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診断力が高まる

解剖×画像所見×身体診察マスターブック


編集:Sagar Dugani /Jeffrey E. Alfonsi /Anne M. R. Agur /Arthur F. Dalley 
監訳:前田 恵理子

  • 判型 B5
  • 頁 408
  • 発行 2018年09月
  • 定価 6,264円 (本体5,800円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03627-6
医学部で教わりたかった! 解剖・画像所見・身体診察の三位一体で診断に迫る。
医学教育で分断して教えられがちな、解剖・画像所見・身体診察を有機的に統合して診断につなげるアプローチを紹介。具体的な疾患をベースに豊富な情報を収載し、システマティックに診断の流れを紹介しており、極めて実践的な作りとなっている。身体の部位ごとにまず基本知識をおさらいし、その上で症例をもとに統合的アプローチを学ぶ、という構成は、医学生・研修医にも好適。他の医療系職種の教科書としても使える。
序 文
監訳者の序(前田恵理子)/謝辞


監訳者の序

 臨床医学の全容というのは,なかなか把握が難しい.内科学がカバーする範囲からは整形外科学や産婦人科学などの重要な領域が漏れるうえに,内科学の全容を初学者がぱっと把握できるような書籍...
監訳者の序(前田恵理子)/謝辞


監訳者の序

 臨床医学の全容というのは,なかなか把握が難しい.内科学がカバーする範囲からは整形外科学や産婦人科学などの重要な領域が漏れるうえに,内科学の全容を初学者がぱっと把握できるような書籍もない.放射線医学は全身の大部分の疾患をカバーするが,画像に写らない解剖や疾患は扱わず,内科診断学や症候学の領域が抜け落ちる.解剖学は,全身を守備範囲としつつも基礎医学の段階では臨床医学との連続性が明らかにならない.しかるに,医学生をはじめとした医療を志す人はこれまで,これから登る山の全体像を示した地図を持たずに,やみくもに学習を始めざるを得なかった.全体像がわからぬまま解剖学,生理学,薬理学,病理学といった重量級の学問に次々と出会うので,基礎医学の勉強というのは苦しいものに感じられてしまう.この困難さは医師に限らず,多くの医療系職種に共通するだろう.
 医学教育が長年抱えてきたこの問題を,北米の著名な解剖学者,臨床医,放射線科医が手を取り合って鮮やかに解決したのが本書(原著タイトル Clinical Anatomy Cases;An Integrated Approach to Physical Examination and Medical Imaging)である.医学書院の担当者との打合せで本書を知ったときには,長年求めていたものに出会ったような衝撃が走った.原著タイトルの通り,解剖学,内科診断学と放射線医学を統合し,初学者向けに簡潔に書かれている.診断学だけでなく,各領域の代表的な疾患も掲載されているため,基礎医学の段階で臨床医学のイメージをもつのに最適である.原著も平易な英語で書かれているが,医学のものの書き方に慣れない初学者が読むのであるから,日本語版が出版されたほうが日本の医学教育のためになるだろうと考えた.あらゆる診療科を横断する内容であり,翻訳体制に悩んだが,CTやMRIの原理が扱われ,画像がふんだんに使われているところを見るに,放射線科医の関与は欠かせない.そこで,解剖学にも臨床医学にも精通した,医局の優秀な後輩たちが翻訳を引き受けてくれることになり,前田は監訳を担当した.訳者・監訳者とも細心の注意を払って翻訳を進めたが,至らぬところがあれば監訳者の瑕疵である.
 こうして,本書を広く日本に紹介できることを嬉しく思う.理想的な使い方としては,医学の勉強を始める前に「医学概論」として本書を一度通読しておき,解剖学を学びながら当該箇所を精読し,臨床医学を学ぶようになったら逆に本書に立ち返って解剖学とのつながりを画像とともに確認するとよいだろう.臨床医となったあとも,解剖学を大分忘れてしまったころに復習として通読するのに最適な書籍である.臨床医の視点をもつと,自分の専門外の領域の記述にも得るものが多いと思われる.放射線科医を志す者には,画像に現れない症候や内科診断学のよい復習になると思われる.内容が平易であるので,他の医療系職種の解剖学の教科書としても十分に使用できる.
 本書が日本の医学生に広まり,一段高い視点から基礎医学に取り組む礎となり,ひいては医療の質の向上につながることを願ってやまない.

2018年8月 本郷にて 前田恵理子




 医学教育は進化を続けている.しかし,今日においても多くの教科はそれ単独で教えられており,医学生は医学に出てくる膨大な概念を統合するのに気が遠くなるほど面倒な作業をしなければならない.数年前にわれわれは,「解剖」「身体診察」「医用画像」という,医学の学習の鍵となる3項目が,異なる学年でばらばらに教えられており,医学生が1冊でこの3つの概念を統合できるような教材がないことに気がついた.そこでわれわれは,ばらばらに教えられるこの3つの概念を1つの教材に統合するために,“Clinical Anatomy Cases”を執筆することを考えついた.
 “Clinical Anatomy Cases”は,7つの解剖領域を解説するのに多くの図を用いている.Chapter 1「臨床での統合的アプローチ」で,われわれの目指す統合的アプローチを解説し,身体診察,医用画像の基礎やよく使われる統計の概念について解説した.これに続いて7つの部位ごとに統合的アプローチに基づいた解説を行い,頻度が高い疾患や症候に触れられるようにした.必要に応じて,簡単な鑑別診断をリストアップしたり,有効性が高いClinical Pearlを紹介したりもした.
 その結果,本書は従来の医学教育で生じるギャップを埋めるものとなっている.この統合的アプローチは,医学生,研修医,また看護師,理学療法士,作業療法士,歯科医師やphysician assistantを目指す皆さんにもとても魅力的な教材であると,われわれは自信をもってお薦めする.医学生や研修医にとって魅力的なだけでなく,彼らを教育する教員にとっても有益な教材となり,授業やカリキュラムの組み立てに役立てていただけるものと信じている.さらに,本書で取り上げられている項目は,同じWolters Kluwerから発行されている“Clnically Oriented Anatomy”や“Essential Clinical Anatomy”といった書籍をも補完するものである.本書が,医学教育のほかの領域でも,さまざまな領域を統合するような教材が生まれるきっかけとなることを期待している.


謝辞

 われわれが解剖学,身体診察と医用画像を統合するアイディアを得たのは数年前のことだったが,北米の多くの傑出した人物の導きや助言なしには,この“Clinical Anatomy Cases”を実際に出版することはできなかった.本書を執筆するにあたり,また執筆者を紹介してもらうにあたり,Joseph Loscalzo先生(Brigham and Women’s Hospitalの医学部長,院長),Joel T. Katz先生(同内科研修プログラムディレクター),Maria Yialamas先生(同内科研修プログラム副ディレクター),Vivian Gonzalez Mitchell先生(同内科研修プログラム副ディレクター),Stephen Ledbetter先生(Brigham and Women’s Faulkner Hospital放射線科部長)には,時宜を得た,寛大な助言をいただき,非常に感謝している.Heather McDonald-Blumer先生(Mount Sinai病院/大学関連病院およびトロント大学リウマチ科),Vincent Chien先生(St. Michael病院およびトロント大学総合内科)にも,このプロジェクトを支援し,協力してくれる教員を紹介していただいた.本書を執筆してくれたすべての著者(Brigham and Women’s Hospitalやトロント大学や北米のその他の大学の研修医,フェローや教員)にも,臨床やそれ以外のスケジュールで忙しいなか,このプロジェクトに参加し,われわれのアイディアを形にしてくださったことにとても感謝している.
 最終的に,本書がアイディアに終わらず形になったのは,Wolters KluwerのCrystal TaylorさんとGreg Nichollさんの素晴らしいリーダーシップと辛抱のおかげである.辛抱強く待ち,協力し,助言をし,われわれを導いてくれたGregには感謝の言葉しかない.そして図表の作成を手伝ってくれたJonathan Dimesさんと,肝となる校正を担ってくれたKelly Horvathさんにも感謝している.
目 次
訳者一覧
監訳者の序
執筆者一覧
査読者一覧

謝辞
図の出典一覧

Chapter 1 臨床での統合的アプローチ
  統合的な医学アプローチへの導入
  初期評価
  詳細な評価
  身体診察
  臨床検査
  医用画像
  臨床所見の応用
  結論

Chapter 2 胸部
  初期評価
 器官系の概要
  肺
  心臓
  食道
 症例集
  肺炎
  慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  膿胸
  肺結核
  気胸
  急性肺塞栓症
  孤発性肺結節
  肺癌
  中皮腫
  無気肺
  サルコイドーシス
  心臓弁膜症
  急性冠症候群
  急性大動脈解離
  うっ血性心不全
  心膜炎と心タンポナーデ
  アカラシアとびまん性食道痙攣
  食道穿孔
  食道癌

Chapter 3 腹部
  初期評価
 器官系の概要
  肝臓
  胆道系
  脾臓
  鼡径ヘルニア
  直腸・肛門
  腎臓
 症例集
  急性膵炎
  胆道系疾患
  肝炎
  肝硬変
  脾腫
  消化性潰瘍
  腸管閉塞
  虫垂炎
  結腸炎
  憩室疾患
  腸間膜虚血症
  腹部大動脈瘤
  膵癌
  大腸癌

Chapter 4 骨盤部
  初期評価
 器官系の概要
  女性の生殖器系
  男性の生殖器系
  泌尿器系
  乳房
 症例集
  異所性妊娠(子宮外妊娠)
  前置胎盤
  胎盤早期剥離
  尿路結石
  膀胱癌
  多発性嚢胞腎
  水腎症
  骨盤内炎症性疾患
  卵巣嚢腫
  多嚢胞性卵巣症候群
  子宮筋腫
  子宮体癌
  卵巣癌
  子宮頸癌

Chapter 5 背部
  初期評価
 器官系の概要
  頸椎・胸椎・腰椎・仙椎
  脊髄・脊髄神経
  筋
  脊髄の循環構造
 症例集
  神経根障害
  椎体骨折に伴う外傷性脊髄損傷
  脊椎硬膜外膿瘍
  脊椎への転移性腫瘍
  骨粗鬆症
  内因性の脊髄障害と横断性脊髄炎
  脊椎の変性疾患と強直性脊椎炎
  頸椎の関節リウマチ

Chapter 6 上肢と下肢
  初期評価
 器官系の概要
  肩
  肘関節・橈尺関節
  手関節・手
  股関節・大腿
  膝
  足関節・足
 症例集
  結晶性炎症性関節炎
  ミオパチー
  変形性関節症
  骨髄炎
  骨粗鬆症
  関節リウマチ
  敗血症性関節炎
  鎖骨骨折
  腱板断裂
  橈骨遠位端骨折
  舟状骨骨折
  大腿骨頭骨折および大腿骨頸部骨折
  転子部および転子下骨折(関節包外股関節骨折)
  半月板損傷
  前十字靱帯断裂
  深部静脈血栓症
  末梢動脈疾患
  足関節の捻挫

Chapter 7 頭頸部
  初期評価
 器官系の概要
  頭蓋・頭皮・髄膜
  大脳
  脳神経・脳幹
  運動系
  感覚系
  協調運動
  脳の動脈・静脈
  耳
  鼻・副鼻腔
  口腔・中咽頭
  喉頭
  頸部
  リンパ節
 症例集
  虚血性脳血管障害
  頭蓋内出血
  多発性硬化症
  脳膿瘍
  髄膜炎
  鼻副鼻腔炎
  咽後膿瘍
  下垂体腺腫
  膠芽腫
  外傷性脳損傷
  頸椎損傷
  顔面骨骨折
  甲状腺結節と悪性腫瘍

索引
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