序説

■検査法・手技
全消化管
画像強調内視鏡観察

食道
拡大観察（倍率と分解能，観察法）
Endocytoscopy
EUS（endoscopic ultrasonography）
酢酸撒布（Barrett食道腺癌）
Valsalva法

胃
白色光通常内視鏡による系統的観察法（SSS）
拡大観察（倍率と分解能，観察法）

腸
拡大観察
Endocytoscopy
小腸内視鏡（バルーン内視鏡，スパイラル内視鏡）
カプセル内視鏡
CT colonography/enterography
MR entero-colonography

■画像所見
食道
拡大観察に必要な喉頭・中下咽頭の解剖用語
拡大観察に必要な食道の解剖用語
表皮化，過角化，錯角化
pink color sign
focal atrophy
brownish area, metallic silver sign
畳目模様，縦走ひだ
まだら食道
上皮下進展（Barrett食道腺癌）
柵状血管
melanosis
AVA（avascular area）
Type R血管

胃：白色光通常観察
RAC（regular arrangement of collecting venules）
腺境界
萎縮性胃炎
腸上皮化生
鳥肌胃炎
びらんと潰瘍
クッションサイン
耳介様周堤
敷石状胃粘膜
多発性白色扁平隆起
伸展不良
台状挙上所見

胃：拡大観察
正常胃：拡大観察に必要な解剖用語
demarcation line（DL）
microvascular pattern
microsurface pattern
VEC pattern（円形上皮内血管パターン）
白色球状外観（WGA）
LBC（light blue crest）
WOS（white opaque substance）

腸
白色絨毛
伸展不良
白斑
縦走潰瘍
敷石像，敷石様外観/炎症性ポリポーシス
輪状潰瘍
萎縮瘢痕帯
偽膜
アフタ，アフタ様潰瘍

■疾患
食道
表在型中・下咽頭癌
表在型食道癌
特殊型食道癌
悪性黒色腫
Barrett食道
Barrett食道腺癌（SSBE）
Barrett食道腺癌（LSBE）
食道胃接合部癌
verrucous carcinoma
食道リンパ増殖性疾患
食道炎症性疾患（IBD関連）
食道炎症性疾患（感染症等）
好酸球性食道炎
転移性食道腫瘍
食道黄色腫
食道皮脂腺
食道憩室（Zenker憩室・横隔膜上憩室）
食道アカラシア
薬剤起因性食道炎
食道噴門腺

胃
粘膜下異所性胃腺（異所性胃粘膜）
急性胃粘膜病変
薬剤性胃粘膜障害
Helicobacter pylori 胃炎
自己免疫性胃炎
腸型腺腫
幽門腺腺腫（胃型腺腫）
早期胃癌
悪性サイクル
胃型形質の早期胃癌
スキルス胃癌
胃神経内分泌腫瘍
胃粘膜下腫瘍
胃リンパ腫
collagenous gastritis
GAVE（gastric antral vascular ectasia），DAVE（diffuse gastric antral vascular ectasia）
IBDの胃・十二指腸病変
特殊型胃炎
PPI関連胃症
胃底腺型胃癌
ラズベリー様腺窩上皮型胃腫瘍

十二指腸
胃上皮化生（腺窩上皮化生）
異所性胃粘膜
Brunner腺過形成

下部消化管
腸管Behçet病/単純性潰瘍
大腸腺腫
大腸鋸歯状病変
炎症性筋腺管ポリープ
CMSEP（colonic muco-submucosal elongated polyp）
cap polyposis
大腸低分化腺癌
腸管リンパ腫
LST（laterally spreading tumor）
特殊な直腸肛門部腫瘍
虚血性小腸炎
虚血性大腸炎
潰瘍性大腸炎
Crohn病
IBD-U（inflammatory bowel disease unclassified）
回腸囊炎
直腸粘膜脱症候群
急性出血性直腸潰瘍
腸管子宮内膜症
血管性病変
薬剤性大腸炎
CEAS（chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene）
microscopic colitis
腸管膜静脈硬化症（MP）
大腸憩室疾患（憩室関連性腸炎）/出血
GVHD関連腸炎
Clostridioides difficile 関連性腸炎
細菌性腸炎
サイトメガロウイルス腸炎
アメーバ性大腸炎
クラミジア直腸炎
尖圭コンジローマ

全消化管
大腸腺腫症
Peutz-Jeghers症候群
Cronkhite-Canada症候群
若年性ポリポーシス症候群
Cowden病
マントル細胞リンパ腫
粘膜下腫瘍
好酸球性胃腸炎
アミロイドーシス
血管炎症候群

■分類・定義
全消化管
パリ分類

食道
日本食道学会拡大内視鏡分類（扁平上皮癌）
日本食道学会拡大内視鏡分類（Barrett食道腺癌）
食道癌の病型分類
食道胃接合部癌の分類（Siewert分類・西分類）
食道アカラシアの分類
食道裂孔ヘルニアの分類
プラハ分類

胃
ABC（D）分類
木村・竹本分類
胃隆起性病変の山田（山田・福富）分類
胃癌のリスク層別化
胃癌の肉眼型分類
拡大内視鏡分類（VS classification system）

腸
大腸癌の肉眼型分類
大腸腫瘍のNBI分類
pit pattern分類
潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度分類
Lewis score
小腸血管性病変の内視鏡分類

■病理
KRAS，BRAF，GNAS
MSI（microsatellite instability）
p53
Ki-67
アポトーシス
サイトケラチン
dysplasia（異形成）
過誤腫
lymphoepithelial lesion（LEL）
intraepithelial lymphocyte（IEL）
tumor-infiltrating lymphocytes（TILs）
Crohn’s-like lymphoid reaction
desmoplastic reaction（DR）
簇出
偽浸潤
parietal cell hyperplasia/protrusion
偽幽門腺化生，幽門腺化生
類上皮細胞肉芽腫
陰窩膿瘍
内分泌細胞微小胞巣
adenoma-carcinoma sequence
de novo 癌
focally enhanced gastritis
serrated neoplasia pathway
SSL（sessile serrated lesion）
低異型度癌と超高分化腺癌（胃）
低異型度癌と超高分化腺癌（大腸）
胃底腺型腺癌
腺窩上皮型腫瘍
横這型胃癌，手つなぎ型腺管癌
IBDの生検組織分類
 

内視鏡医の息づかいを感じる消化管内視鏡学の集大成
書評者：小野 敏嗣（東京都健康長寿医療センター消化器・内視鏡内科部長）

　本書を手に取って直感的に感じる重厚感はその物理的な特性によるものだけではないだろう。

　消化管内視鏡領域の名門『胃と腸』編集委員会がまとめあげた増刊号としての用語集は，「図説『胃と腸』所見用語集2017」など，これまでにも多くの名著がある。初心者に向けた基本から熟練医のための最前線の知識まで網羅しているその完成形は，単なる教科書という枠を超え，各執筆者が消化管内視鏡学に込める情熱が織りなす，もはや一つの作品と言っても過言ではあるまい。

　脈々と受け継がれるその系譜において，「図説『胃と腸』画像診断用語集2022」と王道のタイトルで銘打たれた本書は，さらなる異彩を放つ一冊となっている。表紙を開いてまず圧倒されるのは錚々たる執筆者の顔ぶれであろうか。しばし眺めていると，その中にさまざまな関係性が見えてきて，あたかも最前線で活躍される執筆者たちの活発な議論を拝聴しているようにも感じられる。これはすなわち，消化管内視鏡学の最前線で走り続ける専門家たちの息づかいを集約した一冊なのであろう。

　総勢約200名の執筆者，計約190項目，掲載画像数約750点の仕上がりは，読む者に圧倒的な存在感を与える。しかしそれでいて，開いたページには常に新しい知識と多くの美麗な画像がちりばめられていて，刺激された知識欲に誘われるがままにさらに次のページを捲ってしまう。インターネットで調べれば大概の知識は得られる時代において，本書は書籍というレトロなスタイルでありながらも消化器内視鏡医にとっての知識欲をくすぐり，それを満たしてくれる。まさに，教科書とは本来かくあるべきと感じる一冊である。

　もちろん，この書籍に至るまでには，先達の努力の積み重ねがあったことは間違いない。しかし，インターネット全盛の時代においてここまで知識欲を刺激してくれる本書は，脈々と受け継がれる師弟の関係性に想いを馳せつつも，姿勢を正して読みたくなる一冊である。ぜひ初心者から熟練医まで手に取っていただきたい。