医学界新聞

●第4回「総合リハビリテーション賞」贈呈式行なわれる


 第4回「総合リハビリテーション賞」(主催=(財)金原一郎記念医学医療振興財団,後援=『総合リハビリテーション』編集室)が,南雲直二氏(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)の「外傷性脊髄損傷者の遅発性抑うつ状態の追跡的研究」(雑誌『総合リハビリテーション』〔医学書院発行〕第23巻7号掲載)に決定し,その贈呈式が,さる9月25日,医学書院の本社会議室で行なわれた。
 贈呈式には,『総合リハビリテーション』誌編集委員・編集幹事の各氏の他,金原優医学書院社長,同誌編集室関係者などが出席。編集委員会を代表して上田敏氏(帝京大教授・市原病院リハビリテーション科)から,賞状,賞楯,副賞の賞金が南雲氏に贈られた。 引き続き金原社長が,「基礎医学研究の振興が主目的の財団にとって,この“総合リハビリテーション賞”は臨床分野では初めての賞です。差し上げる額は非常にささやかですが,南雲先生にはこれをひとつの契機とされて,日常臨床とともにご研究を今後とも継続していただきたい」と祝辞を述べた。

ユニークな視点から分析した先駆的研究

 南雲氏の受賞論文は,社会的・職業的リハビリテーションを受けた脊髄損傷者を追跡調査・分析したもので,退院後かなりの期間が経ってからも抑うつ状態が見られることに注目したユニークな研究。
 選考委員を代表して編集幹事の永田雅章氏(市川市保健部保健医療総合センター建設室)が,「南雲先生の論文は,掲載された41編の中で最も高く評価された。遅発性の抑うつ状態は初期の入院中に見られるものとは違ったものではないかという視点から分析した点が先駆的研究である」と,選考経過と受賞理由を説明し,「今後はいまだ明らかになっていない他の要因,さらには長期にわたる追跡と分析研究の遂行が待たれる」と期待の言葉を述べた。 

「総合リハビリテーション賞」にふさわしい発展を

 授賞式に引き続いて行なわれた懇親会では,この賞の生みの親とも言える上田敏氏が,心理学の分野から意欲的な研究を実現した南雲氏を称えるとともに,「昨年の原田孝氏(東邦大・整形外科)の“基礎医学研究”に続いて,本年は心理学的テーマとなった。発足以来毎回異なるジャンルの方が受賞され,まさに“総合リハビリテーション賞”にふさわしくなってきた」と賞のこれまでの発展にも言及した。
 続いて挨拶に立った南雲氏は,「上田先生が開拓し,種を蒔いてくださった障害受容という畑を,脊髄損傷患者について後から耕してきて,図らずも栄えある賞を頂戴した。これは私のみでなく後に続く者に励みになる。今回の受賞を,“もっとこの分野に邁進しなさい”という激励と受け止めて研究を継続し,連続受賞をめざしたい」と喜びの言葉を語った。


 『総合リハビリテーション』誌の創刊20周年を記念して4年前に設けられた「総合リハビリテーション賞」の受賞論文は,第1回が嚥下障害に関係した臨床的テーマ,第2回がスポーツ医学関連,昨年の第3回が基礎的なリハビリテーション医学関連,そして今回は心理分野からの論文ということで,リハビリテーション医学の幅の広さを示し,文字通り『総合リハビリテーション』誌にふさわしい内容となった。
 なお,引き続き本年も『総合リハビリテーション』誌(第24巻)に掲載された論文の中から第5回「総合リハビリテーション賞」が選考される。