BRAIN and NERVE Vol.72 No.12
2020年 12月号

ISSN 1881-6096
定価 2,970円 (本体2,700円+税)

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特集 超高齢期の精神神経疾患を診る
企画:本誌編集委員会

特集の意図
超高齢社会の日本では,脳神経内科の臨床においても80歳以上の患者の診療を行う機会が増えている。しかしながら,多くの研究や臨床試験は超高齢者を対象としていないため治療に関するレベルの高いエビデンスに乏しく,また,多岐にわたる基礎疾患やそれに対する薬物治療が病態を複雑にしている。本特集ではエキスパートにより,日々の診療で出会う機会の多い代表的な疾患の病態を解説したうえで,鑑別診断・治療の考え方について論じる。

特集の構成

1.超高齢期の末梢神経・筋疾患(佐藤亮太)超高齢者では加齢による筋力低下が進行しており,そこに末梢神経・筋疾患が加わると容易にサルコペニアの状態となってしまう。超高齢者の複雑な末梢神経障害を解釈するためには遠位筋の筋力低下を見極めることが重要であり,その1例として短趾伸筋の萎縮に注目する方法を紹介する。筋疾患については,サルコペニア/フレイルの考え方と,炎症性ミオパチー,薬剤性/中毒性ミオパチーの治療方針を示す。

2.超高齢期の脊椎疾患(亀山隆)超高齢者では脊柱が変形している場合が多いため姿勢の評価が重要である。そこで,Cobb角などの脊柱・骨盤アライメントの計測パラメータを詳述したのち,脊柱変形の原因となる種々の疾患について詳述する。パーキンソン病患者は罹病期間が長くなると脊柱変形が生じるものの,外科的治療によりADLやQOLが改善する場合があり,周術期・術後の適切な管理のために脳神経内科医の積極的関与が求められる。

3.超高齢期のパーキンソン病(金原禎子,武田篤)超高齢期のパーキンソン病では,運動症状・非運動症状がともに早期から高度に認められる。これらの症状はいずれも転倒リスクにつながるため,薬剤を使用してうまくコントロールしていく必要があるが,逆に副作用によって増悪する場合もあるため増量には十分な注意が必要である。開始薬剤は他の年代と同様にL-ドパを選択し,1/2量程度から始めるとよい。

4.超高齢期の認知症(髙尾昌樹)超高齢期の認知症患者において多剤内服は大きな問題ではあるものの,減薬の判断は時に難しい。この問題に対しては,認知症の行動・心理症状の治療薬である抗精神病薬を減量しても症候は悪化しない,といった有用な報告を示す。加えて,超高齢者の病態を理解するうえで重要な脳病理について,著者らの研究結果を踏まえて詳述する。

5.超高齢期の精神疾患(新村秀人)超高齢者が精神疾患を保有していることは決して珍しくはなく,統合失調症圏の患者のうち65歳以上が24.7%を占める,75歳以上のうつ病の保有率は37.4%である,といった報告がある。また,統合失調症患者では身体疾患の合併が多く,特に超高齢期の患者では健常者に比べ身体科医療に対するアドヒアランスが低いため,こうした点も念頭に置いて診療にあたる必要がある。

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価格については医書.jpをご覧ください。

超高齢期の末梢神経・筋疾患
佐藤 亮太

超高齢期の脊椎疾患
亀山 隆

超高齢期のパーキンソン病
金原 禎子,武田 篤

超高齢期の認知症
高尾 昌樹

超高齢期の精神疾患
新村 秀人


●総説
平山病の病態機序に関する新しい仮説――免疫異常に由来する頚部後部硬膜の椎弓への固定不全による
福武 敏夫

●神経画像アトラス
MRI拡散強調画像で両側中小脳脚に高信号を認めた浸透圧性脳症の1例
大岩 美都妃,他

●LETTERS
神経細胞が変性壊死するときはシナプスに始まり細胞体に終わるという順は,それらが造られてくるときのまったく逆順に見える
生田 房弘

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