが,飲み物は提供しました。
 また年に2回,職員の愛院心と団結のために,必ず病院長が先頭に立って「克気訓練」というプログラムを開発して,お互いに訓練をしています。土曜日から日曜日まで,専門訓練機関に依頼して夜間の山岳訓練をしました。これももちろん運転手や守衛もすべて一緒に行なっています。
比企 コンピュータを導入することによって合理化を邁進なさった。しかし,たんに合理化を邁進するだけでは,運動の中に心というものが抜けてしまうことになって,職場の皆さんがついてこれなくなってしまう。それでは意味がありません。そこで学長として,上に立つ先生の立場として,その中にどのように心を入れていけばいいのか,ということを考えぬかれた。 
 そして,みなさんと一緒にスポーツをしたり,一緒に飲物を飲んで過ごすことによって,一体感という意識を持たせるようにしたのですね。
 大変よくわかりました。一部は日本の制度と同じだなと感じながら伺った部分もありますし,また韓国でなければとても実行できないことがらもたくさんあって,大変興味深く伺うことができました。今日は貴重なお話をありがとうございました。

 この対談は,本年7月に横浜で開催された第50回日本消化器外科学会(会長=比企能樹氏)に金 世民氏が招待演者として来日した際に収録したものです。両氏による対談「韓国における消化器外科,とりわけ胃癌外科の現況」が雑誌「臨床外科」(第52巻11号,1997年:医学書院刊)に掲載されます。  (週刊医学界新聞編集室)

〔資料〕
韓国の医科大学40校
既存医科大学(定員)1学年100~120名
新設医科大学(定員)1学年20~40名
年間卒業生数3120名(1996年)
総医師数5万7188名(総人口4485万人)
 対人口比784人(保健統計年鑑1996)
(参考:他の国の人口対比医師マンパワー)
日本    579人(1992)
米国    419人(1988)
フランス  333人(1989)
カナダ   446人(1991)
スエーデン 395人(1990)
豪州    437人(1988)

医療関係マンパワーの急増
 韓国ではこの30年間,医師,漢医師,看護師,薬剤師などの医療マンパワーは大きく増加。医師数は1961年の8405名から1993年には5万9069人(漢方医含む)と約7倍に,看護師および看護補助師は6360人から26万9925人,約42倍になり,医師1人当たりの人口は3066人から759人に大きく減少した。
医療施設の拡充
 この30年間,病医院数は約3倍に増加した(1961年→1992年)。
総合病院  27→236
病院    183→374
医院   4622→1万2355