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黒田裕子の

看護研究 Step by Step


(第5版)

著:黒田 裕子

  • 判型 B5
  • 頁 396
  • 発行 2017年11月
  • 定価 2,808円 (本体2,600円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03015-1
看護研究に必要な基本から最新の知識まで、この1冊で!
今日の看護研究に求められる知識の全体像を、研究指導の経験が豊富な著者が語りかけるように解説! 一見「高度」と思われる内容であっても、著者自らの体験や研究指導のなかで遭遇した事例をふんだんに用いながら解説しているため、実際のイメージをもちながら理解できる点が大きな特徴。近年の急速な看護研究の進歩を反映し、質的研究、研究デザイン、研究計画、研究倫理、新しい研究なども最新の動向が示され、記述もさらに充実。
序 文
第5版の序

 2012年5月に株式会社医学書院から第4版を出版させていただいてから約5年半が経ちました.2017年4月現在,看護系大学数は265校,大学院の修士課程数は167校,博士課程数は90校と,ここ5年間で激しく増加している昨今です.臨床の多様な現場では,専門看護師や認定看...
第5版の序

 2012年5月に株式会社医学書院から第4版を出版させていただいてから約5年半が経ちました.2017年4月現在,看護系大学数は265校,大学院の修士課程数は167校,博士課程数は90校と,ここ5年間で激しく増加している昨今です.臨床の多様な現場では,専門看護師や認定看護師が高度な実践を先導し,専門看護師総数は2,000名にせまり,認定看護師総数は18,000名を超えています.
 このような背景を受け,看護教育や臨床のさまざまな実践の場における看護研究のニードも年々高まっており,膨大な数の看護研究が行われている現状にあります.

 本書は,初版を1997年に発刊以来,約20年にわたって,実に多くの読者に活用していただきました.改版にあたっては,常に最新の内容へと刷新するように心がけてきました.第5版で新たに取り入れた内容の概要を紹介しておきます.
●第1章「エビデンスに基づく看護実践をめざす看護研究」
 最新版のPolit & Beck(2017)『Nursing research; generating and assessing evidence for nursing practice (10th ed.)』およびGray, Grove, & Sutherland(2017)『Burns and Grove’s the practice of nursing research; appraisal, synthesis, and generation of evidence (8th ed.)』を紹介しました.さらに,Polit & Beck(2017)によるEBP(evidence-based practice:エビデンスに基づいた実践)の定義の解説を加えました.また,Gray, Grove, & Sutherland(2017)で論じられている,研究エビデンスを統合するために使用されるプロセスおよび研究エビデンスのレベルを解説しました.
●第3章「看護研究における倫理」
 人間に対して虐待行為を行った生物医学的研究を表に整理しました.さらに,インフォームド・コンセントにおいて研究対象者に提供される情報について具体的な解説を加えました.
●第5章「看護研究の方法を理解しよう」
 看護研究にとってのパラダイムと方法を新たに加え,実証主義者と構造主義者のパラダイムの主要な前提の表を,さらにPolit & Beck(2017)による研究目的と研究疑問の種類の表を新しく加えました.一方,量的研究における段階の流れの図および質的研究における活動の流れの図をPolit & Beck(2017)より最新版としました.
●第6章「量的なアプローチの研究デザイン」
 量的なアプローチの研究デザインを考えるうえで有用なフローチャート,量的記述的デザインのアルゴリズム,相関関係的デザインのアルゴリズムの3つの図をGray, Grove, & Sutherland(2017)より新しく加えました.
●第7章「多様な量的なアプローチの研究方法をみてみよう!」
 社会科学文献と医学文献における研究デザインの用語法をPolit & Beck(2017)より最新の表としました.さらに,通常の無作為化デザインのステップの順次性の図をPolit & Beck(2017)より新しく加えました.デザインの選択肢:選定された実験(無作為化された)デザインの表についてもPolit & Beck(2017)の最新版としました.
●第16章「質的なアプローチの研究を科学的な視点でクリティークする」
 新しい研究論文を対象にクリティークを行いました.
●第17章「新しい看護研究の動向」
 最新版であるPolit & Beck(2017)およびGray, Grove, & Sutherland(2017)とそれぞれの前版の目次を表に提示し,内容の変化を解説しました.さらに,これら両書籍で強化されているミックスド・メソッド・リサーチについての解説を新しく加えました.
●付表
 2000年代を新しく加えました.

 今後も確実に増え続ける看護研究のために,読者の皆さまのご指摘やご助言を得ながら,今後ともにさらなる充実を図っていく所存です.本書の内容に不十分な部分があるとすればすべて筆者の責任です.しかしながら,本書は看護専修学校,短大および大学の看護学生,大学院生,現場のナースなどを含め,多様な方々に活用していただけるように努めました.
 最後に,医学書院看護出版部の北原拓也氏と吉田拓也氏には,たいへん丁寧で粘り強い編集によって全体的な用語の統一や最新情報の取り入れなどにご尽力いただいたおかげで,また,第4版からのデザインの変更によって,第5版は読みやすくわかりやすい内容になっていると思います.この場を借りて感謝いたします.

 2017年10月吉日
 黒田 裕子
目 次
第5版の序
初版の序

第1章 エビデンスに基づく看護実践をめざす看護研究
 近代看護の起こりから現代に至る看護研究の発展と看護実践とのつながり
 EBNおよびEBNPと看護研究の関係
 看護の研究って,何だろうか?

第2章 看護実践のなかから生まれる《研究疑問》
 それは《研究》によって明らかにしなければならないような《疑問》だろうか
   -研究疑問になりうるものとそうでないもの
 研究に取りかかろうと考えたとき-看護の知識体系と看護研究の関係
 研究テーマを明確にするまでのプロセスを踏んでみよう
 研究テーマ絞り込みの実際例から-ナースQの場合
 研究テーマの絞り込みプロセスを検討する
 研究テーマの絞り込みで混乱してしまったナースQの場合
 《研究》では1つひとつを科学的に探究する
 研究対象にすべきこと,そして業務改善すべきこと
 研究テーマの絞り込みで陥りやすい問題
 研究テーマの絞り込み-研究プロセスの最初の大きな一歩
 研究プロセス全体の時間的な流れ

第3章 看護研究における倫理
 研究を行ううえで配慮すべき倫理的な側面の問題
 インフォームド・コンセント
   -研究対象者の自由と意思の尊重,そのための情報提供
 個人情報の保護,プライバシーの尊重
 基本的な倫理原則
 その他の倫理的な諸問題の対応
 看護研究を行う理由についてのナースのモラル
 研究指導者としてのモラル-研究指導者が研究者になってしまう危険
 おわりに

第4章 研究にとって欠かせない文献検索と文献検討
 文献検索と文献検討-それってなぜ必要?
 文献って何?
 一次文献と二次文献
 インターネットでデータベースを使いこなす
 文献検索するときのスキルって何?
 一次文献を入手したら
 もう一度,研究にとっての文献の必要性を考える
 いざ,文献検討を実践しよう!

第5章 看護研究の方法を理解しよう
 研究デザイン
 看護研究にとってのパラダイムと方法
 量的な研究と質的な研究の特徴
 量的研究と質的研究で使用される中心的な用語の比較
 量的研究と質的研究のプロセスの大まかな流れ
 量的研究と質的研究の厳密性(rigor)の違い

第6章 量的なアプローチの研究デザイン
 量的アプローチの研究デザインを考える
 《記述的な研究デザイン》は“実態探究型”
 《相関関係的な研究デザイン》は「介入なし」「2変数以上が存在する」
 《準-実験的な研究デザイン》と《実験的な研究デザイン》

第7章 多様な量的なアプローチの研究方法をみてみよう!
 実験的なデザイン
 非-実験的な研究

第8章 量的なデータの分析を試みる
 分析のためのデータ処理と入力
 質問紙のモデルを使って分析を行う前に……
 分析:まず実施するべき“記述統計量”-1つひとつの変数の分析
 対象者のデータから-母集団と標本
 分析:この研究の目的である2つ以上の変数同士の分析-“推測統計量”へ
 正しい統計処理と適切なデータ入力のために

第9章 データ収集の方法としての質問紙法
 質問紙によるデータの収集
 質問紙法によって得られるデータの分析とは?
 データ収集を実施する前に知っておくべきこと

第10章 質問紙を自分で作成する
 研究例の紹介-筆者の研究から
 質問紙を開発する場合,開発しない場合の手続き
 質問紙の作成-病気をもちながらの生活管理の場合

第11章 質的なアプローチの研究方法
 質的なアプローチの研究とは……
 質的な看護研究はどのように今日まで発展してきたか
 どのような場合に,質的なアプローチの研究のタイプを選択するか
 量的研究プロセスとの違い
 質的研究の特徴
 質的研究における“比較(comparison)”
 質的研究における“研究の場(setting)”と“時間枠(timeframe)”
 質的研究におけるサンプリング
 質的研究におけるサンプルサイズ
 質的研究におけるデータ収集
 データ収集においてフィールドで出くわす問題
 質的研究のデータ収集方法としての自己報告データ
 面接によって質的なデータを収集する
 参加観察法によって質的なデータを収集する

第12章 多様な質的なアプローチの研究方法をみてみよう!
 事例研究(ケース・スタディ)
 どのような動機で事例研究に取りかかるか
 事例研究はどのようなステップをたどるか
 グラウンデッド・セオリー法
 エスノグラフィ
 現象学的アプローチ

第13章 研究計画書を作成する
 研究計画書を作成する意義
 研究テーマを書く!
 研究動機と研究目的を書く
 研究しようとする問題の背景を書く
 研究の意義を書く
 研究方法を考える
 役割分担を考える
 研究経費を考える
 研究計画書の作成例

第14章 研究論文としてまとめる
 論文とは……
 論文の全体構成を考える
 論文の各部分を構成するうえで大切なこと
 結果をまとめるとき
 考察をまとめるとき
 さまざまな約束事

第15章 量的なアプローチの研究を科学的な視点でクリティークする
 研究のクリティークとは……
 看護研究のクリティークの目的と知的クリティーク
 看護研究の知的なクリティークの対象
 量的な研究アプローチの研究論文に対する知的なクリティークの具体的な方法
  論文例1

第16章 質的なアプローチの研究を科学的な視点でクリティークする
 質的研究をクリティークするための技能
  論文例2

第17章 新しい看護研究の動向
 トランスレーショナル・リサーチ(Translational Research)
 ミックスド・メソッド・リサーチ(Mixed Methods Research)
 メタ-アナリシス(meta-analysis)
 メタ-シンセシス(meta-synthesis)

APPENDIX 付表
INDEX 索引