BRAIN and NERVE Vol.75 No.4
2023年 04月号

ISSN 1881-6096
定価 2,970円 (本体2,700円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 特集の意図
  • 収録内容

開く

てんかん治療の基本は薬物療法であるが,20〜40%の割合で存在するとされる薬剤抵抗例では外科治療が必要になる場合もある。また小児や高齢者のてんかんでは成人例と臨床的特徴が異なる点も多い。このようにてんかんの病態は多様であり,診断の多くは問診を手がかりとしているため,正確な診断や分類は容易ではない。そうしたことから,てんかん診療には脳神経内科-脳神経外科-精神科-小児科を横断した学際的な知見が求められる。てんかん診療のエッセンスを凝縮した本特集で包括的な視点をアップデートしてほしい。         

てんかんの診断・分類—てんかん診療における思考過程  川口 典彦 , 寺田 清人
てんかんは発作を繰り返す慢性疾患であり,大脳の神経細胞が過剰に興奮するために発作性の症状が生じると定義される。その病因(原因)はさまざまで,多彩な併存症を有する。本論では,てんかんの診断と分類,てんかん症候群についてILAEの診断基準に基づいて解説する。また,具体例を挙げて,てんかんの診断プロセスについて解説する。てんかん発作では脳機能の一過性の変容が生じており,その診断や焦点推定においては脳機能局在やてんかん性活動の伝播様式などの知識に基づいて病歴聴取を行い,発作症候を解釈することが重要である。てんかん診療に際して,薬物や外科治療のみならず,てんかんの正確な診断においても高い診療能力・問診力が求められる。

 小児のてんかん  小國 弘量
小児てんかんの特徴は,発達年齢ごとに特異なてんかん症候群が存在することである。この「年齢依存性」てんかん症候群の中でも,有病率の高い自然終息性てんかん群と,有病率は低いが予後不良である薬剤抵抗性てんかん群の存在が特徴的である。後者の多くは乳児期早期よりてんかんを発症し,発達性てんかん性脳症へ進展するとともに知的・運動能力障害を併存する。また軽快することなく成人期へ移行し,包括的な診療が必要となる。

てんかんをもつ女性の妊娠・出産  田久保 陽司 , 根本 隆洋 , 渡辺 雅子
小児てんかんの特徴は,発達年齢ごとに特異なてんかん症候群が存在することである。この「年齢依存性」てんかん症候群の中でも,有病率の高い自然終息性てんかん群と,有病率は低いが予後不良である薬剤抵抗性てんかん群の存在が特徴的である。後者の多くは乳児期早期よりてんかんを発症し,発達性てんかん性脳症へ進展するとともに知的・運動能力障害を併存する。また軽快することなく成人期へ移行し,包括的な診療が必要となる。

自動車運転とてんかん  渡邊 さつき , 松尾 幸治
てんかんのある人にとって自動車運転の可否は重要な問題である。医師は道路交通法を理解し,適切な助言や運転指導を行う必要がある。患者の運転適性は,意識障害や運動障害を伴う発作が2年以上ないことが求められる。初回の非誘発性発作の場合は法的な規定はないが,6カ月間を目安として経過観察をする。てんかん発作があり,運転しないよう指示を受けたにもかかわらず患者が自動車運転を続けた場合,医師は任意の届け出が可能で,それは守秘義務違反とならない。           

高齢者のてんかん—臨床と最近の知見  曽根 大地
超高齢社会へ突入した本邦において,適切な高齢者医療・福祉の提供は喫緊の課題である。本論では,高齢者てんかんの臨床と最近の知見を概説する。高齢者てんかんでは,軽微な発作症状や脳波所見に注意が必要で,鑑別も多岐にわたる。治療は薬物療法が中心で,比較的発作抑制が得られやすい。原因は認知症や脳血管障害などが挙げられるが,明らかな原因が不明な例も多い。運転免許やスティグマなどの心理社会的問題も重要課題である。             

症候性てんかん  齋藤 正範
症候性てんかんの概念を歴史的に通覧し,構造的,感染性,代謝性,免疫性の原因があるてんかんを症候性てんかんとして取り上げる。構造的病因としては脳血管障害,脳変性疾患(海馬硬化を含む),腫瘍,外傷が挙げられる。原因別分類上,世界において患者数が最も多いのは感染性てんかんである。代謝性てんかんは年齢により原因が異なる。免疫性てんかんの原因となる自己抗体が近年相次いで発見されている。             

てんかん性健忘  鵜飼 克行
「てんかん性健忘」の範疇で,認知症高齢者の増加に伴い重要な病態と認識されつつある「一過性てんかん性健忘(transient epileptic amnesia:TEA)」,それに高率で合併する「accelerated long-term forgetting(加速的長期健忘)」,「autobiographical amnesia(自伝的健忘)」,さらにTEA症候群の概念を拡張した「一過性てんかん性健忘複合症候群(TEA complex syndrome:TEACS)」の定義やその意義,もう1つの重要な病態である「アルツハイマー病類似てんかん性認知障害(epileptic cognitive impairment resembling Alzheimer disease:ECI-A)」について,自験例を挙げて解説した。​​​​​​​             

一般診療における心因性非てんかん発作  尾久 守侑
心因性非てんかん発作(psychogenic non-epileptic seizures:PNES)はてんかん「じゃないほう」というニュアンスから定位される疾患概念である。脳波だけではてんかんかPNESかはっきりしない症例の場合,発作様式や経過から「てんかんらしくない」と見積もったとしても,診療に習熟していない場合はわずかな「てんかんらしさ」を不安に思い,診療の方向性がぶれやすくなる。そのぶれやすさを患者本人の心理力動との相互作用の産物と考えることが治療においては重要である。​​​​​​​             

てんかん原性脳病変の外科病理—皮質異形成と腫瘍  柿田 明美
てんかん外科の対象となる脳病変として皮質異形成と腫瘍の頻度が高い。限局性皮質異形成II型は,神経細胞の配列が顕著に乱れ異型細胞を伴う。mTOR情報伝達系分子の体細胞変異が知られている。腫瘍の代表的組織型は,膠神経細胞および神経細胞系腫瘍である。胚芽異形成性神経上皮腫瘍や神経節膠腫など多くの組織型が認識されている。近年,各組織型を特徴付ける分子病理学的知見が報告されている。​​​​​​​  

難治性てんかんとその対応  岩崎 真樹
2種類以上の抗てんかん薬(抗発作薬)を十分に用いてもてんかん発作が1年以上抑制されないときは薬剤抵抗性てんかんと判断し,てんかんセンターへの連携を検討する。てんかんセンターの重要な診療機能には長時間ビデオ脳波モニタリングとてんかん外科があり,てんかん診断の見直しや外科適応の検討が行われる。わが国は,人口あたりのてんかん外科実施件数が米国の約40%にとどまっており,てんかんの診療連携推進が望まれる。​​​​​​​             

てんかんの薬物療法  神 一敬
​​​​​​​
てんかん治療の基本は薬物療法であるが,焦点発作・焦点てんかんと全般発作・全般てんかんでは薬剤選択が異なる。実臨床では発作型および病型を考慮し,診療ガイドラインやエキスパートオピニオンを参考にして,治療薬が選択される。近年,忍容性が高い点,薬物相互作用が少ない点で優れているレベチラセタム,ラモトリギンが第一選択薬として推奨されている。ラコサミド,ペランパネルが選択される機会も増えてきている。​​​​​​​             

てんかんに対する外科的アプローチ  井林 賢志 , 川合 謙介
てんかんに対する外科的治療は,特に薬剤抵抗性てんかんにおいてその有効性を支持するエビデンスが確立している。近年は検査手法の進歩や治療モダリティの増加により,欧米を中心に治療選択肢も増えてきた。これらの一部は本邦未導入であるが,てんかんに対する外科治療の恩恵を享受する患者が1人でも増えることを念頭に,現状のてんかん外科治療の選択肢の概要とこれまで蓄積しているエビデンスを整理しアップデートする。​​​​​​​             

てんかん患者とその家族が日常生活において求めること  林 泰臣
​​​​​​​
てんかん患者は,運転免許や仕事,妊娠や出産,薬の副作用などさまざまな悩みを抱えているが,発作の程度が軽減されることを強く望んでいる。抗てんかん薬による発作の程度の軽減は社会生活を営むうえでとても重要である。そのためには,てんかんのある人のQOLの向上を考えるうえでも正確な発作管理が求められる。その課題解決の一助とすべく,てんかん発作をその場で簡単に記録するスマートフォンアプリ「nanacara(ナナカラ)」を作り上げた。

開く

医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 All About Epilepsy

てんかんの診断・分類──てんかん診療における思考過程
川口典彦,寺田清人

小児のてんかん
小國弘量

てんかんをもつ女性の妊娠・出産
田久保陽司,他

自動車運転とてんかん
渡邊さつき,松尾幸治

高齢者のてんかん──臨床と最近の知見
曽根大地

症候性てんかん
齋藤正範

てんかん性健忘
鵜飼克行

一般診療における心因性非てんかん発作
尾久守侑

てんかん原性脳病変の外科病理──皮質異形成と腫瘍
柿田明美

難治性てんかんとその対応
岩崎真樹

てんかんの薬物療法
神 一敬

てんかんに対する外科的アプローチ
井林賢志,川合謙介

てんかん患者とその家族が日常生活において求めること
林 泰臣


■総説
高次脳機能の理解に向けた次世代ケモジェネティクス法の開発
松岡佑真,他

てんかん患者の精神症状とその対応──新規抗てんかん発作薬の有害事象としての精神症状の特徴
兼本浩祐,他


●医師国家試験から語る精神・神経疾患
第4回 境界性パーソナリティ障害
白波瀬丈一郎

タグキーワード

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。