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SCID-5-RV使用の手引き

DSM-5のための構造化面接 [評価票ダウンロード権付]

原著:Michael B. First /Janet B.W. Williams /Rhonda S. Karg /Robert L. Spitzer 
監修:高橋 三郎
訳:北村 俊則

  • 判型 A4
  • 頁 200
  • 発行 2020年10月
  • 定価 19,800円 (本体18,000円+税10%)
  • ISBN978-4-260-04253-6
信頼性の高い精神科診断を可能にする構造化面接のために
精神科診断を行うために開発された構造化面接のツールが、DSM-5に準拠し待望の改訂。面接法について丁寧に解説した「手引き」を書籍化。うつ病、統合失調症…など各疾患の「評価票」はPDFで配布、必要に応じて印刷して利用できる(書籍購入者特典)。臨床場面、あるいは研究場面で、信頼性の高い精神科診断を行うために持っておきたい1冊! なお、パーソナリティ障害の診断に関しては、類書のSCID-5-PDを参照。
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序 文
訳者の序

 いずれの医療および医学研究の領域でも,確度の高い診断が求められる.しかし,1970年代までの精神医学界では,各国で精神疾患の病名が異なり1),共通の診断基準が存在しなかったことから,精神科医間の診断一致率は低かった.このことは日本においても同様で...
訳者の序

 いずれの医療および医学研究の領域でも,確度の高い診断が求められる.しかし,1970年代までの精神医学界では,各国で精神疾患の病名が異なり1),共通の診断基準が存在しなかったことから,精神科医間の診断一致率は低かった.このことは日本においても同様であった.
 評定者間の意見の一致率は級内相関(intraclass correlation coefficient: ICC)で求める.ICCは1.0が完璧な一致であり,研究で用いるのであれば0.8以上,臨床で用いるのであれば0.6以上は必要であろう2)
 訳者は,1980年代に入ってすぐ日本の精神科医20人を対象に,精神疾患の診断一致率をみる研究を実施した3).この中で,ICCが0.8を超えた病名は1つもなかった.ICCが0.6を超えた病名は,精神分裂病(当時;現在の統合失調症),うつ病,神経症のみであった.躁病は0.22,パーソナリティ障害は0.54というICCであった.こうした状況を改善する最初の一歩が,病名の統一と各疾患の診断基準の明文化であった.開発された種々の診断基準について,訳者は信頼度検定を実施してきたが,やはり共通の診断基準を用いることで,精神科医の間の診断一致率はかなり改善されることが確認された4~10)
 しかし,共通の診断基準を用いても,面接手法が異なることで結果が著しく異なりうることも知られるようになった.その結果,診断用の構造化面接が開発されるようになった.診断用構造化面接を用い,操作的診断基準に準拠して診断することが,精神科診断の信頼度を担保する重要な手法であることが認識されたのである11)
 精神科医療における臨床診断学の流れを振り返ると,操作的診断基準と診断用構造化面接の開発はセットで行われてきたことがわかる.1980年のDSM第3版の出版直後にSCIDが発表された.以降,DSMの改訂があるごとにSCIDも改訂されてきた.今回,DSMの第5版が発表された後にSCIDもまた改訂されたのは当然である.どの医師に診てもらっても同じ診断名がつくことは,その医療領域に対する社会の信頼を得るために不可欠である.それを考えれば,臨床場面であれ研究場面であれ,すべての精神科医がSCIDに一度は習熟することは社会的責任を果たすことにつながるであろう.

 2020年8月
 北村メンタルヘルス研究所所長 北村俊則

1)Stengel, E. Classification of mental disorder. Bulletin of the World Health Organization 21:601–663, 1959.
2)北村俊則. 精神症状測定の理論と実際:評価尺度, 質問票, 面接基準の方法論的考察(第2版). 海鳴社, 1995.
3)Kitamura, T., Shima, S., Sakio, E., & Kato, M. Psychiatric diagnosis in Japan. II. Reliability of conventional diagnosis and discrepancies with RDC diagnosis. Psychopathology 22:250–259, 1989.
4)北村俊則, 島悟, 崎尾英子, 加藤元一郎. 症例要旨法による家族歴研究診断基準(FH-RDC)の信頼度検定. 社会精神医学 7:308–312, 1984.
5)北村俊則, 島悟, 崎尾英子, 加藤元一郎. 症例要旨を用いたファイナー診断基準の信頼度検定. 精神医学26:1203–1207, 1984.
6)北村俊則, 丸山晋, 大塚俊男, 下仲順子, 中里克治. DSM-III 痴呆診断および柄澤式ぼけ評価尺度の評定者間信頼度. 老年精神医学2:774–777, 1985.
7)Kitamura, T., Shima, S., Sakio, E., & Kato, M. Application of Research Diagnostic Criteria and International Classification of Diseases to case vignettes. Journal of Clinical Psychiatry 47:78–80, 1986.
8)須賀良一, 森田昌宏, 伊藤順一郎, 北村俊則. 操作的診断基準の信頼性とその問題点I. 症例要旨法による研究用診断基準(RDC)の評定者間信頼度検定. 精神医学29:373–378, 1987.
9)伊藤順一郎, 森田昌宏, 須賀良一, 北村俊則. 操作的診断基準の信頼性とその問題点II. 症例要旨法による家族歴研究診断基準(FH-RDC)の評定者間信頼度検定. 精神医学29:475–480, 1987.
10)北村俊則, 須賀良一, 森田昌宏, 伊藤順一郎. 操作的診断基準の信頼性とその問題点III. 再試験法による研究用診断基準(RDC), ハミルトンうつ病評価尺度, 陰性症状評価尺度の信頼度検定. 精神医学29:579–585, 1987.
11)北村俊則, 島悟. 感情病および精神分裂病用面接基準(SADS)と研究用診断基準(RDC)の評定者間信頼度. 精神医学28:41–45, 1986.
目 次
1 はじめに

2 SCIDの歴史

3 SCIDの各版
 3.1 SCIDの研究版(SCID-5-RV)
 3.2 SCIDの臨床医版(SCID-5-CV)
 3.3 SCIDの臨床試験版(SCID-5-CT)

4 SCID-5-RVのコア版および拡張版の診断範囲

5 SCID-5-RVを自分の研究のためにカスタマイズするためのステップ

6 SCID-5-RVの基本的特徴
 6.1 概観
 6.2 サマリースコアシート
 6.3 診断の流れ
 6.4 評定
 6.5 診断は「現在」のものであるかを判断する
 6.6 情報源

7 SCID-5-RVの実施

8 SCID-5-RVの約束事と使用法
 8.1 3段組表示
 8.2 SCIDの質問
 8.3 基準項目の評価
 8.4 記述的情報の記録
 8.5 診断フローとスキップ
 8.6 診断基準の多重条項
 8.7 相互排他的質問を意味する両方向矢印
 8.8 一般身体疾患・物質誘発性 vs. 原発性
 8.9 治療効果の検討
 8.10 臨床的な意味
 8.11 スクリーニングモジュールの使用
 8.12 右段のフィールドコードに含まれるもの
 8.13 SCID-5の特定される障害と特定不能の障害
 8.14 DSM-5の診断基準との相違

9 SCIDですべきこと,してはいけないこと

10 一般身体疾患および物質・医薬品病因と原発性疾患の鑑別
 10.1 一般身体疾患による疾患群/障害群の評価
 10.2 物質・医薬品誘発性障害の評価

11 各モジュールに関する特別な説明
 11.1 サマリースコアシート
 11.2 概観
 11.3 スクリーニングモジュール
 11.4 モジュールA:気分エピソード,気分循環性障害,持続性抑うつ障害,
       月経前不快気分障害の評価
 11.5 モジュールB:精神病性症状および関連症状
 11.6 モジュールB/C:精神病性症状のスクリーニング
 11.7 モジュールC:精神病性障害群の鑑別診断
 11.8 モジュールD:気分障害群の鑑別診断
 11.9 モジュールE:物質使用障害群
 11.10 モジュールF:不安症群/不安障害群
 11.11 モジュールG:強迫症および関連症群/強迫性障害および関連障害群
 11.12 モジュールH:睡眠─覚醒障害群(オプション)
 11.13 モジュールI:食行動障害および摂食障害群
 11.14 モジュールJ:身体症状症および関連症群(オプション)
 11.15 モジュールK:外在化障害群
 11.16 モジュールL:心的外傷およびストレス因関連障害群

12 トレーニング

13 心理測定法上の課題

文献

付録A:SCID-5-RVにおける変更の概要
付録B:SCID面接の評価票
付録C:薬物の俗称一覧(日本語翻訳版オリジナル)

索引