医学界新聞

「看護職の主体性を支える経営」をテーマに

第4回「看護職の主体性に関する総合シンポ」開催


 第4回看護職の主体性に関する総合シンポジウム「看護職の主体性を支える経営」(実行委員長=東大教授 小島通代氏)が,さる2月20-21日の両日,東京大学の医学図書館を会場に開催された。

看護職も病院経営に参画を

 このシンポジウムは,1994年から3回にわたり開催され,昨年終了した「看護職の主体性に関する国際シンポジウム」の参加者からの“継続開催”との声を反映し開かれたもの。小島氏は「看護職の主体性と経営」を講演。この中で,診療上での医師との関係における「看護職のジレンマ」をメインテーマに掲げ,看護職の主体性という立場から検討してきたことなど,3回のシンポジウムの経緯や内容を紹介し,この研究の成果から,今シンポジウムでは,医療経営に関係する諸因子の具体的関係の究明を目的としたと述べた。また,看護職の主体性を伝える技術として,「看護行為を記述すること」と述べ,「記述することで看護を理論化できる」ことを強調した。

マネジメント能力はゲームから

 一方,明賀義輝氏(経営総合研究所代表)は「医療マネジメントゲーム」と題する講演の中で,「企業はつぶれる,ということが前提だが,その中にあって,医療は長い間つぶれないものとされてきた。しかし実際には倒産する病院も出てきた」と指摘。「医療の世界も企業と同様,利益を上げなければ倒産するのが道理」と,医療も企業と同様に利潤を追求する必要があり,それには看護職も経営実態を知るべきであると強調した。また,経営にはマネジメント能力が問われ,主体的にかかわることが患者(顧客)の満足につながると述べた。
 さらに2日目には,明賀氏の指導,解説のもと,実際にゲーム盤を使い「医療マネジメントゲーム」を実施。これは,参加者1人ひとりが経営者となり病院を設立し,資材調達から人事管理までを含む病院運営を行ない,マネジメント能力を養うというもの。通常は経営者や幹部管理職に向けたセミナーで実施するゲームだが,明賀氏らが医療者向けに改良したもの。参加者は5~6名のグループに分かれ戸惑いながらもゲームを楽しんでいたが,中には倒産に追い込まれる人も現われた。このゲームは,経営の目的を理解する意味でも役立つものであることが実証された。